テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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※読む前の注意点

注意点

このサブイベントは本編とあまり関係ないもので、アリーシャが強くなるには結局なにが必要なの?とかを別の世界に転生した転生者に教えて貰ったり貰わなかったりするサブイベントであり、ゲーム的な話をすればサブイベントを進める事によりゴンベエの第三秘奥義が使えるようになり、最終的にある事を知ることが出来てアリーシャ達の好感度とかがなんかスゴい事になり更なるサブイベントが解禁されたりされなかったりします。
そしてこのサブイベントでアリーシャが槍を使える様になり精霊装擬きを使える様になるとかそういうのはない。所詮はサブイベントだから。



サブイベント 姫騎士アリーシャと導かれし愚者達 その2(PART3)

「おい、大丈夫か!?」

 

「これ、が大丈夫に見える、か……」

 

 攻撃をくらい倒れたゴンベエを見て、ロクロウも驚いている。

 自分達の戦いでないとここぞと言う戦いは戦ってはいないものの、圧倒的な強さを持っている事を知っている。そんな強さを持っているゴンベエが倒れたのは緊急事態だ。

 

「なにかあったの!?」

 

「ベルベット、ゴンベエが」

 

「ぐ……」

 

 ロクロウの叫び声を聞こえ、この辺りに浮いている、ねこスピという物を集めていたベルベット達が駆けつけた。

 状況を上手く説明する事が出来ず、一先ずはゴンベエが大変な事になっていると苦しむゴンベエを見せる。

 

「ライフィセット、直ぐに治療して!」

 

「うん!」

 

「無駄よ」

 

 苦しむゴンベエを見て、直ぐに治療をライフィセットに頼むベルベット。

 ゴンベエの側に駆け寄り回復系の天響術をかけようとするライフィセットを見て、バッサリとマスク・ド・美人は否定をする。

 

「これって……」

 

「どうした?まさか、手遅れな程に重症なのか!?」

 

 回復系の天響術でも出来ない事はある。

 傷を治したとしても血液が一定量体に無ければ肉体の傷を素早く治しても死に至る。ライフィセット達の術が優れていても血液は作り出せない。

 

「ゴンベエ、怪我をしてないよ」

 

「……なら、いったいどうして」

 

「毒を打ち込まれたかもしれん。パナシーアボトルを飲ませてみてはどうじゃ?」

 

 倒れているゴンベエを改めて見ると、苦しみ汗を流しているだけで傷らしい傷は無い。

 攻撃した道具を見ても殺傷能力がある物ではない。ノコギリの刃の様な物はついているが、それで攻撃はされていない。

 マギルゥが別の可能性を示したので私はパナシーアボトルを取り出し、ゴンベエに飲ませてみるものの容態は変わらない。

 

「どんな状態異常も飲めば一瞬にして消し去るパナシーアボトルでもダメだなんて……」

 

「ちが、う。パナシーアじゃ、ダメな、だ、け……ぐ!」

 

 これでもダメとなると、後はどんな万病でも治すと言われるエリクシールしか無い。

 けど、それはこの時代でも製法は知られておらず例え有ったとしても、今この場にはない。

 

「テメエ、いったいなんの真似だ?」

 

「なんの真似もなにも、そいつが強くなる方法を知りたがってたからよ」

 

 アイゼンの問い掛けにマスク・ド・美人が私を見て答えると視線が私に集中する。

 違う!

 

「私はどうすれば強靭な魂を得られるか聞いただけだ!ゴンベエをこんな目にしてくれなんて言ってない!」

 

「だから、強くなるにはこうしなきゃいけないのよ」

 

「何故だ!?ゴンベエは無関係じゃないか!」

 

 私をゴンベエが守ると確信していたから、マスク・ド・美人は私を攻撃してきた。

 攻撃をくらってどうにかしろというわけでなく最初からゴンベエを狙った攻撃。私が強くなる為には強い魂を、強い心が必要なのに何故ゴンベエをこんな目に遭わせなければならない!?

 

「無関係?関係大有りよ……強くなるには強い猛者になる為の絶対の条件って知ってるかしら?」

 

「強くなる為の条件ですか……健全な心と慢心せず怠る事の無く積み重ねる努力ではないのですか?」

 

「違う。てか、その辺りのくだりはついさっきやったわ」

 

 さっきまでの私と同じ答えを出すエレノア。

 マスク・ド・美人に直ぐに否定される。

 

「才能かのぅ?どれだけ努力をしてもどれだけ強い信念があろうとも世の中にはどうにもならん壁がある。その壁をどうにかする為には才能が必要であろう?」

 

「いい線行ってるけど、それも少し違うわね。

例えどれだけ優れた才能を持っていたとしても、それを生かす環境が無ければ宝の持ち腐れよ……こいつは強さを求めた。一騎当千の猛者となり得る程の強さを。その強さを得る為には強靭な魂が必要なのよ」

 

「強靭な魂を得る為に何故この様なことを」

 

 何故この様なことをしようとしているのか一向に理解できない。

 最終的なゴールは分かったものの、それまでの過程が分からずエレノアは聞いた。

 

「決まってるじゃない。こいつを地獄に叩き落とす為よ」

 

 私を、地獄に叩き落とす……だと……。

 

「稀に変なのが居るけれど、基本的に強靭な魂を最初から持っている奴は存在しないわ。

体を鍛えて強靭な肉体を得るのと同じで魂も鍛えないと強靭にならない。その為には地獄を歩まないといけないのよ。けど、ニノミヤに甘えているせいで地獄に突き落として歩まされられないのよ」

 

「ゴン、ベエ、つって……」

 

「こいつが死ねば、はじめて地獄を歩くことが出来る。

地獄を巡ることにより、強靭な魂を得て一騎当千の猛者となる力を得るのよ」

 

「つまり……ゴンベエをこんな目に遭わせたのは」

 

「アメッカ、違うでしょ!!

悪いのはあの女であんたにはなんの罪も無い。こいつを殺してまで力を得たら……それこそアルトリウスと同じよ!あんたの欲しい強さや力はそうじゃないんでしょ!!」

 

 自責の念に刈られると励ます言葉をくれるベルベット。

 そうだ……ゴンベエを殺してまで得た力だなんて欲しくはない。

 

「はぁ、呆れた……まだ分かっていないの?」

 

「なにがだ?」

 

「そこのガキ以外がどうやって強くなったかよ」

 

「僕、以外が?」

 

 ライフィセットを指差し、私達に哀れむ視線を向けるマスク・ド・美人。

 どうやってベルベット達が強くなったのが、分かるのか?

 

「望まない戦い、叶わない理想、不条理、理不尽、そして死。地獄にはそんなものが極々当たり前の様に溢れている。

人にとってなにが苦しい辛いかは別だけれど、あんた達以外は地獄と呼ぶに相応しい道を歩いて強靭な魂を得て猛者と呼んでもいい強さを得たわ……私とこいつは文字通り地獄だけれど」

 

 マスク・ド・美人がベルベット達の強さについて語ると、私とライフィセットの視線はベルベット達に変わる。

 ベルベット達はマスク・ド・美人が言っていた事を違うと強く否定することはせず、私達の顔を見ようとはしない。

 

「……否定は、出来ん」

 

「アイゼン……」

 

「今のオレになるまでの道は楽とは言えない過酷な道だ。

死神の呪いなんて物を持って生まれたが故に様々な苦難あり、それが地獄かと言われればそうかもしれん」

 

「まぁ、そうだな。

俺の中であの時、あんな事があったから強くなれたと言う物はある。そいつが地獄かどうかと言われれば、地獄なんだろう」

 

「力を求めるとは逆に考えれば力を求めざるをえない理由があるから。武勲で名を上げた猛者が居るのは戦争という地獄があったから……皮肉じゃの」

 

 地獄を歩んだからこそ猛者と呼ぶに相応しい強さを得た。

 その事をロクロウもマギルゥも一切否定しない。それだけの事が過去にあったから。

 

「悲惨な過去が、地獄が私達の魂を強くしてくれた事は否定できません……ですが、だからと言って他人にまで同じ思いをさせるのは話が別です!悲劇は、繰り返してはなりません。例え彼の様な外道でも、生きる権利はあります!」

 

「生きる権利があるなら死ぬ義務もあるって知ってる?……まぁいいわ。時間は大分稼げたし」

 

「大変だよ、ゴンベエの体が!」

 

 エレノアの意見を真っ向から否定するマスク・ド・美人。

 私達がマスク・ド・美人と話している間にも徐々に徐々にゴンベエの容態が悪化していた。

 顔色が悪くなる、何処か皮膚の色が変わると言った毒系の状態異常で見られる変化でなく、まるで水かの様に薄く透明になっていた。

 

「あんた、こいつになにをしたのよ!?」

 

「聞くばっかじゃなくて、自分で考えたらどう?」

 

 毒や麻痺を回復させるパナシーアボトルを飲んでもどうにもならず、見たことの無い症状を出すゴンベエ。

 ベルベットはマスク・ド・美人に迫るが、マスク・ド・美人は答えるつもりは無い。

 考えろと言われても、こんな症状は見たことはない。いったい、これはなんなんだ……。

 

「異世界の、病気か?」

 

 必死になってゴンベエがなにに苦しんでいるのか考えてみるものの、私は浮かばず、ゴンベエをジッと見ていたアイゼンが答えた。コレが病気……

 

「ゴンベエはお前を見た途端に尋常で無い程の焦りを見せ、監視まではじめた。

それは異世界にしか存在しない病気を持っているから……パナシーアボトルは毒や麻痺、火傷には効果がある。だが、病気に対しては一切の効果は無い……違うか?」

 

「正解よ……私が来た時に人の事を病気持ちだなんだ言ってたから、それぐらい分かって当然よね」

 

 マスク・ド・美人を見て直ぐに触れるなと病気を持っていると言っていた。

 どんな攻撃をも防ぐ事の出来る魔法を使えるゴンベエがその魔法を使わなかったのは、目立つ外傷どころか傷が無いのに苦しむのは、攻撃をくらったのではなく病気になったから。

 

「恐らくはこの病気はどんな病気をも治すエリクシールがあったとしても、治すことは出来ない」

 

「これは飲み薬とかそんなの使っても無駄なのよ。

少なくともこの世界だとどんなに頑張ったとしてもこの病気は治せないわ!」

 

 そんな……じゃあ、このままゴンベエは……。

 

「いや、手ならまだある」

 

「っ、どんな手だ!?」

 

 私に出来ることなら、なんでもする!

 

「年老いたり不摂生な生活をして体の機能が上手く働かずになる病気と病気の原因を摂取してしまう病気の2パターンある。オレ達と同じ物を食っていてまだ若いこいつは不摂生な生活で病気になることはない」

 

 前にゴンベエから聞いたことを語るアイゼン。

 

「病気の原因を摂取……確かゴンベエは攻撃をくらって、病気になった」

 

 あの紫色のよく分からない道具で病気の原因を入れられた。

 

「だったら、話は簡単だ。こいつは特効薬を持っている!

病気を武器にしているのなら自分が感染しない様にしなければならない。その為には、病気を治せる特効薬が必要不可欠だ!!」

 

「そういうことね……薬をさっさと寄越しなさい。さもないと、痛い目見るわよ?」

 

 どうすればいいのか分かると真っ先に動いたベルベット。

 剣をマスク・ド・美人の喉元に突き立てて、今すぐに薬を出せと脅す。

 

「残念ね……この状態でまだ希望を持とうとするだなんて。天からの救いの糸は、蜘蛛の糸なのよ」

 

「なっ!?」

 

 ベルベットの剣を自らの喉に刺した!?

 

「もう一発!」

 

 余りにも予想外すぎる事をするマスク・ド・美人。

 驚いた隙をついてベルベットの右手を取り、自身の左胸に……心臓に向かって剣を刺した。

 

「残念だけど病気を治す方法はあっても特効薬の様な物は無いわ……まぁ、どのみちこれであんた達の希望は断たれたわ!!」

 

『ゲームオーバー!』

 

 光の粒子となって消えていくマスク・ド・美人……後にはなにも残らない……。

 

「なんてことを、なんてことをしたんだ!!」

 

「ち、違う、私は」

 

「ベルベットが剣を突き立てなかったら、死ぬことは無かった!!」

 

「あいつが、勝手に」

 

「ベルベットの、せいにすんじゃ、ねえ……最初から、こうする腹だ……」

 

「ゴンベエ!」

 

 今にでも消えそうなぐらいに姿が薄くなっているゴンベエ。

 無理をして身体を起き上がらせる。

 

「オレを、舐めるなよ……ふーーー」

 

 心配する私に無事だと言いたいのか深呼吸をはじめた。

 すると、少しだけだが薄くなっていた体が元に戻る……だが、完全には元には戻らない。時折、ゴンベエの体に電流の様な物が流れている。

 

「ぐ……はぁはぁ……っ!」

 

 必死になって立ち上がるも、力が上手く入らずに地面に倒れるゴンベエ。

 また体が透明になっていく。

 

「ちょっと、待ってろ……もう、ちょっとなんだ」

 

「もういい喋るな!!無理に喋ったら症状が悪化する!」

 

 段々と私の手を握る力が弱まる。ここまで弱くなっていくゴンベエは見たことはない。

 

「ちょっとぐらい無茶しねえと、この病気は治せないんだよ。バグスターウィルスと分離しねえと」

 

 目蓋が段々と閉じようとしているゴンベエ……あ、あぁ……このままだとゴンベエが死ぬ。私はそう感じた。

 

「死ぬな!死ぬんじゃない!!」

 

「…ル…せぇ……」

 

 私の声の大きさに一喝する事すら出来ないゴンベエ。

 声もまともに出ない……着実にゴンベエは死に向かっている。このままだと死ぬ……嫌だ。ゴンベエには死んで欲しくはない。死ぬならば、共に歳を食って老人となってからだ。

 死ぬなんていわせない。生きろ、生きてくれ……死なないで……そう強く願うが奇跡なんて起こるわけもない。

 

「死ぬな!!死なないで!!死なないでよ!!ゴンベエが死んで、私が強くなってもなにも嬉しくない!!」

 

 私が欲しかった強さは力は、ゴンベエを犠牲にして手に入れたものなんかじゃない!

 

「私、ゴンベエを守れるぐらいに強くなりたいの!」

 

 それなのにゴンベエが死んだら元も子もないよ!!

 

「そこまで……弱か、ねえ……」

 

 自分は強い人間だからと必要無いと笑うゴンベエ……違うそうじゃない。

 

「強いから弱い人を守りたいとかじゃない……私は、私は隣を歩きたいんだよ!」

 

 ゴンベエはずっと私の前を歩いている。

 私が歩んでいる生き方の道と異なる道を歩いていて、私には見えない道が幾つも見えている。本当なら更に先に進めるのに、わざわざ後ろを振り向いて私の手を握り私の知らない道の前まで案内をしてくれる。

 嬉しいけど、それだけじゃ嫌なんだ。何時かゴンベエの隣を歩きたいんだ!互いに背中を預けられる様になりたいんだ。

 

「った、く……無茶を言いやがって」

 

 地面が透けて見える程に透明になっていくゴンベエ。

 死ぬ……ゴンベエが死ぬ……いやだ。死なないで、死なないでよ!!

 

「後もう少しか?」

 

 チヒロ、さん?

 

「途中から完全にオレの事を忘れていただろう。消えたりするのはオレの専売特許だが、忘れられては困る」

 

 死ぬなと必死になってゴンベエの手を握っていると間に入ってきたチヒロさん。

 

「そういえば、お主もおったの」

 

 ゴンベエの事やマスク・ド・美人の印象が強すぎて、すっかり忘れられていたチヒロさん。

 マギルゥもそういえば居たなと思い出したかの様な顔をしている。

 

「お前達やこの世界の住人に殺されるなら迷いなく見捨てたが、流石に他所の世界の奴に死なせるわけにはいかない……色々と五月蝿いからな」

 

「治せるのですか!?」

 

「あくまで、治すきっかけを与えるだけだ。どうにかするのはお前達次第だ……オレは戦闘能力皆無だからな」

 

 なにかを手にしたチヒロさん。

 仰向けになっているゴンベエの腰に触れるとゴンベエが更に苦しみ出す。

 

「いったいなにを」

 

「さっき、アイゼンが言っただろ?

病気に二種類あって、こいつは病気の原因を摂取したからこうなったって。なら、簡単だ。病気の原因を殺せばいい」

 

「っ、キツい……けど、今ここでオレが限界を越えねえと、話にならねえよな!!」

 

「なにか出てきたぞ!!」

 

 体が段々と薄くなっていく症状から一点、モザイクの様な物がゴンベエから飛び出して叫ぶロクロウ。

 

「はぁ、はぁ……なんとか、体の外に追い出せた……」

 

「さっきより顔色がよくなってる……じゃあ、アレがゴンベエを蝕んでいた病気の原因なんだ」

 

 体から追い出した事により段々と濃くなるゴンベエ。

 それでも完全に戻らず、ゴンベエの体から抜け出たモザイクの塊をライフィセットは見る。

 

「まだ終わってないぞ」

 

「アレが病気の原因ならば追い出せば病気は終わりではないのですか?」

 

 これでと希望を持ったが、まだ終わりではなかった。

 段々と小さくなっていくモザイクを見ながらチヒロさんは語る。

 

「あくまで分離させただけだ。ウイルスを殺さねえと問題は解決しない……後は分かるな?」

 

「そういうことなら、私達に出来る!!」

 

 病気の原因を倒せばゴンベエは治る。

 私は槍を手に取り、色や形が変わっていくモザイクの塊に向かって攻撃をする。

 

「海竜旋!」

 

【MISS】

 

 踊る様に、自身と槍を回転させ竜巻状の水流を起こして斬る。これは……槍の力が使えている。

 ロウライネの時と同じだ……いや、今はこんな事を考えてる暇は無い。

 

「櫓独楽!!」

 

【MISS】

 

 槍を支点にして回りながら蹴りを入れる。

 一刻も早く倒してゴンベエを救う為にも手を休めるわけにはいかない。

 

「熱震集気法!!」

 

【MISS】

 

「……マジかよ。あんのアホ、オレになに入れやがった!?」

 

「待ってて、今すぐに倒すから!」

 

「やめておけ」

 

 極限まで集中して手を緩めず攻撃をしていると体調が戻ったのか大きな声を出すゴンベエ。

 回復の兆しが見えてきたと更に攻撃を続けようとするとチヒロさんが止めてきた。

 

「さっきからアメッカの攻撃をまともに受けているのに傷が1つもついてないな」

 

 ロクロウがそう言うと改めて戦っている相手を見る。

 槍の刃先で何度も何度も斬りつけた筈なのに、目立つ外傷が無い。攻撃を受けた痕が残っていない。ちゃんと攻撃をした筈なのに……私の攻撃が弱かったの?

 

「退いてなさい。岩斬滅砕陣!!」

 

【MISS】

 

 ダメージを受けていない事に戸惑っているとベルベットが攻撃に加わる。

 跳躍して相手を剣で貫き更に地面に突き刺して衝撃波を巻き起こし、衝撃波と地面の破片を起こす。強力な技……だけど。

 

「これも全く効いていない……まともに直撃すれば大ダメージの筈です!」

 

 全く効いていなかった。

 

「先程から、攻撃をする度になにやら出ておるがそれが関係しておるのか?」

 

「攻撃に失敗してるって教えてるんだよ」

 

「攻撃に失敗って、私は確かに斬ったわよ!」

 

「私達の攻撃はちゃんと成功しているよ!」

 

 ベルベットの攻撃は見事なもので、失敗とは思えない。私の方も成功した感触はあった。

 それなのに攻撃が成功していないとはどういう意味なの!?

 

「そいつは特定の方法でしか倒せない敵だ」

 

「それって、仏さんが言っていた!」

 

「そうだ……これは……」

 

「敵の姿が一気に変わっていくぞ!!」

 

 ここに来る前に聞かされた事を思い出すライフィセット。

 チヒロさんがなにかを言おうとしていると姿が一気に変わっていく事にアイゼンは気付き私達に知らせてくれる。

 モザイクの塊はアイゼン程の大きさになっていき、段々と人の形に変わっていき最終的には……筋骨粒々の体格の良い髪の青い厳つい顔を持った男となった。

 

「ぶるぅぁあああああ!!」

 

「……え、アレマジでなに?ラヴリカとかバガモンとか、暴力で倒さず勝つ奴が出てくるんじゃないの?なんでこんなビクトリームみたいに叫ぶ若本ボイスのおっさんが出てくるんだ?」

 

 出てきた筋骨粒々の男に戸惑うゴンベエ。

 奴を倒しさえすれば、ゴンベエを助ける事が出来る……私達の攻撃は通じない、いったいどうすれば。

 そう考えていると金属で出来た円柱の様な物を男は私達に向ける。

 

「ひぃふぅみぃ……どうやら頭数は揃えているらしいな。ならば貴様等に選ばせてやる!先攻か!後攻か!」

 

「そうだな……後攻で頼む」

 

「真夏の夢に破れ、散っていくがいい!!」

 

 よく分からず説明も無いまま勝手に進めるチヒロさん。

 なにかの勝負が決まった様で筋骨粒々の男が大きく叫ぶと眩い光を放ち、私達を包み込む。

 

「ここは……闘技場?」

 

 眩い光に包まれたと思えば、何時の間にか見知らぬ場所に移動していた。

 ざっと見た感じではなにかの闘技場を思わせるスタジアムの形をしているが見たことの無い物もある。

 

「マジか……よりによってここかよ」

 

 何時の間にか服装が変わっているゴンベエはこの場所を知っているのか驚いている。

 よくよく見れば私の服装も変わってる……私達全員が同じ服装をしている。

 

「今やっとあいつがオレになにを打ち込んだかハッキリと分かった」

 

「ここが何処だか知っているのか?」

 

 右を見ても左を見ても先程いた砂浜と異なるよく分からない場所。

 アイゼンは目元に右手を置いて気分を落としているゴンベエにこの場所について聞いた。

 

「ここは擬似的にとある場所を再現した特殊な空間だ」

 

「なら、ここの元となる場所をお前は知っているのか」

 

「ああ……ここは甲子園。摂津の国にある野球の聖地と呼ばれる場所だ……くっそ、やべえな」

 

 この場所が何処かを伝えると、ゴンベエは倒れた。

 

 

See you Next game




読者の諸君!


なぜ アリーシャとベルベットの攻撃が効かないのか!


なぜ ラヴリカやバガモンの様なバグスターウイルスでなく若本ボイスの筋骨粒々の男(バルバドス・ゲーティア)が出てきたのか!


なぜ 摂津の国にある阪神甲子園球場に移動したのか!



その答えは、ただ1つ!!






その2は野球回だからだぁぁあああああ!!








色々と考えてたらなんか野球回になった。

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