テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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※読む前の注意点



このサブイベントは本編とあまり関係ないもので、アリーシャが強くなるには結局なにが必要なの?とかを別の世界に転生した転生者に教えて貰ったり貰わなかったりするサブイベントであり、ゲーム的な話をすればサブイベントを進める事によりゴンベエの第三秘奥義が使えるようになり、最終的にある事を知ることが出来てアリーシャ達の好感度とかがなんかスゴい事になり更なるサブイベントが解禁されたりされなかったりします。
そしてこのサブイベントでアリーシャが槍を使える様になり精霊装擬きを使える様になるとかそういうのはない。所詮はサブイベントだから。



お詫び


その2でなにをやったりなにを言ったり考えて、取りあえずこんな流れにしようとなり書いてました。
その結果、前後編で終わる感じにならず更にはなんか果てしなくカオスな事になってしまった。いや、本当になんでシリアスな感じに書いてたらこんなことになるんだ……。4話ぐらい続く!


サブイベント 姫騎士アリーシャと導かれし愚者達 その2(PART1)

 真実を知った上で突き進もうとするベルベット。

 

「大丈夫、だろうか?」

 

「真実を知りたいと言ったのはあいつ自身だ」

 

 それに対して、まだ悩んでいるエレノアをアリーシャは心配をするが心配しなくて良い。

 自分の答えが出せる日は近いだろうが、世界はそれを待ってくれない。

 当面は喰魔探しだが、モアナの様な事がある。モアナの時点で大分堪えており、人間をベースとした喰魔と会ってしまったらどうなることやら。

 

「当面は喰魔探しがメインになる。アメッカ、覚悟はしているな」

 

「分かっている……ただ」

 

「元に戻すのは全てが終わってからだ」

 

 非情な現実が待ち受けて、受け止める覚悟は出来ている。

 でも、そのままなのは心残りなんだろう。元に戻せば見知らぬ誰かを仕方ないで見捨てられないんだろう。このままモアナを放置するのも釈だし、元には戻す。

 

「お前がな」

 

「……え?」

 

「忘れたのか?その槍は未完成なんだぞ」

 

 アリーシャの血を加えて様々な力が宿った最高で最硬の素材を使っている。

 それだけだと凄い力をもったアリーシャ専用の槍であり、退魔の力は宿ってはいない。

 

「全部が終われば最後の行程をやって、お前が元に戻せ」

 

「……ゴンベエ、頼みがあるんだ」

 

「現代に戻ったらスレイ云々は絶対しねえぞ」

 

 ヘルダルフを倒すためとか戦争を回避する為とか、そういうのはごめんだ。

 そういう政治とか向いてないから。個として滅茶苦茶強いだけのただの転生者なんだ。

 

「そうじゃない、私を鍛えてくれないか?」

 

「……えぇえ」

 

「どうしてそんなに引くんだ?そんな今まで程の無茶を頼んだつもりはないんだが」

 

「お前、この期に及んで鍛えてくれって……」

 

「強く、なりたいんだ」

 

 迷いも曇りも無い瞳でオレに頼み込むアリーシャ。

 

「お前、貪欲すぎるだろ……」

 

 そんなアリーシャにオレは引いた。

 まだそんな事を言うとか、正直引くわ。

 

「貪欲!?私はそんなに貪欲なのか!?」

 

 無自覚は恐ろしいぞ。

 

「お前な、気付いてないだけでそれなりに強くなってんだぞ?」

 

 具体的に言えば天下一武道会にでた桃白白があのオバハンだとすれば、お前はヤムチャぐらいになってるぞ。

 

「それなりではダメなんだ」

 

 そりゃこの時代の住人がやたらと強いよ。

 その辺の対魔士ですら神衣スレイと同じぐらいじゃないかと思えるぐらいの強さは持っている。エレノア、スレイと戦ったら絶対に勝つし、ライフィセットもライラと勝負したら勝つ。シグレとかもう別次元で、なんかやたらと手を抜いてる節がある。あいつ、真の強さを隠してるぞ。

 

「鍛えてくれつったってどうしろって言うんだ?オレからなにかを教わるって事はオレが出来ることが出来るようになるだけだぞ」

 

「それは……それでもだ!」

 

「それでもねぇ……オレは既にお前に十二分過ぎる程の力を与えてるんだぞ?」

 

 あの槍はシグレの號嵐と真っ向から勝負出来るぞ。

 それだけじゃなくて色々と変わった技とかも骸骨騎士から色々と教えて貰ってると言うのに、まだ更に要求するか。

 いや、それでも足りないのは分かるが……そろそろ強いとかそういうのがなんなのか自力で考えてくれよな、ったく。

 

「必殺技の様な物を授けてくれとは言っていない。なんというか……その」

 

「ちょっと槍を貸せ」

 

 どう言えばいいのか悩んでいるアリーシャ。

 なにを教えれば良いのか分かっていないのはこっちも同じで、一先ずは槍を借りる。

 

「これ、お前専用なんだよな」

 

 血を混ぜた事によりアリーシャもしくはアリーシャの子孫に使える感じの槍になっている。

 スレイとかが使っても絶対に十二分に使いこなすことは出来ない……。

 

「海鳴閃!」

 

 目にも止まらぬ速さで海に向かって槍を振るう。

 するとモーセが海を割った時の様に海は真っ二つに割れた。

 

「これから先、操られている天族と対峙する事がある。

そうなると天響術をどうにか出来る様にならなければなんねえ。この技は水や炎、風と言ったものを斬る技だ」

 

「すごい……どうすればその技を」

 

「いや、教えねえよ」

 

 教えて貰う流れになっているが、教えねえよ。

 

「オレは無駄な事はしたくねえんだよ。お前も無駄な事をするんじゃねえ」

 

 覚えておいて損は無いが、覚えておいて得も無い。

 アリーシャなら数日かければ覚えれるが、オレよりも弱い威力になるだけ。焼け石に水なだけで無駄である。真っ先にやることは、ベルベットと同じ神衣みたいなのを自由にオンオフ出来る様にすることだ。

 

「ゴンベエ……」

 

「甘えるな……それがお前の選んだ道だ」

 

「いや、そうじゃなくて後ろ」

 

「ん?」

 

 アリーシャがそう言うので振り向くと何時の間にやら津波が迫っていた。

 ……え、ちょ、待って。なんで?そんな予兆が一切無かっただろう。

 

「おい、こらぁ!!お前、なに海を割ってんだよ!!こんな事をしたら、ぬぅお!?」

 

 船上から顔を出してオレに文句を言うベンウィック。

 海鳴閃で割った海が元に戻る際の余波かなにかで結構大きめの津波が起きてしまったって、アレ、なんか地震も起きてねえか?ベンウィック、転けてるけども、こっちまで大きな波がまだ来てないよな。

 

「アリーシャ、逃げとけっとぉ!?」

 

 やべ、言ってる側から足を滑らせた!!

 船着き場から足を滑らせ、海へと落ちるオレ。津波にも飲み込まれるが意識を失うなんて事は無い。

 

「ぷはぁ……地震と津波、同時に来るとは」

 

 てか、海水が目に入って痛い。

 

「……ったく、またか」

 

 ん、この声はミクリオ?

 んでここに……あ、そう言えばアイツも天族だったな。エドナとザビーダがこの時代に居るなら、別に居てもおかしくはない。

 

「そこの水の天族、津波をどうにか出来ねえ?」

 

「声で人を判断するな。オレは人間だ」

 

 ……オレ?

 

「……あ、どうも」

 

「急に海の中と思えば、別世界か……まだ現代の銭湯の方がましだな」

 

 段々と目の痛みが無くなり、目を開くとそこには黒子のバスケの黛千尋にそっくりな男性が居た……うん。

 

「また、なんですね」

 

 元居た世界がお盆だかなんだか知らないが、地獄の釜を開けっ放しにしていたらしく、それが原因でこの転生者のシステムを運営している地獄sideがてんやわんや。

 そのせいか知らないが、他の世界で転生者ライフをしている人達が別の世界に行ってしまっているらしい。因みにこの前オレは別の世界に行ってしまい、■□ズニーランドを満喫していた。

 

「ゴンベエ、大丈夫か!直ぐにロープを」

 

「オレじゃなくて、黛さんに投げてくれ」

 

「早くロープを、着衣水泳はそこまでなんだ」

 

「貴方は、チヒロさん?」

 

 ロープを持ってきてくれたアリーシャに助けられ(黛さんが)、海から抜け出す。

 地震と津波の余波かなにかが来ると思ったが特にそんな事はなく、なにも無い……おい、なにも無いってなんだ。

 

「出てこないな」

 

「そうっすね」

 

 こう、オレを育てた鬼とはまた別のが出てくる感じの展開なのに一向に出てこない。

 

「お前達、無事か!」

 

「無事だけど、無事じゃなかった」

 

「え!もしかして何処か怪我をしたの!?」

 

 代わりに船で色々と荷物整理とか色々としていたアイゼンとライフィセットが降りてきた。

 さっきの地震の事があったので興奮をしており、オレの一言で側に駆け寄り傷が無いかを確認する……勿論、オレのみだ。隣にいる黛さんに気付いていない……影が薄いな。

 

「何処も怪我をしてないけど……」

 

「ライフィセット、ゴンベエだけでなくチヒロさんも見ないか?」

 

「チヒロさん?……!?」

 

「お前は、この前の!」

 

 やっと黛さんの存在に気付き、驚くライフィセット。

 アイゼンはこの前、会ったのか驚いているが反応が異なっている。

 

「この間といい、また地震か?」

 

「カノヌシが地面におって穢れを吸っておるんじゃ。地面になんらかの影響はあるじゃろう」

 

「これもカノヌシのせいってわけね」

 

 ライフィセット達に続くかの様にやって来るマギルゥ、ロクロウ、ベルベット。

 

「皆さん、空を見てください!!」

 

 そして空を指差してこちらに来たエレノア。

 空を見上げれば雲が不穏な動きをしており、一ヶ所に集まり眩い光を放つと……某勇者を導く仏様が出てきた。

 

「なんじゃあのぶつぶつ?」

 

「すんげー髪型だな」

 

 前回はアイゼンとアリーシャだけで、仏の初見のマギルゥとロクロウは変なものを見る目で見ている。

 

「……なにも言ってこないね」

 

 何かあるのかと待ち構えるが、なにも言ってこない仏。

 

『はい、本番5秒前!』

 

 おい、カチンコ出てきたぞ。

 もうカメラ回ってるぞ、そこカットするとこだろ。

 

『5、4、3、2、1』

 

『ファークション!』

 

「いや、お主が言うんか!!」

 

 うん、それがあの仏だからな。

 

『え、っちょ、おい。生中継だからカメラを止めるなつったけど先に回すなよ!』

 

「お~い、もうそう言うのいいから。はよせえ」

 

 あんたの相手をしてると色々と疲れるんだよ。

 

「あの方が何者なのか御存知なのですか?」

 

「知ってるかと言われれば知っている様な知らない様な……」

 

「こいつが言うには仏と言う存在らしい」

 

『仏は仏であり、それ以上でもそれ以下でも無い……オホン』

 

 しかし、コイツらにどういう感じに説明しようか……。

 

『前に聞いた者も今から聞く者も心して』

 

「すまないが、少し待ってはいただけないでしょうか!!姿が、見えません!」

 

 え、なに、アリーシャ見えないのか?

 どうする?あれ、まことのメガネを使ったとしても見ることは出来ないだろう。なんかこう、マスクあったっけかな。

 

「取りあえず、これをつけてみたらどうだ?」

 

「いや、あんたこれ、ダメなやつだろう!」

 

 3Dメガネ的な物が無いかと探していると、黛さんは仮面を出した。

 真紅目の黒竜を模した仮面、遊戯王GXに出てくるダークネスの仮面を渡した。

 

「安心しろ、見た目だけだ……つけてみろ」

 

「……っは!凄い、飛び出て見える!」

 

『いや、それは赤色だけだからね。青色もないと仏は飛び出ないから』

 

 じゃあ、カイバーマンのマスクを用意すれば仏は飛び出るのか……って、違う。

 

「それで、なんの用なの?」

 

『え、ちょっと、なんで怒ってるわけ?」

 

「買い物が終われば船を出す予定だったんだ……また、ティル・ナ・ノーグとかいう世界からの干渉か?」

 

「どういうことだ?」

 

「この前、異世界云々を話しただろ……それだ」

 

「あれ、本当だったんですね……」

 

 あんま異世界に関してベラベラと喋ってはいけないからな……どうせいけねえし。

 いけるんだったらトリコとかの世界に行って美味い物を食ってみてえよ。

 

「仏、前回で終わりじゃなかったのか」

 

『我々が思ったよりも大変な事になっていた。

恐らくは、これから先何度かお前がこの世界に飛ばされたり、ゴンベエが逆に行ってしまったりする』

 

「そういうのいいから、とっとと元の世界に返せ」

 

『……おぉい、お前等さっきから人の話の腰をどんだけ折るんだよ。

今回はって言うか今回からまゆゆんだけじゃねえんだよ、下手したらヤバいのが来てたりするんだよ、バカヤロー!』

 

「るせえぞ、そもそもでお前達のミスが原因だろ」

 

 そうだそうだ、ティル・ナ・ノーグとかいう存在しない世界を適当にでっち上げてその世界のせいにすんじゃねえ。

 

「そのヤバいのって、どんな奴なんだ?」

 

『うむ……それは仏にも分からん!』

 

「ヤバいのが来たりしているって貴方が言ったじゃないですか!」

 

『そんなん仏に言われても知らねえよ。

ここ以外でも似たような事が起きてたりするし、もうとにかくヤベエの来てたりするかもしれないんだよ。

とにかく、アレだよ。お前等は今からここを出て直ぐの浜辺行ってこい』

 

「おい、鼻くそをほじるんじゃねえ!」

 

『仏だって鼻くその1つや2つ、ほじくるわ!!』

 

 あ~もう、グッダグダだな。

 

「仏さん!そのヤバいのって例えばどんな感じなの?」

 

『ええっと、ちょっと待ってて。今調べるから』

 

 おい、タブレットを取り出すなよ。

 

『ええ、ヤバいと言うのは例えば死と言う概念を持たない不死の獣とか』

 

「不死身ってことか?」

 

『ああ、違う違う。死と言う概念が無いだけで、殺そうと思えば殺せるから』

 

「……さばらんのぅ、他にはどんなのがおる??」

 

『え~魔法とか剣とかの攻撃が一切通じず言葉による暴力でしか倒せないけど向こうは攻撃してくるラブリーなモンスターとか』

 

「言葉の暴力でしか倒せないのですか?……他にはなにが」

 

『あのさ、お前等。仏、展開が読めたから言うけどもそれ、永遠と続くよね?子供がよくやるなんで攻撃だよな!言っとくけど、こっちも暇じゃないんだよ!』

 

「まだそこまで聞いてないよ!?」

 

『ライフィセットくん、仏がなんて言われてるか知ってる?器の小さい仏だよ。この時点でキレるんだよ、バカヤロー!』

 

「威張って言うことじゃないわよ」

 

『とにかく、港を出て直ぐの浜辺に行ってこいって。

そこになんか居るから上手い具合に頑張ってさ、仏達に楽させてくれよ』

 

 遂に本音が漏れたぞ、このやろう。

 

『一瞬で大陸中の空気を食べ尽くせる馬とかアラガミとかいない……あ、ごめんアラガミはいたわ。とにかく頑張って』

 

「おい、お前今なんかとんでもない事を言わんかったか!?」

 

 え、いるの!?

 この世界、人間とかが穢れでモンスター化してるのになんでそんな他所の世界のモンスターがおるん!?

 アレってオラクル細胞の塊で、この世界だと変な進化を遂げてるかもしれんぞ!?

 

「消えちゃったね」

 

 仏は最後にとんでもない事を言い残し、消えていった。

 やべえよ、この世界GOD EATERのIFかなんかの世界だったのかよ……クレアとかアリサとか居るのかな?

 

「ちょっと浜辺に行ってくるわ」

 

 大体は地獄の運営sideに原因があるが、この世界には無い物がやって来ている。

 もしさっき上げた死の概念が無い生物や大気食の馬王とかがこっちの世界にやって来たのならば、本当に洒落にならん。

 ベンウィック辺りをマーキングしておけばパッと行くことが出きるから先に行って貰おう。

 

「黛さん、行こう」

 

「ああ」

 

「……そう言えば、そいつは誰なの?」

 

「別の世界の住人だ……じゃ、行ってくるから先に」

 

「待てよ。1人だけ面白そうな事をするなよ」

 

 先に行って貰おうとすると、ロクロウが止めに来る……はぁ。

 後ろを見るとベルベット達がオレを見ており、ついて来る気満々だった。

 

「なにがあるか分からねえぞ?」

 

「聖寮となにも関係無い奴に邪魔はされたくないだけよ」

 

「それにその人みたいに、異世界から迷って来た人かもしれないし……」

 

 念のために忠告はしてみるものの、折れそうに無い一同。

 目的は違えども一緒に向かうこととなる…………あ。

 

「何処に向かえば良いんだ?」

 

 あのクソ仏、具体的な位置を教えてくれなかった。

 ここを出て直ぐの浜辺って、何処だよ?もっと具体的な場所を言えよ。

 

「ここを出て直ぐの浜辺となると、グリモ姐さんがおったマクリル浜の事じゃろうな」

 

「とりあえず、行ってみよう」

 

 アリーシャがそう言うとオレ達はマクリル浜に向かって歩き出す。

 

「ここに来てから、骨のある奴を相手にしていなかったからな斬り甲斐があるな」

 

「話を聞いていなかったのですか?下手をしたらです。もしかすると、異世界の住人とやらが来ているかもしれませんよ?」

 

「そっちなら楽なんだがな」

 

 異世界の住人、多分だがそれはオレ達と転生者だろう。

 よくある異世界転生物みたいな感じで転生せずに、鬼灯の冷徹みたいな世界の地獄で訓練を受けた後に異世界転生をしている。だから、変なのは基本的には居ない……変なのは来るな。

 余程のことじゃなかったら転生者は無闇に喧嘩せずに仲良くしておけよと言うのが養成所の方針だし、わざわざ殺しあうのも無駄だし、話が通じる相手がいやがれ。

 

「……ん……」

 

「なんかありましたか?」

 

 もうすぐグリモワールと出会った場所につきそうな頃、なにかを感じた黛さん。

 そう言えば、この人はなんか転生特典を持ってんだろうか?この人、何処の世界に転生しても戦闘系の転生特典無ければ肉体を天響術でパワーアップさせたライフィセットと殴りあって負けるぐらいのスペックだからな。影の薄さとメンタル以外は何処までいっても凡人とオンリーワンな珍しいタイプなんだが、妖怪とか来てたらやべえぞ。

 

「どうやら厄介ごとにはならなそうだ」

 

 なにかに気付いた黛さん。

 するとオレ達の目の前に槍を持った頭がオレンジ色のなんか変な生命体が現れる……マジか!?

 

「迷い人でなく、迷いモンスターの様だな」

 

「なんでそこで笑うんだ」

 

 人でないと分かれば、小太刀を握るロクロウ。

 

「あの、返さなくて大丈夫なのですか!?」

 

「その辺はあのぶつぶつは言っていない。なによりモンスターならば倒しても文句は言われた。いざ……あれ?」

 

 ロクロウが素早く斬ると一瞬にして消滅する頭がオレンジ色のモンスター。

 アレを倒して良いのかとエレノアは心配するが、アレはこの世界では百害どころか世界を滅ぼすやべえやつだ。

 

「んだよ、手応えがねえな」

 

「いや、手応えとかそんなん無くて良いから……それはまずい、本当まずい」

 

 それは本当に洒落にならないことだ。

 この世界にこいつがいたら人類滅亡する。ていうか、地獄で教わったぞ。転生特典を適当に決めて渡したら、コイツらで世界観と合ってなかったりしたから世界が滅亡したって。本当にこれはまずい。というか、黛さんはよく気付いたな。

 

「そんなにまずいのか?見たところ、アメッカでも倒せそうだが」

 

「こいつは雑魚中の雑魚だからなんも問題ねえんだよ。

でも、そうじゃない奴とか色々とあって、そうじゃない奴もそうだが、こいつ等は居る時点でヤバいんだ」

 

「どういう意味ですか?」

 

「どうやらああいう意味じゃぞ」

 

 相手が相手だけに上手く説明しづらい。

 細かな説明をしようとした瞬間、マギルゥはグリモワールが座っていた石の上に立っている人を指差す……あ!

 

「どうやらあんたが親玉みたいね」

 

「……はぁああああ……」

 

 白と黒を基調とする骸骨のような禍々しい姿をオッドアイのソレは大きなため息を吐いていた。

 なんでこんな事になったんだと言う物凄い落ち込んだ時のため息で、憂鬱なのが伝わってくる。

 

「久々の休日を返しなさいよぉおおおおおおお!!!」

 

「おいこら、八つ当たりすんじゃねえ!!」

 

 ハンマーを手にオレ達に向かって来るバカヤロー。

 よくよく考えれば、皆、それぞれ生活があったりするのに急に異世界に飛ばされており苛立つのは分かるが、明らかな八つ当たりは止めろ……仕方ない。

 

「アメッカ、ちょっと槍を借りるぞ」

 

「ゴンベエ、アレはいったいなんなんだ?そう言う見た目の生物なのか?」

 

「いや、違う」

 

「敷いて言うならば神(自称)だな」

 

 とにかく、無駄な戦いをするつもりは無いしアレは戦うと言う行為をすること事態が危険だ。

 アリーシャから借りた槍を手に取り目の前に居るオレ達に八つ当たりをしてくるバカヤローに狙いを定める。

 

「ブラッディースクライド!」

 

 腕を捻りながら神速の突きを放つ。

 突きの剣厚は渦を巻きながら飛んでいき、突撃してくるバカヤローの上半身を吹き飛ばした。

 

「お前等、絶対にそいつに触れるなよ。そいつ変な病気持ってっから」

 

「誰が病気持ちよ!!」

 

「喋った!?」

 

 オレが注意をすると喋るバカヤロー。

 上半身が吹き飛んで無くなっているのに喋った事にライフィセットは驚くが、それよりも更に驚くことが起きる。

 残された下半身が立ち上がり、グチュグチュと気色の悪い音を立てながら上半身を生やしていく。

 

「あの一撃をくらったのに、不死身なのですか!?」

 

「そいつは既に死んでいる……死の瞬間を維持している状態を維持しているのが正しいのか」

 

 誰がくらっても確実に死んだであろう一撃をくらったのに起き上がるどころか甦った事に驚くエレノア。

 黛さんは説明をするもそれについての説明は非常にややこしく、エレノア達は理解出来ていない。それもそうだ。

 白と黒を基調とする骸骨のような禍々しい姿をしている【仮面ライダーゲンム ゾンビゲーマーレベルX】についてテレビゲームの概念が存在しないこの世界で説明をするのは難しい。

 

「全く、なんで私がこんな目に遭わないといけないのよ。折角の休日だってのに」

 

 ぶつくさと文句を言いながらも、さっきとは異なりオレ達に襲い掛かる事無く変身を解除するバカヤロー。

 あ、違った。見た目が某愚かな美人と書いて愚美人と呼んでも良いのではと思う時があるパイセンだった……うん、オレと同じ転生者だな。

 

「人間の姿になった!?」

 

「……あぁ、ここはそういう感じなのね」

 

 ベルベット達を見てなにかに気付く。

 こいつはこの世界についてなにか知っているんだろう……主に原作的な意味で。

 

「えっと、貴女は……」

 

 イマイチ状況を掴めていないものの、戦闘にはならないと分かり警戒心を解くアリーシャ。

 一先ずはと名前を訪ねるのだが、何故か仮面を取り出す。

 

「あのメシバナ刑事から前に聞いてるわ。ここは異世界で私の世界じゃないんでしょ?だから、敢えてこう名乗らせて貰うわ!マスク・ド・美人と!!」

 

「自分で美人とかいうとか正直ないわー!」

 

 某使い回しされている仮面をつけたって既に手遅れじゃないですか、ヤダー!

 それと思い出した。こいつ、同期だ。




スキット ロクでもない世界だけれど

ゴンベエ「なんかすんません。こんな変な事になって」

「何故お前が謝る?」

ゴンベエ「だって、あんたこういうの向いてないだろ?この世界、モンスターとかやべえのごまんといるからさ」

「安心しろ、戦える転生特典を持っている」

ゴンベエ「転生者(同業者)の間じゃ、あんたの事は色々と有名だよ……転生特典とか無い限り、そこそこ体を鍛えてるだけのただの人間だって。持ってるなら取り上げさえすれば終わりだろ」

「……時折、オレと会う奴はオレに頭を下げてきたりするが、いったい地獄でオレについてどういう風に教えているんだ?」

ゴンベエ「しくじり先生」

「あ?」

ゴンベエ「怒らないでくれよ、あんたの事を説明しようにもそれしかないんだ。
まだ養成所が出来て間もない頃に転生したのは良いけれども、異世界転生はヤバいと様々な失態を犯した人だと」

「……まぁ、転生してもロクな目に遭わない時がかなりあるな」

ゴンベエ「それを見てちゃんと訓練しておかないと異世界転生は出来ませんって思わせたりする……将来的にも、オレも異世界転生した人はこんな事をしますって後輩達に見られるんだろうな。雷落ちてこぉおおい!って科学文明が無い世界に転生してしまって生活苦になってるアホな奴的な紹介をされたりするんだよな……」

「言っておくが、オレもちゃんと転生者になる為の訓練をしているからな……才能の有無は別だが」

ゴンベエ「あんた突然変異タイプだからな」

「お前みたいにバトルものの世界だと絶対無敵な奴が羨ましい……まぁ、力があるせいで面倒ごとに更に巻き込まれるからなりたいとは思わない」

ゴンベエ「無いなら無いで辛いだろ」

「今更だ」

ゴンベエ「なら、スゲエよあんたは。そもそもで一番のハズレ世界と言われているFGOの世界がはじめて転生した世界なんだろ?」

「……あの世界は本当に地獄だった、本当に辛かった」

ゴンベエ「あんたの活躍でソシャゲの世界はストーリー云々以前に大勢のキャラと仲良く出来るか出来ないかの問題だって教える教材になってる……そういや、あんた今、何処の世界に転生してるんだ?」

「真かなんかは知らんが恋姫無双の世界で、今は呉の国に居る」

ゴンベエ「え~と、女体化三国志エロゲだっけ?」

「合ってはいるが、その言い方はやめろ……知識限定で知りたいことを教えてくれる転生特典といざというときに戦える転生特典を貰っている」

ゴンベエ「んだよ、オレと丸被りじゃねえか」

「んなわけないだろう。主人公もとい天の御使いだと思われて、違うと否定したけど色々と主人公と被っていて、この影の薄さのせいでこいつ出来る!試してみるか!ときっと攻撃を防ぐだろうと防ぐのに成功する前提の試し斬りで背中を斬られて死にかけたんだ……お前は同じ目に遭ったか?」

ゴンベエ「……ホント、ロクな目に遭ってないな。同情する」

「影の薄さや異質さを理由に面白い試してやろうとえらそうな奴に不意討ちされる事は多々ある、今更なことだ。
それにそのお陰で色々と有利に事が進める様になった。孫策に仕えてこの転生特典を用いて国のレベルを上げたりする仕事で絶対に戦線に立たなくて良い……怪我の巧妙だな」

ゴンベエ「皮肉にすらなってねえ!?」

「ロクな目に遭っていないのはある意味お前の方だろう……過去も未来も、最悪な事だらけなこの世界でわざわざタイムスリップまでしてなにがしたいんだ?」

ゴンベエ「黛さん、あんた……」

「聞くか?」

ゴンベエ「……いや、いいよ。聞いたところで無駄だ。戦闘で解決できる事じゃねえから」

「お前、物凄い脳筋だな……」

ゴンベエ「それだけが取り柄みたいなものなんでな……それにここがどれだけロクでなしな世界で残酷な現実でも今の方が昔より何倍も幸せを感じる」

「違いないな。オレもなにもない人間として生きてた頃よりも今の方が幸せだ」

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