あっ今回はめちゃくちゃ平和です。
──────嗚呼なんという僥倖、なんたる幸運。まさに奇跡。最早運命…!
私は今至福の時を味わっている。お父さん、お母さん…私東京に出てきてよかった。…生まれてきて、今まで生きてきて本当に良かった。
眼前に広がる景色を前にして、私は歓喜に打ち震えていた。
あの夏の日に出逢った奇跡とは少々異なるが、私の目指すものが目の前にある。あまりにも綺麗だった…あの日諦めそうになっていた私に熱を灯してくれた眩い光だ。追い求めたい夢のカタチを今再びこの目に焼き付けよう。
けれど、楽しい時間はあっという間ですぐに消える泡沫の夢に過ぎない。
刹那に過ぎ去る美麗な景色よ、どうか美しいままでいて欲しい。愛おしいこの瞬間をいつまでも味わっていたい。そして幾千幾億未来永劫那由多の果てまでこの甘美な一瞬を繰り返し続けていたい。ああ、それが出来るならこの先なんて要らない。悪魔に魂を売り払うことさえ厭わない。
ああそうだとも、今この瞬間にこそ高らかに謳い上げよう。
かつてファウストが命を落とすと分かっていても人生の絶頂を前にして言い放ったこの言葉こそ今の私にはふさわしい。
『時よ止まれ、お前は美しい』
倒錯した切実な願いと全身から止めどなく迸る愛と、五感全てが訴えてくる尊さを前にしてぐつぐつと沸騰していく思考の中で、これまでの経緯を思い出していた。
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桜が舞い散り、穏やかな陽気が私たちの頬を慰撫し、温かな時間が流れていく春麗の今日この頃、私こと朝日六花は晴れて高校生になりました。
寝癖を直して、髪をシュシュで束ねてから制服に袖を通す。中学生の時はセーラーだったからブレザーにはまだ慣れそうもない。
ネクタイも締めた。ハンカチとティッシュを持った。メガネもかけた。ギターは…今日は入学式だけだから置いて行こう。
いくらバンドメンバーを集めたいとはいえ初日からギターを所持して奇特の目で見られると今後の勧誘に支障が出てしまうだろう。
先輩は『羽丘には頭のおかしい奴が一杯いるから入学式にギター持ってるぐらいなら多分大丈夫』とは言っていたけど、私は一応特待生なんだし下手なことをするわけにはいかない。
何事も初めが肝心なのだから、気合を入れていかなければ…!
「おばさん、いってきます」
「いってらっしゃい、六花ちゃん。後で見に行くからね」
今日から本格的に新生活が始まる。
できれば早くポピパさんと同じステージに立ちたい。そのためには最高の仲間を見つけなきゃいかんから、色々やることが一杯ある。
第一知り合いはおばさんともう1人しかいないから、まずはそこから…勇気の出せなかった私が越えなきゃいけない壁だ。
けれど多分上手くいく。根拠は微塵もないけれど、何故かそんな予感がした。
一陣の風が吹き荒び、勿忘草色の髪をたなびかせながら少女は歩き出した。
朝日六花、後の世にに大きな火種を生んだある現象、その引き金が今ようやく表舞台へと姿を現した瞬間である。
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入学式は無事に終わった。
校長先生の話が恐ろしく長かったり生徒会長が恐ろしくフリーダムでアイドルだったりしたけど一番驚いたことは…
『桜ノ雨も降り止み、 葉桜が萌えいづる季節となって参りました。新入生の皆さん、この度は羽丘学園へご入学おめでとうございます。
在校生を代表して、歓迎の意を表したいと思います。
今日この日から始まる高校3年間悔いの残らない生活を送れるように頑張ってください。
この羽丘学園は、生徒の自主性を重んじ、自由な校風を持っています。部活動以外にも、課外学習や自主研究。海外交流など様々な活動が行われており、そのどれもが皆さんに良い刺激を与えてくれるものだと思います。
しかし、ただ単に何もせず、どんな活動にも参加せずに日々を過ごしていると、あっという間に時間だけが流れていってしまいます。皆さんの大切な3年間を実りあるものにするためにも、何か夢中になれるものをぜひ見つけて下さい。
そして、ここから巣立つ時に胸を張れる自分自身になってくれることを願います。
以上を持ちまして、私からの歓迎の言葉とさせて頂きます。
在校生代表、氷川暁斗』
そう、先輩が在校生代表の言葉を担当していたのだ。そんな素振りを露ほども見せなかったから思わずびっくらこいたと声を上げそうになってしまった。絶対面白がって言わなかったに違いない。
(…でも良かった。前に直接会った時よりも元気そうで)
一応チャット越しで元気だってことは知っていたけど、陰のある人だってことはわかっているから直接見たら安心したのだ。
密かに心配していたことが解決されて胸を撫で下ろした。
もう一つ懸念していたことがあったが…新しい友達は思いの外簡単にできた。報告すればきっとお父さんも安心するだろう。
名前は戸山明日香ちゃん、茶髪のショートカットの女の子だ。私と同じ編入生だということもありすぐに打ち解けることができた。
明日香ちゃんが楽器をやっていればすぐにでもメンバーとして勧誘したのだが、当人は将来を見据えて大学受験のための勉強がしたいとのこと。東京でバンドがしたくて特待なら学費の安い所だからという理由で学校を選んだ私とは比べ物にならない真面目さだ。
もう1人は宇田川あこちゃん。紫の髪のツインテールの女の子。なんとあのRoseliaのドラマーである。ど田舎に住んでいた私だが、SNSやちょっとコアな音楽番組などでその名前を聞いたことがあるぐらいには有名なバンドだ。
なんだか芸能人が目の前にいるみたいでちょっと緊張してしまったが、かなりフレンドリーな子でグイグイくる子だったからすぐ仲良くなれた。ただ時々『闇の力が…』とか『我が闇の前に…』とかちょっとよくわからないことを口にすることがあるけれど、裏表の無い良い子だと思う。
いつかRoseliaと同じステージで演奏できたらいいな。まだメンバーすら集まっていないから夢のまた夢だけど…
瞬間、首筋から冷たい感触が…
「ひゃぁっ!?…え?何、何?」
「おぉ…予想以上に良いリアクションだった」
この声は、もしかして…
「…先輩?」
「お久しぶり六花ちゃん、元気してた?」
後ろに立っていたのは、叔母家族を除いたら唯一の東京での知り合いの先輩こと氷川暁斗だった。前に会った時より心なしか背が高くなったような気がする。
「はい…!先輩もお元気そうですね」
「まあぼちぼちってところ。じゃあ約束通り近場回ろっか」
「はい」
近隣のライブハウスや、女子高生がいそうなところを案内してくれることになっている。
「そういえば入学祝いを用意してなかった…なんか食べたいものとかある?」
「え?悪いですよそんなの」
もう既に色々とお世話になっているから、気にしなくてもいいと思います。
「まあそこは先輩としての見栄ってことで…よし、案内ついでに一杯奢ろうかな。行くぞ六花ちゃん」
「ちょ、待ってくださいよ〜!」
* * * * * *
今日は実際には入らなかったけどカラオケやボウリングのおすすめの場所へ実際に赴き、ストリートで楽器を弾く人がよくいる場所やショッピングセンターに2人で行ってちょっと遊んだりした。
段々日が暮れ始めた頃、学校からさほど遠くない商店街にやってきた。多くの人で賑わっていてシャッターが下りていない。
「あっ君、今日は鶏肉が安いよ?あとコロッケ」
オレンジ色の髪をした女の子が声をかけてきた。溌剌とした表情から元気いっぱいなスポーツ少女といった印象を受ける。
「んー今日は魚の気分だから肉はまた今度かな。コロッケ二つで」
「まいどー!…ところで隣の子は?」
「今日からピカピカの一年生の朝日六花。これからCiRCLEまでの道案内」
「なるほど!あっ…ごめんね!店番じゃなかったら一緒に行ったんだけど…」
「気持ちだけで十分だよ。じゃあなはぐみ」
「バイバイ〜!」
「はいコロッケ。安いけど美味しいから」
「ありがとうございます…美味しい」
こんな感じで先輩は道中で色んな人に声をかけられていた。肉屋の女の子を皮切りに魚屋のおじさんにお喋り好きなおばあさん。皆一様に親しみを込めて話しかけてきている。そして何故か必ず私のことを聞いてくる。
もしかして先輩の家の近くなんだろうか?
「先輩はこの辺りに住んでいるんですか?」
「あー…ちょっと離れてるんだけど、友達がここに住んでるから」
「なるほど…」
「…着いた。ここが羽沢珈琲店。結構女子高生に人気あるからこの辺で勧誘するならここになる」
「なんかお洒落な喫茶店って感じですね…」
「実際珈琲より紅茶の方が売れてる…マスター、今日は空いてますか?」
まるで自宅のような気軽さで扉の向こうへ足を踏み入れた。それがあまりにも自然体すぎて色々とおかしいことに気づくのに数秒を要した。
もしかしてさっき言っていた友達の家というのはここなのだろうか?
「いらっしゃい。つぐみは今皆と一緒だよ…おや?後ろの子は…」
「皆それ聞くんですけど、そんなに変ですか?」
そのやりとりは既に十数回目だということもあり、もううんざりだと言わんばかりにため息を溢す。
「いや、変というか珍しいというか…もしかして彼女だったり?」
面白いものを見つけたとこちらを一瞥したあとに先輩に語りかける。
「ち、違いますよ!」
そんなんじゃないです!あくまで先輩と後輩です。畏れ多いにも程がある。
「違いますよ。後輩ってだけです」
「おっと、それはすまなかったね。暁斗君があの子以外を引き連れてくるのは初めてだからついね」
あの子?もしかして彼女さんだろうか?
「…みんな暇なんですかね?」
「暁斗君がここに馴染んでいる証拠だよ」
「そうですか…今日も奥の席で。あと紅茶とコーヒーお願いします」
「照れなくていいのに…じゃあごゆっくりどうぞ」
奥の席に腰を下ろしてから先輩が声をかけてきた。
「はぁ…ごめんね?変な絡まれ方して」
「いえ…その、先輩も大変ですね」
みんな先輩のことをからかっていたしきっと気疲れしたに違いない。
「ありがと。ここはケーキが美味しいからおやつとして食べにくる子が多いんだよ」
ほらと言いながらメニューを広げてこちらに見せてくれる。
ショートケーキやチーズケーキといった定番のものから季節限定の色とりどりのフルーツタルトなど、目に嬉しいものがずらりと並んでいて
思わず目を輝かせてしまったのだろう。
「なんか食べる?」
少しだけ笑いながら私に確認を取ってくる。多分奢る前提で聞いてきているのだろう。申し出自体は本当に嬉しいし大変ありがたいのだが
「うぅ…さっきコロッケ食べちゃったから今食べるとお腹周りが…」
それは女の子にとって切実な問題なのだ。
「あらら…それなら今日は辞めとこうか」
察してくれて助かります。
「平日はもう少ししたら客が入ってくるから狙うならこのぐらいの時間に座ってればいいと思う」
「詳しいですね…」
「一応話を通す必要があるけど、あんまり煩くしなければギターを弾いても大丈夫だと思う。時々弾いてるやついるし」
多分アコギのことだ。私はエレキしか触ったことないけど、弾けるようになった方がええんやろか?まさかこんな所でガンガンに弾いている人なんて流石にいないだろうし…
「とりあえずなんかポスターでも作る?多分頼めば店内に貼らせてもらえるだろうし…」
「え?」
「CiRCLEでも割と勝手に貼れるしありかも」
「え?…え?」
「…っとごめんごめん先走ってた。とりあえず今日はCiRCLEとあと数ヶ所見て終わりにしよっか」
先輩、意外とアクティブなんやな…最初に会った時は無気力の極みみたいな人だったのに。人って変わるもんなんやな…男子三日会わざれば刮目して見よっていうけど、まさかそれを実感する日が来ることになろうとは夢にも思わなかった。
「あはは、暁斗君は本当に変わったよね。はいコーヒーと紅茶」
背後から突然声をかけられて思わずビクついてしまった。
「マスター、いくら客がいないからって盗み聞きはダメでしょ」
「いや〜いつも娘が世話になってるからね。どうしてもお節介を焼きたくなるものなんだよ」
「焼くのはコーヒー豆だけで良いですから…いただきます」
「照れなくていいのに…暁斗君のことよろしくね?」
「え…あっ、はい!」
なんだろう、初めて会った私なんかにすごく大事なことを任されたような気がする。それはともかく、先輩は頼りになる人だと思っていたけど意外と可愛い人だった。
「全く…おっさんの小言だからあんまり気にしなくていいからね?」
「ふふっ…わかりました」
奢ろうとしたり先輩ぶった振る舞いをしたりとよくよく考えれば結構見栄っ張りなのかな?
「本当にわかっているのかな…まあ、いいや」
「えへへ、私ポピパさんのことをもっと教えて欲しいです」
折角の機会なんだ。普段は私がお世話になっている方だし、たまには先輩を立ててあげよう。
「きっとそのうち会えるよ。1人は商店街に住んでるし」
俺の色眼鏡を通すよりそっちの方がいいだろうとコーヒーに口をつけた、ブラックだけど、随分飲み慣れているな…って
「えぇっ!?近くに住んでいるんですか?ポ、ポピッッッホ゛ピ゛ハ゛さんが!?」
なんというサラリと飛び出す爆弾発言。というか先輩家まで知ってるって一体あなたは何なんですか…
「うん。向かいのパン屋がドラムの家。さっき覗いた時はいなかったけど多分そのうち帰ってくると思う」
「はぁ!?えっっ…ちょっと待ってください。向かい?え?やばいやばいやばいやばい……!」
どうしようおめかししてない。今の私は芋臭い田舎娘だ。でも可愛い服なんてないし…いや?寧ろ学生の正装である制服で会うのが正しい礼儀作法なのでは?
「せせせせ、先輩!」
もうだめだ声も裏返っている。
「私大丈夫ですか?失礼な格好してないですか?あわわわ…」
「服は多分大丈夫だけど…そもそも今から会うつもりなの?」
「え……無理です。心臓が破裂しそう…」
いきなり御尊顔を拝謁するなんてハードルが高すぎる。
まずはオフショットぐらいから慣れていかないと緊張で生え際が後退してしまいそうだ。
「…後でポピパの集まってる場所に連れて行こうか?」
意地の悪い顔でそう問いかけてくる。
先輩実はさっきのこと結構根に持ってたりするんですか?案外大人気ないというか子どもっぽいというか…
「意地悪しないでください!」
「あはは、ごめんごめん。反応が良いからつい」
「むー…冷めちゃいますし早く飲みましょう」
このままではどう頑張っても勝てないと悟ったから会話を終わらせるために紅茶を舌で味わう。
紅茶の良し悪しなんて全然わからないけど、良い香りで心が安らいでいくのを感じる。全身から余計な力が抜けて心身ともにリラックスしていき思わず声が漏れてしまった。
「はぁ〜」
「もしかして疲れた?入学式終わったらそのままだったし」
「そうかもです…かなり歩きましたもん」
「じゃあ家まで送るよ。旭湯だよね?」
「はい」
「じゃあ先に外出て待っててな。会計してくる」
「え?悪いですよ割り勘「いいから」…わかりました。ご馳走になります」
有無を言わさずにお会計へ行ってしまった。こうなっては梃子でも動かないだろう。潔く言伝通りに外へ出る。
(あそこが、ポピパさんのドラマーの山吹沙綾さんのおるパン屋さん…)
其方に意識を向けるとパンの甘い香りが鼻腔をくすぐる。食欲を誘ういい香りだ。今度買って食べてみようかな…いやでも、もし山吹さんに会ってしまったら私はどうしたらいいんや!?
脳内で行くか行くまいかの葛藤と、いざ会った時のシミュレーションを同時並列処理していること30秒ほど、先輩が遅いと思い始めた頃。
────右半身に重い衝撃が走った。
「いっ…」
地球が左に90°回転した。主に右の二の腕付近からジワジワと鈍い悲鳴が上がる。
有り体に言ってでら痛ぁ…一体全体なんだというのだ
「ああっ!?ごめんなさい。大丈夫?今手当てするから!」
「な、なんとか…大丈夫れす」
「すぐそこだからついてきて!」
相手も相当焦っているのだろう。瞬く間に建物内へと引き込まれていった。
あっ…先輩置いてきぼりだ。どうしよう……
* * * * * *
「本っっっ当にごめんなさい!」
手当てと言っても幸いなことに軽くあざが出来ていただけなので、湿布を貼ってもらうだけで終わった。
「いえ、大したことなかったので…大丈夫です」
「でも、制服が汚れちゃったよね…今からクリーニングで間に合うかな」
「いえ、逆に悪いですよ…」
「でも…」
「そ、それよりここってライブハウスですか?」
「え…うん。もうすぐリニューアルオープンするんだよ…その準備でバタバタしているところに…うぅっ…本当にごめんなさい」
「今からクリーニングしてくるから!ちょっと待ってて…ってウワァァぁッ!!」
あっ、転んだ。本当に大変そう…
「だ、大丈夫ですか?」
「あはは…ごめんね…あっもうこんな時間。急がなきゃッ…!」
「あのっ……!」
あっ…やってしまった。私の悪い癖だ。
「その、何か手伝いましょうか?」
困っている人を見ると自然と体が動いてしまう自覚はしているが、私はこういう損な役回りを引き受けてしまう無意味で偽善極まりないお人好し。
結局いつもやってから後悔するというのに、またやってしまった。六花のあほ!おたんちん!なんて自己嫌悪に浸っていると、まるで神を見つけたかのように血走った目で此方を見てくる。
「本当に!?あ、あ…あ嘘じゃないよね?…ありがとう…!」
もうそういうお薬を貰った人みたいでなんか怖い…
「は、はい」
もうやってしまったことは仕方ない。
「それじゃあ、早速だけどバンドを集めてきて!」
「バンドを?」
「そう。リニューアルオープンを記念してライブを開催するんだけど、参加するバンドがまだ決まってなくて…だからそれをお願い」
ぐ…ツテが無い状態でこれは厳しいが、幸いにも先輩から女の子の溜まり場は教えてもらっているし、なんとか集まるのか?
「わかりました。じゃあちょっと探してきますね」
そして外へと駆け出そうとした時
「やっと見つけた。急にいなくなるからびっくりしたよ」
置いてけぼりにしてしまった先輩と合流した。
「あ、先輩。ちょっと人とぶつかっちゃって…」
「なるほど、ところでなんか焦ってたみたいだけど、なんかあったの?」
「それが…」
これまでの流れを簡単に説明した。
「なるほど、ガールズバンドを集めてくればいいんだな?」
「はい。4、5組ぐらいですかね?」
「うーん…ちょっと待ってて。話聞いてくるから」
そう言って先輩は何故か八百屋へと入っていった。
それから数分後先輩が戻ってきた。
「お待たせ、とりあえず六花ちゃんは今LIMEで送った場所に向かってくれる?」
「え?ここですか?」
「そこに目的のバンドがいるから交渉に行って。俺は他のバンドのところへ行くから」
「え?」
「いいからいいから。早くしないと日が暮れちゃうよ?」
「は、はいぃ…」
手伝ってくれることとか、どうやって居場所を突き止めているのかとか色々聞きたいことはあるけれど、何故か変に逆らうより信じて行動した方がいい気がした。
なんて、いざ来てみたのはいいんだけど…
ちょっと先輩後で路地裏に来い。マジで〆る。
いくらなんでもこれは無いだろう…
「ライブしたいな…蔵でもどこでも良いんだけど…また、みんなで」
「うん、今言おうと思ってた!」
「ライブか〜」
「お、やる気?」
「いい!」
よりによって交渉するのが
ど、どうしよう…なんて声をかければいいんだろうか?
出来るだけ丁寧に…いやでもドン引きされたらどうしたらいいんだろう?
あーもう全然わからん!どないせいっちゅーねん!?
「ん…?」
「有咲、どうしたの?」
「いや、なんかあそこでオロオロしてる人が…」
やばっ…気づかれてもうた。あーもうヤケクソだ。えーいままよ!
「あ、あの…助けてください!私を、Galaxyを助けてくださいぃぃぃ…」
こうして私とポピパさんのファーストコンタクトはグダグダとなってしまったがなんとか話を纏めて出演してもらえることになった。
生でポピパさんを見られると考えると、やってよかったと心底思える。
ただ先輩には絶対後で文句を言おう。
そう心に誓いにGalaxyへと戻った時には、既に先輩がRoseliaとPastel*Palettesとハロー、ハッピーワールド!に出演の約束を取り付けていた。
…怒るに怒れなくてなんか納得いかない。
こうして出演するバンドを集め終えて、Galaxyのリニューアルオープン記念ライブが開催される運びとなった。
六花視点だから平和だけど暁斗の行動原理を考えると実はこの話もだいぶ闇が深い。
彩がアイドルになれなくて、SNSという形ではなく現実世界で承認欲求満たそうとすると多分こうなるんだろうなって思いながら書いたといえばなんとなく察しがつくんじゃないでしょうか。
設定開示するなら誰のがいいですか?
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友希那
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こころ
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香澄
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おたえ
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その他