やはり俺の隣の席に紙袋が居るのはまちがっている。   作:ト——フ

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第12箱 「メロンパン?」

「ふぅ……よかった」

 

 あの後はというと俺は俺で自由に巡り、お触りや抱っこ等々存分に動物達に癒させて貰った。

 だがあまりに夢中になっていたらしく、時は既に12時前。

 お昼時の為お腹がぐぅと鳴るのをキッカケに時間に気づいた次第である。

 

「……折角だし食堂寄ってくか」

 

 当初の予定では今頃帰途についてる筈なのだが、今の現状では帰る訳にはいかない。なんせ図書館を周って動物達に癒されるくらいしかしていない。流石にそれだけではマズイだろうから、もうちょっとは周っておく。

 まぁしかし、その前に腹ごしらえと、地図を見ながら食堂への道を歩いていった。

 

 ─

 ──

 ───

 

「うぇ……」

 

 時間帯というのもそうなのだろうが、すげぇ混んできた。

 最初並んだ時はそうでもなかったのだが、段々と後ろに人が続いていき今では長蛇の列へと化してしまっている。

 

 人に酔いそうだ……。

 避難するように端っこの席を確保し、注文したラーメンを啜る。

 

「おぉ……美味い!」

 

 目を見開き、小さく声を上げた。

 

 何回も繰り返すが、この学校のことだろうから食堂にも期待出来るのではと、若干ハードルを上げていたのだが軽々と超えてきた。というか店とかでも出せるレベルじゃねぇの、これ?うちの学校から配布された食堂の券を使って実質タダで食ってるんだが、なんだかお金を払わないと申し訳ないような気持ちにさせられる。

 

 しかもここの提供されている食事、列に並んでいる際に聞こえてきた話によると、全て学生が調理しているらしい。なんでも、食育委員の人達が取り仕切っているとかなんとか。

 ……『生徒の自主性を何よりも重んじる』とパンフレットに書かれてあった記事を思い出しつつ、今尚必死に厨房で働いているであろう先輩方に尊敬と畏敬の念を送る。

 

 やだなぁ……なんで学生の身分で働かなきゃならないのか。俺は入学しても絶対に委員会に入らない。近寄らない。働かない。はい、今胸に刻みましたね。

 

 未来の平穏の為、あれこれと頭を巡らせながら麺を啜っていると、隣の席にカチャッとトレイの置く音が鳴る。

 こんな端っこの、しかも俺みたいな負のオーラを流してるような奴の隣に来るくらいだ。

 きっと俺と同じく人に酔っただとか、そんな理由に違いない。

 

 そんな推測を立てるも、かといってさして気になる訳でもなく、気にしても仕方の無いことなので、隣の人への関心を切る。

 

 再び食事を再開させる為に一旦水を飲もうとしたが、その時横から手が伸びてきた。その手に握られているのは

 

「ぁ?……メロンパン?」

 

「93841680」

 

 突如現れたメロンパンを訝しむも、聞こえてくる数字の羅列にはっとなり隣に視線を向ける。

 

「お前……」

 

 数字少女。

 なにかと今日縁のある彼女が座っていた。

 

「7558239444569?19464300141」

 

 そう言い、ぐいっと此方にその手に持ったものを押し付けてくる。

 なんだよと彼女の表情を伺うと、その目からは強い意志が感じられる。絶対に引くことはしないような強固な意志が伺える。

 

「よく分からんが……まぁ、取り敢えず受け取っとく」

 

 受け取ると、一度頷き食事を始め出した。

 何を頼んだのかと思いちらっと目を向けてみると、そこには何層にも重なったパンケーキが聳え立っていた。

 

 ……こんなのもあんのかよ。

 

 ナイフとフォークで綺麗に切り分け、もくもくと食べ進めていく。そんな様を見ていると、なんだか自分も食べたくなってきてしまったのだが、追加で頼むのは流石にお腹がもたない。

 ならここ(箱庭)に通うまでの我慢かと、未来への楽しみが一つ増えたのだった。

 

 ─

 ──

 ───

 

「……はぁ」

 

 ラーメンを完食し食後の時間。

 ここに来る道中で買ったMAXコーヒーを飲みぼーっとしている。楽しんでいただけの午前中であったが疲れもきているわけで。只でさえ人体改造の件で身体がだるい俺としては、暫くはここで休んでおきたい。

 

 そんな風にぼーっとしていると、ふと横から視線を感じる。

 反応するべきか否か数瞬悩むも、後者を選ぶことに。

 いやほら、気のせいだったら恥ずかしいし。

 

 そう思っていると横からとんとん、と机を軽く叩かれる。

 そうまでされたら反応せざるを得ないわけで、顔を向ける。

 

「ん。なんだ?」

 

「998875666001196643444988662889」

 

 俺の手に握られたMAXコーヒーを指し、自分のグラスを差し出す。ジェスチャーなのか、親指と人差し指を曲げて『少しだけ』と伝えようと?している。

 多分少し分けてくれってことだろう。

 

「いや、少しとは言わず1本やるよ。ほれ」

 

 だがそこは俺。MAXコーヒーに興味を惹かれた者がいるならば布教するしかあるまい。

 直ぐに鞄から予備の分を取り出して差し出す。

 

 若干驚きながらも、いや、全部くれとは言ってないと言いたそうな目をしている。

 だろうな。俺も同じことされたらそうなる。

 

「まぁ新品のやつの方がいいだろ色々と。それをグラスに注げばいい。合わなかったら残りは俺が飲むし安心していいから」

 

「……309428」

 

 僅かに逡巡した後、プルタブを開き中身をグラスに注ぎ始める。4分の1くらいかといった所で止まり、恐る恐る口に含んでいく。

 

「8!93547……525!」

 

「おぉ……美味い、ってことでいいのか?」

 

 少し口角が上がった所から察するにお気に召してくれたのだろう。多分だが。

 そう思っていると追加で注ぎ始めた。ってことは確定だな。

 

「ふ、これでまた一人千葉県民のソウルドリンクの甘みの虜になった同士が誕生したか。人と関わる機会が少ないにも関わらず念の為布教用を携帯していた俺の努力が遂に身を結んだ瞬間……よし、八幡的にポイント超高いなこれ」

 

 ついつい嬉しくなってしまい饒舌になる。するとそれが耳に入ってきたのだろうか、グラスに口をつけながらも此方に視線をやってくる数字少女。グラスの中身を飲み終えて、此方に指を指し口を開く。

 

「8、0000?」

 

「いや、正確には八幡っつうか八万なんだが……まぁいいか」

 

 80000と通して呼ばれ突っ込むも、なんだか徒労に終わりそうな予感がしたので諦めることに。

 

 ─

 ──

 ───

 

 ゆっくりと30分程ぼーっとして大分疲れも取れた為、食堂を出て次の目的地である1年の教室に移動中。なんでも各年、13組分もの教室があるらしく、物珍しさもありざっと見て回ろうと思う。

 

と、軽い気持ちだったのだが──

 

 

 

「08899996344753!」

 

「ハハハッ!やるじゃんいいねっ!最高っっ!」

 

なんか異次元バトルが繰り広げられていた。




最後にちょろっと出てきたのはオリキャラです。

〜〜〜雲仙冥加の数字言語〜〜〜

『93841680(さっきの借りを返す。受け取れ)』

『7558239444569?19464300141(早くしないか、不満の筈あるまい?メロンパンだぞ。まるで巨大なおっぱいのように丸くて大きいんだ)』

『8!93547……525!(なっ!もしやこれは……練乳!)』

朴○美さんボイス「……翻訳はこんなもんかね。ったく、相変わらず姉ちゃんは油断するとおっぱいの話しかしねぇ。ま、オレの姉ちゃんだし仕方ねーけどな。んじゃまた機会があれば呼んでくれや。多分本編じゃオレの出番はまだ先だろーからよ」
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