幼馴染は素直になれないどころか冷たい気がする   作:バタースコッチ

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幼馴染は頼ってくれない

昼休みも終わり、午後の講義が始まる。

やはり食べた後だからなのだろうか通常なら眠くなくとも睡魔が襲ってくる。

遠目にもちを見ると、きっちり起きて講義を聞いていた。

俺は眠気が限界な為バレないように寝る事にした。

 

 

 

 

 

放課後

講義はとっくに終わっていたが、誰も俺を起こさなかったようだ。

周りを見渡しても他の奴らはもう帰ったようだ、だが、もちは残っていた。

 

 

「やっと起きたのね、ぐっすりだったらしいじゃない。アンタ何しに大学来てるのよ」

 

 

起きて早々冷たい言葉を浴びる、本当に何で俺にはこんな冷たいのだろうか?

それに、居るのなら起こしてくれても良かったのでは?すら思ってしまう程だった。

 

 

「寝起きの一言目がそれって酷くないか?もち…つか起こしてくれよ」

 

「嫌よ、それくらい自分で起きないでどうすんのよ。さっさと支度して帰るわよ」

 

 

もちはそう言うと教室から出て行った、準備出来るまで待ってくれても良いのにとも思うが、ただでさえ幼馴染とかで茶化されたりするのだ、帰るところを見られるのも嫌なのだろう。

 

 

 

「遅いわよ、もっと早く来なさいよね」

 

 

割と早めにもちの元へ向かったはずなのに、この扱いである。

やはり俺には冷たい。

 

 

「へいへい、悪かったよ。さっさと帰ろうぜ」

 

 

その後俺達はそれぞれの自宅へ帰った、その道中もちは少しうかない顔をしていた。

俺は訳を聞こうとしたが、また冷たくあしらわれるだろうと思い聞かなかった。

だがそこで聞かなかったのは失敗だった…

 

 

 

土日を挟んで月曜日

本来ならばここでもちが起こしに来るのだが、今日は起こしに来なかった。

そのせいでと言うのはおかしいが、講義に遅刻した。

いや、それだけで済めば良かったのかもしれない…

 

 

 

「○○、もちちゃん今日来てないけどどうしたの?」

 

 

ユズセがもちの欠席に疑問を持ち、俺に聞いてきた。

 

 

「いや、俺も知らないんだけど。あいつの家に行かないし」

 

 

もちが俺の家どころか部屋に入ってくる事はあっても、俺からもちの家や部屋に入る事は無い。

普通に考えて男が女の部屋に入るというのは勇気がいるし、まずもちの両親が許可するとも思えない。

俺の両親が特殊なだけだと思う…

 

 

 

「あーもう…本当ならもちちゃんが言うべきだったんだろうけどなぁ…○○、普段昼休み教室居ないから分からないと思うけど、もちちゃんは昼休みでも周りの男子達からずっと見られてたんだよ、ジロジロとね…もちちゃんはそれを嫌がってた、それでストレス溜まって体調崩したんじゃないのかな?」

 

「…なるほどな、だったら何で俺に何も言わないんだよ」

 

「それは分からないよ、ただもちちゃんには○○に相談したら?とは言ったけどね。それでも言わなかったのは○○に言いたくなかったのかな」

 

 

ユズセの言う通りなら、もちはただ体調を崩してるだけなのだろうと思う、が…少し心配ではある。

冷たくされてるが幼馴染、ある意味腐れ縁だ。

ほっとく訳にもいかない…

大学が終わった後、俺はもちの家に久しぶりに行く事にした。

 

 

 

放課後

俺は手早く支度をし、教室を後にした。

途中クラスメートから声を掛けられたが、スルーさせてもらった。

もちの家に行くのは何年ぶりだろうか、最後に行ったのは中学ぐらいだった気がする。

中学までは割と頻繁に通っていた、だが中学から思春期に入り、俺はもちの家に行くのを止めた。

別に行かなくなったからといって仲が悪くなった訳でもない。

が…思えばあの頃からもちが冷たくなったような気もする。

 

 

 

「…久々だな、ここに来るのも」

 

 

もちの家の前に着いた、前はよく来ていたのに身構えてる自分が居る。

だがここでウジウジしてたってしょうがない、意を決してインターホンを押した。

 

 

「はい、どちら様?」

 

「あ…お久しぶりです、○○です」

 

「あらぁ、久しぶりね、どうしたの?」

 

「もちが体調崩してるって聞いて、お見舞いに…」

 

 

もちの母さんがインターホンで出た、久しぶり過ぎてたどたどしかったが、なんとか話せた。

 

 

「今もち寝てると思うけど、大丈夫かしら?」

 

「大丈夫です、少し顔見たいだけなんで」

 

 

もちの部屋の前まで通され、ドアを開ける…

 

 

「すー…すー…」

 

「寝てるな…」

 

 

もちはベッドの上で寝ていた、気のせいか顔が少し赤い気がする。

 

 

「もち、お前なんで話してくれなかったんだよ、ユズセから聞いたぞ?少しくらい頼ってくれても良いだろ…?」

 

 

俺は聞いてもいないはずのもちに言葉を投げかける。

事実俺は少し落ち込んでいる、ずっと一緒に居たのに頼られなかったから。

俺はそこまで頼り甲斐が無いのだろうか、とさえ思い始めている。

 

 

「…とりあえずもう帰るよ、今度はちゃんと頼ってくれよな」

 

 

俺の最後の声はとても小さかった、普段じゃきっと聞こえないくらいの小声だった…

 

 

俺は最後にもちの顔を見つめ、部屋を出た。

 

 

「アンタに話せる訳無いじゃない…」

 

 

 

 

「お邪魔しました、もちには俺が来た事は内緒でお願いします」

 

「あら、どうして?」

 

「ずっと一緒に居ますけど、俺良く思われてないかもなんで」

 

「そんな事無いと思うけど…」

 

「…失礼します」

 

 

俺はそれ以上会話する事が出来なかった、今は何も考えたくなかった。

帰り際、視線のようなものを感じたが気にせず帰路についた。

 

 

帰宅してから、普通に送るような内容でもちにメールを送っておいた。

中身は簡単に

「体調大丈夫か?あんまり無理すんなよ」

これだけだ、むしろこれぐらいで済ませておいた方が深読みされないであろう。

それに、多分俺は嫌われている。

理由は分からないが、俺が忘れてる内容でもちに何かしたのかもしれない。

 

 

30分後、もちから

「アンタに言われなくても分かってるわよ」

と、返信が来た。

あいつ…弱ってるのにメールの内容は強気なんだなぁと思った。

 

 

 

 

翌日

俺は目覚ましが鳴る前に目が覚めた、時間はまさかの5時…

昨日の事があったから寝れなかったのだろうか?

俺は着替えて軽く散歩しに外へ出た。

 

 

 

やはり普段より朝早いのか少し冷える、薄着で出たのが失敗だっただろうか…

散歩をしている途中、公園に辿り着いた、俺ともちがよく遊んだ公園だ。

あの頃はおままごとを頻繁にしていた気がする、もちはよく「大きくなったら○○と結婚する!」って言ってた気がする。

子供の戯言と片付ければそれまでだが…少なくとも俺は、その考えだった。

 

 

「起きてたんだ」

 

「?」

 

 

振り返るともちが居た、格好が昨日見た寝巻きのままだ。

まだ少し冷えるのに、寒くないのだろうか?

 

 

「おっす、体調どうよ?」

 

「別に、アンタに心配される程ヤワじゃないわよ」

 

「そうかい、まぁまだ朝早くて寒いし、早く帰れよ」

 

 

俺はもちとすれ違い帰ろうとした、だがそれをもちの言葉で足を止めた。

 

 

「今日さ、小さい時の頃の夢を見たんだ」

 

「?」

 

「アンタとさ、ずっとままごとしてたよね、もち達。あの時は楽しかったなぁ…アンタがさ、もちが作った泥団子を本当に食べたりしたりしてさ、流石に石を食べようとしたのは止めたけど。

…もちがさ、あの時言ってた事覚えてる?あの頃ずっと言ってた事なんだけど」

 

「…何かあったっけか?」

 

 

俺は惚けた、恥ずかしかったから。

だが惚けなければ良かったと思った…

 

 

「…そう、まぁ良いけど。今日は別々で登校で良いよね?起きてるし」

 

「あ、あぁ…」

 

 

もちは俺の返答を確認すると、黙って去って行った。

 

 

(○○、やっぱりアンタバカだよ…)

 

 

 

その日から、俺ともちが一緒に登校する事は無くなった。

俺を起こしにも…来なくなった。

大学でも更に会話が減った、目を合わすことも無くなった。

ユズセに何かあったのか聞かれたが、特に何も無かった為何も言わなかった。

そう思いたかった…

 

 

 

 

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