ぱちぱち小ネタ集   作:ぱちぱち

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シンフォギアの翼パイセンにガロォォォォって叫んでほしくて書いた作品です()


死に様動画配信中っ!(シンフォギア×牙狼風味)

 パ、パラッパ、パラパラ♪

 

 高らかに鳴り響くラッパ音。軽快なドラムロール。ゆらゆらと揺らめくスポットライトが淡くステージを照らし出す。

 

 楽しいステージ♪ 素敵なステージ♪ 喜劇のステージ♪

 

 パ、パラッパ、パラパラ♪

 

 ラッパとドラムに合わせてどこからか聞こえてくる歌のリピート。誰一人居ない観客席から聞こえてくるそれに、答えるように舞台袖から役者が飛び出した。

 

「ハァァァアアアイ! 元気にしてたかなエブリワン! 今日も来たよ来ちゃったよぉ! 死に様動画のお時間が♪」

 

 それは少女、いや。もしかしたら少年かもしれない。白と赤で構成された衣服をまとった、雪よりも白い肌と紅蓮よりも赤い瞳を持った子供。

 

「今日も今日とてリスナーの♪ 心の叫びを叶えちゃう♪ 紅白ちゃんのお時間がっ♪ 来たぞ来ちゃった来ちゃったぞ♪」

 

 デタラメなリズムでデタラメな歌を歌う、紅白と名乗る子供は右頬だけを釣り上げて嗤う。幾億幾兆幾京では数え切れない視線を浴びながら、怨嗟と称賛と絶望と希望を一身に受けながら紅白は己のステージ上で両手を広げた。

 

「さぁ、今日の愉快な子羊は、この方だぁ!」

 

 揺らめくスポットライトがステージ上に集まり照らし出す。ステージに集まった光はぐにゃりぐにゃりと形を変え、やがて人の形を取り戻す。

 

 顔も見えない。姿もわからない。けれど、たしかにそれは人の形だった。

 

 人間の名残だった。

 

「リスナーの中には彼、覚えてる人も居るだろうかな~♪ 1145148101919回からの古参だからねっ♪ 数多の伝説を作り上げた子羊がっ休養から帰ってきたよ!」

 

 にこやかに、嘲るように、悲しむように笑いながら紅白はくるくると回りながら子羊と呼ばれた彼に近づき、彼の体を優しく抱きしめる。

 

「祝え♪」

 

 オオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!

 

 爆音のように響く雄叫びに、紅白の腕の中で魂が震えて消えかける。核爆弾の爆心地もかくやと言わんばかりの轟音の中、それを心地よさそうに浴びていた紅白は「おっと」と何故かこの音の奔流の中でもよく通る声をあげ、右手をふりふりと一振り、二振りする。

 

「ここでワンアウトも面白いけど♪ 最近やったばかりのネタだからね♪」

 

 音の奔流が止まり、消えかけていた魂の人形を撫でるようにあやしながら、紅白は己を見ているだろうどこかのリスナーに向かって視線を向ける。

 

「それでは今回の♪ ストーリーをご紹介っ♪ 血湧き肉躍る♪ 歌と破壊と希望の世界♪」

 

 カツリっとブーツをならし、紅白は歌い上げるように言の葉を紡ぐ。

 

「戦姫絶唱シンフォギア♪ 良い死に様、見せてくれっ♪」

 

 光に包まれる人形へぴしりと人差し指を向け、紅白は嗤う。

 

 人形を覆う光が消えていき、やがてステージの音楽も止まり、照明も消え。

 

 ふつり、と闇が全てを覆い、そして場面は切り替わる。

 

 

 

 死ぬかと思った。死んでたけどな!

 

「……急にどうした?」

「あー、うん。えっとあれだ唐突に前世の記憶が目覚めたのさ」

「物語なら落第点レベルの始まり方だ、なっ!」

 

 おっとこいつは手厳しいね。

 

 にやりと言われた彼は笑みを浮かべ、右足に力を入れる。突き刺すように空を抉る崩拳を横目に、半身をズラしたまま一歩、二歩。互いの息がかかる程の距離に目を見開く弦十郎の脇腹に剣の柄頭を叩きつけ――

 

「甘いっ!」

「おっと」

 

 ようとしたのだがそこは問屋が降ろさない、か。直感か読まれていたのか、源十郎は空いた左手を柄頭と脇腹の間に滑り込ませて一撃を防ぐと、そのまま熊もかくやと言わん握力で柄を奪い取りに来る。

 

 単純な力比べでは分が悪い。ここは剣を手放して引くしかないのだが、そうなると今度は無手の達人に素手で挑む事になるわけで。一瞬の硬直の後、素直に剣を手放して両手をあげる。

 

「無理」

「これで俺の23勝19敗60引き分けだな」

 

 フォン、と寸止めの拳が風を左頬に伝えてくる。仮に剣を手放していても追撃の拳が迫っていたわけだ。どうもこれは上手いこと誘い込まれてしまったらしい。

 

 熱血バカの割に実践ではやたらとクレバーなのは血なのかなんなのか。

 

「風鳴の人って皆こうなんかねぇ」

「血筋に関して、お前にうるさく言われる筋合いはない」

「そりゃあなぁ」

 

 さてさて、そろそろ挨拶を行おう。はじめまして、もしくはお久しぶりですね、リスナーと呼ばれる皆様方。

 

 不親切な仕掛け人、紅白に変わりご挨拶をさせて頂きます。今回の仕事人、HSJ09と申します。急に改まった口調になるのはご勘弁を。オンオフは仕事人にとって最重要な適性でありますれば。

 

 さて、此度の物語は戦姫絶唱シンフォギア。天の川銀河はオリオン腕に位置する太陽系の地球で誕生した物語の一つです。創作物の多さで定評のある『あの』地球の物語です。おおまかな流れをお知りにないたい方は『こいつ直接魂に!』でお馴染みの魂魄動画をご参照下さい。当番組のスポンサーでもあります。

 

 それではステルスマーケティングはこの辺りにして、現状の説明を――おやおや。どうも初見さんの方がいらっしゃるようですな。これはありがたい、こちらもボーナスの文字に胸が躍る次第でございます。

 

 では、初見様のために圧縮言語で説明を。かくかくしかじか。

(この動画は魂魄オンラインネット内における配信サービス、死に様動画により撮影されています。

 当番組の目的は多種あれど大まかなものとしては唯一つ。

 リスナーの心に残る死に様を披露し、皆様方から評価をいただき、合わせて物語ポイントを頂戴する事です。

 今回の目的・レギュレーションは原作登場人物と親しい間柄になり、原作開始後に重要な場面でその身を散らすこと。

 大変はた迷惑な自殺と思って頂ければ間違いございません。)

 

 まるまるうまうま。

 (番組総責任者は司会を務める紅白が兼任しております。

  我々実際に撮影に携わる人物は仕事人と称されており、現在仕事人の人数は1億飛んで931人。

  各仕事人にはそれぞれ特徴があるため、同じ物語を題材としても大きく流れが異なる場合があります。

  『この流れ以外のこの話が見たい』『こういった話はないのか』といった場合は過去ログを検索すれば大体あります。

  仕事人はプロフェッショナルです。

  同じような動画を取りたい、と個人用宇宙シミュレータで死亡した場合重度の精神汚染を受ける場合があります。

  そういった場合、当番組は一切の責任を負いかねますのでご注意下さい。)

 

 話を戻しまして現状の説明へと戻りましょう。

 

 現在は原作開始、そうですね。作品をご覧頂いた方向けの言葉でございますと天羽々斬に風鳴翼が覚醒させる少し前、といった位でしょう。

 

 なぜこんな時期なのかというと、まぁ原作第一期の時系列に問題がございますのと、今回の立ち位置としてわたくしが風鳴弦十郎と同世代である事が望ましかったから、となります。その位の年代なら、第一期に登場するキャラクター全てと密接な関係を築くことが簡単なので。

 

 はい、こいつ性格悪いなと思った方。その通りです。これそういう趣旨の番組なんでね。ワタクシらも生活かかってますのでやるこた全部やるんですわ(必死)

 

 まぁ、ワタクシは兎も角、目の前の彼は真心で弦十郎氏やその世界と関わってます。じゃないと普通に彼らこっちの内心読んできますし。あと、なんだかんだ生まれ落ちた世界である程度の年齢まで育ってるので愛着もわきますからね。

 

 ん? ああ、ちょっと混乱を招く言い方でしたかね。ええと、これが先程言ったオンオフの意味というか結果ですね。今現在、ワタクシと眼の前で弦十郎氏と話す青年は意識が分かたれている状態になります。もちろんワタクシと同一人物ですよ? ただ、彼はこの世界で生まれ育ち目的と牙狼剣の使い方だけを覚えてる状態ってだけです。前世があるなぁ、位は自覚してますがね。

 

 まぁ要は読心能力対策とリアリティ追求のための措置というか技術だと思って頂ければありがたいです。いるんですよ、結構な確率で相手の内心全部丸裸にできちゃう人ってね。バレちゃうとその後の動画進行が非常に難しくなるのでこちらも色々対策はしているんです。

 

「それで――剣は、戻ってきたのか」

「ああ。34名の装者候補の血を吸い、更に大規模な実験施設を2つも更地にして破壊することもできず――結局返される事になった。うちの一族を爪弾きにしようとして失敗してりゃ世話ないな」

「その件については――すまん」

「お前が謝ることじゃあるまい。誰が悪いというならお前の親父さんと他国だろ」

 

 ニヒルに笑みを浮かべて、源十郎の肩を叩く。この剣というのが今回の改変ポイント、ワタクシが持ち込んだ異物となります。

 

 あ、これさっきの圧縮言語で説明してませんでしたね。動画の仕事人は誰も彼も様々な世界で様々な経験をしています。ワタクシでいうと前回の動画の世界では魔法を使用していたのでそちらの魔法とかも本来は使用できたりするんですね。魂に経験が蓄積されてるので。

 

 ただ、オレツエーのレギュレーションなら兎も角その他のルールを敷かれている場合はあんまり多く持ち込んでも、その、ね?

 

 でも完全に無能力の一般人だとそもそも物語に関わる手段が限られてしまう。その為、仕事人は動画撮影に際し一つ、自分が過去に経験した能力を持ち込むことが出来るのです。

 

 ワタクシの場合はこれが世界観的にこうなるしかない、という訳で立ち位置やら何やらが決定したわけですね。

 

 え、何を持ち込んだのかって?

 

 それはですね。

 

「受け取りの為に明日は5時起きだよ」

「しょうがないだろう。誰も触れないのだからな――牙狼剣には」

 

 はい。牙狼剣ですね。こちらも地球産のシンフォギアと近い年代の映像作品になります。あ、お知りの方も居ましたか。名作ですよね、はい。牙狼の世界の動画も撮ってるのでそちらも4649お願いします。

 

 え、魔戒剣じゃないのかって?

 

 ええそうですね。普通は魔戒剣から黄金騎士牙狼になる際に牙狼剣に変化するんですが、これ純正品じゃないので悪しからず。え、なんか大災害起こしてないかって? これも純正品じゃないからですね。恐らく装者の誰かが中途半端に耐性があって、触ってすぐ心滅獣身して大暴走したんじゃないでしょうか。

 

 まぁ2つ程度で済んだってことはそのまま魂をすり減らしきって消滅したと思うんでこの世界的には問題ないでしょう。民衆の命が吹けば飛ぶレベルの軽さですからね。この世界。

 

 さて、今回の改変ポイント、牙狼剣とそれに伴うワタクシの身分について説明しましょう。

 

 まず、この世界の更に過去を変化させ、かつて魔界と人間界は繋がり合っており、今はもう繋がりは切れているがその名残は今も残っている、という情報を付与します。

 

 実際にあったかどうかはどうでもいいんです。そういう過去の文献とかが重要で、それを伝承として伝える一族が入ればそれは事実として認識され現代まで伝わります。しかもこの世界、ノイズって存在が居ますからね。一般大衆は兎も角国家の上層部はほぼ信じます。あってもおかしくはない、と。なんならノイズは魔界から来たとか勝手に結論づけるまでありえます。

 

 で、そういった伝承を伝える一族が存在するとして、国の上層部はその存在を知ればどう考えてどう行動するか。

 

「ま、一族の秘宝が戻ってくる代わりに、担い手の俺は明日から日本政府の番犬になるわけだ」

「公僕の前で言う言葉か、それが」

「まだ明日にはなってないだろう?」

 

 普通に考えて取り込むか排除ですよね。で、日本政府は取り込む形に動いたわけです。結構強引な手段を使ったようなので画面内のワタクシは大分不満のようですね。弦十郎氏も思わず苦笑いですしおすし。

 

 まぁ当たり前でしょう。というかこいつ随分捻くれた感じのキャラ立ちになったなおい。

 

 さて。ここまでの会話で大まかな状況は把握していただけたでしょうか。言ってみればちょっと特殊な聖遺物を代々受け継いでる一族が物語に追加され、原作開始前に風鳴機関及び特異災害対策機動部二課と関わりを持った頼れる大人(笑)枠が一人入るわけですね。

 

 まぁ大人が子供の心をメタクソにしていくのはこの作品の特徴でもあるので()ご容赦お願いします。

 

 

 

 それでは少し時間を飛ばしましょう。紅白からも「巻いて巻いて」とジェスチャーが直接脳内に送り込まれてきましたし。魂魄じゃなくて脳内って辺りが奥ゆかしいですね。これで開幕魂を吹き飛ばそうとして来なければ最高の上司なんですがげふんげふん。

 

「やあ! たあ!」

「踏み込みが浅いぞ。肩の力が入りすぎ。翼ちゃんかわいい」

「はい! はい! はいぃぃええぇっ!?」

 

 一言一言言われる度に律儀に返事を返すもんだから思い切りからかわれてますね、かわいい(かわいい)

 

 え、何をしている場面なのかってそりゃ勿論鍛錬だよ。うん? そうじゃない?

 

「せ、せんせい! いきなりかわいいって、そんなハレンチな」

「ははは。翼は素直な子だなぁ」

「むぅ! せんせいはいじわるだ」

 

 ということはこの一生懸命背伸びして難しい言葉を使っているおちびちゃんの事ですかね(にやにや)

 

 はい、原作をお知りの方はお分かりだと思われますがこちら風鳴翼さんななさいですね。天羽々斬を覚醒させてから一年後、小学生の翼さんかわいい。これがあと10年もするとSAKIMORI語を縦横無尽に操る防人笑になるなんて、っと心情がだだ漏れでしたね、モウシワケナイ。

 

 風鳴一族は二次大戦の頃から聖遺物を研究している風鳴機関を統べる一族で、彼女はその風鳴一族の嫡子。生まれた瞬間から聖遺物と関わり合いを持つ事を宿命付けられたある意味可愛そうな子でもあります。

 

 そんな超VIPのお子ちゃまにお前は何をシていのかって、剣の手ほどきに決まっているじゃないですか。魔戒騎士という概念はこの世界には存在しませんが、牙狼剣を伝えている以上それを用いた剣技も当然伝えられています。

 

 彼も勿論その一族の一員で、しかも今代の牙狼剣の継承者であるためこの先祖伝来の剣技をきっちりと受け継いでおり、同じく剣型の聖遺物である天羽々斬を扱う事になる翼ちゃんに手ほどきを行っている訳ですね。

 

「はぁ……はぁ……」

「おし、今日はこんな所だな。おつかれさん」

「あ…………ありがとう、ござい、ました………」

 

 息も絶え絶えな幼女をにこやかな顔で見下ろす青年。ううん、この事案。

 

 そのまま道場の床にバタンキューな翼ちゃんを苦笑しながら彼が抱き抱え、風鳴家のお手伝いさんを探して屋敷の中へ。随分馴染んでる様子ですね。 うんうん、着々と原作キャラクター達と交流できているようで何よりです。

 

 さてさて、誰か居るかな♪ 誰か居るかな♪ とお昼下がりのライオン印のリズムで屋敷内を探索……あの、君ちょっとポップにすぎん?……していると、縁側に座る一人の男性を発見。すわクソジジイか、と身構える素振りを見せる彼に、件の人物はゆっくりと顔をこちらに向ける。

 

「君は……牙狼の一族の」

「八紘の旦那か、丁度いい」

 

 どうやら弦十郎氏は居ないようですがそのお兄さんは居たようですね。クソジジイにこのかわいい翼ちゃんを預けたら何されるか分かったもんじゃありませんからね。なにせ息子の嫁に手を出して子供産ませるクズの見本のような男です。ナイスボートの親父じゃあるまいし全年齢作品でやるなと。

 

 この八紘さんは戸籍上の翼ちゃんのお父さんになります。はい、上記の話と戸籍上の、という言い方で察された方はいらっしゃるでしょう。その通りです。

 

 まぁ彼はそんな内部知識を知らないので普通に翼ちゃんのお父さんだと思って接してますし、八紘さんも内心ものすごい葛藤してるんだろうけど極力表に出さないようにしながら眠る翼ちゃんを抱き抱えてます。ほんとこの世界の大人は誰も彼もなんか1つ2つ抱えてんなオイ(愉悦)

 

「……おと、さ」

「おっと、起こした……いや、寝言か」

「………………」

 

 そしてこのタイミングでのこの寝言。隠しきれない何かが顔から出てますよ、八紘さん。流石に彼もその様子には気づいたようですが、片眉を上げただけで開きかけた口を閉じました。偉い、よく空気を読んだぞワタクシ!

 

 そのまま軽く挨拶を交わして風鳴邸を去る彼と、その背中を見つめる八紘氏。うーん、この一年後くらいに翼ちゃんが家を出るんですが、この場面を見てると余計に八紘氏の苦悩が伝わってきますね。八紘氏と弦十郎氏が作中屈指のクズの種とか世界七不思議に入れても良いんじゃないでしょうかね。

 

 さて、では一旦CMをはさみ、次の場面へ進みましょう。

 

 死に様動画配信中っ!

 

 チャンネルは、そのまま。

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