宇宙戦艦ヤマト2203 暗黒星団帝国の脅威 作:Brahma
「来たか。ヤマトめ...。」
「ガイウス司令。ボンベイウス中将より通信です。」
「つなげ。」
「準備はととのっているか?ガイウスよ。」
「はっ。とどこおりなく。」
「それにしても中将閣下。全くもって感心いたします。このような作戦を考えつかれるとは。」
「何。簡単なことだ。機雷源を突破したヤマトは、その航路から星雲中心を通過しようとしていることがわかる。そしてこの星雲のバルジ付近を通ろうとするときに巨大ブラックホールの影響を受けてワープアウトするのも必然ということになる。
あとは貴殿の艦隊が空間歪曲干渉装置でヤマトを事象の地平面の内側へ誘い込めばよい。」
「はっ。承知いたしております。」
「では、グレートエンペラー閣下ともども吉報を待っているぞ。」
「ははっ。」
「ふん...。まったく感服せざるを得ないとはこのことだ。ヤマトや地球艦隊を誘い込めればいいが一歩間違えれば我が艦隊が事象の地平線の内側に入ってしまうかもしれない。その危険性を黙っているとはな...。ここが正念場か...。」
「レーダーに反応。1時の方向。5000宇宙キロ。敵影です。」
「やはりこれはわなだな。我々をブラックホールに追い込むつもりだろう。」
「古代。敵の艦種データの照合が終わった。これは....前回空間歪曲干渉装置を使ってきた艦隊と同じだな...。」
「あたらしいわなで先日の戦いの負けを帳消しにしたいってことか。そうはさせない!総員戦闘配置につけ!」
「操舵には気をつけないといけないな。事象の地平線を越えたら一巻の終わりだ。」
しばらくして航路の異常に気がつく。
「島!航路がブラックホールの方向へ向かっているんじゃないか??」
「そんなかんじだな。なんでブラックホールの方向へ引きずられているんだ?ブラックホールを避けてまっすぐ進んでいるはずなのに?」
「レーダーに空間歪曲装置と思われるものが確認されました。敵が航路に干渉している可能性があります。」
「ふははは。ヤマト及び地球艦隊よ。よく戦った。しかし、ここが貴様たちの墓場だ。このまま進んでも蜂の巣になってブラックホールに落ちるだけだ。素直にあきらめて降伏するか、地球へ引き返すかどちらかだ。まあ、退却するなら追撃して全滅させるだけだが。」
ガイウスはスクリーンの向こう側に対して嘲笑をなげかける。一方で部下に対して命じる。
「敵はこの艦隊配置を分析し、波動砲での攻撃を試みるだろう。ブラックホールの近くだとわれわれも自分の艦隊を守るために空間歪曲干渉装置の出力を絞らなければならないからやつらの影響は少なくなるはずだ。オルビス(白色円盤戦闘機)、ブルシウス(イモムシ形戦闘機)発進せよ!やつらに時間を与えるな。」
「了解。」
暗黒星団帝国艦隊の前面の艦載機発進口からイモムシ型戦闘機と白色円盤状戦闘機が発進される。
「敵は9時半から2時半の範囲に6部隊で展開してスイングバイで突入しようとすると空間歪曲干渉装置でブラックホールにはまるように配置しているな。しかも突入進路に横から砲撃できるよう艦隊を配置している。」
「9時半の方向へ進んでも2時半の方向へ進んでもハチの巣にされるな。しかもブラックホールへ叩き落されるってことか。」
「敵の空間歪曲干渉装置を破壊する必要がある。」
「そのためにはとにかく敵の包囲陣を突き崩すしかない。敵はこちらの進路を包囲して危険なブラックホールへは近づかないから8時の方向か3時の方向へさそいだすか、長距離攻撃で干渉装置を破壊するか、波動防壁で9時半か2時半の方向の敵の側面をたたくかしかない。長距離攻撃で勝つ破壊力があるのは波動砲だがブラックホールがあるからその引力でかなりゆがめられる。」
「古代、艦載機で叩くって手もあるが、相手も直援機で対応してくるだろうな。犠牲がどうしてもばかにならない。」南部が歯をかみしめながら話す。
「南部、敵が艦載機を発進させてきたら少なくとも艦隊の上空を守る必要はあるぞ。一番いいのは、デスラーのつかっている瞬間物質移送機があればいいのだが...。」
古代は思わず真田の顔をみてしまう。
「あれは原理的には可能だが、地球の今の技術では難しい。ワープ可能なエンジンを小型艇に載せるほうが簡単のように思えるかもしれないがエンジンの大きさが駆逐艦クラスより小さくできない。すぐ用意できるのはアルファケンタウリまで一週間かかる通常仕様のエンジンだ。申し訳ないが開発には時間がかかる。すまんが今できることを考えてくれ。」
「前回よりも空間歪曲干渉の影響は気持ち小さい感じがするな。小ワープや波動砲発射も可能とおもわれます。」山崎が発言する。
「ブラックホールの近くだからエネルギー出力を絞っているんだな。いたずらに空間歪曲をおこなうと自分たちも飲み込まれてしまうからな。」
「敵が艦載機を発進させてきました。その数650」
「全艦艦載機発進。」
「了解。コスモファルコン隊発進。山本は敵艦隊を牽制、それから坂本は艦隊上空を防衛せよ。」
「「了解。」」
「真田さん、ブラックホールと干渉装置の重力場を計算して波動砲の弾道がもっとも効果があって干渉装置を破壊できる発射位置を計算していただけますか。」
「わかった。ただ空間歪曲干渉装置による航路への影響も計算しなければいけないからちょっと時間かかるぞ。」
「お願いします。」
「敵艦隊、停止したまま動いてきません。」
「包囲網を縮小しろ。」
「了解。」
「地球艦隊の艦載機180接近。」
「こちらの艦載機を発進させろ。ハエどもを叩き落すのだ。」
「了解。」
「敵艦隊接近してきます。1000宇宙キロ。」
「絶妙な艦隊運動だな。」
「ブラックホールがあるから敵も必死なんだろう。ただやつらは波動エンジンじゃないから空間歪曲干渉装置の影響を受けない。ヤマトをはじめとする地球艦隊は基本的にイスカンダリウムやガミラシウムの採掘を前提としない超光速航行を行うイスカンダル由来の波動エンジン技術で動いている。その弱点が出たってことだろう。暗黒星団帝国は、一切の光学兵器を無効にする強力な偏光バリアや四次元フィールドコーティングと圧倒的な武力で、宇宙を席巻し、侵略した星から資源を食いつぶして拡大してきたから波動エンジンのような宇宙空間からエネルギーを確保するタイプのエンジンを開発する必要がなかった。」
「とんでもない国家だな。」
「400年前、いや200年前って言ってもいいかもしれないその当時の欧米列強を思わせるような横暴さだな。たださすがにすべての艦艇を「鉄壁の防御力」にするわけにはいかなかったみたいだからプレアデスタイプの旗艦と浮遊要塞さえなんとかできれば戦いようはあるんだがな。」
真田がぼそりとつぶやいた。