「やべえよ、確実に早く来すぎちゃったよこれ」
分かっていたことだが、物凄く強い導師アルトリウス。
デラックス・ボンバーをくらってダメージを受けたが、ほんの少しで一瞬にして傷を治している。ヘルダルフは治さんかったが、アルトリウスは導師で天族が味方ならば傷を治すのは赤子の手を捻るよりも簡単だ。
だが、それよりもアルトリウスが硬い。防御力を上げる術でも掛けてるのかはしらんがデラックス・ボンバーで大抵の奴等は倒せる。倒せなくても瀕死寸前になる……そうなると、考えられるのはこいつはヘルダルフ同等、いや、それ以上だな。加えて、肝心のカノヌシの姿が見えないのも気にかかる。
「……お前は、何者だ?」
「もうそろそろいい加減にそのくだりをするのは飽きてきたが、名無しの権兵衛だ」
オレ達の顔を見た後、オレを睨み付けるアルトリウス。アメッカは深く警戒しておらず、オレを警戒しているな。
アイゼン達が此処に来るのは読んでいたが、オレ達二人の存在は読むことが出来なかった。遥か未来の住人がポンっと現れるなんて、予想出来ないだろうな。
「今度は前のようには、いかない!!あの子の、ライフィセットの仇を討つ!」
「……いいだろう……かかってこい!!」
地面に鞘ごと剣を突き刺し左手で刃を抜くアルトリウス。
戦闘体勢に入ったことにより、抑えていた力を解放したのか暴風が吹き荒れる。これはまずい、こいつこの時点でヘルダルフよりも上の力を持っている。仮に神依を使ってきたら、此処でオレ以外が全滅してしまう恐れがある。
「飛燕連脚!」
怒りに身を任せてはいるものの、動きが雑になるといったことはないベルベット。
アルトリウスを蹴り上げて空中に浮かせようとするが、アルトリウスは簡単に防ぐ。
「粉砕しやがれ、ストーンエッジ!!」
が、防いでいること自体が天族であるアイゼンにとっては隙だった。
地面から岩を突き出し術を使い、無理矢理空中にアルトリウスを飛ばし、ベルベットは空中で宙返りをしながら後方へと下がり空かさずロクロウが走る。
「瞬撃必倒!この距離なら、外しはせん!零の型・破空!!ちぃい、防がれた!!」
外さなくてよかったなと言えば良いんだろうか?
ロクロウがストーンエッジで出現した岩を踏み台にしアルトリウスの元まで跳び、左手の小太刀で切り上げ、右手の小太刀でついたのだがそれも防がれる。
「今じゃあ!!伸びろ、伸びろぉ!!光翼天翔くん!!」
「上手い、これなら防ぎようがない!!」
空中でロクロウに対応したアルトリウスを上から一気に叩き落としたマギルゥ。
連携のれの字も練習していないが、土壇場で物凄く良い感じに連携が取れておりこれならとアリーシャは喜ぶのだが、喜んでいる暇がない。オレのデラックス・ボンバー受けてかすり傷程度の奴が打撃技一撃で倒されるほど、弱くない。
「マギルゥ、中にいる天族を無理矢理に表に出す方法は知っているか?」
さっきから一向に姿を現さないカノヌシ。アルトリウスをどうにかするには、とにもかくにもカノヌシとアルトリウスの繋がりを切らなければならない。対魔士関係で一番詳しい事を知っているであろうマギルゥに聞いてみるも首を横に振る。
「知らんの、そもそもお主達はどうして契約をしておるのか知っておるじゃろう」
穢れに弱いから、穢れないものに宿る。天族との契約は本来はその為にある。
穢れの塊であるロクロウとベルベットがいないから姿を現さない……なんて都合の良いことじゃないだろうな。狙ってやっている可能性がある。
「カノヌシがなんだろうが、関係ないわ!アルトリウスごと殺せば良いだけよ!あんたも見てないで手伝いなさい!」
「アメッカに注意を割いているから立ち位置交換してくれるなら良いぞ」
ベルベットの回復役のライフィセットは戦闘に大きく参加しない。
回復役は狙われて倒されれば厄介で、更に言えばライフィセットはライラと同じ感じの戦闘でありアルトリウスは剣による戦闘をするので近付かれれば近距離での戦闘が不得意なライフィセットはおしまいだ。
オレは回復役でないのだが、何時アリーシャが狙われるか分からないので極力側にいて戦っておらず、ベルベットが戦えやと睨むので、護衛役を交代する。
「というわけで選手交替だ」
「……お前が誰であろうが、私がすることは変わらん」
ベルベットにアリーシャを託し、オレの番だと前に出ると目に見えるレベルのオーラを体から出すアルトリウス。
さっきよりも威圧感が増しており、ベルベット達は手を抜いていたか……乳首丸出しだからしまらねえが、実力は本物だ。そして何よりもオレを警戒している。見る目が違う。
「そのお前がすることはなんだ?」
「世界の痛みを無くす……ただそれだけだ」
「馬鹿かお前……」
ずっと見えない目的をアルトリウスに直接聞いてみたが、抽象的な答えしか帰ってこない。
痛みをこの世から無くす、そんな事は出来るわけ……無いと言いたいな。痛いのは苦しくて嫌だが、だからこその意味がある。プラスがあればマイナスがあるのが世の通りだぞ。世の中は諦めと妥協も大事なんだぞ。
「部外者のお前に話しても、無駄か」
「そういうことだ。
悪いが、どう考えてもお前がいらんことをしようとしているのは確かだ。
生殺与奪の権限はベルベットにくれてやるとして、ある程度はシバき倒させてもらう。アステロイド」
話し合いをしても平行線、なにをするのか具体例もなにも教えてはくれないアルトリウス。何だかんだで部外者で、殴り倒すのも恨みを持つベルベットがするのが一番だが、もうそうはいってられない。
何時もの様に三角錐に分割した大型のアステロイドをアルトリウスに向けて放つのだが、剣を突き出して防御壁的なのを貼り、防いだ。
「アステロイド、アステロイド」
今度は二つのアステロイドを出し一つはさっきと同じ様に三角錐に分割を、もう一つは9×9×9で分割した細かな四角い粒の様なアステロイド729個に分割し、先に729個に分割したアステロイドを撃つ。
「悪くはない手だ……ふんっ!!」
「まだ上がるか……ベルベット、引くぞ」
細々した散弾を撃ち、全体に防御させて大きな一撃に耐えられない様にしようとしたが、出来なかった。アルトリウスは更にパワーアップをし、さっきよりも強力な防御壁を貼った。アルトリウスは余裕の表情を浮かべてはいないが、焦りらしい焦りを余り見せようとせず、まだまだ力を出していない。神依が無くても何段階かパワーアップが残っているどころか、カノヌシの姿が未だに見えない。
背中の剣を出し惜しみしている場合じゃない相手なのは分かっているが、今は撤退した方が一番得策だとベルベットに言うのだが、ベルベットは言うことを聞かない。
アリーシャの側から離れてオレの隣に来る。
「アメッカの隣にいてくれよ」
「ふざけるな!!なんの為に此処まで来たと思っている!!」
「アルトリウスがどんどん力上げてきてるだろう。二段階ぐらい変身残してるって言われても違和感ねえぐらいに余裕ぶっこいてるだろうが!」
「余所見をしている暇はあるか?」
「!」
「割とあるぞ」
アルトリウスがまだ余裕をぶっこいてられるように、こっちも余裕を残している。
とはいえ、現時点ではベルベット達とアルトリウスの間には絶望的なまでに差があるので、それを埋めるためにフォーソードを抜かなければならない。
「ふん!!」
ベルベットを襲うアルトリウスの一太刀を防ぎ、隙が生まれる。
その隙を逃すまいとベルベットは手甲から出した剣で斬りかかるが何度も何度も避けられる……これ、斬って良いやつなんだろうか?
カノヌシがなんなのかは知らないが、ジャンルで言えば天族であることには変わりない。天族の加護領域があれば、穢れをどうにかこうにか出来るのが本当だ。カノヌシもその一例に盛れないというならば、アルトリウスごとぶった斬って、殺しても大丈夫な存在か?
神仏の類は下手に殺せば、世界に何らかの影響を与えるのが割と多い。神仏の類をぶっ殺す際には世界に与える影響を考慮しておかないと、下手すれば世界が滅びる。大抵は神様じゃなくするのが一番だ。
「アイゼン、なんか変なもん感じねえか?曲がりなりにも神様だ、斬ったら世界滅亡はまずい!!」
「まだなんとも言えん……だが」
「だが?」
「お前の言うとおり、アルトリウスが今より何段階も力を上げれるとするならば、カノヌシはもうただの聖隷とは言えん」
「本物だろう、完全に」
息継ぐ暇なく回る戦局。
数に任せてどうこう出来る相手でなく、ベルベットがメインで攻めて隙を探して突撃しようとするロクロウ。アイゼンとマギルゥは術でフォローを入れようと模索しているが隙が見つからない。
そしてスレイが将来的にこの領域にまで達するかと言われれば無理っぽい気がする。
「がはっ!?」
回りに回った末に、ベルベットはアルトリウスの剣に刺され貫かれてしまう。
胃の穴を防ぐとかの臓器の手術という概念がないこの世界ではそれは致命傷。後は放置しても大抵の生物は死んでしまう……だが、例外はある。
「ライフィセット!!」
「!」
刺された光景を見て固まったが名前を呼ばれた為に意識を現実に戻し、ベルベットに向かうライフィセット。
刺されたままだと回復したとしても気休め程度にしかならない。アルトリウスさえ殺せれば文句は無いベルベットにとってその気休めは充分過ぎるもので、ライフィセットが傷を治すと剣を振りかぶる。
「戦訓その4!!」
「!」
「揺らいだ!」
どう考えても効率も道理も悪い戦法だが、アルトリウスにとってはその戦法は予想外の一手だったようで、驚きを見せてアルトリウスに大きな切り傷をつけるとアルトリウスは後退して剣からベルベットを抜いた。
「アメッカ、ダメだ。最初を忘れたのか!こっちに出来ることは基本的に向こうも出来るんだ、ライフィセット、傷を治せ!」
剣が抜けたことにより大量の血を流すベルベット。ライフィセットは即座に傷を治していくのだが、アルトリウスは攻めてこない。
「ふっ……勝利を確信しても油断するな、か。
お前を取りこぼすわけにはいかない。戦訓通り全力で相対しよう……聖主カノヌシとともに」
ベルベットの予想外の一手に、アルトリウスは本気を出すことを決めた。
例えるならば、フリーザ第2形態からフリーザ最終形態に変貌するように一気に変わっていき、掲げた剣は眩い光を放つ。するとアルトリウスにつけた傷が治る。上半身裸だからはっきりと分かる。
「一瞬で治っただと!?」
「この力……本物なのか!?」
「そりゃ反則じゃろ~!!」
今まで見た天族や対魔士、それに憑魔と比較することすら間違いな程の光。
「こ、この感じは……!?」
「こいつ……あの時の、あの夜の!!」
そりゃもうヤバい……んだが、此処までしてもカノヌシは現れることはない。
アルトリウスがカノヌシの力を使ってはいるものの、全くといって姿を現さないってどうなんだ?全力なら、これだけの力を持っているならば自身も出て来て戦うはずだ。
「「「「お前ら、大丈夫か?」」」」
「ゴン、ベエ?」
眩い光に衝撃波が混じっている。
漫画とかでもよくある眩い光が弾けたと思ったら、全員ふき飛ばされるあれが来ると感じ即座に四人に分かれる。
アリーシャ、ライフィセットとベルベット、アイゼンとマギルゥ、ロクロウと分かれてフォーソードを盾代わりにし、さっきアルトリウスがやった防御壁擬きをして防いだ。
「「「「抜いたのフォーソードでよかったぁ!!」」」」
攻撃らしい攻撃でもなんでもない一撃を防いだが、フォーソードじゃないと誰かに衝撃波がぶつかって死んでたかもしれない。
「なに……」
「ライフィセット、まだか?」
「待って、もう少しだよ!」
ベルベットの治癒がすんだら、とっととずらかる。
これは対策とか、聖隷と人間の契約を断つ、もしくは初期化する術的なのを用意したりしないと話にならん。
「血が流れてるとこは絶対に防げよ……3分の1を越えてなきゃいいが」
腹を刺されたベルベットはかなりの血を流している。血液型なんてこの世界じゃ分からないし、分かったとしても輸血してくれる人なんていない。そもそもオレって何型ってレベルだ。
憑魔に変貌してるから致死量の上限が越えているとしても、血液が足りないことには変わりない。どちらにせよ、ベルベットを休ませてやらないと。
「ま、だ、よ……」
「もういい……ライフィセット?」
「なんで……なんで、そこまで頑張れるの?」
まだ戦えると立ち上がろうとするベルベットを見て、回復の手を止めてしまう。
臓物は見えなくなったが、それでも血が流れてるから出来れば止めんなよ。
「痛いのに、苦しいのにどうして……どうしてそこまで出来るの!?」
ライフィセットには、ベルベットが此処まで頑張れる事が理解出来なかった。
此処に来るまでに何度も何度も危険な目に遭い、挙げ句の果てには腹を刺されるどころか貫かれた。常人ならば、もう嫌だと投げ捨てたくなるだろうが、ベルベットは折れることなく此処までやって来て、まだまだ憎悪を抱いている。
「どうして、ベルベットは戦えるの!?」
「……ライフィセットは、もっと痛かった……」
ベルベットが答えられないのならば、オレがそれっぽい答えでも教えようかなと思ったがしなくてもいい。
「あの日だけじゃない……ずっと、ずっと痛かった。
なのに、なのにあたしは……なんにも出来なかった……あの子よりも、全然痛くないのに……ごめん、ごめんね」
我慢していたものが吹き出したかの様にベルベットは涙を流しながら、戦える理由を教える。
「ベルベット……」
痛みというのは、肉体にだけあるものじゃない。心にもあるものだとライフィセットは知る。
本当の痛みを知ったライフィセットはベルベットの治癒を再開しようとするのだが、ベルベットはまだ立ち上がろうとするのでオレはベルベットに蹴りを入れる。
「ベルベット!?」
「悪いが、蹴ったところも治してくれ……こうでもしないと、まだ立ち上がりやがる」
何度でも何度でもやろうとするのは良いことだが、相手が悪すぎる。
幸いにもアルトリウス一人だから、あの手この手を使いまくれば逃げることぐらいは出来る。今はまず、蹴りいれたところの治癒をライフィセットにしてもらおうとライフィセット待ちをすると、急にライフィセットが光り出す。
「あああああっ!?」
「は!?」
明らかに苦しんでいるライフィセット。
ベルベットの治癒の手を休めている……さっきならまだしも、今は手を休める要素なんて何処にもない。
「ッチ」
「どうやら、タイムアップじゃの」
ライフィセットの身に何が起きているのか知っているのか、焦りを見せるアイゼンとマギルゥ。
なにがタイムアップかと思っていると、入口が光り女対魔士ことエレノア……と見たことのない三名の対魔士が入ってきた。
「今度は逃がしません!」
そういう感じのフラグを建ててくれて、ありがとう。エレノア。
DLC 学生服
ゴンベエの衣装
キセキの世代の点取り屋
説明
帝光中学男子バスケットボール部に同時に現れた5人の天才の1人にしてエース。
型にはまらない変幻自在のプレイスタイルを持ち、
尚、本人はまだ気付いていないが遥か遠い未来で青峰になるらしい。
DLC アイドルマスター
アリーシャの衣装
ストイックな歌姫系アイドル
説明
私が歌うことで、皆の心を救うことができることなら……。
と思ってたら、高確率で騙されてあれよあれよと色々な事をされてそうなバラエティーからなにまでこなせるアイドルになってそうな純粋な彼女の衣装。天海春香似の女性と仲が悪そう。
ベルベットの衣装
運営の犬
説明
鬼!悪魔!邪神!災禍の顕主!よりも恐ろしいガチャ爆死後にスタドリを渡して周回してこいと言ってくる事務員の衣装。
本人の容姿的に明らかにアイドル向けだが、ステージ上だと確実に上がるので裏方の事務員をすることに……決して中の人繋がりとかはない。笑顔で愛想よく接するのでなく、お疲れの所に缶コーヒーを置いて、「これ飲んで元気出しなさい」とか言ったり、居酒屋で愚痴に付き合ってくれたり愚痴られたりするクーデレ系事務員だと思う。
ゴンベエの衣装
プロデューサー
説明
歴代キャラのDLCと違って、これはもうただスーツを着ているだけに過ぎない。
ゴンベエの容姿がワールドトリガーの二宮なので特にこれと言う違和感は存在しないから、スーツはいい。
だが、Pヘッドは違う。プロデューサーのPヘッドあり被り物じゃない。Pヘッドは頭部である。こういう感じの形質の生物である。故に被り物とかそんなんじゃない。なのに何故かP字の被り物が存在しているんだろうか?(殺)