そのアナザーライダーは剣士だった。腰の鞘に収められていたであろう白い刀、全身を覆う青白い鎧、そしてなによりこちらを見つめる黒い穴。・・・・・骸骨武者かな。っていうか
「ウォズだけでも大変なのにもう1体追加って・・・嘘でしょ?」
2体のアナザーライダーが俺に向かってくる。ああもう、ウォズも倒せていないのにもう1体追加ってもう無理ゲーじゃん!!・・・やばい。2体同時に攻撃してきた。かわせ・・・
「ジオウ!!」
「!?でや!!」
その言葉を耳にしたとき、ダメージ覚悟で2体目のアナザーライダーに体当たりする。ウォズの方からダメージは受けたけど、斬られるよりはマシだ。それよりも
「ゲイ・・・・ツ?」
聞こえてきた声はたしかにゲイツだった。でもそこには知らないライダーがいた。見た目はウォズに似てるけど、色は赤いし顔には『らいだー』じゃなくて『げいつ』って書いて、ある、し・・・・・・・・。
「まさか、ゲイツ?」
「それ以外に誰がいる。寝ぼけてるのか?」
「この流れるような皮肉・・・ゲイツだ!!」
「喧嘩売ってるのか!?」
まあそれはともかく。ゲイツだけがここにいるってことはおそらく・・・・。
「オマエが思っている通りだ。タロットはライダーのチカラを俺に渡して消えた。これでアナザータロットを倒して終わり・・・のはずだったんだが、なんでアナザーライダーが2体いる。分裂したのか?」
「違う。どこからかもう1体現れたの。それでいまソウゴが戦っていたところなの」
「そうか・・・・・まあいい。いまはアナザータロットを倒してウォズを取り戻すぞ。あのアナザーライダーは後にするぞ」
「わかった。新しい方は俺が足止めするからゲイツは」
「わかってる。早く行け」
「はいはい」
いつも通り軽口を叩きながらそれぞれ別のアナザーライダーと対峙する。ゲイツがウォッチを手にして起動させようとしたその瞬間だった。
「それは困りますわね」
「「「!?」」」
そんな言葉が聞こえると、ピンクのドレスのような衣装を身に纏う女の人がいた。
「そちらのお二方には初めまして、そちらの赤い方はお久しぶり。私はネオタイムジャッカーのメイという者です。以後お見知り置きを」
こいつが、カイとアマツの仲間の最後の1人なのか。クソ、最悪じゃないか。
「ああ、安心なさいませ。今回は戦いに来たのではありません。回収に来ただけですので」
「回収だと?いったい何をだ」
「そんなの、これに決まっているじゃありませんの」
そう言いながらメイはウォズ・・・・・・アナザータロットに手をかざす。すると体内からアナザータロットのウォッチが出てきた。と同時にウォズが人間の姿に戻り、気絶した。
「ウォズ!!」
「私が行く。ソウゴとゲイツはそのまま警戒してて」
ツクヨミが倒れたウォズの下に向かう。というかネオタイムジャッカーがウォッチを手にするって、これカイと同じ流れじゃん。
「というか、アマツじゃないんだ。てっきり今回はアマツが来るのかと思っていたんだけど」
「アマツ?それならそこにいるじゃありませんの」
そう言ってメイは俺の後ろを指差す。そこには新しいアナザーライダーがいた。
「・・・・え?」
「まさか」
「嘘でしょ」
こいつ、仲間をアナザーライダーに?
「当然ですわよね。独断で行動しただけでなくウォッチを1つ無駄に破壊された。罰を与えるのに十分な理由ですわよね?」
「だからって、こんな」
「あら?別にいいじゃありませんの。敵が1人減って嬉しくありませんの?」
「それは・・・・・」
たしかに、そうだけど。でもこんなやり方は。
「それじゃ、私は退場させていただきますわ。このウォッチまで壊されるわけにはいきませんので」
「待て!!」
ゲイツがメイを追いかけようとするが、その目の前にアナザーライダーが立ち塞がる。
「私たちの方が有利な状況ではありますが、今回は退いてあげますわ。・・・・・・・・私の望む、未来のために」
そう言うと時間が止まり、メイとアナザーライダーがその場を去って行った。そのまま姿が完全に見えなくなるとやっと動けるようになった。
そのとき、俺たちは完全に理解した。俺たちは、勝ちを譲られた。言い直せば・・・・・・・・・負けたんだ。
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ソウゴが初めて仮面ライダータロットと出会った場所。そこに2つの人影があった。
「よかったの?あんなにもジオウを殺すことを望んでいたのに」
「なんのこと?」
「あ、そうか。いまのキミはわからないことか」
「?」
「いや、こっちの話さ。・・・さて、こっちからお願いしておいて悪いんだけど」
「わかってる。元の時代に戻すんでしょ」
「・・・・・なんでキミたちはそんなに聞き分けがいいの?まあ、助かるからいいけど」
そう言いながらゲートは小さな箱にタロットのライドキーを差し込む。
『ライダーゲート、タロット♪』
その音声と共に門が現れ開かれた。
「その門の先はキミのいた場所だよ。ライダーのチカラは無くなったけど、化け物もいなくなってるから平和なことは断言するよ」
「そう、ありがとう」
ゲートにお礼を言うとタロット・・・・・いや、星見 巡は門に向かって歩いていく。が、途中で足を止める。
「この時代の仮面ライダーへの伝言を頼んでもいい?」
「別にいいけど・・・・・・なんだい?」
「まあ伝言って言っても、私のタロットカードの1枚に書かれていた落書きなんだけどね。無関係じゃないと思うの」
「わかった。伝えるよ」
「それじゃ、お願い」
そう言ってゲートに1枚のタロットカードを渡すと、今度は振り返ることなく門を潜っていった。ゲートは門が無くなるのを見届けると渡されたタロットカードに目を移す。
「それで、いったいどんな・・・・・」
渡されたカードを見てゲートは首をかしげる。だが、なんらかのメッセージなのだろうと思いソウゴ達に届けることにする。
そのカードにはこう書かれてあった。
『これをジオウ達に渡せ』
それだけだった。
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「まったく、アマツにも困りましたわ。いきなり『アナザーライダーにしろ』って言ってくるのですもの。驚かないわけがありませんわ」
まあ、それならそれでいいですわ。つまり、このまま計画通りにいけばアマツの計画を乗っ取って私1人だけが唯一の王になれるのですから。ふふ。楽しみですわ。あとはジオウを倒せばそれで終わりますもの。うふふふふ。
「・・・・・・」
「!?な、なんですの?」
視線を感じて後ろを振り向いてみても、そこにはただのアナザーライダーになったアマツだけ。なんですの。気のせいですか。
私は後に後悔することになる。なにせ、この先にカイのように捨て駒にされることに気がつかなかったのだから・・・・・・・。
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「なんたる失敗!!まさかこの私が我が魔王の敵になろうとは・・・・・・。この失態、早々に償われねばならない!!・・・・・・・では、話を戻しましょう。まだ新たな話ではございませんが、どうやら新たなアナザーライダーが現れてしまいました。そして、それにつられるように新たな未知のライダーが現れるようです」
暗闇の中にある藁人形。その近くに人影があった。
その人影は透明な刃を振りかぶり、振り下ろした。すると藁人形は真っ二つに斬り裂かれた。その切り口は凍っていた。
次回、仮面ライダージオウ〜フューチャータイム〜
「いったいなんなのこれ?」
タロットから渡された謎のメッセージ
「さて、最後の決戦ですわ」
新たなアナザーライダーを連れるメイ
そして、決戦の前に現れた新たなライダー
「刻さえも凍らせる」
7/21(日) 午前9:00(に更新予定)