魔法少女オレガ☆ヤンノ!?   作:かずwax

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本当にありがとうございます!
正直ここまで読んでもらえるなんて思ってなかったので驚いてます!
今後も優依ちゃん共々よろしくお願いします!


18話 お泊り♪

「・・という訳なんです」

 

「つまり放課後やってた怪談話を思い出して怖くて眠れないから一緒に寝てくれって事か?」

 

「はい、そうです」

 

「・・・はあ」

 

ため息つかんでください。俺にとっては最重要な事なんで。よく考えればマミちゃんの家に行くにしても今、夜だよ?お外真っ暗。お化けとエンカウントしちゃうかもしれないんだよ?魔女とエンカウントしちゃうかもしれないんだよ?アカンやん!行けないよ!そんな中でまさかの杏子来襲というハプニング&ラッキーなふってわいた出来事。これを活かさない事はない!何が何でも泊まってもらうぞ佐倉杏子!俺の快眠のために!!

 

 

「アタシはてっきり・・・」

 

何か呟いてますけどね杏子さん、それ以上に大事な事今ありませんから。

 

「という訳で!是非泊まっていって下さいね杏子さん!泊まるしかないよね?服洗濯中で着るもんないもんねー。一泊していくだけでいいから!」

 

さり気なく逃げ道を無くす性質の悪い俺。それだけ俺にとっては幽霊が怖いという事を理解して頂きたい。杏子がしばらく呆れた表情で俺を見ていたが諦めたように目を閉じ、ため息を吐いた。

 

 

「・・・まあいいけどさ。ここまでしてもらったし、アタシも今夜寝るとこ確保できるから一緒に寝るくらい構わねえよ」

 

「やったー!杏子ありがとう!実はもう布団用意してるんだよね!もう遅いし寝よっか!」

 

「はあ・・・」

 

俺は杏子の腕を引っ張り自室に連れて行く。それにしても杏子さん、何でそんな悟ったような目でため息ついてんですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「杏子寝た?」

 

「寝た」

 

現在真夜中。布団に入ったはいいがさっぱり眠れずこうして杏子に話しかけてみるが杏子からばっさり拒否された。

 

「嘘つけ。はっきり喋ってるじゃん。ちょっと話さないか?寝られないんだよねー」

 

「・・・寝られるようにしてやろうか?」

 

ポキポキと不吉な音がしたので慌てて口を閉ざし布団に潜る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

しばらく目を瞑ってみたが全く眠気が来ない。ていうか怖い。しんと暗い中、時計の針の音が妙に響く。それがまた怖い!そして怖い妄想もしてしまう!部屋の隅に髪の長い女の人が立ってそう・・怖いいいいい!

 

「あの・・杏子」

 

「・・・・・・・・」

 

怖くなって再度杏子に声をかける。返事はないので寝てしまったのだろうか?

 

「杏子さーん・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・だああああああ!うっせえな!!」

 

もう一度杏子に呼びかけてみると今度はいきなりキレられ怒鳴られた。そのあと杏子が突然ガバッと布団から起き上がりそのまま俺のベッドに・・・俺のベッドに入ってきたんですけどおおおおおお!?更に驚いてる俺を抱き寄せ、頭を撫でてきた。え?どゆこと?

 

 

「きょ、きょうこさん!?」

 

「うるさい黙れ。怖いんだろ?・・寝れるまでこうして一緒にいてやるから安心しろ」

 

「・・はい」

 

有無を言わせない感じはなくむしろぐずる妹を寝かしつけるお姉ちゃんみたいな優しい言い方だった。多分妹さんの時もこうやってあやしてたんだろうな。凄いお姉ちゃん力だ・・・あれ俺妹扱い?そんなに幼く見える俺?・・ん?俺は杏子に抱きしめられてるので必然的に距離が近いというかゼロだ。すぐ目の前に杏子がいるのでもちろん石鹸の良い香りするし、女の子の肌柔らかいっす。・・・・それはともかく一番気になる事があるので杏子に聞いてみる事にする。

 

 

「杏子・・なんか鼓動早くない?凄いバクバクって音するんだけど?」

 

「永眠してえのか?」

 

「おやすみなさい!!」

 

ドスの利いた声がしたので即目をつぶる。杏子はその間ずっと俺を抱きしめて頭を撫でてくれていた。それに安心したのか俺はすぐに眠気に襲われ夢の中。今日はぐっすり眠れそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

杏子side

 

「・・すう・・すう・・」

 

寝息が聞こえる。どうやら優依は眠ったようだ。ホント世話のかかる奴だな。こんな展開になるならグダグダ考えずにさっさと会いにいけば良かった。優依を抱きしめたままここに来るまでの事を振り返る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優依が来ない。前に来た日はしっかり覚えていてその日から日時を確認し数えてる。アタシは土日になれば街の中を歩き回り優依を探すのが日課になってた。でも見つからなかった。どこですれ違いになってるかもしれないし、用事があって今回は来ていないのかもしれない。お互い連絡する手段もないし、来る日なんて決めてない。全て優依次第だ。今日は日曜日。アタシはまた優依がいそうな場所を主に探し回った。風見野駅、ゲームセンター、前に一緒に座ったベンチがある公園などとにかく思い当たりそうな場所を何度も探した。・・・でもアイツの姿はどこにもなくて気づけば夜になってた。これだけ会えないと悪い考えが頭に浮かぶ。

 

 

 

ひょっとして優依はもうアタシに会いに来ないつもりなんじゃないのか?思いあたる節はある。前会いに来てくれた時にアタシは未遂とはいえATMを破壊するところを目撃されてしまった。その時アイツはアタシを責めずに自然に接してくれたけど心の中では軽蔑してて二度と会わないでおこうと考えてたのかもしれない。思い返せば、家はどこかはぐらかされたし、お金渡したのもひょっとして手切れ金だったかも?何より次はいつ会うかなんて一言も言わなかった・・・。つまりアタシを嫌ってもう会う気はないという意思表示だった?悪い考えがどんどん出てきて止まらない。

 

 

「チッ」

 

思わず舌打ちしてしまう。こんなのアタシじゃない!こんなにウジウジすんのなんてありえない!アイツが悪いんだ!嫌ならはっきり口にだして言えばいいのにアタシに期待させて落ち込ませて無視するのかよ!許せねえ!

 

 

怒りが沸々と出てくる。

 

 

アイツが来ねえならアタシが行ってやる!そういう約束だしな!アイツの家に押しかけてアイツに会って返しそびれたハンカチ叩きつけてやる!

 

 

そう決めてバス停に向かう。考え事してて気づかなかったが既に空は太陽が昇り始めてた。前回優依が乗っていたバスに始発で乗り、久しぶりに見滝原に向かった。見滝原はやっぱり賑やかでマミとコンビ組んでた時の記憶がよぎるが頭を振って無理やり追い出す。着いたはいいが優依がどこに住んでるのわからないから探しようがない。幸い今日は平日、中学生のアイツなら学校に登校するはずだ。アタシみたいに行ってないとかならどうしようもないが。この辺りだとやっぱり見滝原中学校だろうか?直接向かうのはまずい。マミに見つかってしまう。それは避けたい。考えた末にアタシは展望台から探す事にした。魔法で改造した望遠鏡で学校に登校する学生の中から優依を探す。

 

 

 

 

「・・あ!」

 

思わず声を上げてしまう。レンズの中に見慣れた後ろ姿が映る。間違いない優依だ!やっぱり見滝原中学校に通ってたんだ!久しぶりに優依の姿が見れてすごく嬉しいと思う反面今まで何やってたんだ?何で会いに来てくれないんだ?という怒りが同時に出てきて複雑な気分になった。アイツの姿を確認したあと、ついでにマミの姿を探した。どれだけ探しても見つからなかったから今日は休んでる事が分かった。マミがいないなら都合がいい。アタシは迷わず優依がいる中学校の方向に駈け出した。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

見滝原中学校から向かい側にあるビルからアタシは優依を見てたが正直気分の良い光景じゃなかった。・・・アイツがアタシといる時よりもずっと楽しそうだから。かわいい笑顔を向けるのもきれいな瞳をうつすのも澄んだ声を掛けるのも全部全部アタシじゃない奴ら。アタシにはあんまりそんな顔しないのに・・・。アイツがアタシに向けるのは目を逸らしたり、はぐらかしたり、怯えた表情・・・。アタシの普段の行動は褒められたものじゃないし優依を無理やり会いに来るように仕向けたから仕方ないと思ってたけど実際ここまで違いをはっきり見せつけられるとこんなに腹立だしくて悲しくて・・・寂しいんだな・・・。

 

アタシは優依から視線を逸らし、アイツが笑いかけてる奴らを睨み付ける。どうやら仲が良いのは優依の前後の席の女子のようだ。前はピンクのツインテールで後ろが青髪のショートの奴。隣の席の坊やは何やら熱心に優依に話しかけてる。全然話が終わらねえし。何だ?アイツ優依が好きなのか?ムカつく。・・・アタシが優依を待ってる間ずっとアンタはアイツらといたのか・・・?思わずきつく拳を握る。

 

 

今は放課後、さっさと他の奴らは帰っていったのに、優依を含めた三人はまだ教室に残って何か話し込んでた。途中で優依と青髪が悲鳴をあげて抱き合いっこしてた。アタシはその光景に思わず持っていた菓子を握り潰してしまう。頭に血が昇りそうな時に見たピンクの奴の物凄く楽しそうな笑顔が印象的だった。ようやく帰る時も優依と青髪は手を取り合ってて、その前を行くピンクの奴は何故か輝かんばかりの笑顔だった。ようやく優依が他の二人と別れ一人になって周りをキョロキョロしながら怯えたように歩いてる。アタシはその後ろをこっそり付いて行って家に入るのを確認する。どうやら今目の前にある家がアイツの家のようだ。結構でかい家だな。親は金持ちなのか?今はまだ夕方だ、怪しまれるから夜にアイツの部屋の窓に立ってみるか。気づくかアイツ?

 

 

 

 

アタシの予想ななめ下の反応だった。優依は歌いながら部屋に入ってきて明かりをつけたと同時に両手をあげて悲鳴をあげた。・・コイツはアタシを見たら一々叫ばないと気がすまないのか?誰か来る気配がしたので屋根に上って様子を見る。少し時間が経って優依の母親らしき人が出掛け、優依が部屋に戻ってくる気配を感じたので、再び窓のところに立ってみた。外からはアイツがこっちに背中向けてなにやら考えこんでた。・・怖い。会いたくなかったのにとか来ないで欲しかったなんて言われたらどうしよう?でも気づいてもらえなかったら始まらない。アタシは震える口で優依に声を掛けた。

 

「いきなり悲鳴ってさ、酷くない?」

 

そう口に出してた。

 

 

 

 

 

 

訳が分からない!部屋に入れてもらえたけど呆れた様子で嫌がってそうな様子じゃなかったのは安心した。けど、アタシをからかってくるし挙句の果てには風呂入れって洗面所に引っ張られて強制的に風呂入れられた。混乱して優依のなすがままだったのが情けない。なんか今日着てた服も洗濯されてるみたいだし、何がやりたいんだよアイツ!?言われるがまま着替えて不機嫌にリビングまでいったら今度はドライヤーで髪乾かされた。何でこんな事すんのか聞いたらまさかのアタシがかわいい発言!?驚いたが悪い気はしなかったな。優依にかわいいって言われて嬉しくて思わず優依の太ももに寝転がって甘えてた。何か言ってたけど聞き逃したので適当に返事しておく。だってそうだろ?今優依が見ているのはアタシで話してる相手はアタシ。触れてんのもアタシ。学校で楽しそうに話してたアイツらじゃない。その事実が嬉しくてしょうがない!優依は夜食まで用意してくれていた。ここまでされると流石におかしいと思ってくる。約束を破ったお詫びだけじゃすまないだろう。まさか・・。だから優依に聞いた。何かあるのか?って。そしたら優依がアタシの両肩に手を置いて真剣な顔で見つめてきた。あまりに真剣だったからアタシが優依から聞きたくないことを今から言われるんだと思って珍しく怯えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日ウチに泊まってくれませんか?」

 

 

 

「・・・・・・・・はあ!!!?」

 

 

しばらく無言の後こんな事言われた。最初言ってる事理解出来なかったし。何で無駄にシリアスな雰囲気出したんだよアイツは!?で、あいつは色々言ってたけど、簡単にいえば怖くて眠れないから一緒に寝てくれって事だった。凄い脱力した。それだけのためにここまでやるか?

 

「アタシはてっきり・・・」

 

 

 

思わず呟いてしまう。てっきり「もう会うのやめよう」って言われるのかと思ってた。身構えてた分安心したけどさ。そうだよなコイツはこういう奴だった。真面目な様子でアホな事口にするシリアスキラーだった。私は思わずため息を吐いた。優依に連れられて用意してくれた布団に入ったはいいが、緊張して寝付けなかった。アイツが近くにいる。手が届く距離にいる。そう考えるだけで、心臓がやけにうるさく鳴った。そんな事アイツは気にも留めずにアタシの名を呼ぶから余計に意識してしまう。一度は指鳴らして黙らせたけど、少し間を空けてからまたアタシの名を呼んできた。我慢できなくなって衝動的に優依のベッドにもぐりこんで抱き寄せる。昔妹と同じようにあやす感じで頭を撫でてたら優依は眠ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人の気も知らないで幸せそうに眠りやがって・・」

 

眠る優依の頬を撫でながら愚痴る。部屋に入れてくれて良かった。アタシを受け入れてくれて良かった。嫌われたわけじゃないとわかって安心した。優依が忙しくて来れなかっただけと聞けてほっとした。思い切って家に押しかけて正解だった。これからはアタシが優依に会いに行けるから。もう待つのは嫌だ。待ってるだけなんてアタシには出来ないし。何より無防備に眠る優依を独占出来るのは気分が良い。普段会えない分、独り占め出来るのだ。文句は言わせない。

 

 

 

「とりあえず明日は帰って魔女でも狩るか・・その前に優依に朝飯作らせよう」

 

 

 

アタシは優依を抱きしめていない手でポケットをまさぐる。目当てのものを取り出し、それを上に掲げて見つめながら明日の予定を立てる。変身もしていないし、ほとんど魔力を使っていないのに手の中にあるソウルジェムは何故か半分近く黒く濁ってた。アタシはそれを握りしめたまま目を閉じ、眠りに就いた。

 

 




・・言い訳させて下さい・・
下書き段階の杏子ちゃんは原作通りにかっこ可愛い人物で優依ちゃんとの仲もコメディタッチなライトなものだったんです!それが何故かこんな泥沼なダークなものになってました!病んだ杏子ちゃんが見てみたいと思っておりまして、色々探したんですがあんまり見つからない。病んだ杏子ちゃんが見たいなら自分で書くしかないじゃない!!って思ってたらこんな事に・・・。


正直超楽しかったです!!反省はしてますが後悔してません!ただやっちまった感があるのでどっかで軌道修正します!出来たらですけど!



余談ですが杏子ちゃんハンカチ返してません!理由は優依ちゃんに会う口実を作るためです!その必要が無くなったときに返却されるでしょうね!ヤンデレ杏子ちゃん増えろ!!

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