宇宙戦艦ヤマト2203 暗黒星団帝国の脅威 作:Brahma
「あ、そういえば司令は何もご存じないんですね。実は...。」
暗黒星団帝国の円盤型三脚戦車、降下猟兵、黒色艦隊の侵略があって、地球側がパルチザンで抵抗していること、地球に降下したハイペロン爆弾は遠隔操作が行われているので敵本星に向かう途中のワープ実験中であったことを説明した。
「そうか。ところで、敵本星の位置はわかっているのか?」
「重核子爆弾の侵入ルートから逆算しおおよその方角はわかっているんですが正確にはわからない。イスカンダルをみつけたときのように手探りで進まなければならない状況だ。」
「実は、われわれが暗黒星団帝国の艦隊に遭遇したとき、ちょうど彼らの真正面からワープアウトを確認できたんだ。」
「そうですか!」
しかめつらしい真田の表情がゆるむ。
「ということは、敵のワープによる空間歪曲エコーを把握できたってことですか。」
「そうだ。そうか!そちらへもそのデータを送ろう。」
「真田さん、それって敵の来た距離と方向がわかるってことですか。」
「うむ。ただし、直近の敵のワープだけなんだ。それにそのエコーをどうどうと残したということは敵本星を把握しずらい状況だからあえて消さなかったとも考えられる。それとわたしたちのように連続ワープしているなら、あえて消す必要がなかったとも考えられる。
ただ何もないよりは確かにましなのだが。」
しばらくして計算結果が真田のディスプレイに表示される。
「結果が出たな。銀河系外周から約20万光年か…。」
「に、20万光年って?そこになにがあるんですか?」
「小マゼラン雲だ。そのさらに20万光年先にダークマターを濃密にした暗黒星雲がある。」
真田がなにやら保留して答える。
「やはり敵は暗黒星雲から来たということか。」
いままで無言で話を聞いていた島がつぶやく。
「さっき今のところ何もないと言ったが、天体が確認されていないだけで、敵の中間基地があるのかもしれんな。」
「敵が来た方向と距離がわかったわけだからそこへ行ってみる必要がありますね。」
「あの…。」
「どうした相原。」
「古代さん、真田さん、そこに敵の中間基地があるとしてヤマト一隻で行くんですか?敵は堅牢な要塞で、強力な戦艦が多数いるかもしれないんですよ。波動防壁の持続時間内に倒すか、よほどうまく波動砲を撃たないとやられてしまいます。」
「山南司令。」
「尾崎司令。」
「地球が敵占領軍にパルチザン的な抵抗をしているのをすこしでも助けるためには我々も敵本星へ向かったほうがいいように思うが。」
「尾崎司令、地球防衛艦隊の波動エンジンは、あくまでも地球防衛のためで、拡散波動砲などの兵装は充実している代わりに太陽系内とその近傍への航海しか前提としていないのに40万光年のかなたなどに行けるのか?地球を守るんでなければ緊急性はうすいから、一番近い恒星であるアルファ・ケンタウリまでワープを繰り返して一週間かかるはずだが。」
「山南、忘れたのか?わが第七艦隊は、ヤマト以外に唯一遠洋宇宙航海可能な波動エンジンを積んでいる艦隊だ。しかしあまり地球から離れていては意味がないからシリウス近傍に駐屯しているんだ。こういう状況でシリウス近傍で敵をたたいた以上はこれ以上ここにいる必要はない。遠洋宇宙航海が可能で敵本星をたたける戦力は多いほうがいい。われわれ第七艦隊は、動ける艦だけでも貴方がたに合流し、敵本星まで同行しようと思うのだが。」
「なるほど..そうか…。」
「幸い無人艦のいくつかは主要機関の修理のみで動けるし、この『じゅんらん』もそれほど損傷は重くない。損傷が著しい有人艦が何隻かここに残り、修理を行うが、出発後はシリウス第5惑星基地から補給を行うことが可能だろう。」
「尾崎司令。」
「真田一佐、どうした?」
「技術班第一係をそちらの修理に向かわせます。工作機器はたくさんありますのでご安心ください。」
しかめつらしい真田の表情がいつになく明るい。やはり味方は多いほうがいい。
「修理は万全だ。『しゅんらん』の 準備完了の知らせがとどいている。」
「ヤマトと第7艦隊はこれより銀河系を脱出して敵本星のあると思われる方向へ長距離連続ワープを行います。ワープ準備。」
「了解。ワープ準備。」
そのころ、ガイウス艦隊では...
「時空歪曲場発生装置、すべて設置完了いたしました。」
ヒトデのような機動戦艦ナデシコのチューリップのような機器がガイウス艦隊の背後に設置される。
「エネルギーパネル動作正常!時空歪曲場発生装置へのエネルギー注入開始!」
ガイウスは満足そうに報告をきいてうなずくと
「よく聞け。ヤマトは間違いなくわれわれの本星をめざしてくる。銀河系オリオン腕からワープするルートなら間違いなくこの宙域を通過するはずだ。」
と作戦の狙いを語る。
「空間歪曲装置αからλまで、エネルギー注入70%突破。」
(さあ、ワープして来い。ヤマト。貴様らは目的地にたどり着くことはできん。歪曲場にまきこまれ、このガイウスの餌食となるのだ。)
「空間歪曲装置αからλまで、エネルギー注入100%に到達!」
「空間歪曲装置起動!干渉波照射開始!」
そのころヤマトは予定の連続ワープを順調に終えた...はずだった。
「このワープでちょうど20万光年到達になります。通常空間確認。ワープアウトします。」
「機関正常。エネルギー出力100%を維持。」
「!!」
「島、どうしたんだ?」
「おかしいな。俺たちは、都合5回の連続ワープで20万光年を一気に跳躍する予定だったはずだ。なのに航路記録を見る限りまだ10万光年しかきていない.」
「しかし…異常があることを示す報告なり、警報はなかったな。」
真田が不審そうにつぶやきながら計器を確認する。
「前方200宇宙キロにガス雲につつまれた中性子星カレル663です。」
「…。縁起が悪いな。何か罠にはまったのでは…。」
「!!この宙域付近に空間歪曲反応がひろがっています。それと敵影発見。」
西条が報告する。
「なんだって!」
山崎が叫んでしまう。
「西条一曹、パネルに投影してくれ。」
「はい。映します。」
古代が命じると西条は機器を操作して画像を天井のパネルに投影した。