母親からの衝撃の引っ越し宣言をされ、俺は抵抗しまくった。だが、理由はろくに説明出来ず、苦し紛れに
「第六感が囁いてる!!」
とか言ってみたら、無視され、あれよあれよという間に引っ越しが完了し見滝原市に来てしまった。せめてもの悪あがきで、
幼馴染兼オタクな親友トモっち(男)に引っ越したくない!と泣きついてみたが、
「離れてもズットモだぜ!!」
と親指を立て無駄に良い笑顔で何のあてにもならない励ましのみもらった。
幸い俺は今中学一年生だ。原作前であるため、まだ死なないと思う。でも明日からとうとうあの見滝原中学校に通うはめになる。胃が痛い。
今日が最後の晩餐だ。現実逃避したくてあてもなく彷徨っている。ぶっちゃけ今どこかわかっていないがそんな事はどうでもいい。それよりこれからどうするか考えるのが先だ!
あの中学校に通うということは、嫌でも「まどマギ」の重要人物達と出会うことになる可能性が高い。そもそも何の因果かこの世界に転生し、ましてや中心地に引っ越すはめになるなんて狙ってされてるようなもんだ。
どうする?関わる?
絶対嫌です!俺はへタレだし、豆腐メンタルならぬカバーガラスメンタルだからあんな殺伐とした戦いに正気でいられる自信がない。魔法少女になるなんて論外!破滅まっしぐらだ。
彼女たちに悪いが俺はどうする事も出来ない。元男の現女モブAに何が出来るよ?せいぜい盾くらいしか出来ないよ?ペーパーくらいの強度の。
この世界が原作通りならば、魔法少女に関わらない限り普通の生活は大丈夫だろう。たぶん。
まど神様がなんとかしてくれる!頼みますよホント!
決めた!俺は無関係でいよう!
そう決意して周りをみれば
「どこですか?ここ?」
な世界に立っていた。いや街並みじゃなくて、世界観が違う。まさかのファンタジー世界にご招待された!?
て、違う!ここは「まどマギ」だ!という事はこれ魔女の結界ですか!?
うおおおお、ロクでもない考え事してたからバチあたった?とにかく何とか脱出するしかない!
急いで周囲を見渡す。幸い周りに魔女や使い魔はいないようだ。それならば、気づかれない内に脱出する。出口どこ!?そもそも出口あんの!?
「はあ、はあ、はあ」
運動神経一般人以下だから走るのきつい。現代もやしっこには走るのもぎりぎりだわ。
出口を求めてがむしゃらに走りまわる。だってそれしか選択肢ないもの!
「!?げっ・・。」
どうやら俺は最深部に来てしまったようだ。原作ではみたことないグロテスクな魔女が鎮座してる。
最悪だああああ!よりにもよって魔女様のいる所に来てしまったあああ!
「!」
魔女が俺に気づいて、一瞬の間に距離をつめられ、大きな口を開けて俺に覆いかぶさろうとしている。
時間がゆっくり動いている錯覚を覚える。ああ、走馬灯って本当にあるんだ・・。前世の男だった俺が死んで、転生したら女になって、色んなことがあった。様々な記憶が瞬時に巡り、視界が涙で歪む。
こんな死に方って・・原作すら始まってないのに・・あっけないな・・ホントにあっけないんだけどおおおおおお!!
これで死んだらあの邪神いっぺんしめてやるうううううう!!
ーギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!-
「うえ!?」
心の中で罵っていると魔女が突然悲鳴をあげ、身体がバラバラに引き裂かれる。
ひいいいいい!肉片が・・肉片がグロいいいいい!
舞い散る肉片にグロ耐性のない俺は失神しそうになる。
ドン引きしてる間に周りの景色が歪み、俺が歩いていたであろう街並みになっていた。
「え?どゆこと?」
訳が分からずキョロキョロ周りを見渡していると後ろから声がした。
「アンタさ、命拾いしたね。」
慌てて後ろを振り返ってみると、長い赤髪をポニーテールにし、勝ち気な赤い瞳にチャームポイントの八重歯をみせながら笑っている
「まどマギ」重要人物ツンデレ魔法少女「佐倉杏子」がいた。
え?なんでいんの?ここ風見野?
記念すべきトップバッターは杏子ちゃんです!杏子ちゃん大好きなんで!