テイルズオブゼ…?   作:アルピ交通事務局

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皆、続きをそんなに期待していたとは作者驚きです。
早くベルベットの笑顔を曇らせたい(水着はDLCのあれです)


海の神秘

 喰魔探しの旅を再開し、ライフィセットの指針の元に船は行く。

 明確な目的地が分からないので、ハズレの可能性も考慮しなければならない。

 

「辺り一面が海……ハズレの可能性が高えな」

 

 望遠鏡でなにか見えないかと探っているが見えるのは海だけ。

 アイフリード海賊団が現在進行形で作っている世界地図を見ても、この辺りには海しか無い。

 エレノアに聞いても聖寮が管理だなんだとしている場所はない。

 

「ついたよ!此処、此処が地脈点だよ!」

 

「見渡す限り、大海原じゃな。この地の底が地脈点かえ?」

 

「世界の大半は海だ。地脈点は元々陸よりも海が多い」

 

「いくら聖寮でも海底に喰魔を捉えておくのは難しいです」

 

「難しいのであって、出来ないわけではないのだろう。聖寮は天族の意思を無理矢理抑制しているならば水の中に潜る術を開発したりあってもおかしくはないんじゃないか?」

 

 アリーシャの意見に聖寮ならばありえると思う一同。

 そういえば、レディレイクになんか埋まってるらしいがスレイ達は無事に回収することが出来たのか?ライラもよく分かってないとなると、相当昔の遺物だと思うが。

 

「ハズレの可能性が高そうね……」

 

「ごめん……」

 

「謝らなくていいわ。あんたのせいじゃ無いんだから」

 

「いや、待て。虫の喰魔が居たんだから魚の喰魔が居てもおかしくはないんじゃないか?」

 

「一理あるな……ゴンベエ」

 

「ちょっとタンマ」

 

 海の中となるとまともに身動きが取れない。

 水中に潜る術を持っているのが現状オレだけなので全員の視線がオレに向くのだが、オレは自分の部屋に戻って音叉と三角フラスコ、後バッテリーとか色々と入った箱を持ってくる。

 

「まだ出発したばかりで流石に異変は起きていないと思いますよ」

 

「異常事態が起きたら電話を掛けろと居残り組には言ってあるからオレ達発信はほぼねえよ……携帯電話には利用価値が色々とあるんだよ」

 

 正確に言えば携帯電話で使う電波に物凄い価値があるだがな。

 持ってきた装置の電源を起動すると三角フラスコの底に綺麗な光の線が一本入った。

 

「これ、電球……じゃないの?」

 

「電球はお前達に貸したのしか持ってきていない……コレはレーダーだ」

 

「レーダー?」

 

 なにそれと言わんばかりに首を傾げるライフィセット。

 物は試しだと音叉をライフィセットに渡し、鳴らしてみると三角フラスコの底にある光の線が微弱だが波を打つ。

 

「……海の中になにかいるな」

 

「そりゃ魚ぐらい居るでしょう」

 

「海だからと言って常に何処にでも居るわけじゃねえ」

 

 オレの言葉になにやってんだと呆れるベルベットだが、これは意外大事なんだ。

 海に魚は居るとは言うが年中同じところに居るわけではないし、少しでも海域がズレれば全く居ない場所にも出る。そうじゃなきゃ季節の魚なんて概念が無い。

 

「あくまでもこれは居るかどうかの確認だ。この辺りになにも居ないなら完全なハズレで即座に撤収だが、極々僅かな反応がある。即席で本格的な魚群探知機じゃねえから細かな位置は分からねえが、少なくとも喰魔が居る可能性は高い」

 

 聖寮の何時もの結界は見当たらないのが少しだけ気にかかるが、それでも海にはなにかが居る。

 

「あんたが泳いで確かめた方が早いんじゃないの?」

 

「オレの視界だけになっから遅い」

 

 確実性を求めるならば、オレが泳いで確認をするのが良い。

 ゾーラの服を着るかゾーラの姿に変身して泳げば海の中を自在に移動できるが、その時に頼れるのは視界だけだ。

 視力は比較的にいい方だが視覚だけしか頼れないので見えないところとか盲点とかにあったら気付かない可能性がある。その分、レーダーだと確実性は少し薄くなるが一気に探すことが出来る。

 

「海の中になにかが居るってのが分かったから一旦此処に船を停めてもらおう」

 

「ベンウィック、帆を畳め!」

 

 ここにはなにもないから此処にはなにかあると分かり、一歩進む。

 この海域から出ないようにとベンウィック達が帆を畳んでいるとライフィセットが興味津々な顔で音叉を鳴らして反応する三角フラスコを見ていた。

 

「面白そうな顔だな」

 

「うん……ゴンベエの作る物ってどれもコレも変わってるけど、スゴいよ」

 

 オレの作ってくれた物を褒めるライフィセット。

 褒められて嬉しい気分になる反面これはコレでまずいものなんだと自覚しているのであまり喜びを見せられない。

 本格的とは言えないレーダーだが、これを漁業の奴等に売ったとしたらそれこそ魚が取れる場所に移動して取りまくる……まぁ、現代の日本でも同じだから問題はなさそうな気もするが。

 

「だったら、もうちょっと見せてやるよ」

 

 ベンウィック達が船を止めるまで時間が掛かる。

 配線の方をちょこっと弄くりグルグルと電線を巻いた簡単なコイルに繋げてちょうど暇をしていたベルベットの所に持っていく。

 

「あ、音叉を鳴らしてないのに動いた!」

 

「なによ、急に」

 

「ライフィセットに色々と見せてるんだよ」

 

 音叉を鳴らしていないのに波打つレーダー。

 コイルをベルベットから離してみると波が弱くなっていき、もう一度ベルベットに近付けると強く波を打つ。

 

「ベルベットに反応しているのかな」

 

「それはさっきまでのレーダーと違って、金属に反応するレーダーだ」

 

 ベルベットではなくベルベットの籠手に近付けてみると、より強い波を打つ。

 電波さえあれば簡単とはいえ金属を探知する道具が作れる……アリーシャは素で忘れてそうだが、レディレイクに情報を送り続けなければならない。適当な物を送りつけてたりするし、そろそろちゃんとした物を送らなければ刺客を送られそう、いや、送られてたっぽいな。

 

「因みにだが、股関(ここ)に当てても意味は━━ぐっはぁ!?」

 

「あんたはなにを教えてるのよ!!」

 

「こ、恒例行事です……やらんと、アカンねん……」

 

 股間にレーダーを近付けるとベルベットから拳骨をくらった。

 金玉に反応するしないのネタは男ならば一回はやらなくちゃいけない……下ネタとか言わなそうな奴等が割と多いし、こういうのをオレが引き受けとかなければ誰がやる?ベンウィックか?ダイルか?

 オレの言うことに付き合ってられるかとベルベットはこの場から離れていき、ライフィセットはオレを心配してくれるのだが、レーダーの方に目が向く。

 

「まだ反応してるみたいだけど」

 

「そりゃあ金属に反応する物だからな、船の金属にも反応する」

 

 微弱ながらも波を打っている事に気付くライフィセット。

 バンエルティア号は木造船だが乗っている奴等とか資材に金属製の物がある筈だから反応してもおかしくはねえ。コォーンと音叉を鳴らすと強く波を打つが金銀財宝はあまり金属探知機に反応しない物なのであまり気にしないでおく。

 今回の目的はこの前の様なお宝を探すのではなく喰魔を探すことなので魚群探知はともかくとして、金属探知は必要無い。

 

「おーし、お前等船を停め終えたぞ」

 

「なにか見つけるまで、上がってくるんじゃないわよ」

 

「おい、難易度高すぎだろう」

 

 船の帆が畳まれてベンウィックから船が止まった報告を受けるとさっきの事を怒っているのかベルベットの容赦の無い鞭が飛んで来る。もしかしたら喰魔がここに居るかもしれない。そんなレベルの可能性なので、なにもない可能性もある。

 ハズレを引く可能性もあるのに結構な無茶を言う……つーか

 

「オレの負担がデカすぎる」

 

 よくよく考えればオレの負担がバカみたいに大きい。

 海の中に居るかもしれない喰魔を探すとなれば、モアナやベルベットの様な人間をベースとしてねえ可能性が高い。そうなると話し合い云々が通じず、いつぞやのクワブトの様に戦闘をしなければならず水中なのでオレしかいない。

 

「1人で全工程をやらすの勘弁してくれよ」

 

「仕方無いでしょ。あんたのせいで私、泳げなくなってるんだから」

 

「泳げたら付き合ってくれるのか?」

 

「……まぁ、泳げるようになったらね」

 

「そうか……じゃあ、泳ぐぞ」

 

 言質は取った。

 炎のメダルの力がモロに出ているベルベット。泳げなくなった原因が分かっているのならば話は早い。

 

「これがあれば水の中を泳ぐことが出来る」

 

 アングラーの水カキと銀のウロコをベルベットに渡す。

 泳げるようになる道具があったことに驚くのかポカンとするベルベット。

 

「これも、貴重な道具かなにかじゃないの?」

 

「いや、それの上位互換を使ってるし別の道具があるからそこまで価値は無い」

 

 銀のウロコを貴重な道具と見るが、金のウロコという上位互換やゾーラの服があるので価値は薄い。

 とはいえ、水に対する耐性が弱まっているベルベットにとっては持っておかないと泳ぐことが出来ない。ゾーラに変身する事の出来るオレには不要だ。

 

「さっきから付き合うだなんだ不穏な会話をして、いったいなにをしているんだ?」

 

「オレ一人で泳いで探すのは効率悪いからベルベットに頼んでんだよ」

 

 少しだけムスっとしているアリーシャ。

 付き合ってと言っているがそういう意味ではないとちゃんと説明をするのだが、不機嫌そうな顔は続いている。

 

「だったら、ベルベットじゃなくて私に頼まないか」

 

「……お前は後で誘うつもりだったぞ」

 

「っ……何故ベルベットに先に声をかけたんだ。私なら直ぐに海に飛び降りたぞ」

 

 笑顔でとんでもない事を言ってくれるアリーシャ。

 泳ぐのが上手くなってたり水に対する耐性が強まっただけで根本的な肺活量云々は変わっていない。いや、特訓で増えてるけど、そこまでだから海に飛び降りるのは心臓に悪い。

 

「いや、たまたま近くに居たからだ」

 

「あんた、ロクロウでもよかったの?」

 

「ぶっちゃけ、誰でもいいぞ」

 

 オレ一人でやるのは効率が悪い。

 シンプルに数が欲しいので泳ぐ云々を言っているのであって、変な下心はそこにはない。アイゼンでもロクロウでもマギルゥでも、なんだったらビエンフーでもよかったのである。

 その辺りの事を言うと物凄く冷たい目を向けるベルベットとアリーシャ。残念ながらオレは変な下心を向けていないので、オレは悪くねえ。

 

「とにかくだ、オレ一人だと効率が悪すぎる。右側が行けても左側を捜索できなかったりするわけだ」

 

 話を本来の道筋に戻し、海を泳いでの捜索の効率の悪さを言う。

 

「なに、オレ達もなにもしないというわけではない」

 

「なにをするのですか?」

 

「当然、これだ!」

 

「ええっ!?」

 

 アイゼンは自信満々に取り出した……釣竿を。

 

「なんだ、その反応は」

 

「ここに来ての釣竿だと誰だってそうなんに決まってんだろ」

 

 海の中に直接潜って云々の話をしている中で釣竿を出すな馬鹿野郎。

 いきなりの提案にライフィセットとエレノアも驚いているじゃねえか。

 

「ただの釣竿じゃない、フジバヤシの釣竿だ。長さは九尺三寸一本竿、素材は伊賀栗竹、生き物の如く粘る四分六の胴調子に腕と一体化する様な握りの巻き具合、そして蝋色漆の仕上げ……文句の付け所の無い逸品だ」

 

「それについての文句はねえがそれを語っているお前に文句がある」

 

 ドヤ顔なのが逆になんかムカつく。

 ただ単に釣竿の自慢がしたかったから言っている感じがある。

 

「そういうことでなく、何故喰魔を相手に釣りなんですか?」

 

「逆だ。喰魔だからこそ釣りなんだ」

 

「はい?」

 

 言っている事がよく分からないので目を細めて呆れるエレノア……うん。

 

「オレに引っ掛かると痛いからやんなら後にしてくれよ」

 

「そうは言うけどよ、俺達はお前みたいに水の中を自由に行き来出来ないぞ?」

 

「馬鹿を言ってるんじゃねえ……泳ぐための道具を作っていないと思うのか?」

 

 さっきから色々と言っているが、こっちだってなにか無いわけじゃねえ。

 ゼルダの伝説ゆかりの泳ぐ道具以外にもちゃんと泳ぐための道具は持ってきている。魚群探知機をなおしに部屋に戻り、酸素ボンベを持ってくる。

 

「この中に空気が入っていて海の中でも呼吸が出来る」

 

「お前、何時の間にそんな物を」

 

「そりゃあ監獄を拠点にした日からに決まってんだろ」

 

 拠点を確保した時点で大分自重は捨てている。

 携帯電話を作るのと平行して役に立ちそうな物は色々と作っている。

 

「これがあれば水の中でも……僕、泳いでみたい!」

 

「泳げるつっても20分位だから無茶だけはすんなよ」

 

 目を輝かせて挙手するライフィセット。1つ目はライフィセットに決まりで残すは2つ。

 誰か挙手をするかと思ったのだがロクロウ達は挙手をしない。

 

「んだよ、お前等やらねえのか?」

 

 ロクロウ辺りはやりたいと言ってくると思ったが、珍しく言ってこねえ。

 

「いや、泳ぎたいには泳ぎたいんだが今回は喰魔が目当てだろ?戦うことを考えれば、武器を海水に漬けるわけにはいかん」

 

「ワシはパスする。間違えて鮫の餌になるのはごめんじゃ」

 

「私は泳いでとるよりも釣ってとる方が得意ですので」

 

「……オレは息継ぎがヘタとかそういうのじゃない。シンプルに水に沈む」

 

 ロクロウ、マギルゥ、エレノア、アイゼンはそれぞれの理由で断る。

 酸素ボンベ、作る過程で空気入れが爆発したりしたんだが……まぁ、使わないなら使わないで現代に戻った時にレディレイクの湖に沈んでいる物がなんなのか確認しに行けるからいいんだけどよ。

 

「ゴンベエ、私はこれ(酸素ボンベ)よりもあれを」

 

「アメッカはこっちだったな」

 

 前にヘルダルフを海に沈めた時、ゾーラの服(トワイライトプリンセスver)を着て貰ったので渡す。

 

「一応、オレも着替えておくか」

 

 海中に喰魔が居たら、戦うことになるのはオレ達だ。

 ゾーラリンクの状態でも十二分に戦えるが人以外をベースとしている喰魔ならば分が悪かったりする。オレ、手加減があんまり得意じゃないからな。殺してはいけないとなるとやりづれえ。

 ゾーラの服に着替えるべく船内に戻るとライフィセットがやってきて何事かと聞けば、ベンウィックが海に潜るんだったら着替えとけと水着を持ってきてくれたので着替えることに。

 

「なによ……言いたいことがあるなら言いなさいよ」

 

「……見るんだったら、もうちょっといいシチュエーションで見たかった」

 

「……そんな暇はないわ」

 

 ベルベットも水着に着替えていた。

 ただの水着ではない。ビキニ?否、バンドゥビキニというベルベットのセクシーな魅力を引き出す水着でありパンツもなんか薄い。

 

「私も水着に着替えればよかった……」

 

「いや、そっちを着てくれ」

 

 ゾーラの服を着ているアリーシャは水着を着てこなかった事を悔やむが、今はそういう空気じゃない。

 ベルベットの水着は非常に似合っている。なんか髪型までお洒落に決めており、海辺で遊んでいたらナンパされる……いや、近付くなオーラを若干出しているから近付きにくいか。

 ベルベットとライフィセットに酸素ボンベとゴーグルを渡して、使い方を説明する。20分ぐらいしか潜れないのとオレ達と違って自在に泳ぐことは出来ない。水中なので会話もまともに出来ないので手話も覚えて貰う。

 

「……ここから飛び降りるのか」

 

「ん?そりゃまぁ、それしか方法は無いからな」

 

「今更ながら海を真っ二つにした方が早い気もするな」

 

 バンエルティア号から飛び降りして海に潜らなければならないとなると、色々とめんどくさい。

 それなりの高さがあるので飛び込んだときの衝撃はそこそこだからと今更ながら海波斬を使えば良かったんじゃないかと思い始める。

 

「お前な、前に海を割って大変な事になっただろ。あの時は港だったけど此処で海を真っ二つにしてみろ。なにがあるか分かんねえぞ!」

 

 海は割るもんじゃねえと怒るベンウィック。

 それが一番早い方法かもしれねえが、ここまで来たら泳ぐしかない。

 

「よし、いくぞ!」

 

 臆することなく海に飛び込むアリーシャ。バッシャンと大きな水飛沫を上げる。

 

「っと、オレも行くか!」

 

「よし、僕も!」

 

 オレ達に続いて海に飛び込むライフィセット。

 一応空気を入れているとはいえ鉄の塊を背負っているので心配だったが、普通に顔を浮かび上げてプカプカと体を水の中から浮かす。

 

「ベルベット、凄く気持ちいいよ!早く来て!」

 

「わ、分かってるわよ!」

 

「大丈夫だ!私達がいる!」

 

 完全装備のベルベット。

 水に巻き込まれて溺れたのはつい最近のことであり、少しだけ飛び込む事を躊躇している様子である。とはいえ、行こうという気持ちはある……あるんだがな。

 

「よし!」

 

 最後に飛び込んだベルベットを見てガッツポーズを取るアリーシャ。

 うん。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「大丈夫よ」

 

 ちゃんと全員が泳げているか船の上から確認をしてくるエレノア。

 銀のウロコとアングラーの水カキのお陰で水に対する抵抗が無くなったベルベットは喜ぶのだが、うん。

 

「ベ、ベルベット!?」

 

 顔を真っ赤にして両手で隠すライフィセット。

 

「なに、っ!?」

 

「なぁっ!?」

 

 なにに驚いているのかと聞こうとすると原因に気付くベルベットとアリーシャ。

 言うまでもないがベルベットの着ている水着は遊ぶ為のバンドゥビキニの水着であり、スキューバダイビングとかで使われる全身タイツみたいなのじゃない。

 酸素ボンベを背負って泳ぐスキューバダイビングで全身タイツを着るのは体温が下がるのを防いだりするのだが、体温の概念が薄そうなベルベットやライフィセットにはあんまり関係の無い話である。

 ただ遊ぶために作られた水着であり本格的な泳ぎの為に作られた競泳水着でないのは確かである……まぁ、なにが言いたいかといえばだ。

 

「ベルベットの水着を手に入れた!」

 

 ポロリはあった。

 

「ベルベット、前を隠して!!」

 

「なんで何時もこうなるんだ!!見るんじゃない!!触るんじゃない!」

 

「あんた、早くそれを返しなさい!!」




スキット 言葉もポロリ

ベルベット「全く、あんたが関わるとロクな事にならないわね」

ゴンベエ「そうは言うけどよ、そんな水着を着てきたお前が悪いからな」

ベルベット「仕方ないでしょ。あれしか胸のサイズが合わなかったんだから」

ゴンベエ「どんだけバリボー!?……てか、その割にはバッチリ髪型を決めてきただろう。海に潜ればセットが崩れるっつーのに」

ベルベット「ああしてないと違和感を感じておかしいのよ」

ライフィセット「プハァ」

ベルベット「ライフィセット……どう?」

ライフィセット「凄いよ、ベルベット!本当に水の中で息をすることが出来るよ!」

ベルベット「そうじゃなくて喰魔か結界かなにか見なかった?」

ライフィセット「あ……えっと」

アリーシャ「海の中には結界の様な物は見えなかった……が、泳ぎ始めたばかりだ。行っていない底の方にあるかもしれない」

ゴンベエ「だとよ……ライフィセット、もうちょっと探索を。万が一が怖いからアメッカと離れるなよ」

ライフィセット「うん!頑張って探してみるよ!」

ゴンベエ「アメッカ、頼んだぞ。深いところにいって水圧の関係で死にかけるのは洒落にならない」

アリーシャ「ああ、任せてくれ……ゴンベエは?」

ゴンベエ「ベルベットの付き添いだ」

アリーシャ「そうか……」

ゴンベエ「なんだ?」

アリーシャ「私も、その……水着を着てきた方がよかっただろうか?」

ゴンベエ「いや、その服を着てくれた方がいい……大体、お前、水着があるのか?」

ライフィセット「水着なら船に全員分あったよ」

ゴンベエ「あるのかよ!?……まぁ、あったとしてもそれを着てくれる方がありがてえよ。溺れる心配がなくなるんだから……頼むから破くんじゃねえぞ。それ二着しか無くて、泳ぎに特化してるのそれでオレも使うんだから」

アリーシャ「そうか……ゴンベエと同じ服を……」

ゴンベエ「ニヤけんなよ」

ライフィセット「もう一度、潜ってくるね!アメッカ、行こう」

アリーシャ「ああ」

ゴンベエ「……そういえば、調子はどうだ?体から力が抜けるとかそういうのはないか?」

ベルベット「別に、悪くはないわよ」

ゴンベエ「なら、よかった。オレ達も泳ぐぞ……」

ベルベット「なによ、この手」

ゴンベエ「いくら体が楽になったって酸素ボンベ背負ってのダイビングははじめてだろう。通常の何倍も水の中にいるし、海を潜るのもはじめてだろう。手を握ってやるよ」

ベルベット「そこまで子供じゃないわよ!」

ゴンベエ「子供とか大人とか関係ねえよ、ゾーラに変身すると手が滑って剣すらまともに握れなくなんだよ。その前に泳ぎになれてくれねえと、また大変な事になる」

ベルベット「大変な事ってなによ?」

ゴンベエ「人工呼吸と心肺蘇生をしないといけない」

ベルベット「っ……あんた、また」

ゴンベエ「嫌なら手を握ってくれ。それともそんなにオレの事が嫌いか?」

ベルベット「……じゃないわよ」

ゴンベエ「だったら、手を握ってくれよ」

ベルベット「……」

ゴンベエ「あ、そうだ。一個だけ言い忘れてた。水着、似合って、痛い!!っちょ、握力と暴力!!」

ベルベット「五月蝿いわね、さっさと潜るわよ!」

ゴンベエ「ったく、折角人が褒めたってのに……お前はもうちょっと自分が美人でバリボーな自覚を、だから握力を強めるな!」

ベルベット「あんたが余計な事を言うからよ!!」

ゴンベエ「余計な事じゃなくて事実だろう。なんか道中、エレノアばっかナンパされてるけどもエレノアかお前かと聞かれればベルベット、喰魔の左腕はやめろぉ!!」

ベルベット「五月蝿い……余計な事を言わないでよ」

ゴンベエ「余計じゃねえよ。こういう時は水着は似合ってると言うもんだ。例えそれが社交辞令としても」

ベルベット「死ね」

ゴンベエ「馬鹿、お前の場合は事実だろ!」

ベルベット「……沈め!!」

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