宇宙戦艦ヤマト2203 暗黒星団帝国の脅威   作:Brahma

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いよいよ地球側の「あの無敵な防御兵器」が登場です。


第22話 さらなる罠

「総員配置につけ。ブラックホールをつかって全艦スイングバイののち、ワープする。」

「了解。」

地球艦隊は一列になりシュワルツシルト半径の外側をたくみに航行してスピードを上げていく。

ガイウスは戦闘宙域ははなれたものの、地球艦隊の状況を把握できる位置にまで後退すると停止する。

「そうだ。ヤマト。地球艦隊よ。そっちの方角へ行くのだ。そう、そう、そのとおりだ。ふふふ。」

 

「敵艦隊動きません。」

「この状況で追撃してこないのはありがたいな。なにかあるのかもしれないが。」

「まあ、あのまま戦っても敵は損害を増やすだけだからな。すぐに追いかけてこないのが気になるが。」

「ワープに入ります。各自ベルト着用。」

地球艦隊の艦影は暗黒星雲バルジの超巨大ブラックホールからスイングバイして次々に消えていった。

 

「ワープ終了。」

そのころ展望台には佐渡とアナライザーが外を眺めていた。

暗黒ガスが濃密にたちこめている空間にヤマトはワープアウトした。

星の光は全く見えない。地球艦隊の艦橋などからもれるかすかな光がぼんやりとてらしている。

「あたりは真っ暗だな。」

「星モ何モ全ク見エマセン。セッカク星デモ見ガラオ酒ヲ楽シモウト思ッタノニ。」

「アナライザー。星が見えなければ月、月が見えなければ星、両方見えなければ雲。

真っ暗で何も見えないにしても地球からは見られない暗黒物質でもながめるんじゃ。そうすればお酒を楽しめる。」

「サスガハ佐渡先生デス。」

「それにしてもなにか外は荒れ模様のようじゃな。なにもなければいいのだが。」

佐渡の顔はくもる。

 

「しかし、すごい密度のガスだなあ。すすのなかを進んでいるようだ。」

南部がぼやく。

「星雲の中心からはなれたからすこしはましになるかとおもったのに...」

 

「位置的にはあと数光年で暗黒星雲を抜け出せる計算だ。局地的にガスが濃い空間ということだろう。」

「レーダーが断続的なブラックアウト。ほとんど役に立ちません。」

「ガス状物質が濃密になり、液体に近くなった影響だな。これからは有視界航法をとるほかないというわけか。」

「右舷及び左舷パネルを作動させろ。」

グオオオーーーン

そのとき船体が激しく揺れる。

「敵襲?」

「左舷マスト損傷。右舷第193装甲板剥離。艦の機能には影響なし。」

「レーダーは?あ~そうか使用不可能だったな。」

「敵の方向、距離特定できません。」

「くつ...」

「火器管制システムにも影響がでている。レーダーが利かないから火器の使用はほぼ不可能だ。」

「今のままじゃなぶりごろしだな。島、逃げ切れるか?」

「なんとかやってみる。」

「波動エンジン出力上昇。第一戦速へ移行。」

「念のため各員総員戦闘配置。」

「加速開始。」

 

そのころ暗黒星雲内を暗黒ガス用の特殊ソナーで自重自在に動ける暗黒星団帝国艦隊ではガイウスが艦隊運動を指示していた。

「全艦に告ぐ。ヤマトと地球艦隊を追え。駆逐艦隊は両翼へ展開。予定航路を常に確認せよ。決して外れるな。」

暗黒星団帝国艦隊は見事な艦隊運動で地球艦隊を包囲するように展開する。

 

「速度を上げて左右に展開をはじめたな。このまま包囲する気か。」

 

「ヤマトめ。なりふり構わず逃げているな。レーダーが利かないだろうし、戦術的に見て基本的には正しい判断だが...。」

「あと2500宇宙デザリオンで予定宙域に到達します。」

「うむ。そのあたりでいいだろう。全艦戦闘態勢。両翼の艦隊は砲撃開始。

われわれが追い立てるその先に何が待ち受けているか知ったときのやつらの顔が目に浮かぶようだ。ふはははは。」

ガイウスは部下に命じる。

「ボンベイウス中将につなげ。獲物の群れをわなに追い込んだ、とな。」

「了解。伝えます。」

 

「敵艦隊の砲撃がやんだな。」

「乱流がおさまってきました。暗黒ガスの濃度が97%から68%へ。レーダー機能一部回復。」

「!!」

「あれは...。」

 

そこに現れたのはイスカンダルで見たことのある黒光りする巨大なこけし状の物体であった。

 

「ゴルバ...ゴルバ型の浮遊要塞...。」

「う、右舷に...三体...いるぞ。」相原が悲痛な声で叫ぶ。

「左舷にもいるぞ。」南部が押し殺したような声でつぶやく。

 

「あの敵の動きはこういうことだったのか。」

真田がつぶやく。

 

メインパネルに敵将の顔が映し出される。地球人だと50代くらいだろうか。しかし白髪である。

「ふはははは。おどろいたかヤマト、地球の艦隊よ。わたしは暗黒星団帝国暗黒星雲ウラリア式浮遊要塞部隊を率いるボンベイウスだ。お前たちを倒す敵将の名だ。貴様らが死ぬまでの短い時間だが覚えておいてもらおうか。お前たちの兵器は一切効かない。貴様たちの石ころのようなショックカノンもただ光り輝くだけの波動砲も実弾も一切効かない。しかもわれわれは互いに撃ち合っても全く問題はない。ここがお前たちの墓場だ。われわれの本星へいくことはできない。」

「全要塞アルファ砲発射用意。」

八個体あるゴルバの首の部分に並ぶ巨砲が地球艦隊に向けられる。

 

「こんなこともあろうかと備えはしてある。尾崎司令、全艦、銀色の携帯スイッチを用意してください。」

「真田。」

「大丈夫です。こうなることは想定の範囲内です。できれば役に立ってほしくなかったのですが。」

真田は苦笑し、パネルに映る尾崎も苦笑する。

「全艦より返信。準備完了とのことです。」

「敵のエネルギー充填が99%になった瞬間に押してください。」

「了解。」

 

「アルファ砲発射準備完了。5,4...」

そのとき地球艦隊艦内では銀色の携帯スイッチが押され、地球艦隊はじょじょに銀色のかがやきに包まれていく。

「アルファ砲、発射。」

全要塞から波動砲なみの光と熱の奔流がいっせいに吐き出される。

しかも地球艦隊の波動砲発射シークエンスの1/20の短時間だ。

しかし、その光と熱の奔流は銀色に輝く地球艦隊の船体にぶつかるとそのままはじき返されて要塞に命中する。

地球艦隊にとって幸運なことに跳ね返されたアルファ砲が二個体の要塞の砲口にそのままもどっていく。

「何いいい。」

自ら放った兵器が跳ね返されそのまま砲口へ命中し、二個体のゴルバは誘爆を繰り返して大爆発を起こして火球となり四散する。

 

「第3要塞と第7要塞撃破されました。」

「….。」

「司令。あれはすべての光学兵器を反射する空間磁力メッキ防護幕ともいうべきものです。」

「まったくの野蛮人というわけではないというわけか。数百光年を征服してきた我が帝国でもあのような防御兵器は始めてみるな。しかし、やつらもそのままあの状態でいるわけにいくまい。奈落へ落とされる時間が先に伸びただけのことだ。」

ボンベイウスはあくまでも冷静であった。

「要塞の配置を変えよ。それぞれ敵から1°の角度で移動せよ。もし連続して使ってきたとしても砲口にさえ戻ってこなければ何の問題もない。」

残ったゴルバはたくみに配置を微妙に変える。

 

「敵浮遊要塞、配置を変えます。」

「予想される敵主砲の照射範囲表示します。」

「死角はないってことか。」

古代はつぶやいた。

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