テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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感想が作者にやる気を起こさせる(感想待ってます)

今回は……書きたかったんだ、イチャイチャするのを。

もっともっと、イチャイチャさせたいけどそうするには四聖主を叩き起こさないと出来ない。
もっと言えば、ハイランドに帰らないと……サブイベントの最後をクリアしないと、戦争(意味深)が勃発しない。


監獄の休息

 監獄島を拠点として制圧した次の日、直ぐに喰魔を探しに行きたいけれど一息つく様にと少しだけ休むことになった。

 早いところ喰魔を探し出したいけど、連れていった喰魔を保護することもしないといけない……ライフィセットやモアナもあっちこっち、行ったり来たりで疲れていて昨日はぐっすりと眠っていたわね。

 

「ちょっと待ってろ。此処にも穴を開けるから」

 

 足場を固める為に、少しの間拠点を中心に生活が始まると直ぐにゴンベエ……アイツが珍しく自主的に動いている。

 船の一室を借りる際にしていた契約かなにかは知らないけど、技術を提供するとアイゼン達の部屋に電球を付けに行ってて、私の部屋にもつけようとしている。

 

「別に、なにかを読むわけでもないし必要は無いわよ」

 

 ライフィセットやアイゼンは本や地図を見たりするから、明かりが必要だけど私にはいらない。

 喰魔になってから3年間、監禁されて業魔を喰らっている間にここの明るさに目が馴れている。私は本を読むわけでもないし、そこまで必要じゃないわ。松明や蝋燭、ランタンだってあるし。

 

「お前だけ無いのは仲間外れになって嫌な気持ちになるんだよ、オレは」

 

「……そう。それで、どう使えばいいわけ?」

 

 くれるって言うなら、とことん使ってやるわ。

 コイツが天井に開けた穴を見るのだけど、そこには電球が入っていなかった。

 

「……レモン?」

 

 何故かレモンを渡してくる。

 なにをどうしろって言うの?と思っていると、何処かから取り出した果物ナイフで真っ二つにして、電球から延びている金属の紐が括りつけられた銅板をレモンの果肉に突き刺した。

 電球と銅板と紐を1つの輪になるように繋げると電球に灯りがついた。

 

「まだ水車が出来ていないし、色々と足りないから暫くはこっちの方で我慢してくれ」

 

「なんでレモンで灯りがつくの?」

 

「ライフィセットも同じ事を言ってたな……細かい事は気にするな」

 

 いや、細かくは無いわよ。水車が出来るまでってどれだけ時間が掛かるのかしら?

 それまでレモンやグレープフルーツで対応していたら食べ物が勿体無いわ。レモンの果肉は味付けに使うし、皮は台所の汚れを落とすのに使えるし。

 

「じゃあ、なんかあったら言ってくれ」

 

 そう言うと、アイツは去っていった……。

 

「暇ね」

 

 船で一息をつく時はあったけれど、数日間休む暇など何処にも無かった。いざ1人になってみると暇な事に気付く。

 今は一息をついて休みながら足場を固める時で、これも喰魔を探して保護する為の大事な事だけれど……今まではアルトリウスを殺すことだけを考えていたから……。

 

「……ライフィセット達はなにをしているのかしら?」

 

 マギルゥ……はどうだっていいわね。

 ロクロウは何時もみたいに素振りをしているだろうけど、ライフィセットはなにをしているのかが気になって来たわ。

 アイツが書いていた地図を見て、ライフィセットの部屋に向かおうとすると広間の方にアイゼンとライフィセットが嬉しそうな顔で談笑をしていた。

 

「あんた達、なにをしてるの?」

 

「地図を書いてたんだよ」

 

「異海探索も順調に進んでいっている。お前達のお陰でな」

 

 此処を脱獄した時に使った船で、外の世界を探索しているアイフリード海賊団。

 ライフィセット達は外の世界の地図を書いていたのね。

 

「此処から先にどんな物が見つかるのかな」

 

 まだ書いていない先の海に期待を膨らませるライフィセット。

 

「恐怖の島が見つかるかもしれないな」

 

「なにそれ?」

 

「古い伝説に登場する謎の島で、船の様に異海を移動すると言われている」

 

「伝説……」

 

「伝説も良いけれど、危険が多いんだから程ほどにしておきなさいよ」

 

 異大陸がある場所に行くには異海を通らないといけない。

 異海は普通の海より、それこそこの海よりも流れが強力で危険が多いわ。

 

「いいんだよ。それを調べにいくのがアイフリード海賊団なんだから」

 

「……アイゼン、あんた」

 

「ふっ、大分お前も分かるようになってきたな」

 

 そうじゃないでしょうが。

 明らかにライフィセットがあんた達に毒されてるわ。

 

「そういえば、ゴンベエとアメッカの国って何処だろ?」

 

「彼奴等の国?」

 

 確か、あの二人はそれぞれ住んでる国が別々だったわね。

 アイツがアメッカの国に移り住んで色々とやらかしたみたいだけれど……。

 

「その辺も聞くんじゃなくて探して見つけ出すんだ……」

 

「気になるのはいいけど、この前みたいなのはごめんよ」

 

 異世界の住人が迷い混んだとかやたらと顔の大きい頭が変な奴が言っていた。

 アイツが本当に死にかけるなんてありえない事が起きたりして、なんでか野球で決着をつけたりするなんて二度としたくないわ。

 

「異世界の住人との会合もいいが、オレも異世界には行ってみたい」

 

「異世界って、どんな場所なんだろ……」

 

「ちょうどそこにいるから、聞いたらいいんじゃないの?」

 

 何個にも積み重なった木箱を楽々持ち上げて港と監獄を往復してる何故かお面をつけているゴンベエ。

 聞くのも1つの手だとアイゼンはさっき言っていた事とは真逆の事をライフィセットに言って、アイツに異世界について訪ねる。

 

「ねぇ、ゴンベエ。異世界ってどんなところ?」

 

「また随分とアバウトな質問だな。異世界は星の数程にあるから一言では言えないぞ。黛さんと愚っちゃんは同胞だけど住んでいる世界が異なってたりするんだぞ」

 

 そういえば前にそんな事を言ってたわね。ややこしいわね。

 

「なら、どんな世界に行ってみたい?」

 

「異世界になんぞポンポン行きたかねえよ」

 

「なら、どんな世界に行きたくない?」

 

 質問を変えてあの手この手で聞こうとするアイゼンとライフィセット

 流石に観念したのか、行きたくない世界を考えるとアイツは渋る顔をする。前に死にかけただけあって、やっぱり行きたくない世界はあるみたいね。

 

「呪泉郷にはあまり足を踏み入れたくないな」

 

「呪泉郷?」

 

「呪いの泉がそこかしこにある場所だよ……ライフィセット達をそこに突き落としたいと言う悪意に飲み込まれそうなんだよな」

 

「っ、あんた!」

 

「待て待て待て。流石にしないから。そもそもであそこは秘境だから早々には行けないから」

 

 ライフィセットを突き落とすなんて馬鹿な真似は絶対にさせないわ。

 

「なんで僕を突き落としたくなるの?」

 

「彼処はな様々な効果を持った呪いの泉なんだよ。その中には女溺泉(ニャンニーチュアン)という溺れれば女の子になる泉があってな……いける!!」

 

「なんでゴンベエは僕をそう女の子にしたいの!?」

 

「だって、面白いだろ。女装じゃなくてマジの女の子になるんだぞ……」

 

「面白そうね……」

 

 溺れると女の子になるって事は他にも色々なものになる泉があるのよね?

 ライフィセットやアイゼン達がそこに溺れて性別が入れ替わると、どうなるのかしら?

 

「もうっ!もし呪泉郷に行ったとしても、絶対に泉には触れないからね!アイゼン、溺れたらダメだよ!」

 

「オレにそういう事を言えば、確実に溺れるのは目に見えているぞ……だがまぁ、オレの妹は世界一可愛い。ならば、兄であるオレが女になれば妹そっくりに綺麗に……はっ!お前達、妹にそっくりだからって妹にもオレにも欲情すんじゃねえぞ!!」

 

 なんでそうなるのよ。

 にしても、呪われた泉が沢山ある場所って、そこ此処みたいな地脈点かなにかかしら?

 ライフィセット達が真剣に地図を書いていたりしているのが分かったので程ほどにしておきなさいよと忠告をし、他はなにをしているのか見るためにこの場を去る。

 

「全く、人様をここぞとばかりに労働力として使いやがって。オレはお前のパシリじゃねえってのに」

 

「そう言いながらも手伝ってくれているダイルは優しいな」

 

 今度はアメッカとダイルを見つけた。

 なにかを頼まれたのかダイルはゴンベエに対して文句を言っているけど、なにをしているのかしら?

 

「あんた達はなにをしてるの?」

 

「おぅ、ベルベットか。ちょうどいいところに来た」

 

「手が空いているなら、一緒に作らないか?」

 

「作るってなにを?」

 

 この二人が料理、なんて事は無いわよね。

 アメッカは料理は得意じゃないし、ダイルがしているところは見たことはないし……第一、ここは厨房じゃないし。

 

「これだよ、これ」

 

 ……なにこれ?

 ダイルは銀色の紙みたいなのに包まれた石を見せて来た。

 

「知らねえよ。ゴンベエの奴、こっちが暇だったらやっといてくれって押し付けやがって」

 

「こういう風に作るんだ」

 

 アメッカは手の上に銀色の紙を乗せて、その上に石を乗せて銀色の紙で包みその上に炭を置いて外れない様に固定する。

 変わった見た目をしているけれど、作るのは割と簡単そうね。

 

「これを1600個作れって言われてんだよ」

 

「1600個ってあいつ、なにに使うつもりなの?」

 

「知らねえよ。教えてくれっつっても教えようとしやがらねえんだよ」

 

「ゴンベエの事だから、なにか凄い物を作るつもりだ」

 

「そうは言うけどよ、なんか物凄い物を作るって言われてもピンと来ねえぞ」

 

 アイツは便利な道具は色々と持っている。アイゼンやエレノアと方向性は違うけれど知識を多く持っている。

 けど、今からなにかを作るって言われてもあまりピンと来ない……。

 

「アメッカ、あんたの国でなにかやらかしたみたいだけれどなにをやらかしたの?」

 

 アイゼンに兵器を作らせない約束をさせた時に少しだけやらかしたって言ってた。

 

「おいおい、野暮な事は聞くんじゃねえよ。見たら分かるだろう」

 

「?」

 

「いいところのお嬢さんとよく分からない目付きの悪い男だ……駆け落ちだろ?何処からどう見てもアメッカ、ゴンベエに惚れてるだろう」

 

「ち、違う!確かに私とゴンベエは一緒に居なければならないが、私はそういった疚しい気持ちをゴンベエに向けてはいない!大体、ゴンベエはどちらかといえばベルベットの事が」

 

「なんで私がそこに出てくるのよ!」

 

 ニヤニヤと笑うダイルに煽られて慌てるアメッカ。

 あんたとゴンベエの事なのに、無関係な私がそこに出てくるのよ。

 

「だって、ゴンベエはベルベットの事ばかり褒めてるし、そういう感情を向けない様にしてるし……ベルベットは綺麗じゃないか!!」

 

「っ……あんただって綺麗でしょ」

 

 私みたいにぼろ切れの布を着ているんじゃなくて、下ろし立ての新品の様な服を着ている。

 あまり気にはならないけれど一つ一つの動作が丁寧で上品なところがあって、あのバカが関係していないと純粋なのよ。

 私みたいなのよりも、何処かのいいところのお嬢様の方がアイツに……似合うのかしら?

 

「大体、私はアイツみたいなのはタイプじゃないのよ。普段は大雑把な癖に変なところで細かくて、面倒な性格なのよ」

 

「では、どういうタイプが好みなんだ?」

 

「正直に吐いちまいな」

 

 どういうのがタイプって……どういうのがタイプかしら?

 家事を代わりにやってくれる……いや、別に家事は自分でやっていた方が落ち着くわ。お金持ち?……お金は無駄に浪費しなければそれでいいわね……無いわね。

 

「そういうのは無いわ。あえて言うなら好きになった人がタイプよ」

 

「……それはつまり誰でも問題ないということじゃないか!」

 

「なんでそうなるのよ!私はそういう感情をアイツには向けていない!アメッカもそういう感情を向けていない!アイツも向けていない!!」

 

 そう。ただただ利害が一致しているだけで一緒に居たいから一緒に居るわけじゃない。

 アルトリウスを殺せばアイフリード海賊団達と協力をする必要もなくなって、解散をする。アイツだってそれを理解しているわ……そう。

 

「お前等、喧しいけどちゃんと働いてんのか?」

 

「あんたのせいで停滞してるわよ!」

 

 声が反響していたのか、アイツまでやって来た。

 仕事を放置して色々と言い争ってるけれど、全部コイツのせいなのよ。

 

「……」

 

「な、なによ?」

 

「……」

 

「言いたいことがあるなら、ハッキリと言いなさい!」

 

「……」

 

「……うっ……悪かったわよ」

 

 ずっと無言で見つめ続けられた私は根をあげた。

 何時もなら変なことを言ったり適当にあしらうのに、珍しくなにも言わずにただただじっと見てきた。

 確かに八つ当たり気味だったわ……。

 

「オレは殴られる覚悟で色々と言っているが、理不尽にはそれなりに対抗はするからな。つか、手が止まってんぞ」

 

「お前の話で盛り上がってたんだよ。実際のところ、どうなんだ?アメッカと駆け落ちでもしたのか?」

 

「あのなぁ……オレが駆け落ちなんてくだらない真似をするわけねえだろ!!」

 

「くだらないって……そこまで言わなくても」

 

「駆け落ちは逃げなんだよ!いいか、アメッカと駆け落ちをするってことはアメッカに手を出すということだ……なんの覚悟も無しに手を出すと思うか?新天地で1からリセットなんてさせねえよ。そういう面倒なのは色々と処理するんだよ!恋愛で立ち塞がる障害が怖くてアメッカに手が出せると思うなよ!!」

 

「お、おぅ……」

 

 要するにアメッカとそういう関係だったらややこしい事情を何がなんでも自力で解決してやるのね……。

 逆ギレ気味で言っているけれど、言っていることは割と真剣だわ。

 

「なら、なんでアメッカを連れてくる必要があるわけ?足手まといでしょ?」

 

「っ!」

 

 エレノアと同じ槍使いだけれど戦うことは出来ないアメッカ。

 ハッキリといえばコイツの弱点になっているところがある。戦える様に色々とやってみてるけど、なんの成果もない……私は戦えるわよ。

 

「そういうのは無しだろ」

 

「事実じゃない……」

 

「アメッカに生殺与奪の権利を握られてるんだぞオレ。油断すると国に狙われるんだぞ」

 

「あんたの権利を握っているのは私よ」

 

 なんにも言わないけれど、下僕なのを忘れてないかしら?

 最近はなにも起こっていないけど、人の胸を揉んだりキスをしたり色々としてきた事を忘れたとは言わせないわよ。

 

「お前な……オレがどれだけヤバい状況でヤバいことをやらかしたのかを知ってて言ってるのか?」

 

「逆に聞くけれど、なにをやらかしたの?」

 

 アメッカの国でなにかをやらかしたみたいだけれど、まともに語ろうとはしてくれない。

 アメッカに聞いても答えようとはせず、とにかく色々と大変だったとしか言おうとしない。ちょうど暇だし、教えなさいよ。

 

「……聞きたい?」

 

「聞いてあげるわ」

 

「……はぁ」

 

 なんかムカつくわね。

 勘弁をしたのか、深い溜め息を吐いて腰を下ろす。

 

「オレは社会を傾ける事が出来んだよ」

 

 アイゼンに人を殺したり怪我をさせたりする物を作らせない約束をした時、そんな事を言っていた。

 けど、そう言われてもどうにもピンと来ない。絵よりもハッキリと人の顔や風景を紙に残す写し絵の箱や電球は便利だけれど、そこまでの物じゃない。

 

「社会を傾ける事が出来るって、随分と変わった言い方をするな。普通は国を変えるだろう」

 

「国を変える事も出来るが、国を変えるよりも社会を変える方が合ってるんだよ……特に物作りは」

 

「……確かに、もしゴンベエの言っていた事が本当ならばこれからの世の中は大きく変わっていく」

 

 やらかした時の当事者のアメッカは少しだけ浮かない顔をする。

 旅をしている目的は違うけれども、今こうして2人が一緒に居るのはそれが原因で政治的な理由が絡んでいるから……国を助ける為にミッドガンド王家はアルトリウスを頼った。ほんの少しの人間を犠牲にして、多くの人を救う道を、個よりも全を選んだ。

 

「世の中が変わるつっても、聖寮が出て来て一気に変わったんだ。早々に変わることはないだろう」

 

「それはどうかな?」

 

 これって……電球?

 これ以上に変化は無いだろうと言うダイルの前にコイツは電球を置いた。

 

「コレって、確か電球?だったか?」

 

「コレ1つで社会を変えることだって、出来る」

 

「おいおい、幾らなんでもそれは無理だろう」

 

「出来る……コレだけで社会は傾く」

 

 こんな小さなガラスの球で社会を傾ける事は出来ない。

 そう笑うダイルにアイツはハッキリと出来ると言いきる。根拠もなにもなくハッタリを噛ましているわけじゃない。本当に出来ると分かっているから言い切った。

 

「具体的には、どうやるのよ?」

 

 さっきから出来るとか言っているだけで、具体性の無い事ばかりを言っている。

 あんたの事だからわざとなんだけれど、それを言わないと私達は納得もなにもしないわよ。

 

「オレがどうこうするんじゃない、向こうから傾いてくれるんだよ……電球は明かりを灯す道具で基本的な使い方は周りを明るくする事だ。他にも使い方が色々とあるが、普通の人ならば夜に家の明かりを灯すのに使うな」

 

「確かに明るくはなるわね」

 

 日の光をまともに入らないこの監獄は薄暗い。

 ライフィセットやエレノアは暇な時なんか読書をしているけど、こんなに暗いところで本を読んでいたら目を悪くするわ。万が一本に火が付いたら大変だし、危ないから蝋燭やランタンは危険だし、電球が安全だわ。

 

「オレの作った電球は竹を使っていて1000時間は灯る」

 

「おいおい、冗談だろ?」

 

「冗談じゃねえよ。言っとくが素材の都合上で桁が違うんだけで、もっとしっかりした物だったら1年間ぶっ通しで明かりを灯す事が出来るんだ……コレがどういう意味か分かるか?」

 

 段々と冷たくなっていく空気。

 その空気を作っているのはコイツで、気付けばダイルもアメッカも、私もコイツの次の言葉を待っていた。

 

「この監獄は壁に沢山の松明を置いて明かりを灯している。今まで立ち寄った所は燭台に蝋燭をぶっさした物なんかを明かりに使っている。コイツらは24時間、丸1日ぶっ通しで明かりを灯す事は出来ない。蝋燭ならば溶けて使えなくなるし、松明は燃え尽きる。だが、電球は違う。オレの作った劣化品でも1000時間は使える。この電球は消耗品だ。さて、消費者様はどちらを選ぶ?」

 

 そんなのは決まっている。

 燭台に指してただただ灯すだけで蝋燭は数時間で切れる。松明も数時間だけしか灯らない。油を使ったランタンならかなりの時間が灯せるけど、油を入れ換えないといけない。

 でも、電球は1ヶ月間ずっと……いえ、日が沈んで夜の起きてる時間、6時間ぐらいだとして200日は使い続ける事が出来る……。

 

「この電球は世界でオレだけしか作れないわけじゃない。クロガネの様に名工と呼ぶに相応しい職人にしか作れないわけでない。物を作って売って生計を立てることが出来るレベルの職人なら簡単に作る事が出来る。材料だって、特別な鉱石を使用しているわけでもない……コレが世に放たれてみろ……」

 

 もしコイツの言うとおりに電球が世の中に当たり前の様に出回ったらどうなるのか?

 蝋燭やランタンよりも明るく火事になる可能性は無いに等しく、換えるのは数ヵ月に一回だけでいい。そんな便利な物があるなら、誰だって購入する。

 

「蝋燭やランタンなんかに使う油の価値が一気にどころか一瞬で暴落する。10年で電球が広まり30年で電球が当たり前になり100年後にはほぼ蝋燭を使わない時代になる」

 

 コイツが言っている事は否定できなかった。

 日常の中にある当たり前をコイツはひっくり返すことが出来る。意識をしていなかっただけで、それだけの価値が電球にはあった。

 

「そんな日が来たら蝋燭を作ってる業者は死ぬぞ!?世界中にどんだけいると思ってんだ!」

 

「……どんだけいんだろうな?」

 

 私達の日常で蝋燭や松明は欠かせない物。

 それを作っている職人となると相当な数がいる筈だから……失業者を一瞬にして増やす。国なんて生易しい文字通り社会を傾ける事が出来る。

 

「あんた、とんでもないのを掴んでいたのね」

 

「物凄いものを握っているのは分かっていたが、ここまでとは思っていなかった……よかった……」

 

 自覚が薄かったのか、コイツの手綱を握っていたのがどういう事なのか改めて理解してホッとするアメッカ。

 コイツの持っている知識や技術力は私の左手と違って自分だから出来たものじゃない。自分じゃなくても出来て自分以外の誰かに継承することが簡単に出来て、今までの当たり前を崩壊させる。

 

「言っとくが、電球なんて序ノ口だ。結局のところ明るくするだけの道具でそこまでの危険性は無い。極端な話をすればランタンとかで代用が出来る。お前に作らせてる物は代用が出来ない、オレとしても作るのはあまりよろしくない物だと躊躇っている所がある物だ」

 

「いったいオレになにを作らせようっていうんだ」

 

「そこは自分で考えろ」

 

「分からねえから聞いてんだよ!!」

 

「ほーれ、知りたければとっとと働け。後でアメッカのアンモニアも」

 

「ゴンベエ!!」

 

「るせえ!いざという時の自爆機能を作るのにいるんだよ!!爆弾で爆破させても全然威力出ねえんだから、もう作るしかねえんだよ!!」

 

 例によってアメッカから取れる謎の素材で言い争う二人。

 なにを作ってるかは教えてはくれなかったけれど、コイツが狙われていてアメッカがハニートラップをかけていると言う事になっている意味が分かった。

 ダイルがこうなればやるしかないとやる気を出しており、アメッカに言い争う暇があるなら手伝えと謎の道具を作る手伝いをさせられる。

 

「なにを作るかは知らないけど、作るんならましな物を作りなさいよ」

 

「マシじゃなくてヤベー物を作ってんだよ」

 

 まぁ、少しだけ期待はしてあげるわ。

 アメッカ達がなにをしているのか分かり、この場を後にする。

 

「さぁ、モアナ。これで好きな物を作るんだ!」

 

「なぁに、これ?」

 

 また別の場所にはモアナとビエンフー、そして何故かアイツが居た……?

 

「あんた、さっきアメッカ達と一緒にいたんじゃ」

 

 さっきまでアメッカ達と一緒になにかを作っていた。

 私と同じ道を歩かないとモアナの所には辿り着く事が出来ないのに、何故か先回りをしている。

 そういえば、アメッカの所にやって来た時、私が来た側とは真逆の方向から来ていなかったかしら?

 

「お前、オレが4人に分身出来る事を忘れたのか?」

 

「……あんまり覚えてないわ」

 

 ただただアルトリウスに挑んで、返り討ちにあっただけの苦い経験。

 その時の事はあまり思い出したくはない……今度こそ、絶対に仕留める。

 

「モアナと遊ぶオレと作業をするオレが2人とゴロゴロとするオレの4人がこの監獄内に居るんだよ」

 

 一人余計なのがいるわよ。

 

「エレノアはどうしたのよ?」

 

 モアナと遊ぶのはいいけれど、エレノアは見当たらない。

 モアナにベッタリとくっついているなら、此処にいてもおかしくはないのに

 

「エレノア様は……色々とあったでフ……」

 

「……オレは悪くないからな」

 

「大丈夫かな……」

 

「大丈夫だと思うぞ」

 

 ……コイツら、またなにかをやらかしたわね。

 まぁ、エレノアならなにかを言わなくても勝手に立ち直るだろうし、問題は無さそうね。

 

「それで、なにをしてるの?」

 

「そういうお前こそ、なにをしてんだ?オレ達を探しに来たわけじゃねえみたいだし……暇なのか?」

 

「っ……ええ、そうよ。暇なのよ」

 

 コイツ、堂々と言ったわね。

 さっきのとその前のは言わなかったのに、ハッキリと言いきったわね。

 

「だったら、モアナ達と遊ぼうよ!」

 

「仕方ないわね……それでなにをして遊ぶの?」

 

「外に出られないし、エレノアがなにかと五月蝿いからこんなのを作った」

 

 木の板を取り出し、白い豆腐みたいなのをその上に置いた……なにこれ?

 モアナと私とビエンフー、それに自分の分と四等分にして、それぞれに木の板の上に置いた。

 使えって事だろうけど、なに?と試しに触ってみると柔らかかった。今まで色々と触ってきたけれど、はじめての感触で握れば簡単に潰れそうな物だった。

 

「粘土だよ、粘土」

 

「粘土って、もうちょっと硬くて泥っぽいじゃない」

 

「紙から作った紙粘土だ」

 

「紙粘土……要らなくなった本でも使ったの?」

 

「紙なんてその辺の雑草から作る事が出来る」

 

 ……ついさっき、コイツの恐ろしさを教えられてたところだったわね。

 余計な事を考えていると頭が痛くなってくる。特にコイツだと色々とおかしくなるから、コイツはこういう物だと思わないと。

 

「これで好きな物を作るんだ」

 

「好きな物って……フォーク」

 

「そういう感じの食器に使う粘土じゃない」

 

「こういう風にするでフよ!!」

 

 既に手を動かして粘土の形を変えていたビエンフー。

 頭だけのぬいぐるみで、多分だけれどマギルゥを作っていた。顔がユルくなっているせいで分かりづらいけど、マギルゥね……熊の木彫りみたいな置物でもいい━━

 

「ビィエエエエン!!」

 

「ちょ、あんたなにをしてるのよ!」

 

 頭だけのマギルゥを全力で木の板に叩きつけるビエンフー。

 もうちょっと手を加えればマギルゥになるのに、力の限り木の板に叩きつけたら原型が残らないじゃない!

 

「マギルゥ姐さんめ……よくもいちご煮を苺を煮た物だと騙してくれたでフね」

 

「モアナ、見るんじゃない」

 

「あんた、なんて事をしてるのよ」

 

 ハァハァと息を荒くしながら何度も何度もバシバシと叩きつけるビエンフー。

 目が完全に据わっていて、モアナになんかは見せられないわよ……見ていないわね。

 

「なにを作っているの?」

 

 なにかを作るのを決めたのか、一生懸命黙々と作っているモアナ。

 丸い形をしているけれど……。

 

「エレノア……さっき酷い事を言っちゃったし、好きな物を作って良いってゴンベエが言ってたから」

 

「そう……」

 

「ベルベットはなにを作るの?」

 

「私?……なにを作ればいいんだろ?」

 

 料理ならばある材料を見て、色々と考えれるんだけどコレは全くといって違う。

 なにか好きな物を作れって言われても、パッと思い浮かぶ物は無い……。

 

「マギルゥに乳があったら、それはもうマギルゥじゃないだろう」

 

「確かにマギルゥ姐さんは絶壁だからこそでフがコレはお人形なんです。少しぐらいは夢を見るものでフ」

 

 バカ二人はマギルゥを作っていた。

 さっきみたいに顔だけのマギルゥじゃなくて全身のマギルゥを紙粘土で再現しており、そこにある筈の無い物(胸)が足されていた。さっき渡したばかりの粘土を何時の間に……てか、なにを作ってるのよ。後でマギルゥに殺されるわよ。

 

「ベルベット、なにも作らないのか?」

 

「……なにを作ればいいわけ?」

 

 いざなにか好きかって言われれば、あんまりピンと来ないわ。

 こういうことを余りしてこなかったし、こういうのをやるなら私よりもライフィセットやアイゼンの方が……それにあの子も向いている。

 

「だったら、僕を」

 

「却下」

 

 ビエンフーなんて作るつもりは無いわ……ダメだわ。グリモワールを思い出す。

 あいつ、適当にあしらってただけなのに何時の間にかアメノチに間違われていて人形まで作られていた……結局、どうなったのかしらあの人形。

 

「犬か猫かシンプルなのでも作ればいい」

 

「なら、犬にさせてもらうわ」

 

 猫は3日で恩を忘れるらしいけど、犬はずっと忘れない。

 作る物を決めた私は粘土に触れて頭の中で犬を思い浮かべながら粘土を捏ねていく。

 

「ベルベット、それ狼だよ?」

 

「いや、オレじゃね?」

 

「似たような物でしょ」

 

「おいおい」

 

 作ってたら、狼に変身したコイツになってた。

 犬と狼は見た目が似ているし、コイツは私に忠誠を誓っているし、いい感じに出来上がってる。

 

「そういえば、あんたは喰魔じゃないのよね?」

 

 狼の業魔を何度か見たけれど、コイツとは全く異なる姿をしていた。

 穢れを纏いながら狼の姿になるコイツは今は人間で、人と狼の姿を使い分けることが出来ている。喰魔の要素を多く持っているみたいだけれど、本人は喰魔だと言ってこない。

 コイツの性格を考えれば自分が喰魔だったらハッキリと言う。

 

「何度か説明をしているが、オレの使っている力は勇者の力だ。黄昏、大地、風、大空、他にも色々とある由緒正しい勇者の力をオレは持ってるんだよ。狼になるのは黄昏の勇者の力だ」

 

「あんたみたいなのが勇者って……」

 

 滅茶苦茶強いのには納得はいくけれど、勇者を理解することは出来ないわ。

 

「勇者なら、魔王を倒すのが仕事じゃないの?私の下僕なんかやってていいわけ?」

 

「オレは世界を救うよりもアメッカを救うのに忙しい。それにあいつ、弱くて変なところで抜けてるからな……」

 

「……私の下僕よね?」

 

 なんでアメッカを出すのよ。

 確かに何時穢れて業魔になるか分からなかったり、一度業魔になりかけた事はあったし……あんな弱い奴、何時死んでもおかしくはない。足手まといよ……早いところ切り捨てた方が身の為じゃないの?

 

「オレが巻き込んだからには、自分の力でどうにか出来る様にする。転生者(オレ)みたいな存在は、どうにかするならばどうにかする。どうにかしないならどうにかしない。一線を敷いたのならばその一線を守るみたいなのをしておけってハッキリと叩き込まれたからな……全てが終わる頃にはアメッカは自立出来る……筈だ」

 

 最後の最後で曖昧ね。

 

「それに、お前の力にもなりたいと思ってるところはある。

此処まで来たんだし、アルトリウスに一発ぐらいお見舞いをしてやりたい……オレとアメッカは聖寮に因縁も繋がりも無いけど、それぐらいなら許してくれよ」

 

「……好きにしなさいよ」

 

 あんたがなにを思っていようが、私はアルトリウスを殺す。

 その為の力になるんだったら思う存分使ってやるわ。

 

「こんな感じね……コレって焼くの?」

 

 色々と話をしている間に完成した狼。

 はじめてにしては結構上手く出来た物だと自分で自分を感心しながら、コレをどうするのかを聞く。粘土なら、焼くのよね?

 

「コレは紙粘土だから、暖かい場所で渇かして水分を飛ばせば勝手に硬くなる。そしたら今度は色をつける。因みにそれらの行程を終えて完成したのがこのベルベット人形だ」

 

「業牙爆響弾!!」

 

「ぬぅおあ!?」

 

 こいつ、やっぱり油断も隙も無いわ!!

 何事も無かったかの様に、さも当たり前の顔で私のフィギュアを勝手に作っていた。

 

「あんた、なに勝手に人のフィギュアを作っているわけ?」

 

 事と次第によっちゃ、手……はまだ完治していないから両腕を折るわよ?

 私は剣の力を引き出して、パワーアップをする。アルトリウスの前に、あんたを焼いてやろうかしら?

 

「だって、紙粘土なんて作ったらフィギュアを作りたくなるのが当然だろう!!」

 

「だからなんで私なのよ!!ダイルとかにしておきなさいよ!!」

 

「それただの服を着た蜥蜴だろう。どうせだったらお前の方が良いじゃねえか」

 

「なんで私だったらいいのよ!」

 

「普通に美人だからに決まってるだろうが!」

 

「っ!!」

 

 コイツはまたこんな変なことを……。

 

「コレは燃やすわ!!」

 

「あぁ……折角の傑作が」

 

 落ちていた人形を左腕で握り潰して焼いて消し炭にする。

 こんな私に似ている様に見えて、全然似てない物なんか必要はないわ。

 

「二度と作るんじゃないわよ……それとアメッカの分も」

 

「え、許可は」

 

「いいから、寄越しなさい……さもなくば焼くわよ?」

 

 なんならあんたごと焼いてもいいのよ?

 左腕に何時でも焼ける様にと穢れを纏った炎を出して脅すと、観念したのかアメッカのフィギュアも出したので思う存分に燃やし尽くす。それこそ消し炭すら残らない程に。

 

「思い出と言うお宝にしようとしたのに」

 

「私の事が綺麗だ美人だと思っているなら、それでいいじゃない」

 

 大体、なんでこんな物を作ろうとしたのよ。

 なんでこんな似てないフィギュアを作ったのよ!!作るならもっとマシなのを作りなさい!!

 

「ったく、油断も隙もあったもんじゃないわ」

 

「あれ、マギルゥ姐さんのは焼かないんでフか?」

 

「どうせあんたが後でマギルゥにシバかれるのは分かりきってるわ」

 

 あんたにお仕置きをするのはマギルゥの役割よ。

 ゴンベエのフィギュアを焼き尽くし終えたので元の姿に戻ると右手にだけ違和感を感じる。紙で出来ているとは言え粘土を触ったから汚れた。

 

「私のはちゃんと残しておきなさいよ」

 

「何処に行くんだよ?」

 

「手を洗いにいくのよ……あんた達も後で洗いなさいよ」

 

「へーへー」

 

 返事をしてるぐらいなら、さっさと洗いにきなさいよ。

 モアナ達から離れて手洗い場に行くのだけれど、よく確認して分かった。爪にまで紙粘土が入っていることに。

 

「……早いけれど、風呂に入るしかないわね」

 

 アイツに関わると、どうもおかしくなるわ。

 疲れた体を癒す為にもお風呂に入って気持ち良くなった方がいい……熱さも寒さもあまり感じないけれど。それでも、入っていると気分が落ち着く。

 

「あ……」

 

「あんた、此処にも!?」

 

「オレはぐうたらのゴンベエだ」

 

 お風呂に入るとアイツが髪の毛を洗っていた……

 

「ま、前を隠しなさいよ!!」

 

 私が入ってきたのに動じない。それどころか気にせずに頭を入念に洗っている。

 なに堂々としているのよ!!少しぐらいは反応をしなさいよ!!

 

「なにを言い出すかと思えば、風呂をタオルつけたままで入るのはマナー違反なのを知らないのか?」

 

「そういう事を言ってるんじゃない!!」

 

 私が入ってきてるのに、焦った素振りすら見せない。

 何時もの私なら手が出るけど、どうにも調子が悪いのか直ぐに手は出ずにいる。コイツ、私を見ようとはしていないわね……。

 

「悪いがオレは今入ったばかりなんだから、出るつもりはないぞ」

 

 湯船に浸かり、一足先にリラックスし惚けた顔になる。

 

「入るんだったら、入れば?」

 

「あんた、なにを……いえ、入らせて貰うわよ!!」

 

 もうちょっとマシなリアクションが無いことに苛立ちながら、私は逃げない。

 元々お風呂に入るつもりで風呂場に来て、もう一度服を着てコイツが出てくるのを待つのはなんか嫌な気分になる。

 私は素早く頭と体を洗い、コイツの隣に入った。

 

「お前、大丈夫か?」

 

「なにがよ?」

 

「なんかこう、ヤケクソ感が強いぞ」

 

「……ずっとあんたの分身の相手をしていたせいよ」

 

「そうか……暇だったのか?」

 

「なんでそうなるのよ?」

 

「他の奴等は仕事をしてたりモアナと遊んでたりする。ベルベットになにか特別な事を頼む理由はない」

 

「……ええ、そうよ」

 

 言い逃れは出来ないし、否定する理由も何処にもない。

 なにもやることがなかったから、ブラブラとしていると色々なところであんたと遭遇しておかしくなった。現に今もそう。自分と大して歳の変わらない男性と一緒にお風呂に入るなんて思ってもみなかった。

 

「熱くするんじゃねえよ」

 

 左腕を喰魔化させて熱を出してお風呂の湯を沸騰させるけど、コイツは凍らせて温度を下げる。

 コイツを相手に無理矢理追い出すのは無駄だと分かった私はリラックスをする事に専念し、肩の力をゆっくりとゆっくりと抜いていく。

 

「……ずっと」

 

「んだ?」

 

「此処に閉じ込められた日からずっと、復讐ばかりを考えていたわ」

 

「そうか……殺るなら最後まで殺れよ。途中で投げ出したりアクシデントが起きたらオレはそれなりの事はする」

 

「逃げないわ……だから、分からなかったのよ。息の抜き方なんて忘れてた」

 

 ずっとずっとアルトリウスを殺すことだけを考えていた私に突然やってきた休息日。

 ロクロウ達は相変わらずだけど、自分達なりに過ごしてたりしたけど、私はどうも上手くいかなかった。周りがなにを思うが自分がどうなろうが構いやしない。アルトリウスを殺す事だけを考えていたから忘れていた。

 

「パスカヴィルの婆さんが言っていただろう。心に遊びを持っていろって……こういうことだよ」

 

「そういうあんたは……これがちょうどいいのね」

 

 コイツが私みたいに怒り狂っていたら、どうなっていたのか分からない。

 その気になればシグレやアルトリウスを簡単に殺すことが出来る。その気になれば、今の社会を力以外で傾ける事が出来る。ふざけてたりやる気が無くめんどくさがっているだけで、出来ないわけじゃない。その気になりさえすればなんでも出来る。コイツはライフィセットやエレノア、アメッカとは違う。アイゼンの様に既に色々な答えを出している……けど、アイゼンとも違う。本当に自分勝手に生きている。

 

「オレは自分が楽をしたいし、私利私欲を満たす為だけに頑張ったりめんどくせえ事はしねえ」

 

「そう……」

 

 コイツと一緒に居ると、本当に調子が狂う。

 私の事を全く怖がる素振りもなく、何事もなく普通に接してきている。綺麗だ美人だ変なことを言ってきて、人の気持ちを勝手に語ったりもしている。

 

「あの、なんで近付くんだ?」

 

「あんたのせいよ」

 

 コイツの肩に寄りかかる。

 今日1日、まだ終わってないけれど、コイツと一緒に居るせいで切り詰めていた空気が抜けていく。肩の力が妙に入りづらくて、調子が狂う……。

 

「あんたのせいでおかしくなってるんだから、少しぐらいは壁になりなさい」

 

 あんたが出る頃には私もお風呂から出るわ。

 

「ちょ、本当勃っちゃったりしてるから、あんま近付かないでくれ」

 

 コイツと一緒にいれば調子が狂う……けど、悪くはないわ。




 ゴンベエの称号


 自重を忘れようとした男。


 説明

 この世界にいる魔王とかドラゴンとか導師とかを簡単に殺す事が出来る武力、異世界の文明のレベルを引き上げる優れた量産可能な発明品を色々と作る事が出来る知力、2つを持ち合わせてるヤベー奴が秘密基地ってなんかロマンあるよね?と旅の生活ならまだしも拠点を得たならば快適で楽な生活をしたいと言う欲望が混ぜ合わさり、此処が過去なのを良いことに自重を忘れようとしている奴の称号。
 尚、知力は転生特典頼りまくりだが武力は素の力であり、なにかあった時にはダイナマイトで全てをぶち壊す予定なので過去に影響は及ばさない……数名を除いては。

 アリーシャの称号


 ヤバい手綱を握っていた姫


 説明


 本人的には頼りになる大切な人を騙して政治的な利用はしたくない巻き込みたくないという純粋な思いを持っており、そこに下心は無い。彼女が握っているのは彼の生殺与奪の権利ではない。国の栄光と繁栄を約束するものでもない。
 シンフォニアの様に一部の場所だけ凄い技術はあれども一般に普及していないが多々あるテイルズの世界、彼女が握っている手綱を無理矢理引けば、エターニアのインフェリアやエクシリアのエレンピオスの様に文明としての技術が大きく発展する。諸事情で文明のレベルが低いゼスティリアの世界では特に大きく発展できる。
 彼女が握っているのは文明の光である。


スキット モアナと遊ぼう2

ビエンフー「残り3つ……」

ゴンベエ「頼むから当たってくれよ」

モアナ「いくよ……えいっ!!」

ゴンベエ「……ああ~ダメだ。もうダメだ。まただよ」

モアナ「またエレノアなの?」

ビエンフー「もうこれで7枚目でフよ。観賞用保存用布教用は揃っているのに、これ以上はいらないでフ」

ゴンベエ「ハズレが、ポンポンと入りやがって」

エレノア「あの、さっきからなにを言っているのですか?私の事をハズレだなんだと」

モアナ「あ、本物のエレノアが来た!!」

エレノア「本物?……ゴンベエ、ビエンフー。モアナにいったいなにをしたのです!!」

ゴンベエ「やらかした前提?」

ビエンフー「エレノア様、ボク達はモアナと一緒に遊んでただけでフよ!」

エレノア「貴方達の事ですからなにかいけない遊びを」

モアナ「違うよ。一緒にカードを開けてるんだけど、さっきからエレノアばっか当たるの!」

エレノア「カード?」

ビエンフー「ビエ?知らないんでフか?聖寮の対魔士達をモチーフにしたカードゲームでフよ」

エレノア「そういえばそんな物があった様な……」

ゴンベエ「なんか遊ぶ物は無いかとベンウィックに訪ねたら買ってきてくれたんだ……パックで。普通はデッキを購入してくんのに」

エレノア「ベンウィックが……モアナは女の子ですし、もう少し女の子らしい物の方がよかったんじゃ」

ゴンベエ「ぬいぐるみとか作るならオレが作った方が上手い。それにカードゲームと思ってバカにすんじゃねえぞ。戦略性とか知識が必要になるから頭がよくなるって修業内容の一環でやった」

エレノア「貴方がいったいなんの修業をしているのか果てしなく気になりますが……」

ゴンベエ「思い出すな。デッキに入ってないカードを使ってくる奴と戦ったりしたな」

エレノア「普通に反則です」

ゴンベエ「ばっか、お前。公式が認知してない謎のカードを使ってくる奴もいるんだぞ」

エレノア「オリジナルカードって、地元ルールですか?」

ゴンベエ「……まぁ、うん」

ビエンフー「とにかく、ボクとゴンベエとモアナはパックを開封していたんでフよ!」

エレノア「それでどうして私の悪口に繋がるんですか?」

ビエンフー「それがさっきから当たるカードがエレノア様ばっかりで」

モアナ「さっき当てたので7枚目で……そろそろ他のを当てたいんだけど全然来ないの」

エレノア「そうだったのですか……コレが私をモデルにしたカード……」

ゴンベエ「欲しいならやるぞ。どうせ使わねえし」

エレノア「使わないのですか?」

ゴンベエ「性能が中途半端な微妙なカードを使うわけねえだろうが」

エレノア「微妙!?……そんなわけありません!!自慢ではありませんが私は聖寮の中でもかなりのエリートなのですよ!」

モアナ「エレノアは微妙だよ?」

ビエンフー「残念ながら、エレノア様はそこまで強くはないでフよ」

ゴンベエ「既にシグレと征嵐のコンボで戦う為に必要なカードが揃ってて、後はシグレだけあればデッキが完成するんだ……レア枠のカードなのに1枚も当たらねえ。あの姉弟のカードは1枚ずつ当たって、お前のカードだけやたらと当たるんだよ。性能微妙な癖に」

エレノア「微妙、微妙って言わないでください!せめてエレノアのカードはと言ってください……カードゲームなんですから、他のカードと組み合わせれば強いデッキになる筈です!」

ゴンベエ「カードゲームのカードパワーインフレを舐めるな、小娘。お前のカードで出来ることなんてたかが知れてる」

モアナ「エレノアのカードで出来ることって少ないよ」

エレノア「それでも使ってくれた方が、ありがたいです」

ゴンベエ「でも、お前のカードで勝とうとするんだったらお前の能力を発揮して体力回復してから49分間トイレに引きこもって判定勝ちを狙う便所コンボを使うしか」

エレノア「もう少し華麗な勝ち方は無いのですか?」

ビエンフー「でしたら、最初からエレノア様の最強コンボの手札を隠し持っていると言うのはどうでフか?先にコンボを決める先手必勝でフよ」

エレノア「それは普通に反則です!」

ゴンベエ「分かった、分かった。デッキを交換してシャッフルする時に相手のデッキからカードを抜き取り勝利をするジャッジキルで」

エレノア「それは普通に窃盗罪です!……はぁ、貴方達に頼ろうとした私がバカでした。こうなったら、このカードゲームを作っている運営に乗り込んで、私のカードを強くしてもらいます!」

ゴンベエ「お前、それwiki書き換えよりも酷い反則だろ」

エレノア「反則ではありません。リメイクです!!まずは手始めに戦闘力3000、防御力2500にしましょう!」

ゴンベエ「お前ごときがその数値を使えると思うな!」
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