テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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新作書き始めました。
異世界転生させる側の話で、ちょくちょく出てくる転生者養成所関係の話で、色々と危険な発言してます。


罠と宝は紙一重

「手から炎を出して明かりを灯せないか?」

 

「そんな器用な真似、出来るわけないでしょう」

 

「いやぁ、物は試しだ。やってみろよ」

 

 目が馴れてきたとは言え、神殿内部は暗い。

 明かりを灯す道具を持ってくるのを忘れた私達はベルベットに炎を出せないかと聞いてみるが無理だという。

 しかし、やってみたことがないだけで出来るかもしれない。ベルベットは渋々、左腕を憑魔化させて黒色の炎を出す。

 

「待て、その炎は危険だ」

 

 周りが明るくなり、周りがよく見えるようになるのだがアイゼンが消せと言う。

 それもその筈。溢れんばかりの穢れが炎から噴出されていて天族であるライフィセットやアイゼンには毒でしかなかった。ベルベットもこれは危険だと察したのか、直ぐに炎を消して今度は私の方を見る。

 

「あんたこそ明かりを出せないわけ?」

 

「槍から一瞬しか出すことは出来ない」

 

 私は才能が無い為にエレノアやマギルゥの様に術が使えない。

 ゴンベエがあれこれしたお陰で剣から炎とかは出せるが、ベルベットと比べれば弱い。力に飲み込まれたとはいえ、ほんの一瞬だけこの槍の真の力を体験したから分かる。この槍の真の力を引き出せば誰にも負ける気がしない……そんな事を考えるから、力に飲み込まれる、か。

 

「おっと、3つに分かれてるな」

 

 奥へと進むと3つの入口に辿り着く。

 このどれかに宝がある場所に通じる場所に行くなら3つの内、1つが当たりで残り2つはハズレ。

 

「どうする?幸い、この数だから分かれてやるか?」

 

「いや、それは止めておいた方がいい。なにがあるか分からない以上、離れての行動が1番危険だ」

 

 入口を探索した時と同じように分かれて動くことを提案するロクロウ。

 私はそれはしない方がいいと言う。遺跡の仕掛けはなにがあるか分からない。特殊な術、天響術の様なものを行使しなければ謎が解けないとなると組分けで失敗する可能性がある。此処は多少、時間が掛かるかも知れないが全員で総当たり形式で調べた方が早い。

 

「やっぱり、アイツを連れてきた方がよかったわね」

 

 私の意見にベルベットも賛成してくれるが、ゴンベエの事を頭に浮かべる。

 最大で4人に分身出来るゴンベエならば、1つずつ同時に調べることが可能だ。組分けで失敗する可能性も低くなる……。

 

「入口の所に赤、青、緑の宝石が埋め込まれいますがなにか意味があるのでしょうか?」

 

 神殿の入口と同じくなにか仕掛けがあるかもしれないと慎重になるエレノア。

 入口についている宝石に気付く……赤色はルビー、青色はサファイア、緑色は翡翠だ。入口に宝石が埋め込まれているとなると、余程の宝が何処かに眠っているのだろう。

 

「確か古文書には3つの翼を倒りし者に全てを譲らんと書いてあったな」

 

「あ、うん。その前に欲望に溺れた末にって書いてあったけど」

 

「欲望がなにを示してるかは分からぬが、3つの翼とやらはこの3つの部屋の先にあるのじゃろう」

 

「つまり試練をクリアして3つの翼を手に入れればいいというわけですね?」

 

 簡単に考えればそうなるが、それならばもっと別の文になっている。

 ライフィセットの解釈が間違いとは考えづらい……欲望に溺れた末にはどういう意味だ?

 

「とにかく、総当たり式で入るしかないな」

 

「なら、青にしましょう」

 

「青色?赤色にしないのか?」

 

「……なんで赤色って決めるのよ」

 

「ベルベットは赤と黒のイメージが強いから」

 

 得意な攻撃は炎で赤、今着ている服も赤、ゴンベエから貰った剣の力を引き出せば全体的に紅くなる。

 ベルベットのイメージカラーと言えば燃えるような赤か、綺麗な髪の黒色のどちらかしかない。

 

「別にイメージカラーなんて狙ってないわよ」

 

「イメージカラーは大事だぞ。ピンクや黄緑だと海賊らしさが薄れる」

 

「そりゃあんた達の話でしょ。イメージカラーなんて私には関係無いわ」

 

「僕はベルベットの黒い髪、好きだよ?」

 

「……勝手にそう思いたければそう思ってなさい。とにかく、青よ」

 

「その根拠は?」

 

「敷いて言うなら、女の勘よ」

 

 強い。

 アイゼンはベルベットが青色を選ぶ理由を聞いたが、物凄く強い答えが帰って来た。どうやっても否定どころか意見すら出来ないので、そのまま全員で青色の入口を選び奥へと進んでいく。

 

「おぉ!!」

 

「これは……」

 

 奥へと進んでいくとこれでもかと言わんばかりに大量の宝石があった。

 青色の道だけに青い宝石しかなく、他の色の宝石は無い。

 

「やったでフ!これだけあればボク達、億万長者になれるでフよ!」

 

 貧乏生活から抜け出せると両手を上げて喜ぶビエンフー。

 確かにこれだけの量をガルドに変えれば相当な額になるが……違和感を感じる。

 

「この青い宝石がお宝か……ありきたりすぎて、つまらんな」

 

「お主、なにが出ると予想しておったんじゃ?」

 

「そりゃ伝説の剣とか」

 

「ゴンベエは持っているぞ?」

 

「魔法みたいな事が出来る道具とか」

 

「それも持ってるわね」

 

 宝がありきたりすぎてつまらないと感じるのはいいが、そういう道具的なのはゴンベエが持っている。

 冷静になって考えれば時を越える事の出来るオカリナというとてつもない宝を持っているな。

 

「しかし、コレがお宝か……」

 

 確かに価値があるものだ。

 アイフリード海賊団の伝を使えば現金に換えることも出来るだろうが、なんと言うか大雑把すぎている。

 

「結論を先に急ぐでない……欲望に溺れた末と言うのはこの宝石と関係していると睨んでおる」

 

「もしかして、此処にある宝石を全部持っていくのですか!?」

 

「そうすればなにかが起こるかもしれんのー」

 

 マギルゥの案に渋い顔をベルベットだけがするが反対する理由は特にはないので全員で手分けして宝石を集める。

 地図である古文書が宝箱に入っていたのもあるが、この時、普通に宝を持ち帰る袋の様な物を忘れているのに気付き、全員でライフィセットの袋に入れることに。

 

「袋、もうこんなにいっぱいだね」

 

「こんなに詰めてもまだ、宝石が残っている……」

 

 一度、袋か籠かなにかを持って出直した方が良いんじゃないか?

 そう考えていると

 

 

━━ガコ

 

 

 不吉な音がなった。

 明らかになにかが作動した音だった。

 

「嫌な予感がする」

 

「壁が迫ってきたぞ!!」

 

「ちょっとビエンフー!なにをしたのよ!!」

 

「ビエエエエ!ボクのせいでふか!?」

 

 ビエンフーが宝石を取ったタイミングで音が鳴ったから、ビエンフーのせいとは言えなくもない。

 

「ボクはマギルゥ姐さんに言われた通りに」

 

「お主、ワシに責任を押し付けるでない!!」

 

「言っている場合じゃありませんよ!!早くこの部屋から出ないと押し潰されます!!」

 

 もしこれが水が流れ出てくるならまだよかったが、壁が迫ってくるならば腕輪の力を使っても無駄だ。

 壁が削れれば絵になっている私達に何らかのダメージがある可能性がある。

 

「ふぅ……なにかがあるとは思っていたが、こういうなにかは期待していなかったぞ」

 

「ビエエ、残った宝石が粉微塵になったでフよ……」

 

「壁の仕掛けも含めて欲望に溺れた末なのだろうか?」

 

「……あんた達、楽しそうね」

 

 部屋から抜け出しホッと一息つく私達。

 文句を少しだけ溢すだけで全然諦めておらず、むしろこの状況を楽しんでいる事にベルベットは少しだけ呆れる。

 

「ベルベットは楽しくないのか?」

 

 私は楽しいぞ。不謹慎だが、自分の現状を忘れるぐらいには。

 

「……つまらなくはないけど、楽しくもないわ」

 

「そうか……もし、嫌だと思うならば先に戻っても構わない」

 

 危うく死にかける罠があり狂暴な魔物がそこかしこにいる。

 聖寮関係の事でもなければ喰魔関係の事でもない。私やアイゼン達は楽しんでいるところがあるのならば、戻っても別に問題は無い。

 

「嫌なんて思ってないわ。ただ単に危険な事をなんでやってるか疑問に思っただけよ」

 

「そりゃあロマンがあるからだ」

 

「そこが危険だと分かっていても、足を踏み入れる。それがロマンだ」

 

「……はぁ」

 

 ロクロウとアイゼンの言葉に頭が痛くなったのか手で押さえるベルベット……本当に大丈夫だろうか?

 

「ライフィセット、手に持っているそれはなんですか?」

 

 来た道を戻っているとライフィセットがなにかを持っていた。これは小さな石像か?

 

「あ、うん。部屋から出てくる時に見つけて、気になったから持ってきたんだ」

 

「気になるから?」

 

 見たところ、何かの道具でなく石の置物だが。

 

「うん。見ようによっては翼に見えるでしょ?翼をたおりし者って書いてあったから」

 

「確かに言われてみればそう見えなくもないですね」

 

「もしそうなら、お手柄じゃぞ坊よ」

 

「あんな切羽詰まった状況でよく気付きました。お手柄です、ライフィセット」

 

「えへへ……」

 

 マギルゥとエレノアに褒められて嬉しそうにするライフィセット。

 お手柄だと私も褒めたいところなのだが、褒められない……隣で物凄く不機嫌な顔になっているベルベットが居るから。

 

「あんた達、ライフィセットをあんまり褒めないで」

 

「そうは言うが、ライフィセットはお手柄じゃないか」

 

 ブスッとしたベルベット。

 気のせいか若干穢れが出てる。褒めるなと言うが、ライフィセットが気付かなかったらお宝が見つからなくなった可能性だったあるし、少しぐらい褒めても良いじゃないか。

 

は?今回は無事だったからいいけど、ちょっとでも遅れてたら今頃潰されてたかもしれないのよ」

 

 私の一言で更に機嫌が悪くなるベルベット。

 ゴンベエならこんな時でも色々と言えるのだろうが、今回は不在の為に此処にはおらず気まずい空気が流れる。

 

「ごめんなさい……」

 

「……」

 

 ライフィセットが謝るとベルベットは先を歩いていく。

 気まずい。なにかを言えば明るくなるのかもしれないが、私にはそのなにかが分からない。

 

「分かれ道の所に戻ってきたでフね」

 

「女の勘的にはどっちだ?」

 

「どっちでもいい……じゃあ、赤で」

 

 何だかんだと言いながらも付き添ってくれるベルベット。

 今度は赤色の道を選び進んでいくが青色の道を選んだときと大して変わらず、1番奥に辿り着くとそこには赤色の宝石がこれでもかと置かれていた。

 

「むぅ……1番奥まで来たが、またこのパターンか」

 

 同じことが繰り返し起きたのでしょんぼりとするロクロウ。

 

「逆に考えてみないか?」

 

「逆?」

 

「この宝石は充分なお宝だが、古文書の内容からみてコレがお宝じゃない。本当のお宝が何処かに眠っていると」

 

 青色の宝石の時に感じた違和感が今だとハッキリと分かる。

 入口に仕掛けがあったのに、それ以外なにも無いのにお宝と呼ぶに相応しい宝石があった。意味深な古文書の内容と一致しない。まるで、本当のお宝があってそれを隠すかの様にしている。

 

「ロクロウが言っていた様なお宝が眠っているかもしれない」

 

 宝石は時代によって値段は変わるが、基本的には高価な物だ。

 石像や絵画、本等の価値があるが分かりにくい物と違って、知識があまりなくてもハッキリとお宝だと分かる。だが、此処を含めてもあからさまに宝石が置かれている。それはまるでこれで終わりだと言いたいように。

 

「成る程、そう考えるとモチベーションが上がるな」

 

「本当のお宝を見つけるとして、また宝石をかき集めるのですか?」

 

「いや、それはフェイクだ」

 

 私達の目指しているゴールは、この宝石じゃない。

 古文書に書かれている本当のお宝で、そのお宝の鍵を握るのはライフィセットがさっき拾った石像だ。

 

「成る程、この中のどれかにライフィセットが拾ったのと同じ物があるというわけか」

 

 私の言っている事に納得してくれるアイゼン。

 この部屋はさっきと違って宝石だけでなく石像も多数あり、何処かにさっきと同じのがある筈だ。

 宝石を手当たり次第に集めていては効率が悪いのもあり石像に目を向ける。

 

「ワシはこの竜の石像が怪しいと睨んでおる」

 

「確か、入口も竜だったな」

 

 如何にもな竜の石像の前に立つマギルゥ。

 入口が竜だったことをアイゼンは思い出す。確かにこの如何にもな竜の石像はなにかがありそうだ。

 

「ビエンフー、この竜の石像を台座から外してみぃ」

 

「ボクがでフか!?間違っても、ボクのせいにしないと約束してほしいでフ!!」

 

「なら、私も手伝おう」

 

 ビエンフーにどれだけの力があるかは知らないが、この石像は重い。

 私はビエンフーを手伝い竜の石像を台座から外してみると物音が聞こえる……聞こえる……。

 

━━ゴゴゴゴゴ

 

「ちょっと」

 

 天井から物凄くなにか聞こえる。

 

「なにか降りてくるの~」

 

 ミシミシとも言っている。

 

「ぬぅおおお!?水が、入ってきた!!」

 

 嫌な音は続き、最終的には天井が砕けた。

 上から激流と呼べるほどの水が大量に流れ混んでくる。

 

「こ、これボクのせいじゃないでフよね?」

 

「どうじゃろうなー」

 

「言っている場合じゃない。早く、避難しないと!」

 

 どれだけ水が降ってくるのか分からない。

 既に足は浸かる程、浸水してしまっているがまだ足は動く。こんなもの、レディレイクとマーリンドを繋ぐ橋が壊れた激流よりも……あれ?

 

「辛く、ない?」

 

「ちっ、まさか水系が来るとは予想外だ。ペンギョンフロートを持ってきてないからこのままだと沈む!」

 

 アイゼンとロクロウが部屋から抜け出そうとするが流れてくる水に苦戦する。

 マーリンドとレディレイクを繋ぐ橋が壊れた際の激流と比べればまだ生温いのだが、それでも体が何故か軽い。

 

「まずい!水の重みで床が抜けた!」

 

 体の軽さに違和感を感じていると水の重みで床が抜ける。

 床が抜けた事により水深が若干変わるのかと思ったが、変わるどころかむしろ増えていっている。

 

「あ!」

 

 このままいけば危ういと感じ、この場から去ろうとするのだがライフィセットがなにかに気付く。

 

「どうしたのですか?」

 

「あ、えっと」

 

「ボサッとしてないで、早く逃げなさい!!」

 

「でも……うん!!」

 

「ライフィセット!?」

 

 一旦立ち止まったライフィセット。

 なにかを取りに既に自分の体以上に水深が深くなっている奥に進んでいく。

 

「まずいぞ、壁にヒビが入っている!」

 

「このままだとライフィセットが!!」

 

「っぷ、はっ!!」

 

 壁にヒビが入り危険な状況は更に増していく。

 水に飛び込んだライフィセットは水流に体の自由を奪われる。

 

「ライフィセット!!」

 

 水流に体の自由を奪われるライフィセットに迷いなく助けに行くベルベット。

 水に向かって飛び込み、ライフィセットを救出しに行こうとするのだが

 

「っ!!」

 

 苦しむ顔をする。

 

「力が、上手く……」

 

「ミイラ取りがミイラになりおったぞ!!」

 

「こうなったら!!」

 

 力が上手く入らないのか、ライフィセットの元まで届かないベルベット。

 こうなればと今度は私が水に飛び込むのだが、やはりというべきか体が羽の様に軽い。これと似たような事が過去に1度だけある。ゴンベエが封印して石になったヘルダルフを海に沈めた時と同じだ。

 激流をものともせずに私はライフィセットとベルベットに向かい、2人を助け出す。

 

「ふぅ、危なかった……」

 

「けほっ、こほっ……」

 

「ライフィセット、どうしてこんな事をしたの!危険だって分かってたでしょ!!」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「謝罪じゃなくて、理由を、ごほっ、ごほっ!!」

 

「お前もずぶ濡れで溺れかけてるんだ。あんまり責めてやるな」

 

 ライフィセットを叱るベルベットだが肺に水が行きそうになったのだが、噎せる。

 

「お前、泳げないのに飛び込んだのか?」

 

「泳げるわよ……泳げる筈よ……って、そうじゃなくて謝るんじゃなくて理由を言いなさい!」

 

「え、えっと」

 

「待ってください!そんな風に剣幕に言っては言い出せるものも言い出せません……なにがあったですか?」

 

「これを取ろうと思って」

 

 戻ったライフィセットは置物を見せる。

 さっきの赤い部屋で拾った置物とそっくりの置物だった。

 

「成る程な、そういう事情なら仕方あるまい」

 

「仕方ないじゃないわよ。あんた達がそんなんだから何時までたってもライフィセットがちゃんとしないのよ!」

 

「そうは言うが、助けに行ったお前も溺れていただろう」

 

「それは……」

 

 ロクロウに言い返され、なにも言えなくなるベルベット。

 自分がカナヅチだと分かっていたら少しの迷いもなく水に飛び込めない筈なのに、私が水の中で体が軽くなった事が関係しているのだろうか?

 

『そりゃ多分、オレのせいだ』

 

「!」

 

 疑問に思っているとゴンベエの声が聞こえた。

 頭に直接語りかけて来ているのかと思ったが耳に声が響いている。

 

『ベルベットだけじゃなくてアメッカもなにか異変があった筈だ』

 

「これか!」

 

 ベルベットの方から声がし、これだと袋を取り出すベルベット。

 この島に来る前にゴンベエから貰ったお守りが光を放っていた。

 

『驚いたか?このお守りはオレと通信が出来る道具なんだよ』

 

「このお守りが通信聖隷術が行える道具だったのですか!?」

 

『……うん、まぁ、そうだな』

 

「それでわざわざなにを連絡しに来たの?」

 

 ゴンベエから貰ったお守りの中身を取り出すベルベット。

 わざわざそっちから連絡をして来たということは、なにかがあったということか?

 

『オレの方はなにも無い、強いて言うなら』

 

「用が無いなら連絡しないで」

 

『待て待て、そっちの状況はこっちからなんとなく聞こえてたから一個だけ説明をさせろ。ベルベット、上手く泳げなかっただろ』

 

「……何処から聞いてたのよ?」

 

 あのお守りを渡した頃じゃないだろうか?

 ともかく、上手く泳げなかった事を指摘されると反応するベルベット。

 

「私は逆に泳ぎが楽になったのだが」

 

「いったいなにをしたの?」

 

『凄く簡単に言えば槍と剣のせいだな』

 

 槍と剣、と言うとゴンベエがくれた貴重な素材で出来た特殊な武器。

 神衣の様なものが出来る武器で、私達の髪や血を混ぜているので物凄くしっくりと来る。

 

「剣がどうして泳げなくなる原因なのよ?」

 

『お前の剣は炎のメダルと闇のメダルを合わせた物で出来ていて、お前の髪の毛を混ぜ合わせた事でお前の力になってる……邪悪な力とか炎とかは操れるけど、その反面、水に弱くなるんだよ』

 

「火の聖隷が水に弱いのと同じか」

 

『そうそう。五行思想的にも火は水に弱い。炎のメダルの力を引き出せてる代わりに水に弱くなってる……今まで水関連の出来事が薄かったから気にしなかったが今のお前は水属性が弱点だ』

 

「そう……」

 

「なら、私は?」

 

『金のウロコっていう泳ぎ関連のアイテムを槍に混ぜた。前に似たような事があったのと同じ感じになっている』

 

「そうか……」

 

 自分に起きている事に納得がいった。

 

『それとベンウィック達がなんか急いでそっちに向かってってるから』

 

「ベンウィック達が?おい、それはどういう……っち」

 

 最後に意味深な事を残し光っていたお守りは光を放たなくなる。

 ゴンベエの一方的な通話の道具の様でこちらから通話をすることは出来ず、アイゼンはどういう意味か聞こうとするが聞けずに舌打ちをする。

 

「ベンウィック達がこっちに来ているのなら話が早いわ。遊びはもうおしまいよ」

 

「おしまいって、そんな」

 

 まだ緑色の部屋が残っているのに、もう少しお宝が見つけ出せそうなのに引き上げるだなんて。

 

「命の危険を侵してまでやる必要はないわ。割に合わない。この先になにがあるか分からないんだし」

 

「おぅ……」

 

 ベルベットの気迫に押されてなにも言えないロクロウとアイゼン。

 

「バンエルティア号がこっちに向かってきてるんだし、さっさと出るわよ」

 

 来た道を更に戻ろうとするベルベット。

 エレノア達はベルベットについていこうとするのだが、ライフィセットが立ち止まる。

 

「待って、ベルベット」

 

 ライフィセットの声にベルベットは足を止める。

 

「ベルベットに心配をかけた事は反省してる。でも、最後まで宝探しをやりとげたい!」

 

「ライフィセット……」

 

「自分の解読した内容が合っているか見届けたいって気持ちもあるし、それに一旦始めたことだから最後までやり遂げたいんだ」

 

「……」

 

「だからお願い。最後まで続けさせて」

 

「俺もライフィセットに賛成だな」

 

「同じく」

 

「ライフィセットが此処まで言っていることですし」

 

「ここまで来たからには最後まで見届けなければ、逆に気になってしまう」

 

「あんた達……」

 

 帰ろうと思っているのはベルベットだけで、エレノア達はライフィセットの意見に賛同していた。

 ここまで来たからには帰るわけにはいかない。

 

「確かに、危険な目にはあったがこうして全員何事無かっただろ?こうして俺達全員が力を合わせればって、マギルゥは何処だ?」

 

「ビエンフーも居ませんね……まさか、先に逃げたのでは」

 

「アイツ等ならありえるな」

 

 何処に行ったんだ?

 私が水に飛び込んだ時は既にアイゼン達の方に居たのは見ていたが……。

 

「ベルベット、それで、どうかな……」

 

「はぁ……分かったわよ。そこまで言うなら、続けていい」

 

「本当!?ありがとう!」

 

「よかったですね!」

 

 冒険はまだ終わらない。

 ベルベットの許可が降りてライフィセットは大きく喜ぶ。

 

「ここまで頼まれて、それでもダメって言うなら私の頭が固いみたいじゃない。そこまで言ったのなら、中途半端にしちゃダメよ」

 

「うん!」

 

「後、決してさっきみたいな無茶はしないこと。それは約束して」

 

「分かった!」

 

『お姉ちゃん、心配なんだからね!を忘れ━━』

 

「ふん!!」

 

 例によって口が滑るゴンベエ。

 今回はこの場に居ないので、お守りが入った袋を壁に投げつける……。

 

「あいつ、後で一発ぶん殴る」

 

 ベルベットのその一言に対して誰も意見を言うことは出来なかった。

 それはあまりにも恐ろしかった。燃え盛る炎の様な黒いオーラを纏い大きく重く苦しく、怖かった。本当に怖かった。

 いい加減に素直になった方がいいのにと、この中の面々が思ったものの誰一人、言うことは出来なかった。




スキット 五行思想

アリーシャ「せい!やぁ!はっ!」

ゴンベエ「おーおー、頑張ってんな」

アリーシャ「ああ、今はまだ未熟だが現代に戻る頃にはスレイ達と共に戦える程にはなりたい」

ゴンベエ「既に天族見えるし充分なんだけどな……」

アリーシャ「なにか言ったか?」

ゴンベエ「そういう風に槍の腕を鍛えるのは良いけど、他のも忘れるなよ」

アリーシャ「他と言うと勉学もか……この時代と現代の文字も価値観も大きく異なり学ぶ事は沢山あるな」

ゴンベエ「そっちじゃない。それに関してはしても無駄だろ」

アリーシャ「そうだろうか?過去を振り返り先人達が残した思いを知って未来に生かさなければ」

ゴンベエ「過去の記録が正確に残っていたらな。少なくともオレ達がやってるのは反則技で過去を振り返るとは言えん。何よりもオレ達悪人側だ」

アリーシャ「うっ……確かにそうだ……こんなに罪にまみれて現代にも戻っていいのだろうか?」

ゴンベエ「そもそもで時を越える自体、禁忌だって、そういう話をしてるんじゃねえよ。槍の力を使いこなせるようになれって言いたいんだ」

アリーシャ「……それは、分かっている」

ゴンベエ「ベルベットやロクロウみたいに刃に纏ってじゃなくて、マギルゥやライフィセットみたいに術を使える様になれって言ってるんだぞ?」

アリーシャ「マギルゥ達の様に?」

ゴンベエ「そうだ。アイゼンみたいに近距離と遠距離、両方出来るようにならないと」

アリーシャ「ゴンベエが普段から出しているデラックスボンバーやアステロイドの様な事が私に出来るのか?」

ゴンベエ「光のメダルを突っ込んでないから光属性は使えない可能性が高い。諦めて他の属性を覚えろ」

アリーシャ「他の属性……闇、か」

ゴンベエ「間違ってはいないが嬉しくなさそうな顔だな」

アリーシャ「闇と聞くとどうしても良いイメージがつかないから……決してゴンベエが悪人だと言うわけじゃない。ゴンベエがそういう人間でないのはちゃんと知っている。ダメ人間なのも」

ゴンベエ「最後が余計だったなー」

アイゼン「なにを話しているんだ?」

ゴンベエ「アイゼンみたいに近距離も遠距離も出来るようになれと教えているところ」

アイゼン「ほう、オレの様にか……難しいぞ」

ゴンベエ「何故にドヤ顔なんだ」

アリーシャ「そんなにか?」

アイゼン「単純に性格的な意味で向き不向きから、能力的な意味で出来る出来ないに分かれる。オレ達聖隷ならばその属性の術は得意だが、その聖隷の弱点の属性は不得意といったものもある」

アリーシャ「確かに、エレノアは天響術を使えるがあまり使おうとしない。マギルゥは術を多く使うが近距離での戦闘は得意ではない」

ゴンベエ「それぞれの得意不得意を見つけろ……まぁ、お前の場合は力を増強させる為にぶちこんだメダルとかだからそこを基点に鍛えればいい」

アリーシャ「そうなると、火、水、闇、魂、木……魂はまだ分かるが木属性?」

アイゼン「聞いたことのない属性だが、前に五行がどうとか言っていたな」

ゴンベエ「五行思想な。四大元素と異なる考えだ」

アリーシャ「四大元素?」

ゴンベエ「この世界の物質は火、水、空気、土のどれかで出来ていると言う考え。空気は風と考えればいい」

アイゼン「聖隷の地水火風と似た考えか」

ゴンベエ「そう思ってくれればいい……が、五行思想は本当にめんどくさい。まずこれな」

アリーシャ「五芒星?」

ゴンベエ「五行思想は自然現象、政治体制、占い、医療など様々な分野の背景となる性質、周期、相互作用などを説明する5つの概念であり属性だと思えばいい。属性は全部で5つある」

アリーシャ「だから、五芒星なのか。なら、地水火風に加えて木の属性か」

ゴンベエ「違う」

アイゼン「なに?じゃあ、いったいなんだと言うんだ?」

ゴンベエ「先ず五芒星の1番上が木属性、花や葉が幹の上を覆っている立木が元となっていて、樹木の成長や発育する様子を表す春の象徴。色は青色、方角は東、星は木星、曜日は木曜日、五音は角、五声は呼、五臓ば肝、五情は怒、五腑は胆、五指は薬指、五味は酸、五味が走るところは筋、五主は」

アリーシャ「ま、待ってくれ。なにか色々と余計な情報が入っていないか」

ゴンベエ「その属性が司る色や体、方角、守護する聖獣とかだからなに一つ余計じゃない」

アリーシャ「1度に一気に言われても、流石に覚えきれない。出来れば、もう少し簡単にしてほしい」

ゴンベエ「しゃーねえな。じゃあ、次は土」

アイゼン「地属性ではないんだな」

ゴンベエ「地とすると色々とややこしいからな。植物の芽が地中から発芽する様子が元となっていて、万物を育成保護する性質を示してて季節の変わり目も示している。木属性は土属性に強い」

アイゼン「おい、それはおかしいだろう。植物は土が無ければ全く育たない筈だ」

ゴンベエ「木は根を地中に張って土を締め付け、養分を吸い取って土地を痩せさせる。要は土の力を奪い取るんだ」

アイゼン「なに!?木め、地の力を奪っているのか……っち」

ゴンベエ「露骨な舌打ちはやめろ。で、左上にあるのが水属性。泉から涌き出て流れる水が元となっていて、これを命の泉と考え、胎内と霊性を兼ね備える性質で冬を示す。で、土属性は水属性に一応強い」

アイゼン「なんだその一応は、地属性は水に強いのは当然だろう。オレ達の住んでいる監獄島も岩で出来ていて雨を防いでいる」

ゴンベエ「そうだが、物には限度がある。水の力が土の力を上回れば水の力がダメになるどころか、土も水もどっちもダメになる」

アリーシャ「つまり互いに互いの良さを消し合ってしまうということか……思ったよりも、複雑だな。木属性は水に強くて、火に弱いのか?」

ゴンベエ「いや、木属性は金属性に弱い」

アリーシャ「金属製?」

ゴンベエ「金、属性だ。火属性が右上にあって、これに関してはなんとなくで分かるだろ?左下には金属性があって、その金属性が木属性の弱点……凄く分かりやすく言えば木は刃物で切れるだろ?」

アリーシャ「確かに斧で木は切り倒せて、斧の素材である鉄は金属で炎の熱で溶かす事は出来るが……」

ゴンベエ「だから、めんどくさいつってんだろ。一応、炎が弱点って考えも間違いじゃない。ただ木を燃やせば灰になって土に変えるから、土の力を受けてパワーアップも出来て弱点とも言い難い」

アイゼン「最終的に五芒星の頂点が1つの円になるように繋がっている……これがお前の国の考えか」

ゴンベエ「もっと細かく話せばややこしくなるが、一先ずはそうだと言っておこう。とにかく、今は素材に突っ込んだ5つのメダルの力を引き出せるように術の1つでも覚えればいい」

アリーシャ「5つのメダルの力か……闇纏・無明斬り!……出ない……私と闇属性は相性が悪いのだろうか?」

ゴンベエ「なんで真似をしようとすんだよ、オリジナリティを出せ、オリジナリティを」

アリーシャ「……ゴンベエと一緒の方が覚えやすいじゃないか」

ゴンベエ「そんな顔を赤らめて言ってもときめかない!次ぃ!!」

アイゼン「やれやれ……エレノアの様に使わない、ではなく術の才能が薄いか。甘ったるい空気を作るのは上手いくせに」



100話になにを書く

  • 逃亡イクスくん(笑)(予告編)
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