宇宙戦艦ヤマト2203 暗黒星団帝国の脅威 作:Brahma
「機雷にはホーミング機能があったな。」
ガイウスは確認するようにつぶやく。
「はい。」
「やつらの驚く顔が見られるわ。ヤマトのデータを機雷に送って攻撃させるのだ。」
「了解。」
「相原、どうしたんだ?」
「なにか機雷が動いているような気がする。」
「まさかデスラー機雷のように動く機雷なのか?」
南部が驚いたように叫んでしまう。
「機雷が...機雷が....動き出しました。10,20いえ500、600...ヤマトに向かってきます。」
今度はレーダー手が叫んでしまう。
「全艦波動防壁展開。南部、主砲発射だ!」
地球艦隊は次々に波動防壁を展開する。
ヤマトでは「波動防壁展開。」山崎が復唱する。
「主砲発射~!」
波動防壁の衝撃波面で動いてくる機雷は次々に爆発し。主砲で残りの機雷も破壊されていく。
「ROV二号機射出!」
「ヤマト、また無人の小型掃海艇射出。」
「何とか砲撃できないか?」
「いえ。的が小さすぎて、周りの機雷を巻き込みますからかえって敵の機雷突破を助けることになります。」
「こちらの艦載機はどうか?」
「艦載機隊に反応してしまう可能性が...。」
「機雷へこちらの艦載機のスペックについて通信波を送った場合は敵に筒抜けになる可能性があるな。」
「量子コンピューターがあれば解析可能です。」
「これまでの地球艦隊との戦闘を分析してその可能性はあるか?」
「十分考えられます。彼らの対応は思いのほか迅速です。」
「そうか...。」
「敵は通信波で機雷を動かしはじめたな...波動防壁がきれても進めるように技術班、ジャミングだ。」真田が技術班に指示する。
「了解。」
「それから敵艦は、ROVを撃破するために艦載機を発進させる可能性があるな。レーダー、索敵担当は敵艦の様子をしっかり観察しろ。」
古代が命じる。
「その前に艦載機に反応しないよう通信波を送る可能性があるな。」
真田がにやりとつぶやく。
「送ったら敵艦載機のスペックはバレバレになる。どんなに巧みな暗号化したって量子コンピューターがあるからな。」
「敵のジャミングです。機雷が暴走始めました。」
「...。撤退だ。」
「司令?」
「この機雷網突破は時間の問題だ。優秀な小型無人掃海艇とホーミング機雷の無効化。艦載機でROVを攻撃するためには機雷へデータを送らなければならない。敵に艦載機のデータを丸裸で送ることになる。ジャミングされても読み取られてもどっちもだめだ。敵ながらあっぱれというほかない。」
「司令。司令ご本人宛にボンベイウス中将からデータです。封印及び画像入りです。」
「転送しろ。」
「了解。」
「....。」
「司令?どうなさいましたか?」
「目的地を変更する。暗黒星雲バルジ中央部へ進路変更だ。」
「は、ははっ。」
「ボンベイウス中将はわたしを敵に回したくないといっておられたがそれはこっちのセリフだ。あの方を敵に回したくないものだな。まさかこんなわなを考え付かれるとは...。」
ガイウスはボンベイウスの作戦が敵を葬るにも巧緻であり、同時にその裏の意図も悟ってうめくように独語した。
「と?いいますと?」
何も知らない部下が上官に質問する。ガイウスはときどき使えん部下だと心の中でつぶやくことは日常茶飯事だが、一方では、部下が優れた意見を提案する場合もありうると常々考えており、意見具申については聞くようにしている。
「現地に行けばわかる。それよりも聞こえなかったのか?暗黒星雲バルジ中央部へ進路を変えるのだ。」
「は、はっ。」
「進路変更点を突破。まだレーダー索敵可能範囲内です。危険度は高いですが充分ワープが可能な状態と思われます。」
「ワープ準備。これより本艦は、暗黒星雲の中心領域に突入する。」
「機関室。ワープ準備だ。」山崎が古代の指示を伝える。
「太助、エンジンは、丁寧にあつかえよ。」
「わかってますよ、もう。(非番なんだからすぐ行けばいいのに...監視するみたいに...。)」
「何か言ったか?」
「いえ。何も。」
「太助!手がお留守になっているぞ。」
「はいはい。」
「太助。返事は一度でいい。」
「はい。」
「波動エンジン内圧力上昇。ワープ可能領域へ移行。」
ヴィーッツ、ヴィーッツ
そのとき警報がけたたましく艦内で鳴る。
「どうした?」
「イレギュラー発生。巨大な障害物、左舷方向に確認!」
島の言葉を聞き、真田も異常を認識する。
「そちらへひきつけられてワープ航路が歪曲しているようだな。」
「強制ワープアウトします。衝撃に備えてください。」
「通常空間を確認。なんとかワープアウト成功です。」
「後続の地球艦隊も無事ワープアウトしたようです。」
「でもおかしいな...こっちの計器には障害物も何も映っていないぞ。」
「レーダーに反応ありません。」
「反応がない?そんなことがあるのか?こっちの反応もなくなっている?なぜだ???。」
「いったいどういうことなんだ。」
「わからない。」
「確かにイレギュラーが出たんだが...。」
「古代!あれは何なのかわかるか!」
「!!」
「あれは....。」
「真っ黒だ。何もない空間のようだ...。」
「もしかしたら暗黒星雲の出口まで来たのか??」
「それなら外宇宙の星が見えてもいいはずだ。しかし星が全く見えない。」
「高密度の暗黒物質が充満しているだけならいいんだが...いやな予感がするな...レーダーがブラックアウトするなり、なんらかの形でそれとわかるはずだが...。いったい...」
真田が何かに気がついたようつぶやく。
「もしかして超巨大ブラックホールなのか…。20世紀の頃から天の川銀河の中心には太陽の数百万倍、数千万倍ともいう巨大質量のブラックホールがあるといわれていた。」
その声は話しているうちに確信に満ちてきたのかじょじょに大きな声になっていく。
「そうだな....考えてみればこの暗黒星雲も銀河系と同じ規模...中心に超巨大ブラックホールがあってもおかしくない。」
「でも、もしブラックホールならその巨大な質量から引き起こされるすさまじい潮汐力がヤマトの重力場感知装置に反応するはずでは...。」
「潮汐力の反応は全く感知されていません。」
相原が半信半疑で答える。
「潮汐力というものは、距離の三乗に反比例する。だから直径が数光年にも及ぶ超巨大ブラックホールの場合、潮汐力を感じることはおろか計器にすら反応しない微弱なものになるんだ。」
「じゃあこの暗黒の空間のひろがりは...。」
「何もないわけではなくて光すら脱出不可能なブラックホールの境界、事象の地平線だ。そう考えるとかなりやっかいだな。潮汐力を感じなくてもブラックホールがそばにあることには変わりがない。だから事象の地平線の内側に入ってしまったとしたら....。」
「脱出は不可能....。」