ヅダ開発に内海課長を突っ込んで見た【完結】 作:ノイラーテム
外伝:フリズスキャルブ
●バビロン・プロジェクト
ヤ・ウベ降りて、かの人々の建てる街と塔を見給えり。
いざ我らは降り、かしこにて彼らの言葉を乱し、互いに意を通ずることを得ざらしめん。
「ゆえにその名は、バベルと呼ぶ。……ですか」
「そこにはこうも記されていたとされる。
『災いのバビロン。もろもろの神の像は砕けて地に伏したり』……とな」
それはとある書に記された、有名な
本来は神妙に聞くべき言葉なのだろう、だが地上戦の風景や……。
降下作戦に打ち上げられるHLVの姿を映し出しながらだと、皮肉に思わざるを得ない。
「ジャン・リュック・デュバル。貴様にやってもらいたいのは他でもない」
「はっ!」
フルネームを呼ばれて、その男は皮肉げな調子を即座に脱ぎ捨てた。
士官の顔になり、厳正な裁判官よりも真摯に命令を待ち受ける。
「ジオンが優勢で居る為には少しでも長く、少しでも広く制宙権を確保する必要がある」
「お互いのパトロール艦隊よりも、ですな?」
打ち上げポイント周辺を周回し、敵を狩り、味方を守る。
それがパトロール艦隊だ。いちおうは定期航路を巡回する役目もあるが、ジオン優勢下では、上記の任務が優先である。
「話しが早くて助かる。貴様の任務は、その二科を立ちあげて地球上空をジオンの宙に変えることだ」
「小官の全力を持って任務に当たらせていただきます! つきましては打ってつけの機体に関して……」
この場は通過儀礼なモノで、大凡の話は読めて居る。
それでもデュバルは自分を止められなかった。
その様子に納得しつつも、興奮する彼を制して続きが伝えられる。
「判って居る。その為に貴様を呼んだのだ。改良中のヅダを元に当たれ。当面は二機で一小隊、三機目は予備機だな」
「はっ! 全身全霊でお受けいたします!」
ジャン・リュック・デュバルは興奮を抑えられなかった。
自身が最初のテストパイロットを務め、確かな手応えを感じた機体。
雄々しく逞しい推進力と、たおやかで滑らかな機動力は一度知ったら他とは比べられない。
扱いが難しく手の掛るジャジャ馬だが、彼にはその自信が合った。
空中分解する危険性が合ったことを知った時は肝が冷えたが、それでも開発プロジェクトが遁座仕掛けた時は怒りを覚えたほどだ。
それが改良され、一部の精鋭向けに採用されると決まった時は迷うことなく手を上げた。
発展型のTYPE.7はいささかマイルド方向に舵を切り過ぎて首を傾げた物だが……。
暫く前に見た極秘資料のTYPE.9には、頭の芯が蕩けるほどに熱狂した。
(「あれこそ、ヅダが持つコンセプトをそのまま形にした機体だ。……もう直ぐアレに載ることが出来る!」)
正史を知る者からすれば別方向ながら、この世界のデュバルもまた、ヅダに取り憑かれていた。
●特殊作戦二科
二科の移動拠点は輸送艦ヨーツンヘイムだが、厳しい任務ではムサイ……主にコムサイが使用される。
イザとなったらコムサイに入り込み、地上へ降下しても問題ないようにとの配慮だ。二機で一小隊なのは、コムサイの搭載量ゆえであった。
逆に言えばそこまで割り切ることで、連邦よりも深く重力圏に潜る事が出来る。
専用のハッチや緊急乗り込み装置を見ながら、デュバルは最近キチで知り合った同好の士と会話して居た。
「結局、ヅダが分解するとされた原因はなんだったんだ?」
「ヅダよりも前に提出されたMIP社のX-1は分解しませんでした? まずはこの件と比較します」
デュバルは女よりも長く寝食を共にする事になる、技術士官のオリバー・マイと話し込んでいた。
男性同士の恋愛好きな者を貴腐人と呼ぶらしいが、彼は機腐人とでも呼ぶべき、大のメカ好きである。
しかしながらその視点は公正で、デュバルほどヅダにのめり込んではいない。
だからこそ信用が置けるし、より突っ込んだ事を聞くことが出来た。
「それは知っているが、あれは大きいから頑丈と言う事じゃないのか?」
「はい、いいえ。X-1にも精密機械は有ります。ということは別の問題があります。外骨格の基幹部分であるか、あるいはエンジンそのものに」
フム、と頷いてデュバルは考え込んだ。
言われてみればX-1の基幹構造は太く、大きいモノが多い。
だが精密機器や小さな場所が存在しない訳ではなく、機器にもGが掛る事を考えれば、X-1も最高速度に達すれば危険なことになる。
もちろん小さなパーツがそれほど多くないとかも考えられるが、もっと別な理由があるだろう。
「ではエンジンの方に問題があると言う事は? いや、それはないか」
「はい。それなら分解ではありません。ブロッケンやグリ……新型でも爆発して居るかと」
ウツミという課長が口にしたので、よく爆発と称されるが、実際には空中分解が起きるらしい。
エンジンの最大加速を行うと止まらなくなるなどの可能性もあるが、それならそれで、エンジンが先に爆発するのだ。
そして爆発よりも先に空中分解を起こすと言う事は……。
エンジンに原因が合ったとしても、主たる原因は、機体の脆弱性だろう。
「確かブロッケンでは大きくすることで解決したのだったな。推進剤を追加してその欠点を補った」
「はい。ですがヅダの本分から離れてしまいます。そこで新型では基幹部分を太く・大きくし、代わりに搭載量を大きく削減して解決する事になりました」
右手の指五本に、左手の人挿し指と中指の二本を添えて七本に。
その後に三本減らして四本に変更するが、指は両手の人挿し指と中指を残した、いわゆるダブルピース状態だ。
五本の状態から減りはしたが、親指や小指よりも長い指だけが残っている。
言われてみれば、この状態ならば全体重量の減量を行って居ても、構造材の耐久性はむしろ高くなっているだろう。
「空中分解の理由と、解決は判った。しかし搭載量の削減は痛いな」
「目下の所は諦めていただくほかありません。現時点での対策は、使い終わった武装を捨てながら戦闘する事になります」
そう言いながら、二人は組み上げ中の改良機に辿りつく。
そこには特徴的な、肩に細身の追加腕が四本伸びた様な、独特のスタイルを見上げた。
これまでの外骨格に加えて、一部に内骨格を採用して居る。
基幹構造材をインナーフレームに置き変えることで、耐久性を底上げすると同時に、AMBACを強化したのだ。
「これがAsyuraフレームか。奇妙に見えるだろうが、どこか頼もしさを感じるな」
「実際には追加ノズルや武装の懸架用で、必ずしも腕ではありません。この補助腕に色々な装備を付けては見ますが……」
現時点では翼状の追加ノズル集合体、そしてプロペラントタンクだ。あえていうならばシールド。
速射砲が小型化できれば取りつけて継続戦闘を行ったり、カメラの多目的化が可能になれば取り付けて偵察用にも可能ではある。
だがそれはプランであり、現時点では完成像が見えてこないのだ。
「名称と、バリエーション名だけなら決まって居ます。一応目を通しておいてください」
「Type.10ティエンルン。追加武装のオックス、散布装置のベリアル、……加速翼のマスターか」
グリフォンに搭載された意欲的な能力を一度白紙に戻し、現実的に加工修正されたのがティエンルンだ。
地球上空の宙で闘う事を前提に、天龍と銘付けられたらしい。
現時点では対艦ライフルなどを使った後は放り投げ、白兵戦を前提にしている。
ここから三つのバリエーションプランがあり、武装の中から絞った内容が記載されていた。
オックスは補助腕に武装を搭載し、ライフル同様に使い終わったら切り捨てる。
ベリアルは粒子散布型で、ミノフスキー粒子を展開しつつ、多目的カメラで偵察を行う。
マスターは追加ノズルの集合体である、翼を四枚所持して居るが、これも場合によっては切り捨てて戦闘を行うとされていた。
なお重戦闘型では無いベリアルが最後に記載されていたのに、マスターを最後にしたのはもちろん理由がある。
極秘資料として見せられた、黒いヅダ……グリフォンの活躍が原因だった。
マイも同じことを思った事もあり、ここで注釈するようなことはしない。
「最初はオックス・タイプを試すことになるか。突入作戦ならばマスターだろうが」
「そうですね。マスターで最後まで切り込み、コムサイに着艦することになるでしょう」
二人は映像の事を口にはしなかったが、同じ光景を夢見て同じバリーエションを熱く語った。
こうして二科が立ちあげられ、順調にプランが進んで行ったのだが……。
不意の来訪者が持ち込んだ機体により、プランや機材の修正を余儀なくされたのである。
「総帥府より派遣されて来たモニク・キャディラック大尉だ」
「それと私の機体……アヌビスです」
そこには不機嫌そうな女と、異形のヅダが居たという。。
と言う訳で急遽思いついた外伝になります。
レイバーの特殊車両二科と、イグルーの第603技術試験隊を混ぜて見ました。
ヅダが欠陥機では無く長距離移動力・機動性に富み、、ジオン優位の状況で結成されるので、ルートが変更されております。
モニクさんは香貫花の変わりみたいなもんですかね。
完全に思い付きな上、イグルーみてないので続くかは判りません。
●オックス四兄弟
黒光りする尖った機体デザインの事を冗談交じりに言うそうです。
ブラックオックスにグリフォン、マスターガンダムやベリアルを現すとか。
・Type.10ティエンルン
EMS-10ヅダに当たる機体であり、パトレイバーゲーム版のティエンルンの名前を使用して居る。
木星エンジンの改良型である土星エンジンを搭載し、放熱器を加える為にフレキシブル・ベロウズ・リム構造などは取り除かれた。
当然ながら空中分解は起きないし、戦闘時間が1時間みたいな欠陥は存在しないが、それでも搭載量は致命的に少ない。
それでもブロッケンやザクを選ばずにこの機体を選んでいるのは、趣味であり、任務が任務だから少しでも軽い方が良いからである。
・Asyuraフレーム
肩に補助腕が四本あり、これが懸架ジョイントになり、同時にAMBAC強化を担当する。
基本はプロペラントタンクと小形の追加ノズルを装備。人によってはシールドを付けても構わない。
現時点では追加武装の殆どが完成しておらず、追加ストーリーがあればイグルーらしく開発モノになるであろうと思われる。
・対艦ライフル
・ポールウェポン
長物の火器・白兵武器がメイン武装
現時点で他に装備が無いので、一刻も早い開発が望まれている
/武装バリーエション案
・オックス型
補助腕に武装を施す予定で、二種類のカノン砲が考えられている。
土星エンジンそのものを大型カノンとして撃ち出すものと、速射砲を副腕として放つもの。ロマンは前者、現実的なのは後者である。
・マスター型
追加ノズル群を翼状にして、前後に四本配置する。
これによる大推力と複雑な機動を可能にしつつ、手持ちの大型武器では不可能と判断し、格闘戦になった場合は翼も切り捨てることになる。
翼に大気圏突入能力が持たせられないか真面目に相談されているが、明らかに無理であろう。
・ベリアル型
無能公と呼ばれる悪魔、あるいは墜天使をモデルにした機体。
戦闘開始前にはミノフスキー粒子を散布し、カメラによる偵察。
戦闘中は機雷をまきながら移動するマインレイヤーなるのが良いのでは、とされている。
・アヌビス型
モニクが持ち込んだ赤いヅダ。全ての中で最もグリフォンに近い頭のかしい構成をしている。
戦術管制機であり粛清用なので、EXAMを搭載して居るとかいないとか。
追加武装として研究中のビームカノンを外付けできるという噂だが、どう考えてもそんな余地は無い。
なお、オックス四兄弟のデザインとは関係ない……はず