やはり俺の隣の席に紙袋が居るのはまちがっている。 作:ト——フ
「ほーれハッチゃん。名瀬ちゃん特製の弁当だ」
「お、おう……ありがとな」
前日のやりとりから、名瀬に弁当を作って貰うことになったのだが……なにこの子女子力高い。
いや、前々から一緒に昼食を食べてて名瀬の弁当は知っているんだが……こうやって自分の前に置かれてまじまじと見てみると、凄いなと改めて思う。
くっ、専業主夫志望の俺の立場が無い!
小町に料理を任せっきりになってたのが裏目に出たようだ……くそっ!とてもじゃないが小学6年生レベルの俺の調理スキルじゃ太刀打ちできん!!
しかしこいつ色々と凄いよな……。
いや、だってよ。某ゲーム4のチェンソー男を思わせる紙袋被った奴がタコさんウインナー入った弁当作ってくるとか、色々と破壊力が凄いんだが……。
しかもしっかりと味は美味いし、野菜も満遍なく入ってるし抜かりない。
チェンソー男もこれくらいの萌えるギャップがあれば更に人気出るんじゃねぇかな。まぁ、バイオあんまりやったことないから知らんけど。
「おっ、この卵焼き甘いな。俺の好きな味だ」
「ハッチゃん何時もあの甘いコーヒー愛飲してんだろ?
だから、甘い方がいいかなってな」
しかもこの気遣いの出来る面というね。
まぁ確かに俺は出汁巻きでも伊達巻でも、基本どの味付けの卵焼きでも好物だが、一番好きなのは甘いやつだ。
特に伊達巻は好きだな。
正月におせち食う時は真っ先に手を伸ばすまである。
そんで、小町と俺でこぞって食うから、一番最初に無くなるんだよな。
話を戻すが、ホントすげぇなコイツ。
女子力あるし気遣い出来るし頭良いし、ホントなんだコイツおかんか?おかん属性も付いてるのか?
「おぉ、そっか。あんがとよ……っておい、なんだよこれ……」
「?ししゃもだが?」
なにを当たり前のことを、と首を傾げている。
……紙袋が無かったらきっと可愛いかったんだろう……。
「俺の目が腐っていることを暗に示してるんですかね……」
「あー……悪かったな。そうだよな、流石にハッちゃんでも共食いは気が引けるよな。配慮が足りなかったぜ」
「配慮する部分が違ェよ」
こいつ本当にこういう部分も抜かりないな……。
「ごちそーさん」
「おう、お粗末様だ」
いやしかし美味かったな。
普段から自分で弁当作ってるだけあって、どれも安定した味をしていた。
ふざけて入れたであろうししゃもも、他のおかずとの食べ合わせのバランスも考えられていたし完璧だった。
しかし、トマトさえ入ってなかったら100点満点と言えたんだがな。
まぁだが、作って貰ってる立場でそんなことは失礼で言えない。アレルギーとかなら仕方ないかもしれんが、人が作ってくれた食べ物を蔑ろに扱うのは許されんからな。
そんな奴はクズだとはっきり言える。
まぁ、トマトは無理だけど。
「で、どうだったよ?」
心なしか名瀬がソワソワして聞いてくる。
可愛いなこいつ。いつもの態度からのギャップが凄い。
マジでなんでチェンソー男フォームなんだよコイツ。
「普通に美味かったぞ」
「そ、そうか……。そりゃあ良かった」
「あ、弁当箱は洗って返すから悪いが明日まで待って欲しいんだが、いいか?」
「ん?いやいいよ。明日も作ってきてやるし。それにどーだ?なんかリクエストとかあるか?」
「いや流石にそうはいかんだろ。今日ので十分「なんかリクエストとかあるか?」……」
「いや、だからな。何回もお前に世話かける訳には「なんかリクエストとかあるか?」……」
壊れたラジオかよコイツ……。
「はっきり言うが、流石に遠慮させ「ん゛?」……ハンバーグ入れて下さい」
「おう、了解だ」
声はいつもより明るかったが、何か圧力を感じた。
それに加えて身体に刺さる威圧感と、眼力が凄い。あと怖い。
なんだろうな……未来の俺も名瀬には逆らえんような、そんな気がしたが気のせいだろうか。
あ、今更ですが一応この世界は「めだかボックス」の世界です。ですんで、「俺ガイル」の登場キャラの一部が出なかったり、もしくは八幡以外出なかったりって可能性もあります。