宇宙戦艦ヤマト2203 暗黒星団帝国の脅威 作:Brahma
「空間磁力メッキはスイッチ一個につき1回で7分しかもたない。連続して使用するのは不可能だ。だからその間に対策を考えておかないとやられる。」
「でも真田さん、対案は考えているんでしょう。」
「そうだな。二種類の新兵器は用意している。」
「真田。例のあれを使うんでいいのか?」
「おっしゃるとおりです。」
「敵は空間磁力メッキが切れる瞬間を狙ってくるはずです。砲口を開いてエネルギー充填をしているときがチャンスです。」
「真田さん。」
「何だ?南部?」
「敵の砲口がバリアに守られている可能性はないんでしょうか?」
「ありうるな。」
「砲口が開いたら断続的に魚雷を撃ちこんでバリアを分析してみますか?」
「そうだな。やってみてくれ。」
「敵の空間磁力メッキ防護幕の維持時間あと推定1分30秒。」
「アルファ砲、発射準備。」
「敵が砲口を開いた。」
「魚雷発射、一番、二番」
「司令、敵が魚雷を発射しました。あっ!、砲口へ向かってきます。」
「なんの、バリアがある。」
砲口の前で魚雷が四散する。
「やはりか。」
「5兆テスラです。エネルギー充填率10%,バリア敵砲口の表面から300m」
「波動砲でも撃ちぬけないってことだな。」
「敵の空間磁力メッキ防護幕、あと推定50秒。」
「また魚雷が発射されました。」
また砲口の前で魚雷が四散する。
「....。」
「4兆5千億テスラ。エネルギー充填率25%,バリア敵砲口の表面から600m」
「なるほど、空間磁力メッキの有効時間をかなり正確に測っているようだな。」
「しかも今回は敵のエネルギー充填がゆっくりめです。」
「それからバリアが砲口から離れて弱くなっているな。」
ボンベイウスはふと気が付いて部下に命じる。
「やつらは発射タイミングを測っている。急速充填しろ。第1要塞は10秒後、第2要塞は20秒後、第4要塞は30秒後、第5、第6、第8要塞は、40秒後。ふふふ。やつらはこれでおしまいだ。」
「敵主砲のエネルギー充填率変化します。右舷方向から80%,60%,40%,左側の三つは30%です。」
「かかったな。波動カートリッジ弾、右舷方向の要塞へ向けて発射準備。」
「第4要塞、第5要塞、第6要塞、第8要塞主砲発射停止。」
「ボンベイウス司令!」
「敵をみくびりすぎていたようだ。やつらは何か待っている。」
「第1要塞、アルファ砲発射10秒前。」
「ヤマト、波動カートリッジ弾発射。」
「!!」
波動カートリッジ弾は第1要塞と第2要塞のアルファ砲口に命中すると大爆発を起こして四散した。
「これで四つか...。」真田はつぶやく。
「地球艦隊よ。よく戦った。しかしもう手も足も出ないぞ。上部ミサイル砲発射。」
こけし状のゴルバの「頭」の部分が回転して上部ミサイル砲が雨あられとそそぐ。
「波動カートリッジ弾であの砲口を狙えるか?」
「まかせてください。波動カートリッジ弾発射!」
南部が命じて地球艦隊はいっせいに波動カートリッジ弾を発射するが雨のように降り注ぐ上部ミサイル砲に破壊されて四散する。
スクリーンに尾崎司令の顔が映る。
「古代、真田、波動カートリッジ弾の残弾がもうないぞ。」
「ふははは...どうした。もう終わりか。こっちの攻撃は続くぞ。」
「駆逐艦ズールー被弾!」
「ハルバートⅠ被弾!」
「きぬがさ被弾!」
「真田、古代...。大丈夫か...。」
やや焦燥した様子の尾崎司令の姿がスクリーンに映る。
「大丈夫です。最後の手段が残っています。」真田が返事をする。
「全艦、波動防壁を展開。」古代が命じて波動防壁を展開する。
しかし、20分しかもたないし、波動砲並の破壊力を誇るアルファ砲に効果があるかは非常に疑問である。
「最後の手段って...。」古代と相原が真田を見る。
「反物質カートリッジ弾を使う。敵は正物質のあらゆる兵器を無効にする手段をもっている。しかし正物質である以上反物質には耐性がないはずだ。」
「でも敵に当たる前に対消滅でなくなったり、発射した瞬間に自分たちが飛び散るようなら意味がないじゃないですか。」
相原が心配そうな顔で問い返す。
「大丈夫だ。尾崎司令へ連絡してくれ。」
「真田。例の切り札を使うんだな。」
「はい。しかし数が限られていてヤマトにしかつんでいません。さっきのように上部ミサイル砲には破壊されたら一巻の終わりです。」
「ゴルバの直下エンジン噴射口直下に小ワープするのはどうだ?」
「島、俺もそう思った。真田さん、小ワープしましょう。」
「そうだな。相手の攻撃を受けずに弱点を狙えるな。」
「谷艦長、全艦ゴルバの直下に小ワープさせます。」
「わかった。各艦長へ伝達。ハルバート、きぬがさは、10時の方向、ラングレー、ゆきかぜ改は12時の方向、しゅんらんは2時の方向、フレッチャーとズールーは4時の方向にある浮遊要塞の直下にそれぞれ小ワープだ。」
「「「「「了解」」」」
「そんなチンケなバリアをしても無駄だ。アルファ砲発射!」
「「「「「ワープ!」」」」」
アルファ砲の光の奔流は宇宙空間を照らし、そのまま空を切りゴルバの間を擦りにぬけていく。
「!!」
「敵艦隊、ゴルバの直下です。」
「やつらは、エンジン噴射口を狙うつもりだ。第4、第6要塞伏角90度!」
ゴルバのうち10時の方向と2時の方向のものが横倒しになろうとする。
しかし、地球艦隊のワープアウトがわずかにはやかった。
「反物質カートリッジ弾、発射。」
ヤマトの「煙突」VLSから発射された反物質カートリッジ弾は、ひとつは第5要塞のエンジン噴射口に命中、もうひとつは横倒しになろうとする第4要塞の装甲に命中した。すさまじい対消滅エネルギーが一瞬にして三つの浮遊要塞も巻き込んであっというまに大爆発を起こして火球となり、爆煙をまきちらして四散する。衝撃波が地球艦隊をゆさぶり、艦内の空気にズゴーンンンと爆音が伝わる。
「なんだ...あれは...」
ボンベイウスははじめて青ざめた。
「あれは...反物質を封じ込めた砲弾です。偏光バリアは効きませんし、本来なら光学兵器も実弾も衝撃波面で無効化する四次元フィールドコーティングが逆に...」
「実弾である敵のカートリッジを破壊して反物質を撒き散らすのを助けるということか...。うぬ、敵のカートリッジ弾の射程はわかっている。わが第8要塞は当該宙域から離脱し、1300宇宙デザリオンからアルファ砲を発射せよ。」
「了解。」
第5要塞の激しい誘爆がとなりの第6要塞をもあっというまに巻き込んで炎上、爆発させた様子が記録映像を再生すると確認できる。
「なぜ直接命中していない要塞まで...。」
「やっぱり敵の偏光バリアと四次元フィールドコーティングは、すべての光学兵器と実弾兵器を無効化してるというわけか...しかし、実弾にこめられた反物質は無効化できない。むしろ実弾のカートリッジを逆に破壊するから...。」
「強力な防御兵器が裏目にでているってことですね。」
古代はうなずいた。