ヅダ開発に内海課長を突っ込んで見た【完結】 作:ノイラーテム
晴れ時々、ガンダム
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北米のとある場所に、映像付きのデータが送られて来た。
さっそく暗号を解いて解凍すると、その日は仕事にならなかった。
担当者が映像に夢中で、首ったけだったからだ。
サイド3から連絡が来たのは、その数日後である。
「いま? デメジエール記念基地でタイプセブンの飛行実験中だよ。モビルスーツに飛べって言うんだぜ。無茶振りするよなあ」
((「「……おまえが言うな」」))
ウツミの言葉にタケオや周囲の技術者たちは一斉に同じことを思った。
連絡先のクロサキは僅かに沈黙した後、鉄面皮に汗だけを浮かべる。
『……フェデリコ事件で英雄になった漢の墓所ですか』
「国際条約違反なのによくやるよなあ。まあそれだけ必死なんだろうけどさ。善良な一市民としては報告しておかないと」
軍隊と呼ばれるには幾つか条件がある。
制服やマークなど、指揮系統に従って居る事などだ。
それを無視する者はゲリラやテロリストとして処分されても言い訳ができない。
とはいえ鹵獲兵機という言葉があるくらいだ。
相手の武装……戦車や軍艦を使っても問題は無い。モビルスーツはグレーゾーンだろう。
味方であると装って攻撃したり、ソレを誰かが通報しない限りは……だが。
『怖い御方だ。あの事件ではこちらも類似の事を起こそうとした連中が左遷されましたよ』
「よりにもよって戦死した隊長に押しつけなきゃこっちも穏便にすませたってのに。……連中、グリフォンまで巻き添えにしようとしたんだよ? いい気味だ」
悪い顔をしている。
会話の内容までは知らずとも、周囲はロクでもないことを話して居るんだろうなーと類推するには十分だった。
まあ、ウツミ課長はいつもこんなですよねーと。慣れ始めた者も居るが。
とはいえこの件は本題ではない。
『RX-78、見ました?』
「見た見た。テムの奴、やるなあ」
会話の内容はもちろん映像のことで、内容はサイド7やルナツー周辺で起きた戦闘の事だった。
その後に起きた戦闘も可能な限り回収しているが、戦闘している相手が捉まらないので、あまり芳しくは無い。
「夜は朝まで運動会の予定だったのに、みんなで観賞会になっちゃってさ。おかげでタケオを宥めるのに大変で大変で」
『それは御愁傷様です。時間制限もあるので手短に行きましょう』
ウツミの冗談に慣れているのか、クロサキは取り合わずに先を勧めた。
「あの赤い彗星が型無しじゃないか。120mmなんかまるで通じて無い」
『バズーカやヒートホークもですね。まあ当たりところにも寄るんでしょうが』
ジオンの敵が活躍し、英雄が地に落ちる。
それは残念なことではあるが、ウツミにとってはすべからく他人事だ。
同じアナハイムからの派遣組である、テム・レイの作ったガンダムを褒めるにやぶさかではない。
『資料はまとめて送りますが、ルナチタニウム製らしいですね。ジオン側で揃えるのは難しそうです。ただでさえグリフォンは金が掛ってますし』
「たかだがモビルスーツ十機分じゃないか。アナハイムは一部門が赤字でも、他で元が取れりゃいいのさ」
でもガンダムは装甲だけで三十機分掛ったらしいですよ? と言われたらウツミとしても苦笑するしかない。
ピュウ♪ と口笛を吹いて、どうしよっかなあと僅かに考える。
沢山造ってコストを下げるスケールメリットは、連邦だからこそ行えるのであって、ジオンでは不可能だ。
連邦だけが軍隊を持ち大々的に量産する様になればそのラインをどこか拝借できるかもしれないが、そうなれば軍の予算も縮小するだろう。
「仕方無い。鹵獲品が出た所でいただいて、そうだな。盾とフレームにだけ使っちまおう。どっちかだけならフレームで」
『そう言われると思ってサイド7で吹き飛んだのを一部拝借しておきました。……最後に一つ。アヌビスが稼働したそうですよ』
重要機密だろうにサラリと告げた
持ち出すのは難しいが、紛失させて置くだけならば簡単だ。
あとは同じ技術はあるので、作っておいてから、紛失した素材だと言っておけばいい。
ここでクロサキはウツミから頼まれていたことを伝える。
かねてから、EXAM搭載機が動いたら、教えてくれと言われていたのである。
「ホント? ということはこないだのか。うん、助かった。これで推測が立てられる」
ウツミはボーっとしている少女と、向こうの方でやってる飛行実験を応援してるバドを交互に眺めた。
色白銀髪の静かな少女と、色黒で黒髪きかん坊の少年とは対照的である。
そこでは宇宙から降りて来たヅダが、ブロッケンよりも軽量なのに飛べない事を示している筈だ。
この試験の後でなら自由に動けるだろうと思いながら、近くで窺って居たタケオに話しかける。
「空間を越えて思念が伝わるって信じられる? 例えば幽霊だとかはその情報が世界に焼きついただけだって……」
「や、やあねえ。そんなオカルトある訳が無いじゃない!」
そういえば幽霊きらいだっけ、かわいいなあ。なんて思いながら昨夜の埋め合わせをしておくことにした。
どこかの空き部屋で小一時間くらい……。
「フラナガン博士の研究さ」
「……例のサイ・コミュニケーター?」
迂闊に手を伸ばすと手首を捻られるので、抱きついたら頬を思いっきりつねられた。
みんなの前だからと言って恥ずかしがる仲でもないと思うんだけどなあ。
とか朴念仁な所も見せて見る。そういうのは二人の時にでも見せれば良いのだろうが、生憎と思いついたのは今である。
「だとするならばマリオンが時々意識が無くなる理由も、EXAMが増やせない理由も判るんだ」
クルスト博士が仕上げたEXAMは、不思議と数を増すごとに性能が落ちた。
まるで解明が出来ず、数に比例する性能だと判った段階で生産は打ち切られた。
「……脳波で全て繋がって居ると言うの?」
「そういうこと。全てで一つの演算機がエミュレートしているのならば、子機が増えれば増えるほど負担が大きいって事になっちゃうよねえ」
問題なのは子機に負担を割り振るなんて便利な事が出来ないことだ。
現状ではどっこかでEXAMが動くと、マリオンが全ての負担を押し付けられて意識が飛んでしまう。
クルスト博士が亡命してしまったのも痛い。
どこで他の子機が稼働しているか判らない現状では、彼女をパイロットとして考える訳にも行かないだろう。
もちろん戦力として数える気など無いが……。
「となると決着を付けるのは、当分先になりそうだな」
ウツミやバドはあやふやな決着に納得して居なかった。
勝負に勝ったが試合に負けた。EXAMを回収できたから実質勝利……というのはプライドが許さない。
負けては行けない場所でも平然と負けてしまうのがウツミだが、『遊び』にこそ夢中になるのが彼の性分だった。
グリフォンよりもイフリート……いや、EXAM搭載機ともう一勝負をしない内は諦められないでいる。
(「連邦に逃げ込んだクルスト博士の研究機関を潰さないとな。テムの玩具に食い付いてくれば話が楽なんだけど」)
これ以上は増やせないようにして、連邦内のEXAM搭載機を潰して歩く。
最後にジオン側に一つ残れば、発動条件をこっちで修正できる。
因果関係を説明しても良いし、演習と言う事で戦っても良いだろう。
まあ無理なら強引に勝負を挑むだけさと、物騒な事を考えながらヅダ系のモビルスーツが二機、徒競争をしているのを他人事のように眺めて居た。
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それはそれとして、間近な問題をウツミは考えておくことにした。
もし今すぐRX-78と闘えと言われた場合だ。
「バド? 君ならあの白い奴とどう戦う?」
「ガンダム? あんなん関節技で投げ飛ばせばおしまいやねん」
ウツミは子供の答だと笑う気にはならなかった。
子供の言う事にはしばしば事実が含まれる物だし、関節技と投げ技の区別なんて彼にも付かない。
彼にとってタケオが覚えて居る、0G格闘術だか柔術だかの技くらいなものだ。
「だよねえ。今ならそれで勝てる。でも勝ったところで誰も喜ばない」
「おねーちゃんほど速うなかったしな。もうちょっと動きがようなれば、ビーム警戒せなあかんけど」
そう、そこなのだ。
現状で倒しても勝利を祝ってくれる者などいない。
スポンサーが聞いたところで、マリオンほど強くない相手だと一蹴するだろう。
そして……。
時間が経過して相手が
戦況はメガ粒子砲の応酬で方が付き、ロボット同士の勝負にロマンなど介在しなくなっている可能性が高かった。
「仕方無い。手持ちのメガ粒子砲には今の内にご退場いただきますか」
「でもどうするの? 支援機のほうはともかく、RX-78の方はかなりのものだったけど」
連邦が最初に作ったモビルスーツである、RC-77ガンキャノンは狙撃型だ。
性能を命中精度と距離に割り振って居て、直撃しなければまだ耐えられるシロモノだ。
映像で見たところパイロットも素人の様だが……ガンダムの方は直撃しなくても融けるレベルだった。
「パーッとさ両軍でビーム撹乱膜を撃ちあげてから戦う用にしよう。今だってミノフスキー粒子があるんだ。大した差じゃないよ」
「……どっちにもバラまく気? ジオンにだけ供給すればいいのに」
現状、ビームを邪魔する能力は開発されてはいる。
しかしI・フィールドは机上の空論で、実現範囲にあるビーム撹乱膜は、まだ運用研究の最中だ。
どんな方法が便利なのか理解される前に、ウツミは自分の都合が良い様に広めてしまおうと言う訳である。
早速といいながら技術者陣に向き直る。
「飛行計画がポシャってタイプセブンのペイロードがまた空いたろ? あそこに詰めて援護に出しちゃおう。この際だ、ホルバイン小尉のタイプテンも直してあげて」
「構いませんが……あのシャア少佐なら倒しちゃいませんかね?」
もちろんビームライフルが役立たずになる記録映像を撮るつもりだ。
それを編集して、撹乱膜があると、いかにも役立たずですよと両軍の首脳陣に送りつける算段だ。
「その場合は他の餌でお願いするしかないなあ。できれば切りたくない手札だけど」
「シャア少佐に関して何か掴んでるの? ルウム戦役の英雄とは聞いて居るけれど」
ウツミは珍しく苦い顔をして頷いた。
詳細を話せるほど気易くないし、長いだけなので手短に事例だけを応える。
「まあね。ボクもシャトルで吹っ飛ばされたくないし、ガルマ様が損傷したところを護衛で下がってもらうくらいにしようか」
誰かが聞いたら悪辣というんだろうなあと、ウツミは今後の計画を練り始める。
もちろん言われても止める気など無いが……。
史実の方がもっと悪辣だったと聞けば、ふてくされてむしろ派手にやったかもしれない。
と言う訳で、思いつく範囲で第二部序盤を書いてみました。
外伝のころに北米で飛行試験型でも任されて居そうなので、それに絡めて二・三。
●デメジエール記念基地とフェデリコ事件
ヒルドルブの戦いですが、巻き込まれた、あるいはその可能性を考慮して渋い顔です。
そこで今後、同じ様な事件が起きないように細工したわけですが……。
じつは古代と違って、現代では相手のフリをして戦闘を仕掛けるのは、かなりグレーな事になります。
暗闇などで偶然ならシロ、鹵獲兵機に色を塗ったり紋章をマーキングして使うのもシロ。
でも相手の服を奪って着て騙すとか、相手の装備をそのまま使って何も表示しないのはクロです。
もちろん「駄目なのか判らないなー」と試し、相手が「あれは問題だろう!」と追及しない限りはグレーのまま。
この辺のことはガンダム放映当時は知られて無いことで、イグルーの時は知っている人は知っている範囲。
グレーゾーンで試した戦術を、世間に公表した上で、クロな証拠を匿名で提出した感じですね。
公表されたので連邦は尻尾切りをして、戦死したフェデリコ中佐に全てをなすりつけ、そのことをあとで公開されてダブルパンチ。
ジオンも同じことこの後する筈だったのですが、計画者を左遷したので、その試験は起き無くなります。
と言う感じになるのですが、本編で書くことも無いのでこちらに記載して居ます。
●テム博士はアナハイム、連邦のガンキャノンは既に完成
オリジン時空が入って居るので、こうなっています。
前述のジオンも連邦のフリをしようとしたのは、このガンキャノンのフリと言う訳ですね。
●EXAMが増えない、マリオンが気絶する理由付け
サイコミュで繋がって居る事を前提に動く、演算機である。
ゆえに数が増えれば増えるほど劣化し、マリオンが目覚める時間が少なくなる。
という設定を捏造してみました。
それとは別に、マリオンが操るEXAM搭載機との決着が付いて居ない。
スポンサーやそのライバルもグリフォンたいしたことねーなー。と言うので、スッキリ決着を付けたい。
でもマリオン直ぐ寝るし、突入寝るからパイロットにはさせられない。
だからEXAMを潰していく必要がある……と言う感じですね。
●ビームなんて!
スパロボ中期を知っている方には悪夢の現象。
両軍がビーム対策をしているという状況にして、ビームライフルの撃ち合いは延期。
あるいはなったとしても、撹乱膜やコーティングも広めることで、グリフォンがビーム対策をして居ても、おかしくない状況にする為です。
(広めはするが、本当にトレンドにするまで楽観はしていません。あくまでグリフォンがメタっていても不自然でない様にする為)
この為にブロッケンの余っているペイロードにビーム撹乱膜をつけて上げる予定。
御丁寧に録画し、編集までして送りつける予定ですね。
TAYPE.10『ティエンルン』ベリアル型Ⅱ
ミノフスキー粒子散布用の装備を背中に付ける仕様でしたが、ビーム撹乱膜を設置。
武器は大剣一本か、小剣二刀流の予定になります。
ちょうどよくホルバイン小尉の機体がぶっこわれているので、勝手に仕様変更で直す感じですね。
●シャアの秘密
みんな知ってる彼の正体。
本当のシャア君はシャトル事故(?)で亡くなっております。
ガルマ機を損傷させてシャアを交代させるつもりなのですが……。
シャアが抹殺するよりも、ソフトランディングになるというオチです。