やはり俺の隣の席に紙袋が居るのはまちがっている。   作:ト——フ

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マジでもうこの子がヒロインでいいんじゃね……?


第22箱 「……いいよ」

「そろそろあの子が帰ってくる頃合いだろうね〜〜」

 

「ん……そうだな」

 

 結局こいつのペースに乗せられなんやかんやで色々と話し込んでしまった。

 本当なら可能な限り種火周回(経験値稼ぎ)してキャラの育成に勤しむつもりだったのだが……まぁしかし、色々と気の合う奴だったので楽しくないこともなかった訳で。こんな奴となら〝友達〟になれるのでは……と一瞬考えてしまった。がしかし、勿論俺なので言葉にはしてないし本当に一瞬考えただけだ。だから〝友達〟になりたいなんて思ってない……こともないかもしれんが、まぁそれは追々ということで今は置いておこう。

 それに箱庭に入学したら4分の1でこいつとクラスが被ることになる。その時は縁があったということでまぁ、また話すのも悪くないだろうな。

 

 

 ゆっくりと腰を上げながらそんな誰得なツンデレ思考を繰り広げていると

 

 

 

 トゥルルルン♪

 

 

 携帯の通知が鳴る。

 

「あ、私だ〜〜〜。ん〜〜こんな時間にセットしたかなぁ」

 

 そう言いながら携帯を寝転がりながらタプタプし始める大刀洗を尻目に出て行こうとした時

 

「あぁ〜〜はいはいそういうこと。ちょいと待ったヒッキー、これどうぞ〜〜〜」

 

 スカートのポケットから取り出した畳まれたメモ用紙?を俺へと向けてくる。

 

「きっとそれを読んだら診察どころじゃなくなるかもだから、全部終わってからでも読んでね〜〜」

 

「ん、あぁ、なんか分からんが了解した」

 

「そんじゃいってら〜〜」

 

「おう」

 

 ─

 ──

 ───

 

 時は進み俺の診察も済み、後は帰るだけとなった。

 診察の結果は体調万全。どこにも悪い箇所は無い。が、めちゃくちゃ腹が空いている。減りすぎてマジで腹と背中がくっつきそう。

 

 赤さんにお礼を言い、スマホを弄ってごろんごろんしてる大刀洗にも帰る旨を伝えて帰ろうとした時、呼び止められた。

 

「ん、通知……?あぁなるほど。ヒッキ〜〜あのメモチェックするなり、工夫してくれぐれも()()()()ようにね〜〜」

 

「あ、あぁ、そういや貰ったな。了解」

 

「んじゃまたね〜〜」

 

「おう、じゃあな」

 

 そう言って俺は保健室から出て行った。

 

 ─

 ──

 ───

 

 時刻は既に7時半を回ったところ。さて電車に乗って帰りますかねと、いうところなのだが……

 

「や、俺電車こっちだから……」

 

 数字少女が引っ付いて離れない。なんとか離そうと身じろぎするが相変わらずの怪力により全く意味をなさない。

 

「いや、マジでそろそろ離してくんない?そろそろ電車来るから。乗り過ごすから……」

 

「……80(……やだ)」

 

 ふるふると頭を横に振り、若干涙声で返答してくる。さらに涙で潤んだ瞳を此方に向けてくるもんだから声を詰まらせてしまう。

 

 理由は依然と分からないままだが、本当に随分と懐かれてしまった……。何処に行っても付いてくるし、手を繋ぎたがる、さらに言えば偶に背中に乗っかってくることもあるし彼方からの好感度が異様に高すぎる。まるで小さな頃の小町の様な懐き具合に戸惑うことばかりだった。

 

『おにーちゃん 抱っこして抱っこ!』

 

『おぉいいぞー小町ー』

 

『キャー!あはは!次は肩車してー!』

 

『おぉー』

 

『お兄ちゃん大好きー』

 

『俺も大好きだぞー』

 

 おっといかんいかん。純粋無垢且つプリティでキュートな天使との思い出がついつい浮かんでしまった。

 

 話は戻すがともあれだ。なんか昔の妹でも相手にしてる様な、そんな感じなんだよなぁ。まぁ相手が家族でもなく赤の他人で超絶美少女という点が問題で俺としても対応に困ってるんだが。

 

「56002344……32……(せっかく会えたのに……私の……)」

 

「……」

 

 どうしたものか。理由はどうあれこの少女はこのまま俺と別れるのを拒んでいる。……なんだこれ。字面だけ見るとリア充氏ねよってなるな。爆発案件間違いなし。俺が当事者じゃなかったら嬉々としてチャッカマン片手に導火線の元に行くに違いない。

 

『なにあれ 修羅場?』

 

『えぇーなになに え? ロマンチック? キラキラ光ったゆ』

 

『えーヤバくない?』

 

『チッ、人前でやんなよクソが氏ね』

 

『リア充は氏ね』

 

 ざわざわと周りから聞こえてくる。

 くっ、そりゃそうだよな。こんなもん目立って仕方ないよな。

 早急に手を打たねばとなんとか頭をフル回転させ、一つの解へと至った。

 

「ほ、ほら携帯!番号交換しとけばなんとかなるだろ!?」

 

 胸ポケットからささっと電話機能付き多機……めんどくさいから携帯を取り出し、あわあわとしながらも提案する。

 

「っ!」

 

「ほれ、それ渡すから登録しろ。だから離して?な?」

 

「937(うん)」

 

 通じたのか俺から離れ携帯を取り出し弄り出す。

 すげぇ……両手でそれぞれの携帯操作してやがる……。

 1分も掛からない内に操作を終了した少女のハイスペックさに驚きつつも、俺の携帯を此方に向けているので素直に受け取ることに。

 

「62。294419(はい。これで登録できた)」

 

「はいよ」

 

 受け取った携帯の連絡先を開く。

 おぉ。ちゃんと一つ増えてんな。また俺の寂しい連絡先に一つ新たな名前が記されるのだった。

 

 

 ん?名前──?

 

 

 もう一度、つい先程登録されたばかりの欄を見てみるとそこには──

 

 

 

 

 

 

 雲仙冥加

 

 

 

 

 と、記されていた。

 

 

「──っく、ふふ」

 

 思わず笑いが溢れてしまった。

 まさか最後の最後にやっと名前を知ることになるとは。順序が逆転し過ぎていて笑うしかないだろ。

 

「?」

 

 首を斜めに掲げて不思議そうに此方を見ている。

 そうか。名前も知らない奴に異様な程に好感を持たれていて正直不気味だと思ったりしたが、そうか。

 こいつは雲仙冥加っていうのか。

 

(1、1514802094419!?504915……! 64、314。22205175945049844299273951(お、お兄ちゃんが笑ってる!?なんてレアな……!はっ、そうだ。ご機嫌な今なら頼んだらやってくれるかもしれない))

 

「……802130(お兄ちゃん)」

 

 ずずいと此方に寄ってきてそう一言伝えると

 

「……13853830……44411?(一緒に写真……撮っていい?)」

 

 携帯をカメラ機能が開いた状態で俺に見せ、自分と俺とを指で交互に指し示している。

 

 ……もしかして写真か?

 

「いや、写真か……ちょっとそっ……」

 

 何か頼まれれば反射的に断る俺の癖から、断ろうと顔を相手の方へ向けると、分かりにくいかもしれないが、確かに真剣で、しかし緊張も孕んでいるような、そんな決意の篭った瞳があり再び言葉に詰まってしまう。

 

 ──こんなのものを見せられて誰が断れるというのだろうか。全くずるい奴だなと一つため息を吐き

 

「……いいよ」

 

 了承の旨を伝えるべく、右手で軽くOKマークを作る。

 

「4、19241!(っ、ありがとう!)」

 

 トトっと此方側に回り、お互い向かい合っていた状態から、横並びになった。

 

 というか待てよ、こんな風に所謂リア充共がやるような写真の撮り方なんて初体験だし、どんな顔したらいいのかとか、しかも周りの生暖かいようなこそばゆいような視線も気になるし、どうしたらいいのかと頭がぐるぐると混乱してきた。

 

 身長の関係でしゃがむように促され、そして横から言葉が聞こえてくる。

 

「38112703。3(じゃあいきまーす。3)」

 

 ッ!カウントダウンか!

 

「2」

 

 間違いないカウトダウンだ時間がない。もうどうすりゃいいか分からんからレンズ越しに風景を見ていよう。とおもったら好奇の視線で見てくる人たちが……くっ、もう無になろう。

 

「1」

 

 無になろうと努めてぼーっとしていると、がくんと、少し身体が揺れ動いた。横をちらと見やると腕を組まれているようで、自然とそちらへと身体が傾いていく。そのことに対しての驚愕と、近すぎる隣り合った雲仙への緊張が綯い交ぜになった表情がシャッターに収められた。

 

 

 

 




 雲仙姉は自分の名前を日本語で覚えてるって設定でお願いします。この小説では彼女の家族想いの面を強調させている為、流石に親に付けて貰った名前までは通じない筈がないだろってことにしてます。
 なんで、家族の名前は日本語で言っても通じます。
(まぁ、ドラゴンボールが通じてたくらいなんでね。うん。いけるでしょと)

 あとちょっとした小ネタというかですね。
 写真頼まれた時のヒッキーの「……いいよ」って台詞。
 これ実は「……いいぞ」か「……いいよ」で迷ったんですよね。普段の彼のキャラなら前者の台詞を言いそうなもんでしょうが、ここで今回の相手 雲仙冥加のことを改めて考えます。彼女は所謂妹キャラで、関係性としては小町と一番近いだろうキャラ。
 じゃあ、折角だし普段通りじゃなく奇を衒いたいなと思いまして……小町とヒッキーが喧嘩して仲直りした時のエピソードで、「それで、何があったの ? 」 「ちょっと長いぞ 」「……いいよ 」ってやり取りをオマージュさせて頂いた感じです。
 まぁ纏めると、突然出来た妹に振り回されるヒッキーに、あの時の小町のような表情で、あの温かい表情で、やれやれと思いつつもあの台詞を言って欲しかったのです。

 何気に自分で書いてて凄く気に入ってるシーンなんで、もし少しでも皆さんの心に響いてくれたりしたら嬉しいなぁと思います。




 あと最近デレステに嵌っていて気づいたことがあるのですが、例の久川姉妹。LIVE後の台詞がヤバイですね。ヤバイです。 もうあの「かんぺきってやーつ」がすっごい癒し。
 もうあれは日々頑張るための糧ですね。あれを聞いたらきっと誰もが心奪われるのは違いないし、きっと癒されて明日も頑張れますね。
 あのセリフは本当に心に効く。
 そして素早くDNAに届いてそのうち風邪くらいなら吹っ飛ばしてくれるに違いないですね。
 可愛さはすべてを解決してくれる。そう思いました まる。

(コイツ何言ってんや……( ̄▽ ̄;)と思った方は是非デレステやってみよう!癒されるよ!皆もやろうぜ!レッツリズム!)
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