魔法少女オレガ☆ヤンノ!?   作:かずwax

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前回の続きです!はたして無事に契約を拒否出来るのか!?


14話 衝撃の事実からの

「ここまでの素質を秘めた子は今まで見た事がない。間違いなく最強の魔法少女になれるよ」

さっきの衝撃発言でも信じがたいのに、念を押すが如くキュゥべえが俺に告げる。

 

「人違いです」

絶対そうだろ。現にそのセリフ、ピンクのツインテールの主人公さんに言うだろうが。断固契約阻止するけど。

 

「違うよ。君の素質さ。僕の見立ては間違いないよ」

儚い希望は脆くも崩れ去った。嘘だけつかないコイツが言うんだ。本当の事なんだろうな・・嘘だったらどんだけ良かった事か・・。

 

 

 

それにしても何で?何で俺がそんな事になってんの?えーと魔法少女の素質ってたしか因果律で決まるんだっけ?まどかじゃあるまいし、ほむらは関係ない、というかまだ来てないし。なら転生が原因か?あれ?そういえば・・転生する前に少年の皮かぶった邪神野郎が何か言ってたような?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お詫びに転生させてあげるよ。あと特典もあげるね☆』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・これか!!!?特典ってこれ!?でえええええええええええええええええええええええ!!!こんな所で伏線回収!?どーりで色々試しても何も起きなかった訳だ!チート能力を期待した俺のピュアな心を返せ!!しかもよりにもよって一番知られちゃいけない奴の手によって発覚してしまった・・・。最悪だ!絶対目付けられた!絶対逃がす気ないぞこの宇宙人ども!こんな事なら特典ない方がまだマシだった。殺された事といい、女に転生した事といい、あの自称神は俺を嫌ってるを通り越して俺で遊んでるようにしか思えねええええ!!ふざけんなよ!人権って言葉知らないのか!?

 

 

 

「これ程の素質を開花させないなんて宝の持ち腐れだよ。君は魔法少女になるべきだ」

衝撃の事実に頭を抱えうなだれている俺に追い打ちをかけてくる白い悪魔。要するにさっさと魔女化して手っ取り早くエネルギーを回収させろって事ですね?わかります。

 

「そうよ優依ちゃん。魔法少女の素質があるなら、契約する事も考えた方がいいわ」

事情を知らないマミちゃんはよりにもよってキュゥべえの援護射撃をしてくる。どんだけ仲間欲しいんだ?

 

 

 

 

 

 

 

一人と一匹はあの手この手で俺に契約を考えるように持ちかけてくる。俺は静かにそれを聞いていた。やがてひと段落ついたのか話す事をやめ、俺の反応を伺っている。永遠に続くと思われた沈黙の中、それを打破すべく俺は机に肘をつき、顔の前で手を組む。そして重い口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「却下」

勿論断ります。NOと言える日本人。貴重じゃないですか?

 

 

「ど、どうして?」

「君は何故そこまで契約したくないんだい?」

戸惑いの雰囲気を感じる。そりゃあれだけ必死に勧誘したのにバッサリ断ったら驚くわな。通常あれだけ勧められてその上願い事を叶えてくれて魔法少女の素質ありなんて言われたら多少は考えるかもしれない。だが俺はなびかない。全く心が動かない。熱心に勧誘すればするほど逆に冷めていく。俺は反撃を開始するため再び口を開く。今度はこっちのターンだ。

 

 

「君たちの言い分は分かるよ?願い事を叶えてくれるし、突出した素質があるならさ、それを活かさないのは勿体無い」

 

「だったら・・」

 

「でもそれに何の意味があんの?」

 

「え?」

ぽかーんとする一人と一匹。それに構わず俺は続ける。

 

 

「そもそも願い事はさ、そんなに簡単に叶えちゃっていいの?欲しい物とか叶えたい夢とかあっさり手に入れるより苦労して手に入った時の方が嬉しいし大事にするでしょ?望めばすぐ手に入るなんてすぐ飽きるよ?楽して手に入れてるから大した価値もないし大事にしようと思わないから」

頭の中には前世で深夜から並んで買ったゲームの数々が浮かぶ。あれらは本当に苦労して手に入れたから嬉しかったし大事に扱ったな。

 

「優依ちゃん、確かにそれは・・」

何かを言おうとするマミちゃんを手で制し、俺はじっと彼女を見つめ問いかける。

 

「マミちゃんは今幸せ?辛くないって言える?」

 

「え・・・?」

彼女は答えない。胸張ってNOとは言えないだろうしね。

 

「俺の知る限りじゃさ、マミちゃん毎日パトロールしてて友達と遊んだり、買い物したりとか中学生らしい事出来てないよね?魔女から街の皆を守るためだから仕方ない?でも他の人には魔女なんて見えないし、そんな非現実な事信じない。頭がおかしいと思われるだけだ。マミちゃんは誰にも理解されない孤独な正義の味方って訳」

 

「・・・それは・・」

 

「魔法少女の契約ってさつまり、一つの願いのために全てを犠牲にするって事だよね?そんなの簡単に契約しようとは思えないよ」

 

「・・・」

マミちゃんは俯いてしまった。キツイ言い方だが事実なので否定できないだろう。彼女はもう俺を勧誘することはないだろう。たぶん。

 

 

 

 

 

 

「君の言い分は分かった。でも僕なら望めばどんな奇跡も起こしてあげられるよ?君は不可能を可能にする事だって出来るんだ。そのチャンスを君は見逃すのかい?」

空気読めやコラア!せっかく契約無しの方向でいってたのに!俺はマミちゃんからキュゥべえに視線を向ける。こいつにも言いたいことがあるからだ。

 

「この世界に生まれて今生きてる事が十分奇跡だよ。生きてりゃそれだけで儲けもんさ」

これは俺の本心から思う持論だ。

突然神と名乗る奴に殺されて前世は中途半端に終わってしまった。その時まではあんまり生きるのにも執着が無かったし、まあいつか死ぬんだろうなとぼんやり思ってた。でも突然人生を終了させられて思ったことはもっと生きて色んなことをしたみたかったことだ。人間死ぬときに後悔する事は挑戦しなかった事だと聞いたことがあるが本当だった。死亡フラグ満載の世界に女として転生したけど今度はしっかり生きようと思った。俺が過剰に死亡フラグを恐れるのはそのためだ。もう一度生きるチャンスがあるんだ。中途半端に終わらせない!だから、

 

「俺は契約なんてしない」

キュゥべえの赤い目を見てはっきり言った。まどかと同等なのか知らないけど俺が最強の魔法少女になるなら、待ってる結末は最悪の魔女になることだ。どんな願いをするかによるがそれは変わらないだろう。しばらくお互い見つめあっていたが、キュゥべえがため息を吐いた。

 

「やれやれ契約は難しそうだ。僕も無理強いは出来ない。今回は諦めるよ」

 

「そっか」

どうやら俺が勝ったようだ。ん?待って?「今回は」って言わなかった?諦めてないじゃんコイツ!!喜べねえええええ!前途多難な未来が想像でき落ち込んでいるとキュゥべえが顔を覗き込んできた。

 

「君はそこまで契約したくないのかい?」

 

「うん、やだ。契約したくない。戦うなんていう覚悟も度胸もないから。はっきり言って心はカバーガラスのハートだから。ちょっと力加えるとすぐ砕け散るから。ついでに言うと今マミちゃんがいなかったら魔女の恐怖で発狂して暴れる自信あるから!その前に死にたくないです!戦いたくないんです!」

さっきの持論も勿論本心なんだけどこっちは本心中の本心です!というかヘタレな俺が魔法少女になんてなったら即絶望して魔女化一択だ。デメリットデカ過ぎるし、戦う恐怖で負けてバッドエンド一直線。俺が世界滅亡させる破壊神になっちゃうんですよ?「まどかにかわっておしおきよ」しちゃうんですよ?世界に対して。ネタとしては笑えるけど俺は笑えない。実際ありえるから。

 

 

「さっきまで良いこと言ってたのに、今凄く情けないこと叫んだね。全く訳が分からないよ」

物凄く呆れた声色のインキュベーター。心なしか表情ないのに蔑んだ目を向けられてる気がする。気のせいだよね?

 

「はっきり言うな。だが本心なので否定しない!」

 

「何で開きなおるのさ!?」

キュゥべえが叫んだとこ初めて見た。ノリの良い個体もいるもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・そうよね。無理に契約する事じゃないわよね・・」

 

「あ」

いけね!マミちゃん忘れてた!明らかに落ち込んでる!そんなに仲間が欲しかったのね・・。だが心配ご無用!前の俺ならこのままさよならだが、原作に介入すると決めた俺は一味違うぞ!マミちゃんの両手を掴みぐっと顔を寄せる。

 

「確かに魔法少女にはならない!だが俺は感動した!マミちゃんはヘタレな俺と違って世のため人のため日夜人知れず戦っていたんだね!すごいよ!本物のヒーローだよ!俺、そんなマミちゃんを支えたい!戦えないけどマミちゃんの役に立ちたいんだ!」

 

「え?え?どういう事?そういえば優依ちゃん、口調変わってない?」

早口で捲し立てる俺にマミちゃんは混乱しているようだが、それは想定内だ。

 

 

 

 

「今ここに俺はマネージャー宣言をする!一流や偉人と呼ばれる者たちには必ずといっていい程、縁の下の力持ちが存在する。サポートは任せてくれ!」

マミちゃんと共に立ち上がり、繋いでいる手を高らかに上げる。どうせ原作から逃げられないなら、裏方に徹する。異論は認めない。これが精一杯です。勿論戦いたくないというのが本音だが、裏方の方が何かと動きやすいだろうという理由もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・一緒にいてくれるの?本当に支えてくれるの?」

しばらく顔を伏せていたマミちゃんだったが、突然目をうるうるさせて俺を見つめてくる。保身が過分に入っている俺にとってはグサグサ刺さるが、サポートするのは本当なので力強くうなずく。

 

「もちろんだ!これから一緒に見滝原を守っていこう!今日はもう遅い!魔女って夜に出現しやすいんだよね?怖くて帰れないから泊まらせて下さい!お願いします!」

頭に犯罪という単語が浮かぶが無視する。

 

「ええ!こちらこそ喜んで!これからもよろしくね優依ちゃん。じゃあ今日のご飯は腕によりをかけて作るから楽しみにしててね」

目の前で照れたように笑うマミちゃん。マジ天使。

 

 

 

 

 

 

「全く・・何でこんなへタレがとてつもない素質を持っているのか理解出来ないよ」

 

白い生命体がぽつりと呟いていたが、関係ない。親睦を深めるという目的もあるから。決して怖くて帰れないだけが理由じゃないから。この晩マミちゃんと話が盛り上がって気づけば明け方。俺達二人は寝不足で学校へ行くはめになった。




何とか契約は回避!そしてマミちゃんのマネージャーになりました!
まあ・・キュゥべえは諦めてないでしょうが・・・

ちょっとシリアス回です!優依ちゃんにシリアスは似合いませんがね。
彼女が必死で死亡フラグを回避しようとする理由を察して頂けたら幸いです!

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