宇宙戦艦ヤマト2203 暗黒星団帝国の脅威 作:Brahma
「敵ミサイル撃ってきます。」
「いくら撃っても無駄なことだ。」
「敵艦載機、上、下から接近してきます。」
「たたきおとせ。主砲発射準備」
α砲の砲口が再びじわじわとひらききろうとしていた。
「坂本は?」
「敵の主砲口に近づいています。」
「よし、もう少しだ。」
坂本はつぶやく。
そのときだった。
「!!」
上部ビーム砲が上から落ちてきた火矢のように坂本機に当たる。炎上始める坂本機。
額からは血が流れる。
「くそ。俺をなめるなよ。トップで卒業した俺をなめるなよ。」
小惑星帯での訓練が頭をかすめた。小惑星は撃ってこない。たしかだ。
しかし俺はこんなものじゃない。
主砲口が眼前に迫る。
「これを食らえ!」
対消滅カートリッジ弾をα砲の砲口に投げ込むように撃つ。
坂本機を上方から2弾目のビームが貫く。
そのとき対消滅カートリッジ弾がα砲口にはいっていった。
「坂本!さかもとおおお!」
坂本機は、煙を吹く上げて数秒後に火球に変わった。
「!!」
「メルダーズ司令」
「どうした?」
「主砲口に敵弾が…。」
ゴルバ内部に誘爆が起こった。その爆発はたちまち広がっていく。
艦橋の床面が輝いて吹き飛んでゴルバも主砲口とエンジン噴射口から激しい光と熱の濁流を吹きあげる。
メルダーズと敵の乗員たちは次の瞬間高熱のため気化した。
次の瞬間には超新星のような激しい爆発と輝きを放って吹き飛んだ。
「勝ったのか…。」
「そのようだな…。」
「坂本君…。」
古代はレーダー管制席の雪をだきしめた。
「山南司令、尾崎司令、古代…」
「デスラー総統」
「サカモトといったか、かわいそうなことをしたな。」
「いや、彼は彼で満足して死んでいったと思う。」
「うむ。そうか、そうだな。彼の冥福を心から祈る。」
「感謝する。」
「これからわたしは、銀河系内に、我が先祖のガルマン人がいたとの伝承を聞いた。銀河系内に第二のガミラスとなる星を探す旅に出る。地球の諸君、いつかまた会おう。」
銀河系方向へ向かうデスラー艦隊を敬礼で見送っていく。
「ヒス内務長官、お世話になりました。」
「こちらこそ感謝する。ところで山南司令、尾崎司令。」
「ヒス長官?」
「小マゼランへ行ったらルントと会えるはずだ。地球艦隊がそちらへ向かったことを伝えておく。ぜひ合流して戦ってほしい。」
「ご好意に感謝する。必ずルント司令に伝えます。」
「よろしくたのむ。」
「さて、われわれは中間基地撃滅の任務がある。小マゼランに向かって発進する。さてその前に」
「この戦いで死んでいった宇宙戦士のために宇宙葬を行う。」
「坂本君…。」
古代は雪を慰めるようにだきよせる。
「宇宙戦士の霊に敬礼!」
乗組員たちはいっせいに腕を上げて指先を頭につける。
数十丁の銃の弔砲がいっせいに撃たれる。あたかも地面からの五月雨が天に向かって降るように光条が断続的に悲し気に漆黒の宇宙空間に流れ星のように光っては消えた。
「全員配置に着け。」
「古代進、戦闘班長席に着きました。」
「島大介、航海長席に着きました。」
「全員配置に着きました。」
「了解。ヤマト、小マゼラン雲に向かって発進します。」
「了解。しゅんらん及び第7艦隊も小マゼラン雲に向って発進します。」
「全艦、ワープ準備。」
30秒後には地球艦隊の姿は、サレザー太陽系から消えていった。
「ワープ終了。小マゼラン宙域にはいりました。」
「11時の方向、距離3万宇宙キロに反応あり。」
「あと数分で画像が出ます。」
「やはり敵の中間基地でしょうか。」
「敵のワープによる空間歪曲。」
「エコーの方向がさらに20光年先の暗黒星雲の方向と一致している。その線上の中間地点。蓋然性はきわめて高いな。」
「映像が出ます。」
「これは...大きいな。」
「10kmは超える大きさですね。」
「敵の中間補給基地と見て間違いないだろう。」
「古代、どうする?」
島がたずねる。
「山南司令。この中間補給基地は避けては通れないものと考えます。」
「古代戦術長、その理由は?」
「仮に無視して通過して先に進んだとしても背後から狙われる可能性があります。敵が地球を攻撃するための拠点を放置することにもなります。」
「山南司令。」
「技師長?」
「作戦会議の招集を提案します。」
「わかった。中央作戦室にあつめてくれ。」
「了解。」
中央作戦室の床に敵の中間基地の画像が大写しになる。
真田が指示棒で画面上に映った中間基地のドームを指す。
「このドーム状の部分が敵の艦艇を修理したり、補給したりするドッグになっているのだろう。こちらで感知した敵艦のエネルギー反応から考えて100隻以上停泊していると推測される。」
「100隻ですか...。」
「外にいる艦隊を含めるとこの中間基地には150隻ちかい敵艦がいる計算になる。さらにこの中間基地も一定の武装はあるだろうし、これだけの基地だから堅牢である可能性もある。正面からまともに戦ったんでは苦戦は免れない。もしかしたら全滅ということも十分に考えられる。」
「『しゅんらん』がいてもですか?」
「イスカンダルで戦ったゴルバは恐ろしい敵だった。おそらく白色彗星本体と戦うようなつもりでいたほうがよい。」
「つまり波動砲が効かない防御フィールドをもっているということですか?」
「断言はできないが、おそらくそうだろう。」
「じゃあ、どうするんですか?」
「ドーム内に100隻いるってことは、基地の外には50隻程度しかいないということだ。補給中の艦もいるだろうから実数はもっと少なくなるはずだ。ドーム内の敵艦を出撃させないようにできれば150隻とまともに戦うのに比較して戦況は全く変わってくる。」
「それで、俺たちの出番ってことですね。」
加藤が発言する。
「そうだ。ドーム内に侵入できそうな穴というか通路になりそうな場所がいくつかある。敵は簡単に通してくれないだろう。しかしドーム内にいる動けない敵を叩き潰すチャンスだ。できるか?」
真田が作戦の内容を説明し、加藤四郎のほうへ向いて可否をたずねる。
加藤は苦笑して発言する。
「技師長、『できるか』、じゃなくて、『やれ』、でしょう。任せてください。」
「加藤、頼むぞ。」
真田は加藤の手を握る。
作戦会議が終わると山南は尾崎に作戦概要を説明する。
「尾崎、作戦が決まった。」
「そうか。」
「基本的には艦載機で内部の敵をたたいてから、外部の敵と艦隊決戦だ。中間基地自体の兵装も気になるが順番としてはそういうことになるだろうな。」
「暗黒船団帝国は装甲の堅牢さなど外面の防御力を誇る敵だ。しかし坂本が身をもって示したようにどこかしらに弱点があるはずだ。だから最初の艦載機による奇襲を行う。」
「わかった。こちらも艦載機を発進させる。加藤君の指揮下に組み込んでくれ。」
「わかった。感謝する。」
この山南の返事で地球艦隊の作戦がはじまる。