宇宙戦艦ヤマト2203 暗黒星団帝国の脅威   作:Brahma

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第32話 最後の戦い(中編)

「真田さん...。」

「古代。奇跡的に波動エンジンは無事だ。しかし波動砲の発射機構が完全に破壊されている。航行するのがやっとの状態だ。」

ヤマトに爆発音が続いている。巧みなダメコンで敵弾をくらってもまた幸いにも貫通したおかげで誘爆が少なくてすんでいる。しかし次に食らったらもう終わりだろう。

 

「もはやエンジン噴射口を狙う手段も、そしてこの要塞のガンマ砲をそのまま砲門へ向かって反射する手段もこの要塞には通用しない。たよりの戦闘機隊ももうろくに残っていまい。どうする、ヤマトよ。ふはははは...。」

 

「あのガンマ砲は、敵がかなり戦歴を積んでいることを示す恐るべき兵器だ。光学兵器で空間磁力メッキをとにかく無効化し、打ち破ることだけを目的に作られたという性質上、垂直にあたった場合のみ有効で、垂直にあたった部分だけヤマトの船体に穴があいている。しかも偏光バリアや四次元フィールドの技術を逆用して相手にあたった瞬間に逆反射させて高熱で相手を貫通させる兵器のようだから、誘爆が少ない。戦車でいう徹甲弾が正面なら貫通しても斜めだと跳ね返されてしまうのに似ている。だからまともに食らわなければ空間磁力メッキは有効だ。あの砲口と敵のエンジン噴射口が弱点なのには変わりない。あの砲門のひとつだけでも破壊できればぜんぜん状況は変わるのだが...。」

「敵砲門の射線を精密分析。」

ガンマ砲が輝き始める。

「敵ガンマ砲の斜線計算でました。これは...。」

船体と艦長室を貫いて破壊する方向であった。

「船体を貫かれないようにするには、もうすこし天底方向に移動したほうがいいな。」

避けるためにはやや天底方向に移動するしかない。

その場合も第一主砲、第二主砲、第一副砲と第二艦橋付近が貫かれるのはほぼ確実だった。

「....。」

もはや船体は小ワープしたらもたないだろう。古代と真田はくちびるをかみしめる。

「面舵90°上下角-20°」

島が敵から真横になった船体を縦方向へ動かすがガンマ砲の二発目が撃たれる。

激しい振動の後ぐらりと穴の開いた艦橋がかたむく。

「うわああああつ。」

乗組員は床に投げ出され、床面が30°近く傾く。

「第二主砲塔、第一副砲塔、第二福砲塔大破、第二艦橋下部に貫通。被害甚大。」

王手飛車取りの状態で、もし配置を誤っていたら艦橋と船体にガンマ砲を二箇所食らって詰んでいたところだった。これでも技術班の迅速な精密計算と島の操艦で最低限の被害に抑えたのだ。

そのときだった。航空隊の二名が申し出る。

「技師長。われわれが行きます。あの砲門が発射されるタイミングでミサイルなり魚雷なり撃ち込みます。」

「危険だ。かえってこれなくなるぞ。」

「ここであの要塞を破壊できなければ、あの要塞で地球が攻撃されます。波動砲が効かないし、空間磁力メッキも破られるようであれば地球は終わりです。ここで食い止めなければ...。」

「わかった。こんなこともあろうかと思って発射される瞬間のエネルギー反応データをとっておいた。通信で送るとジャミングされる。だからこのメモリーカードを渡すからセットして発射される瞬間の2秒前に敵の砲門に命中させるんだ。」

「了解。」

二人の勇士は、コスモタイガーで飛び立つ。

「真田、古代。」

「尾崎さん、お願いします。」

「あの砲門をねらうんだな。援護しよう。」

「お願いします。」

イモ虫型戦闘機と白色円盤状戦闘機の攻撃を避けながら要塞に接近する。

イモ虫型戦闘機と白色円盤状戦闘機はヤマトにも襲いかかる。

「波動防壁展開。」

「敵ガンマ砲に被弾!」

「被害報告!」

「波動防壁消失!ただし間もなく回復します。」

「右舷パルスレーザー砲塔群に被弾!5番~10番使用不能!」

「やはり垂直に命中した部分のみ破壊されたか...。」

「しかし誘爆も続いています。」

船体が振動で揺れ続けた。

 

「すさまじい威力だな。」

「ああ。波動砲以外は破れないはずの波動防壁の衝撃波面を吹き飛ばすだけでなく、空間磁力メッキも無効化するんだからな...。」

島は無言で操縦桿を握って巧みに操作する。

ガンマ砲は垂直にあたらずに反射される。

島の額には汗がにじんでいた。巧みな操艦でかろうじて直撃をくらわないですんでいる。

「島...。」

「古代。これまであのぎっしり並んだデスラー機雷を避けたり、異次元空洞や宇宙気流で流されたりしたのに比べたら自分の力で操艦できる分楽なほうだ。」

島は微笑んで答えた。

 

『しゅんらん』の援護もあり、ガンマ砲の四発目はなかなかヤマトの船体にはあたらない。おそるべきことにガンマ砲の同時発射があるが、すんでのところで『しゅんらん』は小ワープする。イモ虫型戦闘機と白色円盤状戦闘機の弾幕は波動防壁で避けるとともに煙突ミサイル、波動爆雷、側面ミサイル発射口、艦首魚雷で防戦する。二機のコスモタイガーは苦しみながらもガンマ砲口に近づいていく。

 

「愚か者め。」

その瞬間だった。コスモタイガーから魚雷が発射されると同時に「滅びの方舟」の突起が一回転するやいなや赤黒い目玉がひときわ輝き、竜巻のような衝撃波が発せられ、コスモタイガーをつつみ引き裂いていく。

 

 

「!!」

第一艦橋のクルーは粛然として敬礼する。

魚雷は砲門に命中した。しかし、500兆テスラのバリアが張られる。

 

ガンマ砲のエネルギーが充填される。

光球がヤマトへ向け発射される。

「!!」

光と熱の弾は、激しい光の濁流となってヤマトの艦長室を貫いた。

ズガアアアアアアアンン...バキバキバキ...

第一艦橋の艦長席に落盤する。

「艦長!山南艦長!」

第一艦橋のクルーたちは振り向き、艦長席で額から血を滴らせている山南を振り返って愕然とする。

 

「真田、古代!」

「あのバリアは500兆テスラだ。『しゅんらん』の拡散波動砲三門を至近で撃ても破れないだろう。」

「そうですね。装甲は、実体弾を跳ね返す堅牢さに、4次元フィールドで一切の光学兵器を無効化、砲口のバリアも拡散波動砲収束モードも効かないようです。」

 

『しゅんらん』も波動防壁をヤマトより頻繁に展開できるとはいえ、再展開までのタイムラグがある。『しゅんらん』は、中破であり、ヤマトは、ほぼ大破に近い状態であり、満身創痍だった。

 

「真田、古代に話してくれ。」

瀕死の息で山南は真田に説明するよう伝える。

「真田さん?」

「艦長、まさかと思いましたが、これを使う日が来てしまうとは...」

山南がうなずく。

「なんですか?」

古代は問い返した。

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