宇宙戦艦ヤマト2203 暗黒星団帝国の脅威 作:Brahma
「これから先は液体のように濃密な暗黒ガスが渦をまいている状態だ。ただし、光が見えている部分はガスが異常に薄い状態であるのは間違いないだろう。あたかも台風の目と同じ理屈で安全な空間になっていて、しかも外界からの星の光を通している。」
「しかし、よく見てもらうとわかるように時間の経過とともに渦の中心で大きさが変わっている。これに周期性があれば脱出のタイミングがはかれるだろう。」
「今すぐ出口が閉じないうちに進むわけにいかないんですか。一度閉じてしまったら...。」
「あわてるなって尾崎司令も言っていただろう。この通路がすべて閉じてしまうことはまずない。ただ一部が完全に閉じてしまうことはあるから通過できなくなる可能性はある。その場合は停止して開くまでまつしかない。」
「...。」
「時間は貴重だ。だからこそあわてて渦に巻き込まれたら元も子もない。通路の拡大収縮に周期性があるのかどうか、周期性がなければどのように通過するか、もうしばらく分析のための時間がほしいところだ。」
「真田さん、じゃあ、みんなに食事や睡眠をとってもらうのはどうですか。」
「そうだな。そうしてもらおうか。」
「乗組員諸君、これから暗黒星雲の出口をいつ通過できるのか分析する必要があり、それには一定の時間を要する。不定期になってもうしわけないがしばらく休暇を与える。いまのうちに食事や睡眠をとるように。いつ配置につくかは決定しだい追って指示する。」
「古代、出口付近の通路の分析がひととおり終わった。中央作戦室に第一艦橋のクルーを集めくれ。方針を話し合う。」
「わかりました。」
第一艦橋のメンバーにインタフォンでその旨伝えられる。
「通路の気流の流れは一定していないし、通路の幅も一定していない。」
「真田さん。航行はどのくらい可能ですか?」
「24時間。ちょうど1日というところだな。現時点では敵は確認されていないが、これから敵についてはどう状況が変化するかは未知数だ。敵は、暗黒ガスの空間や気流には慣れているだろうからな。」
「真田さん。敵が通り抜けてくるんだからそんなに激しくないかもしれないとはおもいませんか。」
「地球を救うために元から絶つんだろう。ここを通り抜けるしかないと思うが。」
「確かに敵の待ち伏せは怖いな。第一種戦闘配備で突入する。いつでも対処できるように。」
古代の一言で方針が決定する。
機関室へ行くと小スクリーンに山崎の顔が映し出される。
「これよりヤマトは暗黒星雲の通路を進むことになった。機関部、たのむぞ。」
「太助、エンジンをたのむぞ。」
「アイアイサー」
機関部員は総員敬礼をする。
「微速前進0.5」
「フライホイール接続点火!」
「ヤマト発進!」
ヤマトは暗黒星雲の通路を進んでいく。
「ヤマト及び地球艦隊、距離25000宇宙デザリオン!われわれの白色銀河への出口通路を進んでいます。」
「よし、また敵を出口まで追い立てろ。」
「敵襲です。またどこから攻撃されているかわかりません。」
「弾道を解析しろ。レーダーが使えないなら弾道を解析して敵の位置を特定するんだ。」
「座標特定しました。送ります」
「よし、座標をセット完了。主砲発射!」
数隻の駆逐艦や巡洋艦が地球艦隊のショックカノンに撃ち抜かれて、火球に変わる。
「敵は弾道を解析している。撃ったらすぐ移動するのだ。そうすれば十分に避けられる。」
「波動防壁展開!エンジンフルパワー。」
ヤマトは波動防壁を維持しつつ猛スピードで回廊を突進する。
「司令。追いつけません。」
「それならそれでいい。やつらは出口であせるだろう。」
「出口到達しました。」
「!!」
そこには、巨大な人工惑星が浮かんでいた。
全体は地球ほどのおおきさであったが、中心部がこぶのようにふくらみ、その周囲を網目のように黒光りする金属の管がとりまいているような姿だった。
その周囲をアメーバー状の戦艦とずんぐりした戦艦が守っている。
ずんぐりした戦艦は全長5km、全幅2kmはあるかとおもわれる巨大な戦艦であった。
「中央の巨大戦艦から通信です。」
「オマエタチガヤマトカ」
ロボットのような棒読みの不気味な声がしてスクリーンに敵の姿が映し出される。
黒いフードのようなものをかぶり、両目が赤く光っている。
「ヤマトヨ。シネ。」
艦首から無限ベータ砲が問答無用で発射される。
ヤマトは、島の操舵でたくみに弾道を避けるが、ラングレー、ゆきかせ改、ハルバートが光と熱の奔流に飲み込まれる。
つぎの瞬間には爆煙をあげて四散していた。
「!!」
無限ベータ砲は、あっというまに輝きをます。
すさまじい速さでエネルギー充填される。
きぬがさが無限ベータ砲の砲門へ向かって波動砲を発射する。
しかし、その光の流れは、無限ベータ砲のすさまじいばかりの光と熱の激流に飲み込まれた。無限ベータ砲の激しい奔流は荒れ狂った怒涛のようにきぬがさを襲って飲み込み、次の瞬間には引き裂いていた。
「真田さん、あの艦にはなにが有効なんですか。」
「古代...分析したけど反物質カートリッジ弾しか効かない。」
「すぐつくれる代物じゃないですよね...。」
「ああ...。」真田の表情は、苦虫を噛むようだった。
そのすきをついて左側の無限ベータ砲の砲門につっこむことに成功したのはまたもやズールーだった。
「大西司令!」
「古代。この戦艦にも直接効く武器はないんだろう。わたしごと撃て。乗組員を頼む。」
「...。」
「何をしている!早く撃て!」
「わたしには撃てません。どうか脱出してください。もう4隻も撃沈されました。地球には明日のためにも熟練した指揮官が必要なんです。」
「古代。また敵の砲門に魚雷を二発撃ちこんでバリアとあの擬似波動砲様兵器のエネルギー反応をみよう。」
「そういうことですから、大西司令、どうか後退をお願いします。」
「今は誘爆を恐れて敵は撃ってこないが、後退しようものならあの凄まじいばかりの砲撃を浴びる。それこそ犬死だ。」
「南部。主砲に波動カートリッジ弾を装填。最大射程で敵砲門の前で爆発させ、魚雷発射すると同時に、あのアメーバー状戦艦の砲門に標準をあわせろ。」
「了解。」
「古代。」
「航空隊に通用した手が戦艦に通じるか判らないけどやってみるしかない。」
真田は古代に向かって微笑む。
「艦首魚雷1番発射。2番発射まで5秒前。」
「2番発射。3番発射まで5秒前。」
ヤマトから魚雷が5秒ごとに発射され、無限ベータ砲の方向へ向かう。
「ムダダ。」
ビギギイイイ...
振動波が金切声のような音になって艦内に響く。
無限ベータ砲の前で魚雷が四散し、爆煙が舞った。