歌詞は載せたら多分マズイので脳内補完でお願いします
追記:一部会話が抜け落ちていたので追加しました。
時刻は18:00。もう夕方ではあるが、まだまだ明るい。
日が落ち始めて、寧ろ過ごしやすいぐらいだ。
とりあえず近くの公園のベンチに来た。
「香澄、お茶買ってきたけど、大丈夫?」
「ありがとう」
「あれ?声出せるようになったのか?」
「うん。でも歌えない」
どうやらバンドの方で精神的に何かあるようだ。
「蔵で何があった?」
少しの間沈黙が続く。
やがて、自分の考えが整理出来たのだろう。香澄が口を開いた。
「私、SPACEでライブがしたい。すっっごくキラキラでドキドキしてて、だからSPACEのステージに立ちたいって思ってる。」
相槌を打ちながら続きを促す。
「でも、オーディションは全然ダメで、この間オーナーさんにあんたが一番出来ていなかったって言われちゃった」
まあ、香澄はギター始めてまだ二ヶ月経ってないしな。
「自分と周りが見えていないって言われちゃった」
たしかにその通りだと思う。
『私は初心者だから、もっともっと上手くならなきゃって思って練習してるけど、時間も技術も何もかも足りなくて、皆の足引っ張っちゃってて』
今まで「何とかなる!」って感じだったのに、随分追い詰められてるな。
「皆凄いんだよ?SPACEのオーディションに向けて凄い練習してて、でも私は声が出せなくて、練習出来なくて、私の我儘に付き合わせてるのに、私全然何もできなくて•••」
香澄らしからぬ周りを考えた発言だな。
「もうすぐSPACEがなくなっちゃう。次で最後だから練習しなきゃいけないのに、声が出ないよ」
「あっちゃんもお母さんもクラスの皆も、あっくんもゆり先輩も皆楽しみにしてくれているのに、練習しなきゃいけないのに、声が出ない。歌えない」
自分から聞き出したことだけど、これは俺の手に負えない問題ではないだろうか?
まず、香澄はギターを始めてまだ二ヶ月も経ってない。だから当たり前の話なのだが、他のバンドのギターやPoppin’Party 内でも花園のギターと比べると、圧倒的に下手くそなのだろう。だから練習する。でもすればするほど、自分の技術の足りなさと、時間の足りなさがわかるようになっていったのだろう。だから焦っている。時間がないのに、全然ダメだ。足りない。もっと•••もっとだ。という具合に追い詰められている。
更に、次オーディションに落ちれば、もうSPACEでライブをする機会は二度とないという現実。
次は本当に失敗できないというプレッシャーに襲われている。
そして、多分•••これは俺も悪いのだろう。香澄ならきっとできる。
凄いことをしてくれるって。勝手に思ってた。期待していた。それは俺だけじゃなくて、香澄のクラスメイトや彼女の知り合い、もしかしたらポピパの4人もそうなのかもしれない。そんな無意識のうちに香澄に向けられた期待が、香澄を少しずつ蝕んでいたんだろう。オーナーが俺をオーディションに同席させたのは、香澄が観客のプレッシャーに負けないかを見るためだったのかもしれない。
とりあえずここまで考えたところでお茶を飲む。今はちょっと頭をスッキリさせたかったから、コーヒーにするべきだったかもしれない。
「なんというか、大変だな」
凄くアホなコメントだって自覚はあるが、全部聞いた上での率直な感想がこれなのだから仕方ない。
でも、デジャブった理由はなんとなくわかった。
今の香澄は一言で言えば、高望みしすぎなのだ。身の丈に合ってない目標を掲げて、達成できないから更に焦る。
まるで2年前までの自分を見ているような気がしたのだ。
とはいえ、おれは「SPACEでライブするのを諦めろ」と言うつもりはない。 ここからは俺の知ってることや推測を交えた話になってしまうが、多少は楽になれるだろう。
「まずさ、香澄が初心者だってことはオーナーもわかってる。ポピパの皆もわかってると思うんだ」
「うん。だから練習しなくちゃ•••」
「それを止めはしない•••けど、オーナーは技術より重視してるものがあると思う」
「技術より•••?じゃあ何を?」
「『やりきったか』どうかじゃないか?」
あの人の口癖だ。あくまで推測の域を出ないが、多分一番重視してるのはそこなんだと思う。
「どういうこと?」
「香澄はさ、元々はSPACEでのオーディションに落ちても何度でも挑戦するつもりだったんじゃないか?」
「•••うん。」
「多分今までも、無意識にこれで終わりじゃないって思ってたろ?」
市ヶ谷さんの時もそうだ。香澄は何度も何度もしつこいぐらいに家に通った。始まりは向こうの根負け。
俺に頼んだ沙綾の伝言だってそうだ。「いつまでも待つ。」その日が来るまで、香澄は何度だって沙綾の元へ行くつもりだったのだろう。
要するに香澄は諦めが悪いタイプの人間だ。
「諦めが悪いのは悪いことばかりじゃない。でも、無意識に今回失敗しても次がある。その度に練習頑張ってまたオーディションを受ければいいって思ってたんじゃないか?」
見てた訳ではないけど、恐らくそれが最初のオーディションだ。早い話が一回にかける情熱の問題。何度でも、という考えはどうしても一回にかける本気度に差が出てしまう。オーナー風に言わせれば「やりきってない」んだろう。
「でもSPACEは閉まってしまう。」
だから焦った。何度も挑戦するつもりだったけど、チャンスはあと僅かしかない。元々香澄だってすぐにSPACEでライブが出来るとは思ってはいなかったんじゃないか?
「だから成功させなきゃって焦ってる」
香澄が追い詰められてる大元の理由はこれだと思った。
偉そうなこと言ってるけど、じゃあどうすればいいんだって話なのだが、これまでの話だけだと最後のオーディションに全力で挑め。で終わってしまう。そうならないのは多分これ以外にも、もう一つ、ポピパのメンバーとの差が関係している。
市ヶ谷さんとバンドを始めたのも、牛込さんを勧誘したのも、花園を誘ったのも、沙綾をドラムにしたいと言い出したこと。それは全部自分の我儘だった。それをオーナーに「周りが見えてない」と言われて自覚したらしい。
「SPACEでライブがしたいと我儘言ったのに、自分がダメダメだから落ち込んでる。」
そして、練習しなくちゃいけないのに声が出ない、でもやらなくちゃSPACEが閉まっちゃうから練習しなくちゃ•••でも声が出ない。
始まりが何なのかはわからないが恐らくこの繰り返しだ。
「•••」
思い当たる節があったのか、香澄は暗い顔をしている。
「で、最初の話に戻るけど、オーナーは技術を求めた訳じゃない」
「え?」
「言い方悪いけど所詮アマチュアのバンドだろ?上手い演奏が見たいならdubに行くかプロ演奏見るかCD聞く方がよっぽど良いだろ。」
「だからオーナーは多分違うものを求めてる。それは、多分香澄には最初からあるものだよ」
「•••え?」
きっと、あのきらきら星の時には既にあったものだろうから
「難しく考えずに、キラキラドキドキを探して、向こう見ずに突っ走る方がよっぽど香澄らしいし、皆が見たいのはそれだろ」
多分その香澄らしさが大事なんだと思う。
「でも•••」
「そうやって、市ヶ谷さん、牛込さん、花園、沙綾のポピパの皆が集まってきたんだろ?」
「•••うん。」
「だから多分大丈夫だろ
•••まあ、大分偉そうなこと言っちゃったけどさ、実際のところどう思ってるのかはこれから本人達に聞くといい」
惚けた香澄を置き去りにして、んじゃ俺帰るわ。とその場を後にする。
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「じゃあ後は任せた」
「任された〜」
•••大丈夫か?
「おたえ軽くねーか?まあ、でも氷川さんに任せっきりなのもダメだろうし•••」
「そうだね有咲ちゃん。私たちはポピパだもんね。香澄ちゃんのこともポピパの皆で考えなきゃ」
そうだよ。なんとなく既視感があったから話聞いただけだし。
「暁斗、場所教えてくれてありがと。後は大丈夫」
「今度からは5人で解決してくれよ〜」
近くまで来ていた沙綾達とバトンタッチする。
お茶を買った時に場所を伝えてはいたけど、もしかしたらさっきまでの話も聞かれちゃったかもしれない。プライバシーなんてなかったが、まあ、そこまで恥ずかしくもないから俺は別に問題はない。
夕暮れの中1人で帰る。今日は綺麗な夕焼けだ。明日の天気はきっと晴れ。
梅雨の終わりももう近い。雨の不快感もそのうちなくなって、いよいよ夏が近づいてくる。夏休みに何をしようか?帰り道にくだらないことを考えた。
技術不足、オーディションまでの時間のなさ、周囲の期待の重さ。
それに加えて練習したくても声が出ないことによる焦り。そして、ポピパ結成の経緯は自分の我を通して突っ走立てるだけだったこと。
多分この辺りがアニメから推察できる香澄の悩みの種だったんだと思ってます。
香澄の無意識は個人的な解釈です。オーナーの「やりきった」と合わせるとこんな感じかな?って思いました。
感想で皆さんの解釈や意見を聞かせてくれると幸いです。
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