テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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幸せは幸せな時以外に理解する

「闇纏・無明斬り!……出ない」

 

「火事場の馬鹿力的なので使えてたんだ、諦めろ」

 

 ゴンベエの胸の中で泣き、港に戻り本来の目的地であるイズルトを目指す。

 壊賊病に誰一人倒れることなく、風が吹かない等のアクシデントもなく順調にいけるとのことで、その間に私はゴンベエの闇纏・無明斬りの練習をするのだが全くといってでない。

 あの時は槍に闇を纏っていたのだが、今はうんともすんとも言わず、ベルベットの様に姿を変えようと試してみると闇に飲まれそうになる。

 

「火事場の馬鹿力……心の力の1つだが、自由自在に扱えないか」

 

 切迫した状況に置かれると、普段では出せない力を出せる。

 あの時の私の心理状態は普段とは大きく異なっていて再現しようにも出来そうにない。あの状態を常に維持するというのも無理で振り出しに戻る。あの時のは偶然、一時的な物だ。

 

「……」

 

「あそこにいるのは……」

 

 コンパクトを手に難しい顔をしているエレノア。

 聖寮に向かっている場所について報告をしているのかと思えば光る玉は無い。なにかを考えているようで……手に取る様に分かる。

 

「疑っているのか?」

 

「!……なんですか、急に」

 

「少し前までの私と同じ顔をしていたから、気になったんだ」

 

 エレノアがしていた難しい顔は、なにかを疑っている顔だ。

 

「貴方と同じ顔、ですか?」

 

「ほんの少し前まではそんな顔をしていた……本当に少しの間だけだが」

 

 今はもう、それを解決する方法があるから滅多にしない。それを解決する方法はエレノアには……。

 

「なにを疑っているんだ?」

 

「疑うだなんて、そんなこと」

 

「……私達が今から知りに行くのは導師アルトリウスがやろうとしていることだ」

 

「!」

 

 私と会話をしたくないのか、そんなことは無いと否定したいのかは分からないのでアルトリウスの名を出すとビクリと目に見えて反応する。アルトリウスを出されたことによりエレノアは否定しなくなる。

 

「……世に平和と秩序をもたらす為に聖寮はあります。聖寮やメルキオル様の行動はアルトリウス様の深いお考えに従ってのもの」

 

「それなのに疑っているのか」

 

「疑ってなどはいません!!ただ……不安と違和感が」

 

 それを疑っていると言うじゃないか。

 そう言おうとするが止める。言っても違うと否定されるだけで、疑っていると納得のいくことは言えない。話題を変えよう。

 

「エレノアはどうして聖寮に入ったんだ?」

 

「……業魔が憎いからです」

 

「す、すまない!その、聞いてはいけない事を」

 

「余計な気遣いはいりません」

 

 聖寮に入った理由を聞けば表情を変えた。

 さっきまでしていた難しい顔と異なり怒りを露にしている顔で、地雷を踏み抜いた。触れてはいけない部分に触れた。

 

「十年前に私の村は業魔の群に襲われ全滅しました」

 

「お前、生きとるやん」

 

 ゴンベエ、黙ってくれ。

 

「その混乱の中で、たった1人の家族だった母が……残されたのはこの手鏡だけでした。

こんな思いをするのは私だけでいい。だから業魔を討つ為に私は聖寮に入りました……!情けも気遣いも無用です」

 

 まだ、なにも言っていないのだが。

 エレノアは逃げる様にこの場から去っていく……。

 

「なにかを言われるのが怖くなったな、あいつ」

 

「……信じたいんだ」

 

 憑魔は並大抵の人間ではまともに相手をすることが出来ない。

 並大抵じゃない人間はいるにはいるが、それは本当に一握りで基本的には天族の器とならなければならない。

 その為には肉眼で天族を見れるぐらいに霊応力を持っていなければならないのだが、この時代では何故か全員が見ることができ、形はどうあれ憑魔を退ける組織がある。

 私とエレノアと似ている所が多々ある。

 1番の違いはゴンベエが居るか、居ないか。私には側にゴンベエが居てくれたから、疑う事が出来た。正しくない道の歩き方を知れた。だが、エレノアは──

 

「それは止めろつってんだろ」

 

 考え事をしているとゴンベエに怒られた。

 

「難しい事とかんな事を考えても無駄だ……今から答えを知りに行くんだから」

 

「……私は幸せ者だ……なによりも、ゴンベエと出会えた事が」

 

「お前さ、言いたい事は分かるんだけど間を飛ばしすぎだ」

 

 なにを飛ばしていると言うんだ?

 色々と大変な事があるがゴンベエと出会えた事は1番の幸せなんだ。

 

「おーい、もうすぐ着くぞ」

 

「さぁ、行こう」

 

「……あっさりと知れたら良いんだがな……」

 

 自分の境遇を幸せだと改めて感じると本来の目的地にやっと辿り着く。

 

「なにあれ……」

 

「ペンギン……見たことの無い種だな」

 

「アレはペンギョンですよ」

 

 船から降りると見たことの無いペンギンの様な生物がいた。

 過去の時代なだけあって、現代では中々に見ない生物が多いな。

 

「この地方独特の魚鳥類でお肉がプリプリでトマトシチューに入れると美味しいんです」

 

「へぇ、どんな味がするんだろう?」

 

「……あれを食べるなんて、野蛮ね」

 

「貴女に言われたくありません……母の得意料理だったんです」

 

「……そう」

 

 ペンギョンが意外にもエレノアの地雷を踏むきっかけとなり、少しだけ重い空気になる。

 ベルベットも悪いことをしたと思っているのかそれ以上はなにも言わない。

 

「ペンギョンで野蛮となればフグの毒袋を食べる石川県はいったい……」

 

「毒を食べるの!?」

 

「糠漬けにして食うらしいぞ

どうやって毒を除去してるかイマイチ分かってないが、毒を除去できていて珍味として知られている」

 

 それをはじめて試した人は凄まじいな……。

 

「マギルゥ、例のグリモワールとはどんな奴だ?」

 

 食べ物の話はそこで止め、マギルゥに目当ての人物の特徴をアイゼンは訪ねる。

 ざっと見ただけでこの辺りにはかなりの人が居る。そこから見つけなければならない。ここにいない可能性を頭に入れながらだ。

 

「そうじゃの端的に現すのであれば……『ふぅ、はぁ、あっそ』じゃの」

 

「全然分からん」

 

「やれやれ想像力に乏しいの。グリモ姐さんは例えるならばアンニュイな有閃マダムの黄昏じゃよ」

 

「……お前、この状況で人間性を答えてどうすんだよ」

 

 今、答えなければならないのはそのグリモワールと言う人の容姿で性格とかじゃない。

 知らなければならないことだが、それは今ではないと言うのに……いや、やめておこう。ゴンベエも呆れてそれ以上はなにも言わないんだ。

 

「ベルベットともエレノアともアメッカとも違う女性って事かな?」

 

「坊よ、何故そこでワシを省く?」

 

「ハハハ、違いねえ。オトナを探せばいいんだな」

 

「うん、探すのは大人の女の人」

 

「……アバウト、圧倒的にアバウトすぎる」

 

 マギルゥの言っている事を理解していく一同に頭を抱えるゴンベエ。

 

「アバウトだが、名前が分かっている。この辺りに居るなら聞き込みをすれば探し出せるだろう……お前の国では違うのか?」

 

「カメラがあるからな」

 

 カメラか……確かにそれがあれば大きく異なるな。

 現に私達がこうして堂々とイズルトの港に入れるのもカメラが無いお陰だ。私達を撮った写真を大量に刷って世界中にばらまけばそれだけで私達は表を歩けなくなる。

 ゴンベエの国では逃亡している犯罪者は顔写真をどうにかして用意して駐在所の様な所に貼っているのが当たり前になっているらしい。

 

「写真があれば無駄な手間は省ける……あ、そういえば」

 

 探し人を見つけるのは苦労をする。

 けど、現代でザビーダ様を探す為に色々と歩いたりしたが、その時と比べれば簡単な事だ。

 

「マギルゥはそのグリモワールに会ったことあるんだろ」

 

「まぁの」

 

「どんな見た目だ?」

 

「口で説明するのはそれはそれは大変での」

 

「安心しろ、口じゃなくて体で教えてもらうから」

 

 な、なにをするつもりだ!?

 僅かだが口元が緩んでいるゴンベエ。明らかになにかよからぬ事をしようとしている顔で……まさか!

 

「マギルゥに拷問を、あんなことやそんなことを!!」

 

「お前とベルベットはイケるけどもマギルゥでは無理!!ということで、モシャス!!」

 

 足や脇に羊の好物や蜂蜜を縫って、痛みとはまた別のジャンルの拷問をするつもりなのか!?

 ゴンベエは何処からか手にした粉をマギルゥ目掛けて投げつける。

 

「ぎょえ!?」

 

「……お前、ふざけんのもエエけえどもうちょい言えよ」

 

 ノルミン?

 粉を投げつけられたマギルゥはノルミンに姿を変えていた。

 知的な印象はあれども、ノルミンなのは誰もが予想外でゴンベエは文句を言いながら写し絵の箱でノルミンになったマギルゥを撮影して元に戻す。

 

「中々に面白い経験をしたのぅ」

 

「こんな状況でもまだそんな事を言えるのか……もっと自分の気持ちをさらけ出したりは出来ないのか?」

 

 こう、チャラい?軟派な性格をしている人でも自分らしさがある。

 怠惰でダメなところが多いゴンベエも自分と言うものをちゃんともっている。それなのにマギルゥはそういうのを見せず、さっきまでの事も面白い事だったと一笑いで終わらせようとしている。

 

「自分の気持ちか……生憎、当の昔に砕けたんじゃよ。バリーン!グシャーン!ドゴォーンっての」

 

「気持ちが砕けた?」

 

「……さっさと街へ行くわよ」

 

 マギルゥの言っている事がよく分からないまま、街へ足を運ぶ。

 さっきマギルゥを変身?させた姿がグリモワールで、写真があるからと思ったのだがすんなりといかない……そういえば

 

「ノルミン天族を余り見かけないが、捕まっているのか?」

 

 アタックさんはこの時代で私達と出会った様な事を言っていた。

 だけど、この時代に来てからは基本的には意志を抑制された天族の方達ばかりで顔も知らない人達ばかり。唯一知っているのはザビーダ様だけで、エドナ様はこの時代の何処かに居るのは確かで、ミクリオ様やライラ様はどうしているのだろうか?まだ生まれていないのだろうか?ゼンライ殿もどうしているだろうか?

 

「捕まっていない聖隷はイーストガンド領の何処かに身を寄せていると聞いております」

 

「イーストガンド領……」

 

 地図的にイズチがあった場所と被るな。

 

「あいつは!」

 

 顔写真があれども手懸かりは中々に見つからず、少しだけピリピリしているとなにかに気づくベルベット。

 アレは……確か、アルトリウスと対峙した際にいた後から駆け付けた男性と女性……女性の方は包帯を着けている。

 

「姉上、本当によろしいのですか?」

 

「心配していただきありがとうございます。ですが、問題はありません。着任と同時に貴方の指揮で皆が動く様にしておきました」

 

「……助かります。

でも、姉上の手際に比べられて僕の至らなさが皆に知られそうだ」

 

「バカなことを。貴方にはとくべつな力と才能があります

パラミデスへの派遣もアルトリウス様が期待してくれたからこそ……なによりも、私が貴方を信じているからこそ安心して目の治療が出来るのです」

 

「姉上……」

 

 目元に包帯を巻いていたのは、目が見えなくなったからか。

 あの時、ゴンベエにくらった一撃で頭が揺さぶられて目から汁が出ていたな。

 

「もう行かないと」

 

「道中お気をつけて……なにかあれば何時でも駆けつけます」

 

「逆よ……なにかあれば、目が治った私が貴方の元に駆け付けます」

 

「姉上……」

 

 なにか、見てはいけない様なものを、野次馬の様な事をしている気分だ。

 

「そうそう、ハリアの業魔には気を付けてください。思いの外手強くて既に手負いの者が何名も出ています」

 

「心得ました」

 

 そういうと女性の方は、姉は去っていき、弟の方も顔が見えなくなると何処かに向かった。

 よかった……この場にいることは気付かれていない。

 

「ハリアで業魔が暴れているのか」

 

「それが本当なら、利用できそうね」

 

「利用って、ノルミン探しが最優先だろ」

 

「その通り。グリモ姐さんを探さねばならん……にしても、奇遇じゃのー。ワシ達がここに来たと同時にオスカー参上とは」

 

 確かに偶然だ……だが、本当に偶然だ。

 

「エレノアは無関係だ」

 

 ゴンベエとライフィセットと私以外がエレノアに視線を向けるが、完全にエレノアは白だ……だけど

 

「さっき、なにを考えていたんだ?」

 

「なんの事ですか?」

 

「あの二人の会話を聞いて、一瞬だけ考える素振りを見た」

 

 あの二人の会話に特におかしな点は見当たらなかった。

 聖寮は私達を年中追い掛け回して殲滅する様な組織でなく憑魔を退治したりするのが主な仕事で、パラミデスと言う場所に派遣された事を聞いてもおかしな点は無い。

 それなのにエレノアは一瞬だけなにかを考える素振りを見せている。どうやって私達を出し抜いて、と言った事ではなくそこになにかあったか?と言う疑問を考えていた。

 なにを考えていた?

 

「……パラミデスにロウライネの様な聖寮の施設はありません。

聖寮にも色々と部隊がありますが、少なくともオスカーが派遣される様な場所では無い筈です」

 

「……またそのパターンか」

 

 私はこの時代の住人でなく情勢も詳しくないが、エレノアは詳しい。

 それなのにエレノアはなにも知らされていない。誰が何処に派遣された事をいちいち知らせる必要は無いが、派遣された理由が分かっていない……エレノアにはなにも教えていないのか。

 

「あんたが呼び出したわけじゃないようね」

 

「……逆に聞きますが、証拠はあるんですか?」

 

「死ぬまで従う約束でしょ?」

 

「おいおい、今ここでお前達が殺しあってどうすんだよ?」

 

「裏切り者と厄介な業魔がいっぺんに片付くだけだ」

 

 一触即発のピリピリな空気で何時争うかが分からない。

 さっきの姉弟の様にもう少し仲良くは出来ないかと思うが、ここにいるのはあくまでも利害の一致等でありスレイとミクリオ様の様な関係ではない……けど、もう少しは仲良くしてほしいものだ。

 

「ああ、アメノチ様人形か!それならあっちで売ってるよ!」

 

「人形?」

 

 グリモワールさん探しを再会し、写真片手に聞き込みを再会すると別の情報が出てくる。

 聖主アメノチ、アメノチと言えば五大神アメノチだが……。

 

「あの、すみません。こんな天族、聖隷を見ませんでしたか?」

 

 よく分からないから、まずはその人形を売っている店主に聞いてみよう。

 

「おぉ、凄い絵だな……あっと、すまん。聖主アメノチ様だな、見たぞ。威厳があって怒っていたな。当然と言えば当然だけど?」

 

「怒っていた?」

 

 いったいなにをしたんだ?

 

「サウスガンド領は、聖主アメノチ様を信仰していたんだが聖寮がそれを禁止にしたんだ」

 

 ……聖主アメノチが誰なのかは不明だが、天族であるのは確かだ。

 五大神アメノチと同一と考えてもおかしくはなく、信仰をしていれば加護が働く……それはこの時代でも適用する筈なのに、聖寮はいったいなにを企んでいるんだ。

 

「その事について申し訳ないって謝ったけど、なにを言っても『はぁ…ふぅ…あっそ』と片付けられてしまってな」

 

「それって!!」

 

「おお、まさにグリモ姐さんじゃ!土産屋よ、そのカミサマは何処におった?」

 

「この先のマクリル浜だけど」

 

「渚に黄昏ているとはなんともまぁ、グリモ姐さんらしいの」

 

 目当ての人物の居場所を知り、街を後にして私達はマクリル浜へと向かった。




スキット ライフィセットくんorライフィセットきゅん

ベルベット「さっきのアレはなんなの?」

ゴンベエ「アレって?」

ベルベット「マギルゥをノルミン聖隷?に変身させたやつよ。あんたのワケわからない力なの?」

ゴンベエ「オレの力じゃなくてこの魔法の粉の力だよ」

ライフィセット「ゴンベエの力じゃないの?さっき、モシャスって言ってたけど」

ゴンベエ「それは勢いというか一時のテンションに身を任せて言っているだけだ」

ベルベット「その粉は私の腕みたいに姿形を変える事が出来るのよね……カノヌシがなんなのか分かって、もう一度アルトリウスと対峙するにはまた厄介な結界だなんだのあるから、コレを使えば簡単に」

ゴンベエ「それは無理だ」

ライフィセット「どうして?変化したら、見つかったりしないでしょ?」

ゴンベエ「例えば、オレがベルベットに」

ベルベット「ストップ!」

ゴンベエ「んだよ?」

ベルベット「私で例えるのは止めなさい。
どうせあんたの事だから、実際に変身するんでしょ?なにが悲しくて自分を見ないといけないのよ」

ゴンベエ「じゃあ、エレノアで例えるぞ」

ベルベット「……アイゼンとロクロウが居るでしょ」

ゴンベエ「アイゼンとロクロウよりもベルベットとかエレノアの方が例えやすいんだよ。この粉ではあくまでも見た目が変わるだけで、根本的な部分が変わらない。
憑魔を感知する結界とか天族にしか壊せない結界とかは普通に引っ掛かったりするし能力は変わらない。ライフィセットが筋骨粒々のスキンヘッドのムッキムキな男に変身しても筋力はパワーアップしないんだ」

ライフィセット「見た目だけしか変わらないんだね」

ゴンベエ「それだけじゃなくて変身する対象をよく理解してないとダメなんだよ。
体重、身長、髪の長さ、髪の質、服装、脛毛、その他諸々を理解してないと変なのになって仮に変身しても何処か違うところが生まれちまう……」

ベルベット「街中に溶け込むぐらいでアルトリウスに行くのには使えないか……」

ゴンベエ「他にもまだまだデメリットはあるぞ」

ライフィセット「まだあるの!?……でも、本物そっくりで同じになれない以上のデメリットってなにかな」

ゴンベエ「と言うわけで、ライフィセットにモシャーース!!」

ライフィセット「え、うわぁ!?」

ベルベット「っ、あんた!!」

ゴンベエ「怒るな、粉をぶつけただけだ」

ライフィセット「大丈夫だよ、ベルベット。ちょっと驚いたけど別になんとも──!」

ベルベット「……大丈夫そうね」

ライフィセット「う、うん、そうだよ。なんともないよ!!」

ベルベット「そう。こいつは後で〆と……さっきマギルゥはノルミン聖隷になったのにライフィセットはなんともなっていない?」

ライフィセット「……」

ベルベット「さっきからモジモジして、なんともないんじゃないの?」

ライフィセット「大丈夫、大丈夫だから!」

ベルベット「じゃあ、どうしてモジモジしてるのよ」

ゴンベエ「ライフィセットくんはライフィセットきゅんになったんだ……違和感はねえけど」

ベルベット「ライフィセットが、ライフィセットに?」

ゴンベエ「違う。ライフィセットくんがライフィセットきゅんにだ」

ライフィセット「ゴ、ゴンベエ!!!」

ベルベット「ライフィセットくんがライフィセットきゅん……まさか!?」

ゴンベエ「女の子にした」

ライフィセット「なんか足りなくて変な感じがするから早く戻してよ!」

ゴンベエ「見た目が大きく変化するから、その分感覚も変わるんだ。ライフィセットがロクロウに変身しても、ロクロウとの体格差に違和感を感じる。男から女に変わっただけでもライフィセットきゅんは違和感を感じてるだろ?」

ベルベット「……服装が変わっても違和感を感じるの、それ?」

ライフィセット「ベ、ベルベット?」

ベルベット「近距離で戦わないあんたが違和感ありまくりなら、私達には使えないわ……先ずはメイド服を」

ライフィセット「服装を変えるんだったら、別に魔法の粉を使わなくても」

ベルベット「いいの。ほら、変化するわよ。ゴンベエ、写し絵の箱を貸しなさい」

ゴンベエ「イエス……頑張れ、ライフィセットきゅん!ベルベットが可愛い子を着せ替え人形にする顔になってるから、満足させろ……じゃないとオレが〆られる」

ライフィセット「僕は可愛くなんかないよ!!……ううっ……股間に違和感しか感じないよ」

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