やはり俺の隣の席に紙袋が居るのはまちがっている。 作:ト——フ
「じゃ、送ってくれてサンキュー」
ふわぁ、と欠伸を一息吐き、若干下がった目尻を此方に向けて言う名瀬。
「おう」
こんな夜更けには女の子を送っていくべきと、うちの妹にそう仕込まれている為、当然のことのように簡潔にそれだけ返す。
「んじゃな、ハッちゃん。おやすみ」
「おう、おやすみ」
そう別れの挨拶を済まし、帰路へ着いた。
─
──
───
既に時刻は夜の10時へと差し掛かろうとしているところ。そのまま家へと直帰しようと考えたが。
「──っと、そういや」
小町に迷惑掛けたこともある。そのお詫びといってはなんだが、あいつの好きなスイーツでもお土産に買っていこうか。勿論これで許されようとかそんな理由でも無く、誠心誠意謝る所存ではある。が、まぁ、気持ち的に謝るだけではアレだと思ったので。
そういう訳で道中あるコンビニへと入店することに。
何時もなら手前の雑誌コーナーへと寄ってから買い物といくところだが、今回は時間も時間な為すぐさま奥へと直行。目的のスイーツを手に取り、そのまま家族分見繕ってからレジへと並ぼうと、足を向けた瞬間──
「ふむぅ?これは奇遇。我が半身ではないか」
マガジンとコーラ、ポテチを携えた恰幅の良い男の人に話しかけられた。いや、違うか。これはきっとあれだな。いつもの、俺じゃなくて違う人に話し掛けたパターンだ。
なら、さも気付かなかった体を装いさっさと買い物済ませるべきだろう。
そう自己完結し、その人の前を通りレジへ並ぼうとすると
「え、いやあれー?はちまーん?今我と目合ったよね?ね?ん?疲れてるのかな? ねぇ?」
「……、疲れてるからスルーしたんだけど……」
素通りされたのがアレだったのか、直ぐさま駆け寄って来てまたもや声を掛けてくる材木座にしらーっとした目を向けてしまう。
こんな疲れてる時にこいつの相手すんのは御免願いたいんだよな……。
「そう人を厄介者扱いするでない、同盟者よ。我泣いちゃうぞ」
「俺は自分の名前は忘れて無ぇし、お前と遊ばず家帰るからな。疲れてんだし。あと同盟者でもない」
「そうか……沼の底の家のケーキを共に堪能しようとしたのだがな……」
「確かにあれは美味そうだけどな……」
心底残念そうに顔を俯かせる材木座にある意味少し共感してしまった。
ジブリの食いもんは見てるだけで食欲そそるからなぁ……。お陰で金曜の夜はついお菓子をつまんでしまうこともしばしば。
そう。俺の意思が弱いのが悪いんじゃないんだ。美味そうな食いもん映すジブリが悪いんだよ(暴論)
俺は悪くない。
「だけど止めとけ。俺らが旅行感覚で行けるような場所じゃねぇだろ」
「ふっ、笑止。八幡、我を誰と心得る」
「……、…………剣豪将軍?」
やたらと自信満々で此方を伺ってるのが妙に癪にさわり、答えるのに数泊掛かってしまった。
「うむ!しかしそれは現世での在り方の一つにすぎん!彼方側の我は魔界の盗賊として名を轟かす邪王炎殺拳の使い手……邪眼の力をなめるなよ!」
「おいやめろ。なんかお前が言うとやけに様になってるだろうが」
なんなら背後に黒髪の剣携えた男が幻視されるレベル。
「む?時に八幡。お主、何ゆえ制服を着用して外出しておる?今日のオープンハイスクールは長くても3時頃には終わっていた筈だが……」
中学生がこんな夜更けにということと、俺のキャラのこと(悪目立ちを避ける)を考えると浮かんでくる疑問。
まぁ、そら不審に思うよな。俺みたいなのがこんな時間に制服で出歩いてるとか意味分かんねぇかもだし。
「んぁ?あ、──、あぁー……、まぁ色々あってな。塾とか」
内容が内容の為、適当に話を濁すことに。
「そうか……、む、そら八幡。レジが空いておるぞ」
「おう」
対する材木座はというと、何かを汲み取ったのだろうか少し思案し、さしたる追求もないまま会話はそこで途切れた。
─
──
───
「ただいまー」
「おっ。お兄ちゃんおかえりー」
買い物を済ませそのまま我が家へと帰宅したところ、丁度玄関に居合せたのか、小町がトタタッと此方に駆け寄りお迎えに来てくれた。
「おう。──っと小町、その、連絡遅れて悪かったな」
帰宅して直ぐさま、妹へと頭を下げる兄の姿がそこに在った。
「ん、いいよ。次からは気をつけてね」
そして、そんな兄へ軽く注意を促しつつ、さして気にしてもいないかのようにお許しを出す妹の姿が在った。
「あぁ肝に銘じておく。あ、そうだこれ。ファ○マのプリン買ってきたから」
「おー! スフレの乗ってるやつじゃん! 小町の好きなやつ! ありがとー!」
へへへ(* ̄∀ ̄)、と心底嬉しそうに差し出したレジ袋を受け取る小町。
ああ……これですよこれ。この色々ありすぎた1日の疲れも和らいでいくような、そんな笑顔。
小町の笑顔を受け、ぽかぽかとした気持ちに浸りながら靴を脱いでいると、んー?と後ろから、なにやら考え込むかのような声がした。
「ん?なんだろ……お兄ちゃんから、んん? 」
どうかしたかと後ろを振り返ると、顎に手をやり首を傾げて、此方をじーっと見やる妹の姿が。
「どした」
何か俺に付いてますかねと思い声を掛けることに。
「名瀬さん……じゃない気がするな……。まさか新しいお義姉ちゃん候補とか!?……と思ったけどなんだろ。なんか違うような? そんなんじゃないような──、妹 ?…………は?いやいやそんな訳無いよね。お兄ちゃんに妹は一人だけでいいし、ってか妹としたら相手小学生になるしお兄ちゃんに限ってそれは無い。え、じゃあなんだろ」
したのだが、なにやら自分の世界へとトリップしているらしく、ブツブツとまるで反応が無い。というか怖い。目が真っ黒でヤバそうなんですがうちの妹。
このまま放置するか再度声を掛けるかで悩んでいると、あっ、と小さな声が聞こえ、そこへ目を向けると彼方の世界へと戻って来たのか、ガサガサと袋の中身を見ている普段のくりっとした目をした小町が居た。
「おっ家族分あるね……お兄ちゃん今食べる? コーヒー入れて待ってようか?」
「あー……俺風呂入ってからにするから大丈夫。先食べといてくれ」
「りょうかーい」
少し弾んだ声音の返事を背後に受けながら、2階の自分の部屋へと上がるべく階段を昇っていく。
部屋へと入り制服をクローゼットへと掛け、寝間着を適当に見繕い浴室へ。
自分の着替え、携帯を置き、さて入りますかねと扉を開けようとした瞬間、携帯からなにやら通知音が響き、半身振り返る。それはメールを知らせる通知音で、密林さんやらで慣れしたしんだ音。 まぁしかし別に後でいいよなと、携帯に背中を向け、浴室へと入っていった。
─
──
────
「────ふ──、……あああ゛あ゛ぁぁああ」
終わった。
おっさんみたいな声が出たのはさて置き。
やっと今日一日が終わった……終わったぞ。
どれだけ今この瞬間、我が家の浴槽で一息吐くこの瞬間を待ち望んだことやら。
全く……本当に。今日は身の回りでイベントが乱発し過ぎて疲れた。これ程に目まぐるしい一日は生まれてこのかたそうそう経験していない。てかこんな日一生に一度でいい。身体が保たん。
というか今日一日振り返ってみると……おかしくない?
俺ただ学校見学行っただけなんだけど。
それがなんで野生の戦闘狂に襲われて不思議の国のアリスに懐かれんの?
訳分かんねぇんだけど。魔窟かなんかじゃないのあの学園。
というか一息吐いて冷静になった今、改めて思うとだ。あの学園はいい意味でも悪い意味でも突出している。しすぎている。
施設は他校とは一線を画す程の充実ぶりでどれも申し分無く、そして生徒達の行動はその校風により多岐にわたっており、様々な人間が在籍している。
その為今日俺がエンカウントしてしまったような危険人物も中には存在しているわけで。
……ぶっちゃけ、箱庭に行くの考え直そうかと思ってもいるんだよな。
昼飯の時のベストプレイス候補や、くつろぐ場所、他にも惹かれる部分が多々あるがやはり、一部の生徒への不安要素がどうにも拭えない。自身が直接の被害者であるというのもあるが……どうしても……ねぇ?
……勉強手伝って貰ってる名瀬には悪いが、少し考えるべきだろう。中途半端な心持ちのままじゃ気分が悪いし、なにより
取り敢えず進路先について部屋に帰ってから考えを纏めることとしよう。
そう考えに一区切りをつけ、のぼせる前にと湯から上がった。
─
──
───
「──っと、大刀洗か」
買ってきたプリンをリビングで家族と食べ、なんやかんやあり時刻は既に11時を回ったところ。
ベッドに横になりながら携帯をタプタプとしていると、メールの通知の知らせを思い出し開くことに。
そこには
『渡したメモ 忘れないようにね』
そんな簡潔な一文が記されていた。
そう言えば……そんなの渡されたっけな。
確か失くさないようにペンケースの中に……っと、これか。
『今回の件、助けに入るのが遅かったために、君をあんな状態になるまで頑張らせてしまってすまなかった。
折角学校見学に足を運んでくれたというのに、至らない役員である自分の所為で本当に申し訳ない。
今回の件からこの学園に対して苦手意識を持ってしまったかと思う。もしかすると、このメモを読んでいる頃は進路先を変更しようと考えを改めていたりもするだろう。
だけど、それでもまだ、この学園に対してほんの僅かでも悪く無いという思いが残っているのなら、出来ればこの続きを読んで欲しい。
この学園には色んな奴が居る。良い奴も変な奴も、今回のような危なっかしい奴だって、良くも悪くも十人十色というか、様々な種類の人間が居るんだ。
だから隠し立ては抜きに言うが、今回のような危険人物だって当然在籍している。
だが、そんな生徒達のいいようにさせないよう日々取り締まっている役員達の頑張りもあってか、恐らく君が今思っているよりかはこの学園はまだ捨てたものでは無いと思う。
自分もその役目を担っているから分るが、役員達は皆、日々誠心誠意、余念が残らないよう必死に活動している。
だから、手前勝手な要求だとは思うが、どうかまだ幻滅しないで欲しい。
この学園には上述したように悪い面もあるんだが、それ以上に良い面もたくさんある、とても素敵な学園なんだ。
もしよければだが、君もこの学園へとやって来てくれたらと思う。この学園で、俺の大好きなこの場所で、是非とも青春を送って欲しい。
君は見たところ最近特異性を発現した、元は普通の人間だったんだろう。
そんな君からしたら、この学園は刺激が非常に強く感じるかもしれない。だけど、あの時目にした君の姿に、感じ取った精神性なら、きっとやっていけると思っている。
だからどうか、その上でもう一度考えてみて欲しい。
日之影 空洞 』
──────、……言葉が、出なかった。
確かに俺は箱庭学園へと進むかどうかで悩んではいたが、そうではない。それを言い当てられたから、驚いた訳ではない。
何故、この人のことを……、命の恩人を忘れていたのかということだ。
記憶の中の、不自然にぽっかりと空いていた場所が唐突に埋まっていく感覚がどうにも気持ちが悪かった。
が、それよりも。自分の記憶のその場所が何故空白になっていたのだろうと、そのことに只々恐怖を感じた。
あんなにも衝撃的な事件だったのだから、当然その当事者、というか、命を救ってくれた人のことは覚えていなければ、不自然極まり無い。
なのに何故だ。
「なんなんだよ一体……」
手紙の内容よりも、そんな異常現象の方に意識は傾いていた。
おいおいあの一瞬で日之影さんどうやってメモに長文書いたんだよ……っていう話。
それと日之影さんが八幡の特異性が最近〜って話はまぁ……ご都合主義で感づいたってことでどうかm(_ _)m
そして……作者のお気に入りキャラ!
剣豪将軍爆誕……!!
一応彼の設定も結構考えているので活躍して貰うのが楽しみです……。とは言っても材木座の喋り方が難しいのなんのって笑
材木座回の時に四苦八苦する作者の未来が見える笑
あ、それとこの小説では八幡と同じ中学ってことでどうかよろしくです。
ま、というわけで久々の投稿でした!
色んな問題で投稿が停滞していた訳ですが、何故再び活動し始めたのかと言うと……デレマスの7thライブ観に行ってきましてテンションが面白いくらい上がったっていう、超個人的な意見ですね。
うおおおおライブ最高だったあああ!!!
モチベ回復したあああああ!!!
ちょっとずつでも書くぞぉぉおお!!!
ってな具合です。
いやホント素晴らしいライブでしてね……作者は5th以来ライブには行ってない時期が続いたんですけど、7thの幕張公演で久川姉妹のデビューと聞きましてついつい足を運んでしまった次第なのです。
そして例の久川姉妹はというと、非常に素晴らしいステージを見せてくれてですね……ほんと観に来て良かったって思いました。最高でした。
それにしてもライブっていいなって改めて思いました。
開始まで名刺交換して隣の人とお話しするのも楽しいし。色んなPさんのアイドルへの気持ちというか、好きなんだって気持ちがひしひし伝わってきて素敵だし。 あと名刺交換申し込んだら皆さんそれはそれは快く受け入れてくださるんですよね……優しい世界すぎる。 なんなんだろ……Pさんの人達ってすげぇ温かいんですよね。
あと、同じコンテンツを好きな人がこんなに居るんだ……っ!って感動するんですよね。それが堪らなく好きっス。
あぁほんとアイマス最高!\(^^)/
またライブ行こう。
P.S. 杉田さんのCMとてもよき
ってなんだこれ……めだ箱と俺ガイルのあとがきでデレマスのライブの感想書き綴ってるってなんなんだ……。まったくこの文書いてる奴は一体何考えてんのか……。
まぁそんなわけで投稿が不定期だったり、定期的だったり、気まぐれで執筆頑張ったり、あとがきがフリーダムすぎたりな、ホントどーしようもない作者です。(自分でもつくづく思う。きっとハンタ世界なら変化形能力者になってたに違いない)
そんな感じですが、これからも宜しくしてくれたら嬉しいです。