ヅダ開発に内海課長を突っ込んで見た【完結】   作:ノイラーテム

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深く静かに暗躍せよ

 ヅダ系のモビルスーツが二種、射撃の訓練をしている。

TYPE.7ブロッケンと、TYPE.10ティエンルンだ。

 

 ブロッケンは両手持ちの銃にガシャコンと音を立てさせて、スライド。

古めかしいポンプアクションというやつだが、20mの巨人がソレをやると壮観だ。

 

 人間サイズならまだしも、モビルスーツ大のショットガンは容易く的ごと周辺を砕いた。

 

「おいおい。なんだいアリャ。まさか君達、グリフォンにあんな無粋な物を装備させる気だったんじゃあるまいねぇ」

 ウツミは思わず苦笑した。

モビルスーツは兵器なのだから好きな武器を持てば良いが、都合良く用意できる筈が無い。

グリフォンの装備として持ち込まれたのなら、相応しくないと言いたいのだ。

 

「安心してください。ライアットガンはイフリート用に持ち込まれていた物です」

 提出された書類は、ブロッケンをなんとか高速型に変えると言うものだった。

ペイロードが維持できなくなるので、様々な武装を持ち込んで次々に武装を持ち替えて攻撃すると言うものである。

壊れ難い車輪に載せて、後はノズルを吹かす程度から始めるらしい。

 

「とりあえず、我々が用意したのはむしろあっちですね」

「そりゃ結構。弁慶の真似は他のモビルスーツにやらせて欲しいもんだ」

 視線を移すと補修されたタイプテンが拳銃を構えている。

だがウツミはその拳銃にも不満があるようだ。

 

「しかしなんでニューナンブ? 原型にするにしてももうちょっとマシなのなかったの?」

「でっちあげなんで勘弁してください。本命はデザートイーグルでもモーゼルでも好きなのを用意しますよ」

 そんな他愛ないことを言いあいながら、ウツミは少しだけ待った。

疑問はあるが、作った側も何の為か説明してないので、当然続きがあるはずだ。

 

「せっかく北米なんだ。ピースメイカーでも欲しい所だね。……で?」

「ルナチタニウムの加工実験も兼ねて、溶剤とセットで徹貫弾にしてみました。できればボーナスの一つも欲しい所ですね」

 バンドラインならぬバド・スペシャルを用意すると言ったら、ピュウ♪ と口笛吹かした。

さっきまでご機嫌斜めだったのに、いい加減な物である。

 

「いーねーいーねえ。本場のステーキと酒でも奢ろうじゃないか」

「拳銃ではありますが、むしろパイルシューターに近いと思ってください」

 技術者の慣れたもので、おっしゃ! とガッツポーズを決めている者や、指を鳴らしている者も居る。

もっとも北米でなくとも、地球産の食材と言うだけで、宇宙の合成肉よりは美味いのだが。

 

「装甲を突き破って、内部の電極なりエネルギー伝達系を弱めるのが目的です。撹乱膜をライアットガンで散布出来れば理想的でしょうか」

「まっ。そんな所だろ。あの連中の成果をベースにして適当に進めちゃって」

 ショットガンには薬品散布にするモデルもあり、それを参考にしたそうだ。

貫通力ではなく面制圧をとって確実に当てに行ったと見せて、実際は撹乱膜をまいておく。

そしてビームライフルに頼っても、地上での減衰と合わせて役に立たなくさせるという寸法だ。

 

 まあ実際はそこまで綺麗に行かないとは思うが、編集して印象付けるので問題無い。

 

「でもショットガンはともかく、よくルナチタニウムなんか手に入ったわね。あれは宇宙じゃなきゃ精製できないのでしょう?」

「聞きたい? モノ自体は戦闘中に落ちたカケラなんだけどね」

 尋ねてみたものの、タケオは嫌そうな顔をした。

ウツミがこんな切り返しをする時は、たいていロクでもない。

 

「結構よ」

「そう? 残念だなあ……でも教えちゃう」

 ルナチタニウムがあるのは、敵の装甲だから当然だ。

宇宙はともかく地上で追いかけ回せば、破片くらいは手に入るだろう。

しかし、そこには本来、後ろ暗い介入の余地など無い筈なのだが……。

 

「次の量産機をジオニックのフォーティーンと争ってたろ? アレを譲る代わりに、向こうがシャア少佐から回収した物をちょちょっとね」

「呆れるとか、手切れだけじゃ済まないわよ! れっきとした背信行為じゃない!」

 ツイマッド本社に知られたら大事である。

頑張って次期生産機もうちで作るぞー! とか言って居る技術者たちにも申し訳が立たない。

 

「これがそうでもないんだな。ブロッケンとザクのOEM生産で手いっぱい。これ以上はツイマッドのキャパを越えるよ」

「だからって……」

「まあまあ。こっちとしても、願ったりなんですよ。研究はしたいけど予算は無いんで」

 つまり次期生産機の受注を捨てる代わりの交渉であり、こちらも次の次狙いと言う訳だ。

限られる予算配分で全てを研究できないし、TYPE.15開発の鐘を使って色々と研究して居るそうだ。

 

 どのみち争っても勝てないから、今の内から技術検証。

場合によってはジオニックが苦労する技術も、いただいてから、その次を作るという訳である。

 

「もしかして……まだあるの?」

「ご名答。ジオニックはビームライフル目指すって言うけど、そりゃ間に合わないだろうからさ。こっちはビームサーベルを作っておく」

 次の次を目指すと言う事は、当然、そのビジョンもあるということだ。

ここで問題になるのが、ビームライフルが間に合わないと言う意味である。

 

 そりゃ当然、今までしてなかったメガ粒子砲の小型開発である。

時間が掛るのは当然として……。

タケオはそこで、二重底になった交渉と陰謀の裏表を悟った。

 

「この悪党! 間に合わないって……大無しにしようとしてるのは、貴方じゃないの!」

「そりゃどうも。ボクにだって愛社精神くらいはありますとも。結果、巡り巡って我社の為だろう?」

 我社ではなく、我者の間違いだろうとか思った。

ようは自分が良い様にひっかきまわして、予算も技術も手に入れると言う事である。

 

「でも以外ね。メガ粒子砲ならなんで反対するかと思ってたけど……白兵戦だから?」

「んー。チャンバラは男の子のロマンだけど、ガンダムだって使ってるだろ? その研究にね」

 ビームサーベルを開発すれば、自分達でも使える。

だが、それは同時に回避や防御の研究もできると言う事だ。

 

 研究段階で検証するだけならば、発展途上の兵器でも実験はできる。

攻め受けの強度・サイズを調整して、おおよそモビルスーツサイズにすれば、大まかなデータが取れるだろう。そこから計算するのは容易い。

撹乱膜がある場合、口には出して居ないが、対ビームコーティング技術等も進むだろう。いや、むしろこちらの方が上かもしれない。

 

「そうだ。その話しも兼ねて、今の内に課長に御伺いしなくてはならないことがあります」

「うん? なんだい? 悪い様にはしないから言ってみなさいな」

 まるで社長が新規プロジェクトの前に、口だけは良い事を言っているようだ。

だがウツミは違う。

面白ければ採用するし、彼がつまらないと思えばその時点で駄目だ。

 

「グリフォンの改修計画です。現在、フェデリコ事件で予備パーツが吹っ飛んだところで、ティエンルンの補修に使ってしまいました」

「あー。あれは痛かったなあ。だからここで、長期の開発プランを組むのは悪くない」

 北米の物資集積所が鹵獲ザクに襲われた時、思いもしなかった物だから結構入りこまれた。

それだけならガルマに御愁傷さまとでも言えば済むのだが、問題はグリフォンのパーツも含まれていたことだ。

一部はヅダ系だから共有できるにせよ、ワンオフの特注だから揃えるにも時間が掛る。

 

「それをボクが反対する訳が無い。一回遊ぶだけなら予備パーツ要らないし。……で?」

「改修プランを勧める前に、どちらが良いか、念のために方向性を聞いて行こうと思いまして」

 提出された改修案は二つ。

どちらも木星エンジンが土星エンジンに強化されたことで、向上した搭載量を利用するものである。

 

 全体強化型のタイプBと、特化型のタイプJがある。

ビームのBかと聞けば、バトラーのB。Jはイエガーらしい。

 

「一つ目は設計に遊びを持たせてビームサーベルの装備や他の装備、および稼働時間の限界を取り払うものです」

「次」

 ジェネレーターの強化や、放熱器の追加をするだけでグリフォンは強くなる。

ビームサーベルでの戦闘は恰好良いと思うのだが、ウツミはお気に召さなかったらしい。

剣と盾を持たせれば、ヅダ系は騎士に見えると思うのだが。

 

「二つ目は盾を持たない駆逐仕様です。稼働時間はEXAMを使っても困らない程度に延長。後はすべて性能強化に充てます」

「判ってるじゃないか! イエガーナイン……いや言語が混ざるな。J9で行こう」

 宇宙世紀は様々な言語が入り混じって居る。

ネイティブな場所はそうでもないが、ジオンなどはドイツ系……だと思っても、割りと違う事がある。

とはいえ言語を知って居ると気になるので、ウツミは省略したようだ。

 

 ……まあお気に入りのアニメかなにかの影響だったりするので、油断は禁物なのだが。

 

「フレーム前提に換骨奪胎可能にしていましたので、ルナチタニウム製のフレームを採用します。残りをシールドに回せないので、爪か弾丸くらいですかね」

「さっきのパイルシューターよりは、パイルバンカーの方が好みだなあ」

 まったく無茶苦茶である。

グリフォンが繊細なマシーンだということを理解して居るのだろうか?

この男にとって高価な玩具くらいのイメージでしかないのかもしれない。

 

「フレキシブル・ベロウズ・リム構造をグリフォン用に設計し直しますからそれで勘弁してください。30分……体が温まってから使うなら5分・10分だけなら世界最強は保証できます」

「パーフェクトだ! いいねえ。やっぱヒーローってのはそうじゃないと」

 装備はティエンルンから流用して、イザとなれば自分で撹乱膜をまけるようにする。

その上で対ビームコートを塗っておき、今のガンダムであれば楽勝という前提で設計を見直す事になった。

 

「おっと……こっちがパワーアップするのに向こうが据え置きってのは良くないよな。適当に見繕ってテムに投げないと」

「テム博士なら行方不明になった後、入院中らしいですよ」

 そりゃ御愁傷さま。

そんなことを言いながら、ウツミは次の目標を探し始める。




と言う訳で二回目です。
時間が無いのと、時間が掛るという話題なので、で今回は少し短め。
次はEXAM機を見付けて倒しに行くんじゃないですかね?

ヅダ系の追加装備:
ライアットガン:散弾・薬品弾(撹乱膜)

ニューナンブ:徹貫弾頭・溶化弾頭(内部の機器レベルなら溶ける弾)

エンジェルリング:撹乱膜散布機

●タイプ・イエガーナイン・グリフォン改
 土星エンジンで搭載容量が増えたのだが、潔く運動性の向上に全てを掛けて居る。
フレームの試作品が入っているが、ルナチタニウムではないので多少脆い。
またスペースを圧縮出来て無いので、放熱版がやぱり足りて居ない。

 フレキシブル・ベロウズ・リム構造は多少手直しされているが、まだパイルバンカーという程の威力は無い。
相手が精密機器の塊であるレイバーならまだしも、モビルスーツの装甲には、劇場版Ⅰに登場するゼロのような活躍は難しいと思われる。
本領発揮はルナチタニウム製のクローと、腕部フレームが精製できてからと思われる。
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