宇宙戦艦ヤマト2203 暗黒星団帝国の脅威   作:Brahma

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第21話 救出

「山崎さん、小ワープの後、波動砲発射準備お願いします。」

「了解。機関室たのんだぞ。」

 

暗黒星団帝国艦隊とその艦載機の攻撃は激化していく。

他の地球艦隊の艦艇に乗っている艦載機もあわせて330機を坂本隊が率いているが敵はその倍の数なのだ。

坂本隊はヤマト主砲とパルスレーザーの射線にたくみに敵を誘い込み数の不利を補って善戦している。

坂本隊と暗黒星団帝国の艦載機はそれぞれ火球に変わる。

その一方で南部が絶妙なタイミングで発射する主砲は、数百機を吞み込むと熱風と燃料引火にまきこんで粉みじんに打ち砕く。

しかし、ヤマトもただではすまない。敵の砲撃と艦載機の攻撃に被弾する。

間断なく続く攻撃に波動防壁を使うタイミングが測れないのだ。

「右舷艦尾方向、第939装甲板、第722装甲板被弾!」

「左舷艦首方向、第3装甲板、第8装甲板被弾!

「右舷艦尾方向、第972装甲板、第993装甲板被弾!」

「左舷艦首方向、第63装甲板、第83装甲板被弾!

「第一番副砲塔損傷。右側揚弾機作動しません。」

「機関室に被弾の影響で火災。艦内スプリンクラー、非常用消火装置作動!」

 

「位置が出たぞ。座標X-3872,Y-2783,Z-9393。」

「ワープ準備。」

島の目の前のディスプレイには五本の空間曲線と振り子のように上下に光点が動いている。

「10,9,8,....3,2,1,ワープ!」

光点が交点に重なった瞬間にヤマトと地球艦隊は姿を消す。

 

「地球艦隊ワープした模様。」

「地球艦隊出現。当艦から7時の方向。空間歪曲装置の影響が少ない場所になります。」

「!!」

「そうか...やつらは我が艦隊を波動砲で一気になぎ払うつもりだ。ワープは間に合わん。全艦指示通りに散開しろ。地球艦隊をわなに誘い込むのだ。」

「了解。」

暗黒星団帝国ガイウス艦隊は散開しはじめる。

 

「全機、波動砲が発射される。指示された場所に待避しろ。」

山本は自分の指揮下の艦載機隊に命じる。

「了解。」

暗黒星団帝国も地球艦隊の艦載機も波動砲の射線をたくみに避けようと散開する。

 

「あいかわらず見事な艦隊運動だね。」

「あの艦隊運動は我々の波動砲の弾道計算をあらかじめ予想していないとできない艦隊運動だ。強敵だな。」

「とにかく空間歪曲装置が破壊できれば...。」

「しゅんらん、当艦をはじめ波動砲発射準備完了です。」

「対ショック対閃光防御。10,9,8,...3,2,1,波動砲発射。」

激しい光、熱、エネルギーの奔流がいくつもの流れとなってガイウスの艦隊にたたきつけられる。ガイウス艦隊の半数と空間歪曲装置が光と熱の奔流につつまれると一瞬にして破壊されて気化する。波動砲でガイウス艦隊をなぎはらうとブラックホールの周囲は安全な空間になる。

 

ガイウス艦隊は、一発目の波動砲の斉射を見事な艦隊運動で逃れたものの、退却のための態勢になっており、追撃への砲撃は可能なものの、もはや攻勢をかけるような状態ではない。ヤマト以外の艦艇がガイウス艦隊の艦艇へ向かって再び波動砲を斉射する。ガイウス艦隊は、残りの1/3を喪い、今度こそ戦闘宙域を離れざるを得なかった。

 

そのときだった。波動砲の射線をたくみに避けた山本をはじめとするコスモファルコン隊数機に異変が起こる。

「くそつ。事象の地平線に近づきすぎたようだ...。」

「!!山本!、引き返せ。」

「操縦が...。右翼先端が境界面に...だめだ...引きずり込まれる...。」

「山本!山本!」

「返答がありません。古代さん」

「境界を越えてしまったのか...。」

山本機とその周囲にいた数機が同じように吞み込まれる。

 

「なんとか助け出すことはできないのか」南部は叫んでしまう。

「光さえ脱出できない空間だからな...。」島の声は沈んでいる。

「シュワルツシルト半径5光年なんてどかなんてブラックホールだ...どうにかなりませんか?真田さん。」

 

「「あの、考え付いたんだが...。」」

古代と相原が珍しく同時に発言する。おもわず相原が口をつぐむが古代が発言を続ける。

「タキオン粒子って光より早いからブラックホールの中にも届いて、通信できるんじゃないでしょうか。」

「だが何度やっても現に返答がないんだぞ。」

「....。」南部に言われて古代は口をつぐんでしまう。

「例え通信波が届いたとしてもブラックホールの内部は特殊な時空間で時間が止まったような状態になっている。だから受信はできないし、ましてや返信なんかできない。」

「時間がほぼ止まってるんですよね。ということは中に入った人間は生きている可能性もあるんじゃないか?」

「何を言いたいんだ?相原?」南部が相原に問い返す。

「あれだけ規模が大きいブラックホールだ。正確なことはわからないが可能性があるかもしれない。ただコスモファルコンにはワープできるエンジンなんてないから光の脱出速度を超えるなんてできない。外から引きずり出すことも不可能だ。」

「山本機の場所に接近して外側からワープさせられれば...。」

「なるほど、デスラーの瞬間物質移送機か。相原、いいこと思いつくじゃないか。」

南部がほめると相原は苦笑する。

「古代が戦闘前に言った話...結局作ることになったか...。わかった、やってみよう。でもブラックホールの近くで使わなければならないし、実験用の試作機にすぎないから山本機を移動させたらもう使うことはできないぞ。」

真田は一回ため息をつくと、苦笑して工作室へ向かった。

 

山本機をはじめとする吞み込まれたコスモタイガー隊の座標がまもなく確認された。シュワルツシルト境界面ぎりぎりに瞬間物質移送試作装置が放出される。絶妙なタイミングで試作装置が作動されると無事コスモタイガー隊はブラックホールから脱出できたが試作装置がかわりにブラックホールに吞み込まれる。

 

「皆サン、無事回収オワリマシタ。ミンナ、ミンナ無事デス。」

喜ばしい報告をするアナライザーの声は、機械の発声装置にもかかわらずなぜかはずんでいるように聞こえる。

「みんな、行こう。」

第一艦橋の面々は我先にと駆け出していく。

 

「佐渡先生!」

「山本もほかのパイロットも無事じゃ。だけど絶対安静だ。長く話すことはできないぞ。」

「山本、ブラックホールから脱出した人類最初の人間になった気分はどうなんだ?」

南部が山本に話しかける。

「一瞬のことでよくわからなかったが、暗闇に包まれたと思ったら担架の上にいた。まあ、気分は悪くない。」

「その様子だと大丈夫みたいだな。」

山本は苦笑して南部に笑顔を向けた。

 

「さあさあ、どいた、どいた、アナライザー、手伝ってくれ。医務室に運ぶぞ。」

「ヘ~イ。」

ベットにのせられた数人のコスモタイガー隊員がカラカラとベッドのキャスターの音をさせながら医務室にはこばれていく。そのあとからピコピコシャカシャカとアナライザーがついていく。

 

第一艦橋は安堵感に包まれた。

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