テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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イチャイチャを書きたい……。


今を越え続けなければならない次

「敵よ」

 

 アリーシャが使っている様な西洋の鎧でなく、東洋の、それも日本の甲冑を纏っている憑魔。

 ベルベットやロクロウの様に体の一部のみが憑魔で後は人間となんら変わらない見た目をしている。

 形状は人型だが頭の部分が兜と一体化しており、元々そういう感じの格好だったのか憑魔になってそういう感じの見た目になったのか、どっちだ?

 

「フーーー」

 

 ベルベットが敵だと判定をすると、向こうも敵だと判定して刀を出す。

 

「その刀、征嵐か」

 

 出てきた刀に驚くロクロウ。聞きたいが、今は聞けねえ。

 

「異国の業物を使う業魔……あんたが刀斬りね」

 

「ベルベット……あの憑魔、私達をちゃんと見ているぞ」

 

 そっちがその気ならと臨戦態勢に入ろうとするベルベットをアリーシャは止める。

 

「それがどうしたのよ?」

 

「ベルベットやロクロウの様に対話が出来るのではないだろうか」

 

 普段から戦っているのと異なる憑魔だと感じるアリーシャ。

 現に刀を出してはいるものの、乱暴に暴れることもなければ居合い斬りみたいななにかの構えもしておらず、こっちをジッと見ている。

 

「そこの憑魔……いや、違う。貴方の名を教えてはくれませんか?」

 

「……クロガネだ」

 

 名前を教えてくれる鎧武者改めクロガネ。

 理性を失わずにいる憑魔かと思っていると、刀を両手で持って襲ってきた。

 

「待ってくれ、私達は無益な争いをしに来たわけではない!貴方はどうして憑魔になったかを教えて」

 

「俺が業魔になった理由はコイツだ!!」

 

 アイゼンやベルベットを無視し、オレとロクロウにのみ標的を絞ってくるクロガネ。

 なにか特殊な術を使って来るわけでもなく、純粋な刀の斬れ味のみでオレ達を斬ろうとし、ロクロウは面白いと小太刀を出す。

 

「ロクロウ、それ(小太刀)そろそろ限界だからオレが代わりにやる」

 

「いいや、そいつは無理な相談だ。相手は征嵐……斬り甲斐があるぜ」

 

 憑魔となっている右目をキラーンと明るく光らせるロクロウ。

 

「斬っ!!」

 

 クロガネと同時に走り出し、斬り合うのだが

 

「うぉ!?」

 

 限界を迎えた小太刀が砕け散った。

 なにやってんだと二太刀目を入れようとするクロガネの前に移動し、クロガネの持つ刀を真っ二つに斬り落とす。

 

「危ない!!」

 

 ナイスアシスト、ライフィセット。

 刀を叩き斬って直ぐに後ろから、黒いのと白いエネルギー弾的なのをぶつけてクロガネを吹き飛ばす。

 今の攻撃からして、絶対にクロガネは生きている。直ぐに体制を立て直す為にも武器が使えなくなったロクロウには下がってもらおう。

 

「ライフィセット、ゴンベエ!!テメエ等……なに人の獲物をとってんだ!!」

 

「ひっ!」

 

「仲間を殺す気ですか!!」

 

 自分の時間を邪魔されキレるロクロウ。

 怒りの矛先をライフィセットに向け、憑魔化している左目が赤く光らせて襲いかかろうとするのだが、エレノアが槍を向ける。

 

「その子を殺すなら、あんたを殺す!!」

 

 ベルベットとエレノア(セコム)の圧が凄えな。

 

「……すまん。つい熱くなった」

 

 光っていた目は元に戻りロクロウは冷静さを取り戻し謝る。

 

「なんかもう終わった感じになってっけど、なんも終わってねえぞ」

 

 この話はコレで終わった感が出ているが、まだなんも終わってねえ。

 ライフィセットの攻撃をくらってふきとばされたクロガネは何事もなかったかの様に立ち上がって来た。

 

「ロクロウ、武器ねえからアメッカの側にいろ。

マギルゥとライフィセットは術系の遠距離攻撃でやってくれ。エレノアとベルベットはクロガネをライフィセット達が術を当てやすい様に距離の調整をしながら、アイゼンは状況に応じて遠近頼む」

 

 クロガネは如何にもな日本の甲冑を纏っている鎧武者みたいな見た目をしている。

 持っていた武器とか人型の点から考えて、ロクロウみたいに刀で戦うのがメインでヘルダルフみたいに術を使ってこないタイプ。だったら、こっちは思う存分に術を使わせてもらう。

 

「お前はなにをする?」

 

 オレの指示に納得してくれ、文句は言わないがオレがなにをするか言わないことを気にするアイゼン。

 

「なにをするかって、決まってんだろ」

 

 足元に落ちたまんまの真っ二つにした刀の刃の部分を谷底に捨てる!

 これを拾って、なんかくっつけたりされると困る……あ、でも、ビームサーベル的なのをしてくるかもしれねえな。

 

「待ってくれ!」

 

 戦闘体制に入るが中々に襲いかかりに来ないクロガネ。

 来ないならばこっちがとベルベットとエレノアが攻めようとするとアリーシャが2人の前に立った。

 

「退きなさい。あんた戦えないんだから、怪我するわよ」

 

「っ……ああ、そうだ。私は戦えない!!」

 

「ならば、下がっていてください」

 

「いや、下がれない……クロガネ、貴方はどうして憑魔になったんだ?訳を、胸の内を話してくれないか?」

 

 戦う事が出来ないアリーシャは……いや、違うな。

 戦う事が出来ないからこそ、力付くで浄化して終わりが出来ないアリーシャだからこそ、戦う事を選ばずに対話を試みた。

 何故に今更と思うが、ベルベットみたいに根が善人で真面目な奴が家族を殺された憎しみで憑魔になっているのを見れば、もしかすると憑魔になった原因が、本当に叩かなければならない悪が何処かに居るのではと疑いだした可能性があるな。

 

「なにを言っているのですか?業魔病は未知の病で特効薬も原因も分からない物で」

 

「だからこそ、その原因を探るんだ!」

 

「それ以上はまずい」

 

 エレノアと若干噛み合っているようで噛み合っていない勘違いされる会話はやめろ。

 

「おい、コレをやったのはどいつだ?」

 

「ゴンベエだが?」

 

「アメッカ、素直に答えなくていい」

 

 アリーシャの言葉が通じたのか、話し合う事は出来そうになるんだが代わりにオレが売られる。

 さっきから襲って来ないと思ったら、折られた刀の事を物凄く気にしていたみたいで折ったオレに近付いてくる。

 

「んだよ、刀の恨み晴らすならやんぞ?」

 

 見た感じ、かなり良い刀だったし、斬った事に文句あるならやんぞ?そういう感じで解決するなら、それはそれで楽だから良いんだぞ?暴力で物事を解決するのは最低だが最適な手段であるって教えられてんだ。

 

「ゴンベエ、そうやって力付くで解決しては意味は無い。まずは、クロガネの話を聞こう……その、もし刀を真っ二つにしてしまった事を恨んでいるのならば申し訳ない」

 

「嬢ちゃんが謝る事じゃない、むしろ叩き斬ってくれてよかったよ……このままだと、また斬られるだけだったからな」

 

「また斬られる?失礼だが、持っていた刀は名刀に相応しい物で、貴方は何人もの刀を斬ったと聞いていますが」

 

「そこらの有象無象を斬っても嬉しくもなんとも思わん。斬りたいのはただ1つ」

 

「號嵐か?」

 

「なんで、いや、その背中の刀……」

 

 突如会話に乱入してきたロクロウ。

 斬りたい物を当てられクロガネは驚くが、改めてロクロウの武器や服装を見てなにかに納得する。

 

「俺の名はロクロウ……姓はランゲツだ」

 

「ロクロウ・ランゲツ……ロクロウか」

 

「おぅ、6番目に生まれたからロクロウだ」

 

 シンプル……いや、名無しの権兵衛のオレが言えないな。

 つか、2人だけの世界に入っていってるから説明をしてほしいんだけどな。

 

「その剣で征嵐を真っ二つにしたんだよな?ちょっと見せてくれねえか?」

 

 持ってた刀をポイっとその辺に投げ捨てるクロガネ。

 

「待て、クロガネ。その剣は」

 

「なに見るだけだ。奪いはしねえしお前達と斬り合うつもりも、ぬぅお!?」

 

「剣が青白く光った!?」

 

 勝手に触ろうとするからだ。

 

「オレのコレは聖剣だからお前みたいなのが触るだけでもダメなんだよ」

 

「そうか……こんなんなっちまって便利だと思ったんだが、まさかこんな所で邪魔になるとはな」

 

 憑魔となっているのを便利って、変わってんな……いや、元から変わってる奴なのか?

 ベルベットとロクロウを除けば日曜朝の典型的な悪役っぽい憑魔ばっかだったせいか、段々とおかしくなってんな。

 

「もう終わったでしょ、さっさと港に行くわよ」

 

 ベルベット、苛立ってないか?

 

「いや、まだ終わってない」

 

「なによ、まだなにかあるってわけ?」

 

 さっさと港に行きたいベルベットだが、珍しく食い下がるロクロウ。

 クロガネの捨てた刃が殆ど無い刀を手に取ってさっき砕けた小太刀の破片を見比べる。武器が無いから、それを寄越せって言うつもりか?

 

「ダメだな、コイツで挑んでも勝つことは出来ん」

 

「たった今、それが証明された。今から作り直しだ」

 

「なら、そいつを俺にくれねえか?」

 

「ロクロウ、寄り道するならあんたを置いてくわよ?」

 

「まぁ、そう急かすな。これからの事も考えたら、寄り道は大事だ。急がば回れって言うだろう」

 

「……お前達、港に行きたいならついてきな」

 

 テコでも動かない感じで、クロガネが道案内をしてくれるのでとりあえずはついていく。

 

「あんた達、顔見知りなの?」

 

「「いや、今日会ったばっかだ」」

 

 2人だけしか分からない事を話したりしているので、ベルベットは疑問をぶつけるも息を合わせて否定される。

 じゃあ、なんで2人は色々と話しているんだと思っているとずっと黙っていたマギルゥが口を開いた。

 

「もしや、あの征嵐とクロガネかの?」

 

「知っているのですか?」

 

「それは何時、誰が打ったものかは知らん。

しかし、誰もが認める絶世の刀であり、その斬れ味は海をも割ると言われており、人は神の刀と呼んだり呼ばなかったり」

 

「神の刀じゃないけど、神の剣ならオレのだぞ」

 

「話の腰を折るでなーい。

その刀に魅せられた刀鍛冶がおったそうじゃ。名はクロガネ、稀代の刀鍛冶で其奴は心血を注ぎ込んで、その神の刀を越えようとした。(さけ)ぶ嵐を征する刀を、征嵐を生み出した」

 

「……スゴい刀は出来たの?」

 

「結果は惨敗じゃ。何十回と挑んでは征嵐は神の刀に叩き折られ、遂には勝てぬ事に絶望したクロガネはその刀に首を斬られてスパンと死んだ……もしくは絶望して命を絶ったと言われておる……何百年も昔からの」

 

「よくある怪談話ですね」

 

「コレーぃ!ゴンベエといいエレノアといい、話の腰を折るでない……ま、本当かどうかは眉唾物じゃからワシもさぱらんよ」

 

 とは言うものの、目の前にはそれっぽい人物が居るわけだ。

 

「その話は大体は本当だよ」

 

 エレノアがよくある怪談話の一種だと否定すると、ロクロウはそれを否定する。

 クロガネが魅了された太刀はロクロウの家、ランゲツ家に代々伝わる太刀、號嵐でロクロウも幼い頃にチラリとクロガネの話を聞き、何度か征嵐を目にしたことがあるらしい。でも、クロガネの存在は信じていなかったとよ。

 

「刀に勝ちたいって思ってたら業魔になったの?」

 

「ああ、寝るのも飯食うのも忘れて没頭してたらこうなってた」

 

「なんでそこまでして勝ちたいの?」

 

「それがオレの全てだからだ」

 

「クロガネの全て……」

 

「分かる、分かるぞクロガネ。俺も勝ちたいと思い続け、色々とやってたらこうなっちまったんだ」

 

 クロガネが憑魔になった事にどうも納得がいかないと言うよりは、なんで?と疑問を持つライフィセット。

 ロクロウはその気持ちは分かると頷いているので益々分からなくなっている。物作りの人間は頭のネジが1本か2本外れてるって言うが、ライフィセットには色々と分かりにくいだろうな。

 

「ライフィセット、クロガネは譲れないものがあったから憑魔になったんだ」

 

「譲れないもの……征嵐で號嵐に勝つことが?」

 

「クロガネはそれこそが自分の生きる意味、人生だと見出だした。そう思えば分かりやすいか?」

 

 もう人じゃないから人生とは言えねえけど。

 

「クロガネが生きる意味……」

 

「だからといって、業魔にまで身を落とすのは愚かでしかありません」

 

 ライフィセットがクロガネの事を少しだけ納得しているが、エレノアは納得しない。

 

「ライフィセット、エレノアの言っている事は気にするな。

それを気にしたら、憑魔のベルベットと一緒にいたいと思うお前の強い意志は愚かだって事になる。違うだろ?」

 

「ベルベットと一緒にいたいのは、僕の強い意志……エレノアから見て、間違いだったりおかしかったりしても僕は後悔もなにもない……クロガネもこんな感じなのかな?」

 

「大体そんな感じだ」

 

 話を聞いた限り、クロガネは稀代の刀鍛冶で人を殺したとかそう言うんじゃなくて、刀を作り続けた結果、ああなったっぽいし……。

 

「アメッカが対話をしようとしたのは正解だったな」

 

 あの手のタイプが何だかんだで一番面倒なんだよ。

 

「私はただ、どうしてそうなったか知りたかっただけだ……ただ、理解者にも共感者にもなることは出来ずじまいだ」

 

 お前、本当に真面目だな。

 

「業魔の共感者や理解者になどならなくてもよろしいのでは?」

 

「そうはいかない、憑魔が世界各地で色々と暴れているのは分かっている……だが、元々は人間だ」

 

 憑魔を憎む様に仕込まれたのか、それともなにかあったのか否定し続けるエレノア。それでもアリーシャは引かない。

 

「こういう事を言うのはなんだがあの手のタイプは理解するのが難しいし、理解しても原因は他所にある場合もある」

 

「どういうことだ?」

 

「ああいう職人タイプは、それこそが生き甲斐だと思っている奴もいるが周りの目なんかが恐ろしい奴もいるんだよ」

 

 クロガネは絶対に成し遂げてみせると思って色々とやった末にああなったけど、そうじゃないパターンもある。

 

「自分は名に相応しい一流でなければならねえ、次は今作った最高を越えなければならねえ、今あるもので満足せずに新しいナニかを生み出さなければならねえ、作って貰う側はそれが出来て当たり前だと思ってしまうから作り手は、職人は色々と背負わされちまう」

 

 んで、そこに作り手と作って貰う側の境界線は無い、あるのはより苦しむのは作り手ぐらい。

 

「そんなことは」

 

「無いなんて言わせねえ。今より美味いものを、今より綺麗な物を、今よりももっとと人は求める、それが破滅の道だと知っていたとしても、甘い汁を啜る」

 

 それはオレだってそう。今よりも楽な生活を、楽になる様にと求める。

 そして何時かは停滞する。自動車産業が昔と比べて年々赤字続きなのもある意味停滞している証、低燃費で普通に乗れれば良いやとある程度で満足して終わる奴等が増えたからだ。

 

「この世で最も恐ろしくて醜いもの、それは人の心……そして最も偉大で輝かしく美しい物もまた、人の心だ」

 

「言っている事が真逆じゃないか」

 

 いや、真逆じゃねえ。

 

「裏と表だ。貪欲なまでに求め続ける人の心は醜い物だが、求め続けた結果、とんでもない物を生み出す。

料理に芸術、技術、それがなんであれ妥協せずに後先考えずにやり続けた結果、結果…………お前に絶賛、ハニトラを掛けられているという事になったんだったな……」

 

 自分で撒いた地雷を自分で踏んじまった。

 そう、色々と作れると醜い心が生み出した偉大な物が原因でアリーシャに助けて貰わなきゃならない状況になったんだ。

 カッコつけようと思ったけど、自分で地雷を踏み抜いて嫌な事を思い出してしまい落ち込んでいるとアリーシャは頭に手を置こうと伸ばすんだが、オレの背が180越えているので、ちょっと距離を開けられると届かない。

 

「お前、なにやってんだ?」

 

「ゴンベエを落ち着かせようと……言いたいことは分かった、別々に考えてはいけないということだな」

 

「2つは一緒、表と裏、表裏一体と考えてくれ」

 

 クロガネはスゴいものを作ってやると職人魂に火が着いた末にああなった。そこに善とか悪とかの基準を加えるな。1つの側面でしかない。

 とりあえずオレは頭を下げてアリーシャに撫でられるのだが、ベルベットからなにやってんのと絶対零度の視線をくらったのでアリーシャから距離を取る。

 

「お前達、そういう関係なのか?」

 

「そういう関係とは?」

 

「男と女の関係だ」

 

「アイゼン……よく間違われるが、ゴンベエとはそんな関係じゃない。

色々とあって結果的にはゴンベエを誘惑しなければならない事になっているが、そういった関係性は一切無い!!」

 

「……そうか」

 

「落ち込んでる大の男の頭を撫でて慰めようとする大の女は普通、彼女と言うんじゃがの」

 

 そういう関係じゃねえよ、何処に目玉がくっついてんだ。

 

「ついたぞ」

 

 そうこうしている内にクロガネの案内が終わった。

 特に気にしていなかったが、途中から山道を下らずに炭鉱内を通り、無数の折れた刀が立ち並ぶ……刀鍛冶の工房と呼ぶにはお粗末な場所に辿り着いた。

 わざわざオレ達をこんな所に連れてきたということは、アレか?

 

「私達は早く港に行きたいのよ」

 

「ここは煌鋼が埋まってる炭鉱だ。掘り出した煌鋼を輸出する為の港町までの道はある。下手な山道を通るよりも、そこを通れば確実でなにより近道だ」

 

「……」

 

 だったらいくわよとオレ達を先導せずに黙るベルベット。

 ここにどうしてオレ達を連れてきたのか理解しており、その目的を果たさなければ今後に差し支える事も理解している。なんと言うか、素直になれないなろうとしないのがここまで来るとスゴい。

 

「俺の目的は號嵐だ」

 

「俺の目的は號嵐を持っている奴だ」

 

 向き合うクロガネとロクロウ。

 胡座で座り、改めて互いの目的を語る。どちらの目的も似ている、使い手か武器かの違いで殆ど一緒だ。

 

「俺はコイツらと一緒に色々と巡らないといけない、最終的に何処に行くかは分からない」

 

 行き着く先は破滅か、それとも繁栄か。

 オレ達が居た時代から1000年以上経っているから、逆説的に考えるのも難しい。アリーシャが言うには所々歴史が途切れているらしいし。

 

「だが、道中立ち塞がる奴はハッキリと分かる。俺はそいつを斬らないとならない」

 

「それがお前の生きる意味か?」

 

「ああ、そうだ。どうしても斬りたいと思った末にこうなっていた……それでも斬れなかった。卑劣な手を使い、この背にある號嵐・影打ちを使っても斬ることは出来ず、それどころか叩き折られた」

 

「ずっと抜かないと思ったら、そういうことだったのか」

 

 背中の刀を抜かない理由を納得するアイゼン。

 今まで一度も抜く素振りを見せなかった背中の太刀。抜かないじゃなくて抜けない、折れていて使い物にならないから。

 それでも背負い続けるのは、失敗した自分を戒める物として背負っている、もしくはそれに変わる相応しい刀を手に入れるまで背負うのどちらかか。

 

「立ち塞がる奴と號嵐を斬るためにも俺に刀を作ってくれ」

 

「……分かっているのか、俺がどんな理由でこんな姿になったのかを。

號嵐を越える為に何度も何度も挑んで、挑み続けては簡単に真っ二つにされる號嵐に折られるだけの刀しか作れない奴だぞ?」

 

「確かに號嵐に勝ててはいない、今はな」

 

「お前……」

 

「俺もそうだ。あの時、アイツには勝てなかった。だが、折れてはいない。

お前もそうだ。何度も何度も刀を折られようがその度に新しく刀を打っている。俺には分かる」

 

 ロクロウの目は何時も以上に真剣で、本当にそう思っている。

 ここに出てクロガネと出会ったことも運命的なナニかを感じている。

 

「アイツを斬るのは俺で、號嵐を斬るのはお前が作った刀だ!

何十年、何百年も折れることなく刀を打ち続けるお前の執念と奴を斬りたいと強く思う俺の恨み、この2つのどちらが欠ければ成し遂げる事は出来ない。だから頼む……刀を俺に託してくれ」

 

 熱くなったのか、言っている事が若干変わってんぞ。

 

「お前が折れない限り、俺は何度でも打ち直してやる。號嵐・影打ちを貸せ」

 

「悪いが、コイツは使わない。

號嵐・影打ちは過去の自分を戒める為の物で、俺はアイツに勝つためにランゲツ流の裏芸を、二刀小太刀を磨いた。作るならば、小太刀や短刀を……ゴンベエ、煌鋼を採取しに行くぞ。炭鉱だから、掘れば出てくるだろう」

 

「それは良いんだけどよ……」

 

 モグラグローブを使えば、簡単に掘り進む事が出来る。

 無くした鉱石を一気に補充できればWin-Winなところがあるが……それよりもやらないといけねえことがある。

 

「クロガネ、お前、槍を作れるか?」

 

「作れるには作れるが、お前にはその剣があるだろう。

仮にその剣を槍にしてくれと頼まれても触れる事が出来ない以上、俺はなにも出来ない」

 

「この剣を打ち直して欲しいんじゃねえよ」

 

 血翅蝶に頼んでおいたが、クロガネよりも腕の良い職人は何処にもいねえ。今のオレ達みたいに犯罪者的な立ち位置だから一般的なのに頼み込むのも難しい。後、下手すりゃとんでもない額の金を取られるかもしれねえ。

 

「アメッカの槍を作ってくれ」




スキット そういう関係じゃないその3

ライフィセット「……ねぇ、アイゼン、聞きたいことがあるんだけど」

アイゼン「なんだ?」

ライフィセット「ハニトラってなに?」

アイゼン「……すまん、もう一度言ってくれ」

ライフィセット「ゴンベエがアメッカにハニトラされてる関係とかたまに言ってるでしょ。ハニトラって聞いたことが無いからなんなのかなって……」

アイゼン「あいつ等……いや、ライフィセットも男だ。むしろ知っておくべきか」

ロクロウ「なんの話をしてるんだ?」

ライフィセット「ロクロウ、アイゼンにハニトラってどういうことなのか聞いてたんだ」

ロクロウ「あ~……それはだな」

アイゼン「待て」

ロクロウ「安心しろ、幾らなんでもストレートには言わない。ライフィセット、ハニトラと言うのを知るには先ず女の恐ろしさを知るところからはじまる」

ライフィセット「ベルベットは怒ると恐いけど、本当は優しいよ?」

ロクロウ「それに騙されるなと言っているんだ」

アイゼン「息を吐くように嘘をつく女、それを見抜けずに騙される男」

ロクロウ「分かる。分かるぞ……」

ライフィセット「2人とも、なにか悲しい過去があるんだね……」

ロクロウ「刀で斬られた傷よりも女につけられた心の傷の方が痛み、治りが遅いこともある」

アイゼン「女の涙には気をつけろ、偽の涙を流す事が出来て見抜けなければ大きな損害を受ける」

ライフィセット「女の涙には気を付けろ……うん」

ベルベット「ちょっとあんた達、ライフィセットになにを教えてるのよ!」

アイゼン「女について教えている」

ベルベット「変な事を教えるんじゃないわよ……それ以上、教えるって言うなら喰らうわよ?」

マギルゥ「おー怖いのぅ……そこまで言うのならば、こやつらの代わりにお前が坊に色々と教えてやらんとの」

ベルベット「っ、なんでそうなるのよ?」

ロクロウ「お前が余計な事を教えるなって言うからだろ」

ライフィセット「ベルベット、教えて。ハニトラってどういう意味?」

ベルベット「っ──それは、その」

マギルゥ「おや、まさか教えれんと言うのか?」

ライフィセット「……ベルベットは恥ずかしがってて、マギルゥは面白がってる」

アイゼン「どうやらお前は本質が分かってるようだな」

ライフィセット「え?」

ロクロウ「あの二人を見て、色々と分かってりゃ女はそこまで怖くはない!……多分」

エレノア「言っておきますが、私は違いますからね!息を吐くように嘘をつける女性がいるのも、涙を自在に操る事が出来る女性もいますが、断じて私は違います!!私は嘘は嫌いです!!」

ライフィセット「エレノアは嘘が大嫌いな正直者なんだね」

エレノア「あ、はい……」

ライフィセット「じゃあ、ハニトラの意味を教えてくれるかな?」

エレノア「それはですね……どうしてそんな事を聞く気になったのですか?」

ライフィセット「ゴンベエがそう言ってたから、なんだろうって」

エレノア・ベルベット「「ゴンベエ!!」」

ゴンベエ「んだよ、こっちは今、道具の整理で忙しいんだぞ」

エレノア「貴方はいったいライフィセットになにを言ったのですか!!」

ゴンベエ「オレが悪いの前提か?ざけんなよ、犯罪は……犯しまくりか」

アリーシャ「皆で騒いで、なにかあったのか?」

エレノア「アメッカ、ちょうどよかったです。この際だからお聞きしますが、貴方達はハニトラな関係なのですか?」

アリーシャ「……そうであればどれほど楽だったか。そうなっていることになっているが事実は違う、ゴンベエが私の命を握っている。私はゴンベエを縛り繋ぎ止める鎖の役割だが、何時でもゴンベエは逃げ出そうと思えば逃げる……それをすれば最後、私は処分されて終わる」

ゴンベエ「あのド腐れどもからは逃げたいが、お前から逃げようなんてあんま考えねえよ。何だかんだで世話になっている身なんだ。なんかあったら力を貸したり、背中を押してやる」

アリーシャ「世話になっているか……私が税金の免除をすんなりと通せたのは裏で様々な陰謀があったからだ。応援し背中を押してくれたのに期待に応える事の出来ない自分が時折憎い。そうだ、ゴンベエ。レディレイクに住まないか?幸いにもレディレイクは資源豊かで水車を回すには最適だ。研究費用と言えば国からある程度は出せるし、土地も選べる」

ゴンベエ「税金の免除だけで充分だっての」

アリーシャ「そうか……もし困ったのなら何時でも言ってくれ。私に出来るのはお金しかないんだ……」

ベルベット「……ヒモね」

アイゼン「ヒモだな」

ロクロウ「ヒモだ」

マギルゥ「ヒモじゃの」

エレノア「最低のヒモですね」

ゴンベエ「オレは普通に働いてるわ!!」

ライフィセット「……見掛けや嘘に騙されちゃいけない。これって女性だけじゃなくて男性にも当てはまるんだね
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