綺羅星を求める私、太陽が好きな貴女   作:白金星

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その星の輝きは何処へ

私がガルパの世界で生活を始めて1週間が経った。最初は手探りだったものの最近では飛鳥としての生活に随分と慣れた気がする。飛鳥の元の人格と私は似通ってるのか行動が不穏だなどというように怪しまれないのも幸いだった。

そんなことよりも、と思いながら私は川沿いの桜並木の道を駆け抜ける。周りには私と同じように茶色の学生服を着ている子がいた。

そのまま橋を渡って学校に辿り着くと、立ち止まって校舎を見上げる。

ここは花咲川女子学園高校。私、富久(とみひさ)飛鳥は今日からここで学校生活を送ることになる。

 

 

花咲川女子学園高校。それはガルパの主要人物の半分が通う高校だ。Poppin' Party、略してポピパはこの学校で出会った同学年の5人で結成されたバンドで、そういう意味でも重要な場所になる。

そんな場所に自分も通うことになるのはどうしても嬉しくてクラス分けが発表される掲示板の方へと向かって行った。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

掲示板へ着くと既にクラス分けの紙が張り出されていて、その前には新入生が大勢集まっていた。おかげで近くで見ることが出来ず、私は人集りの出来ていない後ろの方で名前を探すことにした。

まずは自分の名前……ではなく、確認のためにある名前を探す。A組から見て行ったのもあってか、すぐに見つけることができた。その名前は、戸山香澄。ポピパのギターボーカルであり、私が1番好きなキャラだ。そして偶然にもその上に私の名前も見つけた。

 

 

同じクラスだ!!

 

 

そう思うだけで私の興奮は収まらなくなる。確かにこの前のAfterglowのライブのセトリからポピパ結成前なのはわかった。その後自分が花咲川に通うことになったのも内心驚いた。だけど、同じクラスになるというのはとてつもなく嬉しかった。

 

 

そんなことを考えていたからだろうか。隣の人が私のすぐ近くにいた事に気づかずぶつかってしまった。

 

 

「わっ!」

「あ、ごめん……。掲示板見てて、隣見てなかった」

「私こそぶつかってごめん! って、あ……」

 

 

ぶつかった相手は茶髪でウェーブのかかったサイドにポニーテールが特徴的な少女だった。見た目からして多分ポピパのドラム担当、山吹沙綾なのだろう。それに気づいて私は思わず声を漏らしてしまった。

 

 

「えっ? 何?」

「い、いや……パンの匂いがするなーって、とても美味しそうな」

「うちパン屋だから」

「パン屋なんだ。今度買いに行こうかな?」

「それは是非とも。商店街にあるから。やまぶきベーカリーをよろしくお願いします。なんて」

 

 

冗談めかすようにそう言う沙綾を見て内心安堵する。流石に次元が違うけど知ってた、とは言えないから上手く誤魔化さざるを得ない。

 

 

「私、富久飛鳥。山吹さんは何組?」

「山吹沙綾、A組だよ」

「あ、やった! 同じクラスだ!」

「偶然だね。これからよろしく、富久さん」

「飛鳥でいいよ! こちらこそよろしく、沙綾」

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

そのまま流れで沙綾と一緒に教室へ向かい、入学式を終えて教室に戻ってきた。

その後ホームルームの時間になり、自己紹介をしていくことになった。

担任に呼ばれて出席番号1番の黒髪でふわふわとしたボブヘアーの子がはいと言って立ち上がる。

 

 

「牛込りみです。えと……うう……」

 

 

りみは緊張しているようで戸惑うように下を向いている。そのまま小さい声で"よろしくお願いします"とだけ言い自己紹介を終えてしまった。牛込りみ、後にポピパのベース担当になる少女だ。だけど、まだこの時は臆病で引っ込み思案なところが大きいらしい。

そのまま自己紹介が進む。ハロー! ハッピーワールド! のベース担当になる北沢はぐみの自己紹介は彼女らしい明るさで目立ったものの、それ以外は特に何も無く私の番も終わった。次は、香澄の番だ。

 

 

「では、戸山さん」

「は、はいっ!」

 

 

担任の声に少し怯えるような声でそう言って立ち上がった。そんな私の知ってる香澄らしくない言動が気になって私は思わず後ろを見た。

 

 

そこにいるのは本当に戸山香澄なのだろうか、と私は思わずそう思ってしまった。確かに星をかたどった特徴的な髪型は彼女のそれだと断言することができる。

だけど、その目線は前を向こうとしているものの、癖なのか下の方を向いてしまっている。ちょうど私と目が合う。すると私と目が合った彼女はさらに下を向いてしまう。

 

 

「と、……と、戸山、かっ……香澄です」

 

 

挙動不審になっていて、その声は辛うじて聞き取れるものでしかなかった。りみよりも小さな、消え入るような声で"よろしくお願いします"とそう言うと座り。そのまま落ち込むように下を向いてしまった。

 

 

確かに私はガルパの世界に来て、ポピパが結成されるであろう花咲川女子学園高校に入学して同じクラスになった。そこまでは良かった。だけど。

 

 

だけど、そこにいる戸山香澄は。私の知っている戸山香澄ではなかった。




ここまでがプロローグです。
読んでいただきありがとうございます。
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