宇宙戦艦ヤマト2203 暗黒星団帝国の脅威   作:Brahma

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第8話 地球よ、敵将の罠を食い破れ

古代が命じると西条は機器を操作して画像を天井のパネルに投影する。

黒々とした円盤状の旗艦にオべリスクのようにそびえたつ艦橋、その周囲には似た形のオレンジ色のおびただしい数の艦艇がとりまいいている。

「すごい数だ...よりによってこんなときに...。」

南部は軽く叫んでしまう。

「敵からすれば、我々が敵の本星に向かっているのは知っているはずだから、待ち伏せをして、わなを仕掛けるのは、考えてみれば当然といえば当然だがあまりいい気はしないな。」島が意見を述べる。

「もしかしてヤマトのワープ停止も敵のしわざなのか?」

南部が皆に確認するように話しかける。

「真田さん、どうなんでしょうか?。」

古代は真田に意見を求める。

「空間を広範囲に歪曲する機器があれば、干渉効果でワープ位置を狂わすことができるかもしれない。敵の背後にエネルギー放射点が複数確認できる。西条一曹、拡大してくれ。」

「はい。」

レーダー手がそのうちひとつを拡大してみせる。

「花というかヒトデというか変な形の装置ですね、真田さん。」古代がつぶやく。

「たぶんそれが敵の空間歪曲装置だな。この付近の空間をゆがめているに違いない。」

「敵がレーダー妨害を開始したようです。長距離レーダー、ホワイトアウト。近距離レーダーに切り替えます。」

「困ったことになったな。」

「古代、もし敵がワープに干渉してきたら今度はワープで逃げることはできないぞ。それに敵は我々を完全に包み込むよう布陣している。このままだと集中攻撃をあびてしまう。」

島は冷静な口調で客観的に危惧を述べる。

「それにもうひとつ気がかりなことがあります。波動エンジンもショックカノンも波動砲も空間歪曲の原理を一部利用しています。今のところ計器類に表立った異常はみられないが、今後はどこかに悪影響が出る可能性もあります。」

山崎も落ち着いたバリトンながらも機関長として危惧していることを話す。

「戦力をまとめ一点突破を図るか、分散して敵の布陣を潜り抜けるかか…いずれにしても敵艦隊と戦いつつ、あの干渉装置を破壊するということだな。」

「古代、総員戦闘配置だ。」

「はい、総員戦闘配置。コスモタイガー隊発進。」

「『しゅんらん』の尾崎司令に連絡。全艦紡錘陣形で突入開始。」

地球艦隊は紡錘陣形で暗黒星団帝国艦隊へ向かって突入していった。

 

「敵、包囲網に急速接近。15宇宙デザリオン!」

「覚悟をきめて一点突破をはかろうというわけか。全艦ねらいをしぼれ!やつらを蜂の巣にしてやるのだ。」

「全機左へ旋回。」

「メインノズルに損傷。航行速度30宇宙ノットに低下。」

「メインレーダー損傷。」

「右舷パルスレーザー砲塔、3番、5番、9番、11番損傷、左舷パルスレーザー砲塔、2番、7番、3番、8番損傷!このままでは火力が維持できません。」

「右舷10箇所、左舷12箇所装甲板剥離。」

「波動防壁展開!」

「主砲、副砲発射!」

「うっ。」

「南部どうした。」

「弾道が曲がってしまいます。」

「敵の攻撃は曲がらずにくるな。干渉波の影響というわけか」

山崎がつぶやく。

「そういえば、敵は曲がらないということは、波動エネルギーと異なる動力で動いているっていうことだな。」

「ということは、この状況で不利になるのはこっちだけってことですか?真田さん」

「うむ…。」

「波動砲はどうですか。」

古代が聞き返す。

「だめですな。敵の干渉装置が波動エンジンに影響を与えています。航行させるだけでせいいっぱいの状態です。波動砲のチャージをはじめたらエンジンが止まるでしょうな。」

山崎は、一見冷静だがその声にはくやしさがにじみでている。波動エンジンが止まってしまったら元も子もないのだ。

「しかも、この干渉波のなかで一度停止したエンジンを再起動できるかどうかも問題だな。ただ...。」

「ただ、何ですか真田さん。」

「『しゅんらん』は、新型の波動エンジンを二基搭載している。もしかしたら...。」

「『しゅんらん』の周囲から高エネルギー反応感知。拡散波動砲のチャージをしている模様です。」

「山南艦長、『しゅんらん』から通信です。」

「山南、『しゅんらん』が拡散波動砲で敵艦隊に穴をうがつ。そこから一気に突破して敵の背後に回り干渉装置を破壊してくれ。」

「土星会戦の意表がえしか。」

山南が苦笑交じりに返す。

「そういうことだ。あのときは助かったからな。」

尾崎の脳裏には土星の輪の上の空間からカラクルム級が無数にワープアウトしてくるあの時の悪夢がよみがえる。もはやここまでと思ったときに地球艦隊主力を率いた山南の艦隊が放つ拡散波動砲が無数のカラクルムという悪夢をはらってくれたのだった。

「尾崎司令、波動砲のチャージは大丈夫なんですか。」

「敵の干渉波でだいぶ出力は低下しているがこちらは新型のエンジンを二基つんでいる。

なんとかなるはずだ。」

「了解しました。」

「全艦隊に通達。拡散波動砲チャージの間『しゅんらん』は無防備になる。『しゅんらん』を敵の攻撃から守る。拡散波動砲発射後一気に敵艦隊を突破する。」

敵の高速艦からズールー、フレッチャー、きぬがさ、ゆきかぜ改、ハルバートとヤマトは直援機を発進させ、敵駆逐艦と艦載機を次々に撃墜していく。

宇宙空間をきりさくように光条が幾重にもとびかう。閃光と爆煙が幾重にも発生する。

「対艦ミサイルポッドハッチ開放。」

「敵をロック。追跡開始。」

主砲が当たらない敵機をコスモタイガーが次々に撃墜していき、敵機は次々に煙をはいては火球に変わる。その間にようやく『しゅんらん』艦内で

「拡散波動砲チャージ完了。」と報告され、発射シークエンスが進められる。

「対ショック対閃光防御。」

「10,9,....3,2,1,発射!」

『しゅんらん』の三つの波動砲口から放出されたエネルギーの奔流は宇宙の闇を照らして、花火か樹木のように枝分かれをして広範囲に広がり、敵艦隊の包囲網の半分を包むようにひろがっていく。拡散波動砲の網目のように広がった光と熱の支流はガイウス艦隊の千数百隻の艦艇を貫く。

「!!なんだこの高エネルギー反応は!!」

「かいひいいい~~~~」

「この閃光は…。」

「間に合わない」

「うわああああ。」

「ぎゃああああああ。」

そして次の瞬間には、その艦艇の内部は悲鳴に包まれ、閃光と爆煙に変わって、四散するのだった。

「なんだ…あの兵器は…。」

「うろたえるな。敵の兵器は確かに驚愕に値するがこちらにも戦力は残っいる。」

「あの艦…ヤマトともにあの艦もたたきつぶせ。」

ガイウスは語気を強めて命じた。

 

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