テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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未来へのメッセージ(中編)

「ナナシノ・ゴンベエですか?」

 

 土で出来た箱を取り出し、ある人物の名前を訪ねたゴンベエ。

 

「それはゴンベエさんの事、と捉えてよろしいのでしょうか?」

 

「そうだったらわざわざ此方まで来ねえよ…オレ以外でナナシノ・ゴンベエって名前の知り合いとかいねえか?」

 

 ナナシノ・ゴンベエと呼ばれる人に知り合いがいる。

 それは今目の前にいるゴンベエであり、それ以外には誰もいない。名前が全て被るだなんて余程の運が必要になる。

 

「…う~ん……申し訳ありません。昔の記憶を探っても、ナナシノ・ゴンベエと呼ばれる方と出会ったことも名前を聞いたこともありません」

 

「ゴンベエ、どうしてライラ様にそんな事を訪ねるんだ?それにその箱はいったい…」

 

「昨日、アリーシャが気絶した際にエドナに貰った」

 

「まぁ、エドナさんに……と言うことはレイフォルクに向かったのですか!?」

 

 エドナ様の名前を出すとレイフォルクに行ったことに気付くライラ様。

 確か、ライラ様の名前をエドナ様の口からお聞きした…お二方は何らかの交遊関係があるみたいだ。

 

「色々とすることがあってレイフォルクに向かって、偶然に出会った。ライラに頼まれて来たとかどうとか言っていたが…大方天族見える奴が導師になったんだと勘違いをしたんだと思う。問題はそこじゃなく、アリーシャがオレの名前をエドナに教えたことなんだ」

 

「名前をですか?」

 

「…そう言えば、ゴンベエのフルネームを言い当てていました」 

 

 ゴンベエとエドナ様に名前をお教えした。教えるとなにかに反応したエドナ様は、ゴンベエのフルネームを当てた…ゴンベエはこの国の人じゃない。そのせいか独特の名前で、ヒントもなにもなくフルネームを答えるのはとても難しい。だが、エドナ様は当てた。

 

「フルネームをですか…ゴンベエさんの先祖の方とお知り合いで名前が似ていたから、では無さそうですね」

 

「その後にレイフォルクでやらないといけない事があった。エドナも人間を嫌ってる節があったから、変に関わらずに山頂の道だけ聞いて別れてやらないといけない事を終えた。目的を終え、下山しようとした途端に違和感と不快な空気を感じ…ドラゴンに襲われた」

 

「ドラゴン、ですか…お怪我はありませんですか?」

 

「御心配、ありがとうございます。倒すことは出来ませんでしたが、私とゴンベエは五体満足でこうして帰ることが出来ました」

 

 殆どゴンベエがどうにかしていた…また、あのドラゴンと遭遇した時にはゴンベエの負担にならない様に強くならなければ。

 

「問題はその辺だ…ぶん殴って押し倒して、腹の上に乗って心臓に剣をぶっ刺そうとしたらエドナが止めに入った」

 

「……と言うことは、お聞きになっているのですね?」

 

「ああ…」

 

「ゴンベエ、ライラ様…なにを知っているのですか?」

 

 あの時はまことのメガネを持っておらず、意識を保つだけでやっとだった。だが、見えないなにもない所に会話をしているのを私は覚えている。

 

「あのドラゴンは……エドナさんのお兄さんです」

 

「な!?」

 

 エドナ様の御兄様?と言うことは、その御方も天族であり、あの様なドラゴンとは似ても似つかない。人々に加護を与えるとされる天族と真逆、厄災を降り注ぐドラゴンなんてありえない。

 

「そこが聞きたいんじゃない…天族と言うか人間が龍になる一例は存在している。神が化物になったり、神の逆鱗に触れて呪いで別の生き物にされるなんてよくある話だ」

 

「その様な話、ここでは余り聞いたこと無いんだが…」

 

「問題はそこと言うかその後だ。エドナが現れたからかどうかは知らない…だが、ドラゴンはオレ達と同じ言語で喋った」

 

 何故ドラゴンになったや、ドラゴンとはなにかと言う話を一切しない。

 ドラゴンが私達と同じ言葉で喋った…

 

「あのドラゴンがエドナ様の御兄様ならば、喋れることは普通ではないのか」

 

「まぁ、確かにドラゴンとかが喋ったりするの聞いたことある。だが、問題はその時に喋ったことだ…最初はエドナの名前を呼んでエドナを見ていた…次にオレの名前を呼んだ」

 

「!?」

 

「教えたわけでもなく、ゴンベエと呼んだ。その次にアリーシャの事を見て、アメッカと呼んで、最終的には飛び去った…その後にエドナから大きい箱と小さい箱を貰った」

 

「まるで、お伽噺の様ですね…」

 

 遠い異国のお伽噺の様な事が私が意識を失った後にあった。ゴンベエの手に持っている小さな土の箱は恐らく、その小さな箱のこと。改めてみると、何処かの時代の貴重な箱…なんてものじゃない、古びた箱だ。

 

「何時の日にか現れるナナシノ・ゴンベエとマオクス=アメッカに箱を渡してくれと頼まれたらしい…それも遥か昔にだ」

 

「エドナさんにですか?」

 

「ああ、エドナが頼まれたらしい」

 

「…」

 

「ライラ様?」

 

 箱の事を知るとなにかを考えるライラ様。

 ナナシノ・ゴンベエは知らないが、マオクス=アメッカと言う人物に心当たりがあるのでしょうか?

 

「それは……余程の物なのですね」

 

「余程、ですか?」

 

「私の知る限り、エドナさんのお兄さんは自分の事は自分でどうにかする御方です。何時の日にか現れる人に渡さなければいけない物を自分で渡さずに、エドナさんに託したと言うことは余程の事です」

 

 自分の事は自分でするしっかりとした御方なのか。

 もし、ドラゴンになっていなければ、ちゃんとした形でお会いしてみたかった

 

「マオクス=アメッカと言う人物に心当たりはないか?大分、昔と言うことはアリーシャの先祖の可能性が出てくる。オレはこの国につい最近来たばかりだから、ナナシノ・ゴンベエの方はもういい。アリーシャの先祖でアリーシャと瓜二つなら」

 

「…………申し訳ありません、マオクス=アメッカと言う人物にも心当たりが無いです。この大陸の伝承や伝説にもその様な名前は無いです…あの人は大陸中どころか、海を越えた先…異大陸にすらも足を運んだ程の方で交友関係や顔の広さは恐らく天族でも1、2を争うほどで私が全く知らない知り合いも多くいます」

 

「そうか。なら、プランBだ」

 

 ナナシノ・ゴンベエとマオクス=アメッカについての情報は得ることが出来ないが、落ち込まないゴンベエ。持っていた箱を近くのテーブルの上に置いた。

 

「エドナはナナシノ・ゴンベエとマオクス=アメッカと言う人間に渡せと託されていた。何時の日にか現れるかどうか分からない人物に、物を託す…世界中を渡り歩いて貯めた財宝の線かと思うが、それだと大きい箱一つで、小さな箱の意味がわからん…エドナが箱を託されたのは千年前…その際に直接託されたっぽい。つまり、千年前はドラゴンじゃなかった…アリーシャ、千年生きてる人間の知り合いとか有名人っているか?」

 

「そんな人、いるわけない…千年も前なら、とっくの昔に死んでいる!?」

 

 もしゴンベエの推測が正しければ、ナナシノ・ゴンベエとマオクス=アメッカと言う人はとっくの昔に死んでいる。

 

「それを託して100年の間、エドナの兄がドラゴンになっていなくて理性を保っていたら…うん……」

 

「じゃあ、コレはいったいなんの為に…」

 

 千年も生きている人なんて何処にも存在しない。

 もし、箱を託して100年もの間にエドナ様の御兄様がドラゴンになっていなければ…とっくの昔に死んでいる人に向けて物を届けようとしていた?

 

「多く見積もって200年…つまり800年前だ。エドナの兄が800年前はドラゴンになっていなかったら、色々と不可解な点が多い。だが、その不可解な点を解決する方法が一つだけある…この箱の中身がなんなのかを知ることだ…オレは骨董品には興味ねえ…エドナと知り合いで、恐らくこの街で1番長寿のライラなら中身を見て、なにか分かるかもしれない」

 

「ちょ、長寿…確かに長生きをしていますが…」

 

「落ち込むな、逆算すればエドナも最低1000年以上は生きているんだから」

 

「ゴンベエ、そういうことじゃない」

 

 女性にとって年齢と体重は語ってはいけないタブーだ。

 

「バカめ、人間と同じ感覚の時点で愚かだ。天族基準の年齢の感覚を覚えろ…爺みたいな見た目じゃなくておと…乙女かこれ?」

 

「迷わないでください!!中身を鑑定しませんよ!」

 

「勘弁してくれ……じゃあ、開けるぞ」

 

 軽い一悶着はあったものの、収まった。

 ゴンベエは箱の上の部分に触れて掴み、ゆっくりとゆっくりと持ち上げる。

 

「え~と………」

 

「これは、円盤?」

 

 真ん中に穴が空いている透明で綺麗な厚みのある円盤が入っていた。

 金銀財宝の山でなく、それしか入っていない…と言うことは、儀礼剣の様な昔の物で今は手に入らない稀少な古代の物か。

 

「少しお待ちを………」

 

 円盤を手に持ち、まじまじと観察するライラ様。

 一目で分からないものの様で、人差し指を曲げてコンコンと叩いて音を鳴らしたり、なぞったりして確かめている。

 

「ゴンベエ、アレがなにかわから──ゴンベエ?」

 

「……」

 

 マオクス=アメッカが誰かは分からないが、ナナシノ・ゴンベエは隣にいるゴンベエだ。

 異大陸の物なのかもしれないとゴンベエに聞こうとすると、ゴンベエは表情は変えていないが目が驚いていた。それがなにか分かっており、どうしてそれがあると言う顔をしている。

 

「分かりました!」

 

 無言でそれを見ていると、ライラ様の鑑定が終わった。

 

「これは……硝子です!」

 

「……貴重な硝子でしょうか?」

 

「いいえ、この時代でも普通に作る事が可能な硝子です。円盤になる様に作られた硝子ですが、何処にでもある普通の硝子です!」

 

「…そ、それはどういう意味でしょうか?昔は、硝子が貴重だったのですか?」

 

「いいえ、普通に作る事が出来ました…」

 

 そう言われ、私はライラ様から円盤を受け取る。

 触った感触は本当に何処にでもある硝子の瓶と同じで、この世で最も硬いとされている金剛鉄(オリハルコン)でもなんでもない何処にでもある硝子。

 

「…傷…!」

 

 なにか手掛かりは無いかと硝子を見ていると、不自然な傷が入っていた。

 土器の箱で約千年もの間、保存されていた硝子、傷がつく可能性はあるがそれでもおかしいと気付く。

 

「螺旋の様な傷がつけられています…なにかの仕掛けでしょうか?」

 

「私も最初はそのことを考えましたが、その傷と硝子の形の繋がりからしてなにも…ゴンベエさんはなにか御存じでしょうか?」

 

「……知ってるには、知ってる…だからこそ、分からない」

 

 どうしてこんなものが、そこにあるのかがゴンベエには分からない。

 それは、これがどういうものなのかをハッキリと分かっていた。

 

「針と木材とプラスチック…いや、プラスチックはないか…手動だからギアを作ってクルクル回す式の方がいいのか?」

 

「これはゴンベエの国の物なのか」

 

「いや、違う…そもそもこれ自体を見るのをはじめてだ」

 

「はじめてなら、何故わかる?」

 

「豚カツを作ろうとしたけど、家にあるのが鶏肉だった…後はわかるか?」

 

「……似たような物を見たことある、と言うことか」

 

「そう言うことだ…と言っても、硝子なんて聞いたことないからな…」

 

「それで、これはいったいなんなんでしょうか?」

 

 硝子の円盤をテーブルの上に置き、袋に入っているナニかを探すゴンベエ。

 ライラ様の質問で手は一度止まり、硝子の円盤をみる。

 

「しいて言うならば、未来へのメッセージだ」




ゴンベエの称号


名無しの権兵衛


説明


彼には名前が無い、転生者の容姿や名前は世界観とか余計な事がなければ大体、転生者の魂によって決まる。
一度、その容姿になったのならば転生特典を引かない限りはずっとその顔なのだが極々稀に不安定な人が存在している。
彼はその一人なのだが、全くと言って気付いていない。と言うよりは、周りが名無しの権兵衛の意味を知らなかったり気付いてなかったりする。
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