魔法少女オレガ☆ヤンノ!?   作:かずwax

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夢オチとかドッキリじゃないですよね!?


34話 赤の守護者

「くそ!まさかこんな事になるなんて・・。何でだよ?何で?よりにもよって優依がいる時に・・!」

 

壁に向かって拳を振りおろし悔しそうに唸っている現・俺の命綱である杏子。

 

突然現れた魔女の結界に結局俺達は逃げ切る事が出来ず、取り込まれてしまった。それはいい。だって一緒にいるのは杏子だ。抜群の安心感。闘争心に波があるマミちゃんと違って、杏子は常に冷静だ。無理やり一般人を巻き込むような真似はしない。そのおかげか本来なら魔女の結界に入り込んでしまった恐怖で震えているはずなのに、今は一部を除いて心中穏やかだ。杏子セコム凄い。

 

それなのに肝心の杏子は情緒不安定だ。さっきから壁に向かって

「コイツにだけは見られたくなかったのに」「巻き込まないって約束したのに」「何やってんだアタシは」とひたすらぶつぶつ言ってて不安になってくる。

 

今の俺の生命線は杏子に託されているのでさっさと魔女を倒して欲しいのが本音なのだがここまで落ち込んでいるようでは難しい。励ます事が出来れば最適なのだがそもそも何で落ち込んでいるのか分からないので何と言っていいのか分からない。ていうか俺に気の利いた言葉なんて言えない。

 

仕方ないので俺が今言いたい事を口にするしかないようだ。

 

「杏子」

 

「! ・・・何だ?」

 

名前を呼んだだけなのに肩をビクッとさせて恐る恐るこちらを向く杏子。怒られるのを怖がる子供のような表情をしている。そんな杏子の顔をまっすぐ見ながら俺は口を開いた。

 

 

 

 

 

「その恰好似合ってるね!」

 

「・・・・は?」

 

 

杏子はぽかーんと口を開けているが構わず続ける。

 

 

「杏子ってやっぱり赤がすごく似合うよ!スカート履いてるとこ初めて見た!めちゃくちゃ可愛い!!」

 

「え?・・は?何言って?」

 

「空いた胸元がセクシーだし、そこについてる宝石綺麗だね!」

 

「っ! 馬鹿!見るな!」

 

「ノースリーブってやつ?活発な杏子に合ってる!ニーハイソックスがまた女の子らしさを演出してるし絶妙なバランスが取れてて素敵だよ!」

 

「分かった!もういい!分かったから!!」

 

胸元とスカートを手で隠しながら俺に褒め殺しをやめるように叫んでいるがやめるつもりはない。

 

俺、魔法少女の衣装の中で杏子のは一、二を争うくらい好きなんだ!これから先見れるかどうかも分からないので今の内にしっかり心に刻みつけて賞賛しておかなくてはならない!せっかく目の前にいるのだから!

 

今の俺のテンションは最高潮に達している!

 

ちなみに俺の好みで杏子の衣装と争ってるのはさやかの衣装。そっちは本物を見る機会がないというより見てはいけないので余計に杏子の衣装をしっかり見ておかなければ!

 

「可愛さとカッコ良さを兼ね備えた完璧な衣装!最高だ杏子!」

 

「あう///」

 

褒めのトドメをさされた杏子が妙に可愛い声を出して顔を真っ赤にしている。その様子に満足した俺の心は晴れ晴れだ。今の心情と同じな青空を見上げる。

 

「あ」

 

忘れていたがここは魔女の結界。視界に広がるのは薄暗い建物の光景。当然青空なんて見えるはずがない。

 

 

 

 

 

「///たく、人が本気で悩んでる時にコイツは何を言い出すんだ?悩んでたアタシが馬鹿みたいじゃないか」

 

俺の背中で杏子は何か呟いている。後ろを振り返ってみると顔は赤いままだがさっきまでの暗い雰囲気はなくなっていた。

 

「優依」

 

「何?」

 

「今見た事、今から起こる事は全部忘れろ。アンタは何も見てないし、何も覚えてない。それでいいな?」

 

「う、うん?」

 

訳が分からず頷く。

 

杏子は何が言いたいのだろうか?取りあえず俺は杏子の魔法少女衣装だけは絶対忘れないと決めた。

 

「優依の事は絶対に守る。傷一つつけさせたりしない。アンタは一般人だ。今も。これからもだ」

 

「杏子様・・!」

 

何という事だ!杏子が俺に気を使って魔法少女の事から遠ざけてくれるつもりだ。既に俺はバリバリ当事者なのだがその心遣いがとてつもなく嬉しい!どっかの黄色も見習ってほしいものだ。

 

やばい、感動で涙出てきた。

 

「傍を離れるんじゃねえぞ?」

 

「はい!もちろん!」

 

 

「!? わあああああ!馬鹿!抱きつくな!これじゃ動けねえだろうが!」

 

俺は感動のあまり正面から杏子の首に抱きついてしまった。

 

杏子は予想外の行動に慌てているがそんな事気にしていられない!

照れ屋さんの心臓がバクバクいってるみたいだけどそんなの気にしないよ!

 

 

 

君はホントに魔法少女の鏡だ!

 

 

 

「はやく離れろ!!」

 

「はーい」

 

怒鳴られてしまったので渋々離れる。怒っているように見えるが顔は真っ赤なので照れているだけだと判断できる。ツンデレは相変わらずのようだ。

 

 

「///心臓に悪い。・・どうやら近くに結界の出口はねえようだな。やっぱり魔女を倒すしかねえか」

 

「・・・・・」

 

「悪いが少し付き合ってくれ。大丈夫だ。アンタを危険な目に遭わせないし、ましてや死なせたりしねえよ」

 

「杏子・・!」

 

 

力強いお言葉に俺は再び感動の涙を流しそうだ。

 

 

「優依はアタシと一緒に死ぬんだから殺させてたまるか」

 

「・・ん?」

 

不穏な事を真顔で言われた気がするが気にしていられない。今はこの結界から抜け出す事の方が重要だ。杏子の言う通りなら魔女を倒さない限り出られないらしい。

 

杏子がいてくれて良かった!

俺一人なら間違いなく詰んでた!

 

「行くぞ」

 

「うん」

 

いつの間にか出した槍を肩に担いだ杏子に手を引っ張られ、奥へと進んでいく。頼りになるセコムがいるので冷静なままだ。周りを見る余裕すらある。牢屋が目に入った。壁は石で出来てるみたいだ。昔の刑務所にいるみたい。俺達が歩いているのは通路のようだが薄暗く両方の壁に牢屋があるのではっきり言って怖い。何か出てきそうだ。

 

「わっ!」

 

「っと、大丈夫か?」

 

「ありがとう」

 

「気を付けろよ?薄暗いし周りはガラクタだらけで歩きにくいからな」

 

何かにひっかかって転びそうになった俺をわざわざこちらに振り向いてくれた杏子が支えてくれる。紳士だ(女だけど)。

 

それにしても歩きにくい。薄暗いし牢屋に目が入ってたから足元見てなかったけど床がガラクタだらけだ。

 

割れた皿に針が止まってる時計、腕のちぎれた女の子の人形など軽くホラーだ。

 

今すぐにでも帰りてえええええええ!!

杏子がいるから死の恐怖はないけどそれとこれとは別!!

何でリアルお化け屋敷に俺はいるんだ!?

! そうだ俺!目を瞑るんだ!そしたらこんな怖い物を見なくて済む!

大丈夫!赤いお姉さんが手を引いて誘導してくれるから迷子にはならないぞ!向かってる先は死亡フラグの魔女だけど!

 

しばらくそうして目を瞑って歩いていたが足元が見えないので何度もこけてその都度杏子に助けてもらうはめになった。

 

 

 

「・・・ここが最深部だな」

 

「・・・・うわあ」

 

杏子が立ち止まり一言呟いたので目を開いて辺りを見渡す。

沢山の牢屋があちこちにある大広間。ここが最深部らしい。つまり魔女がいる所。緊張でゴクリと唾を飲み込む。

 

 

 

少しの間お互い辺りを見渡していたが、何も現れない。脱力しそうになったときに杏子が槍を正面に構えて鋭い声で叫んだ。

 

「下がってろ!来るぞ!!」

 

「マジで!?」

 

杏子が構える方向に一際大きな牢屋があった。そこからズルズルと何かが這っている音が聞こえた。

 

「ひいいいいい!!怖い!何あれ!?」

 

「落ち着け優依!」

 

牢屋の隙間から無数の人間の手がこちらに向かって伸ばしている。

ホラーが3Dから飛び出したようにしか見えない!

 

やがて重さに耐えられなかったのか牢屋が外れてしまいガタンと音を立てて倒れてしまった。

 

牢屋の中から現れたのは全体が黒い髪に覆われた毛むくじゃらの何か。あちこちに手が生えていてそれで身体を支えているようだ。こちらに向かってゆっくり這っている。

 

俺の記憶の中であんな魔女は見た事ない。俺が覚えていないだけか、もしくはアニメ以外で登場した魔女か分からない。そもそもあれは魔女なのかすら怪しい。結界があるって事は多分魔女なんだろうけど。

 

”ウガアアアアアアアアアアアアアアア!!”

 

「!?」

 

突如奇声を発して先程の鈍足からは想像出来ない素早い動きでこちらに走ってくる。しかし俺の視界は突如現れた赤によって遮られてしまう。

 

「優依!そこから動くなよ!!」

 

「杏子!?」

 

俺の目の前に赤い楔型の結界が施され、その前を杏子が迎え撃つ形で構えている。

 

「速攻で決めてやる!」

 

杏子が真正面から突撃してくる魔女に槍を突き刺す。

 

ほとんど目視出来ない程の速さで攻撃するも魔女はそれを上回る素早さで回避しそのまま杏子に体当たりをお見舞する。

 

「な・・!?うあ!」

 

杏子は吹っ飛び壁に叩き付けられクレーターが出来上がりそのまま地面に倒れこむ。

 

「・・くっ」

 

「杏子!?」

 

ダメージが大きいのか槍で身体を支えておりすぐに動き出す気配がない。

 

 

 

 

 

「げ!?」

 

杏子がしばらく動けないと判断したのか魔女は(全身髪の毛なので分からないけど)顔をこちらに向け(多分)俺を見てた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・。

 

 

Girl meets MojaWitch

 

 

 

”ガアアアアアアアアアアアアア!!”

 

「ぎゃああああああああああああ!!」

 

しばらく見つめ合いをしてる最中俺の頭の中で変な英文が浮かんだ直後、魔女は俺に向かって飛びかかってきた。

 

 

「!?」

 

「チッ 外したか」

 

結界が魔女の突進で壊れ今にも俺に飛びつこうとしていた黒い毛玉が消え、代わりに赤い槍の先端が目の前で光っていた。どうやら俺は囮にされ、襲いかかってる魔女を背後から攻撃した模様。作戦としては悪くないけど魔女にかわされ失敗したようだ。だから俺に槍が・・。

 

「杏子さあああああああああああん!?当たらなかったから良かったものの一歩間違えたら俺貴女の槍に刺されて死んでたよおおおおおおおおおおおおお!?」

 

「ああ?アタシがそんなヘマするか!むしろアタシが攻撃しなかったらお前殺されてたぞ?」

 

うっかりな殺人未遂起こしかけた赤い奴に文句を言うも犯人は悪びれもせずしれっとしていた。

 

うう・・先端恐怖症になりそうだ。

 

 

 

「思ったよりすばしっこい奴だな」

 

「大丈夫?思いっきりぶっ飛ばされてたけど?」

 

「ふん!これくらいどうって事ねえよ!」

 

「なら、良かったよ」

 

 

ホラーみたいに天井に張り付いてる魔女を見上げながら話す。横目で杏子の様子を伺うも傷はほとんど消えていて強がりで言ってはいないようだ。

 

「これならどうだ!」

 

再び俺の前に結界を張り巡らせた杏子は祈りを捧げるように両手を握る。ゴゴゴゴと地響きと共に地面から巨大な槍が複数出現し魔女に向かって一斉に攻撃する。素人目でも攻撃するタイミングを巧みにずらして回避しづらい高度な攻撃だと分かるのに魔女は嘲笑うように紙一重でそれをかわし、あっという間に杏子の目の前まで近づいた。

 

「? う!!」

 

「うわ!杏子!?」

 

攻撃する直前だった杏子が何かに驚いたようで一瞬動きを止めた。魔女はその隙を見逃さず杏子を押し倒し馬乗りで首を絞めている。杏子は苦悶の表情で必死に抵抗している。

 

杏子がやばい!この魔女強すぎないか!?

いや、杏子が弱くなってる?ひょっとして俺のせいか!?

杏子って見るからに攻撃タイプで防御苦手そうだもんな!

ひょっとして俺を守りながら戦ってるから本来の戦い方出来ないんじゃないか!?

確か人魚の魔女戦でもまどかを守りながら戦ってたから致命傷喰らってたし!

マジでヤバい!このままじゃ杏子が負ける!どうしよう!?

 

俺は結界の前でオロオロしながら杏子の様子を見る。

 

 

「ぐ・・離れろ!!」

 

持っていた槍を魔女めがけて振り上げ、魔女がかわすために杏子から離れた。

 

「げほっげほっ・・がは!!」

 

酸素を求めて咳込んで隙をみせてる杏子に対して魔女は甘くなかった。残像しか見えない速さで動き回り、あらゆる方面から杏子に体当たりをする。ダメージと疲労からか魔女の速度に対応出来ずされるがまま。次第に杏子の身体に傷が増えていく。

 

「う!・・くそ・・!」

 

背中から突撃され前のめりで倒れる杏子。既に息も絶え絶えだ。

 

その様子を結界越しで見つめる俺。しかし、魔力が切れたのか俺を守っていた結界は木端微塵に消えてなくなってしまった。今の俺は魔女にとっては無防備な獲物だ。

 

 

 

まずい!このままじゃ殺される!それより先に杏子が殺される!

 

どうする俺!?俺に出来る事は!?

 

杏子を助けにいく?死にます!

そもそも俺が盾になっても紙みたいな防御力じゃ何の役にも立たねえし、この鈍足な足じゃ魔女が攻撃する前に杏子のところに辿り着くなんてとてもじゃないけど出来ない!

 

だったら白い悪魔と契約して魔法少女として杏子の助太刀する?論外!

魔法少女になりたてのヒヨッコじゃ役に立たないし、ベテランの杏子が苦戦する相手に俺が対応できるわけない!というか俺、契約してすぐ絶望するから魔女になりそうだし、そうなったらまどかを超える最悪の魔女の誕生だ。ここにいる杏子はもちろん世界中の生命を皆殺し間違いなし!何よりあの白い悪魔の思い通りになんて動きたくない!

 

やっぱり杏子に勝ってもらうしかないだろう。

しかし杏子は今瀕死寸前だし、俺の出来ることなんてない。

 

まさに絶望的!

 

 

 

「やば!杏子!魔女が!!」

 

「・・・くそ!」

 

魔女が杏子にトドメをさそうと態勢を低くしている。攻撃するのも時間の問題だ。

 

 

 

 

く!こうなったらもう【応援】しかない!!

 

 

 

 

何もしないよりましだ!今の俺に出来る事はこれしかない!!

 

古来より応援の力はあらゆる絶望的な状況でも奇跡をもたらしてきた!頼むぞ!ここでも奇跡を起こしてくれ!!

 

 

俺は精一杯息を吸って杏子に向かって腹から出した大声で叫ぶ。

 

 

 

「杏子!あんな化け物に負けないで!カッコイイ所俺に見せて勝って!!」

 

「・・優依」

 

 

 

杏子が弱々しい表情で俺を見ていた。

 

やめてくんない!?明らかにそれ敗者の表情だからやめてくんない!?

 

こんな弱気じゃマジで死ぬぞ!何とか激励しなければ!!

 

 

「死なないで杏子!俺にとって杏子は大切な(命綱の)人なんだ!!」

 

「!?」

 

驚いたように目を見開いてる杏子。嘘は言ってない。

 

「生きて欲しい!俺、杏子と(ワルプルギスの夜を倒す時まで)一緒にいたいよ!だから勝ってくれ!(じゃないと俺殺される!)」

 

「・・・・・」

 

俺自身パニックになってて支離滅裂な言葉だったが言いたい事は言えたと思う。俺の応援を聞いた杏子は上体を起こして顔を俯かせている。表情は見えない。

 

一体どうしたのだろうか?

 

「! 杏子後ろ!!」

 

杏子の背後でついに魔女がトドメをさすためとびかかってきた。なのに杏子は未だに顔を俯かせて動かないまま。

 

 

 

この瞬間杏子の運命は決定した。

 

 

 

 

「っ!」

 

 

 

”ギャアアアアアアア!!”

 

 

 

「・・・え?」

 

 

目を瞑って惨劇を見ないようにしていたが悲鳴が聞こえたので恐る恐る目を開いて戦いの決着を確認する。信じられない光景が俺の視界にうつった。

 

魔女が時が止まったように空中で静止している。振り下ろそうとしていた拳はぶつける直前で止まっていた。正確には殴ろうとしていた腕を杏子に掴まれていて殴れないようだ。凄まじい力で掴まれているのだろう。掴まれている腕は青黒く変色していてミシミシという嫌な音が聞こえる。

 

”ギャア!”

 

空中停止していた状態から地面に叩き付けられ魔女の周りに一回り大きなクレーターが出来上がった。掴まれていた腕はありえない方向に曲がっている。その様子を無表情で見下ろしていた杏子は今度は魔女の全身を覆う黒い髪を鷲掴みにし片手で持ち上げブオンブオンという音を立てながら振り回す。

 

「え?えっとこれは・・?」

 

その残虐ファイトぶりに俺は内心ドン引きしていた。

 

さっきの劣勢はなんだったのだろうか?

俺の応援が効いた?それなら良いけど。

いや良くない!魔女がかわいそうになってきた!

無表情で痛めつける杏子超怖い!!

 

しばらく魔女を振り回していたが、魔女がぐったりしたのを見計らって壁の方に放り投げて叩きつけた。

 

”ギャア!”

 

叩きつけられた魔女は小さく悲鳴をあげるがダメージが大きいのかピクピク小刻みに震えるだけで動こうとしない。それを待ってる程この魔法少女は甘くない。既にトドメをさすために、空中で身を翻し、構えた槍を魔女めがけて振りかざしていた。

 

魔女が態勢を持ち直すよりも先に杏子の槍が魔女の身体ごと地面を抉り木端微塵にした。攻撃の余波で爆風が立ち込める。あまりの衝撃に目を開いてるのもやっとだったが、薄目で空間が歪んでいる事を見つけ、杏子の勝利を確信した。

 

「終わった・・?」

 

「ああ、終わったさ」

 

結界が完全に消滅し、俺達がいた元の公園に戻っていた。杏子は変身を解いた後、何かを拾おうとしてかがんでいる。おそらくグリーフシードだろう。

 

という事はやっぱりあれは魔女だったのか。

よく分からないが取り敢えず応援の力は偉大だという事を再認識出来て良かった。これは使えそうだ。

 

「・・う」

 

「あっ杏子!」

 

拾い物をパーカーのポケットに入れた直後、杏子は小さく呻いてよろけたので慌てて倒れないように支える。

 

無理もないか。結構手痛くやられてたもんな。

 

「大丈夫か?」

 

「・・大丈夫だ」

 

大丈夫なのは知っているけど一応知らないふりで聞いてみるが杏子がさっきとうって変わって再び弱々しい態度に戻っていて心配になる。

 

「ホントに大丈夫か!?今すぐ病院にいく!?」

 

「すぐ治るから必要ない。それより今は少し休みたい。悪いけどそこのベンチまで支えてくれない?」

 

「いいよ」

 

肩を貸してベンチまで杏子を運び座らせた後、俺も隣に腰かけた。

 

「・・サンキュ」

 

よほど疲れているのかそのまま俺の肩に寄りかかってきた。しばらくお互い無言で座っていた。

 

「優依」

 

「ん?」

 

どのくらい時間が経ったか分からないがしばらくの沈黙の後、杏子が俺の名を呼んだ。

 

 

「・・・アタシが怖い?」

 

「・・・・」

 

「あんな場面見せちまったんだ怖くて当然だよな?・・ごめん。巻き込まないって危険な目に遭わせないって約束したのに。約束破った上に怖い思いさせちゃったね」

 

上目遣いで俺を見ながら杏子は懺悔するような形で俺に謝っている。

 

むしろ俺の方が謝りたい。

 

ごめんなさい!そんな約束してたの忘れてました!杏子に言われるまで存在すら覚えてなかったよ!

 

それにしても杏子は優しいな。ホントに俺を巻き込まないようにしてくれてんだな!マジで見習ってほしいぞどこぞの黄色よ!

 

あー見滝原に連れて帰りたい!

杏子がいたら絶対解決するって!

それなのに何でシロべえは反対するんだ?

まあ、頭だけは良いアイツの事だから何か考えがあるんだと思うけどはっきりいって杏子に協力してもらう方が心強いんだけどなー。

 

「アタシの事怖いか・・・?」

 

頭のなかで杏子連れて帰りてえとずっと叫んで会話を忘れていたら当の本人は泣きそうな顔で俺を見上げてた。

 

え?何があった?

何でこんな悲しそうで殊勝な態度になってんの?

いや待て。今なら・・・

 

「怖いよ。杏子の事が怖い」

 

「っ!」

 

俺は真顔で杏子を見る。杏子は次第に顔を強ばらせて分かりやすいぐらい震えていた。

 

そんな彼女の様子を見ながら俺は口を開いた。

 

「だって杏子って怒らせたらおっかないし、空腹時なんて餓えた獣みたいで不機嫌で凶暴になるし、睨まれると蛇に睨まれた蛙みたいに動けなくなるし」

 

「ちょ、ちょっとまて!お前何言ってんだ!?怖いってそっちかよ!?ていうかそんな事思ってたのか!?さっきのは!?さっきはあの化け物を一方的になぶり殺しにしたんだぞ!?」

 

俺の話の内容が納得出来なかったのかさっきまでの弱々しさが消えガバッと起き上がって俺を見ている杏子。

 

失礼だな。今までの貴様の所業マジで怖いんだぞ?やめさせたかったけど怖くて言えなかったんだ。いまとても俺に対して殊勝な態度を取っているのでこの好機に改善を要求しただけなのに。

 

まあ杏子が気にする理由は何となく理解出きるので答えてやるか。

 

「いや全然怖くない。さっきまでいた化け物の方が怖いし、杏子が倒してくれなかったら俺今頃死んでたよ?むしろ俺は杏子のかわいい衣装が見れて眼福だった!」

 

「・・・」

 

グッと親指を呆れ顔の杏子の前に立ててみる。

もちろん全て本音だが最後の方は特に強い本音です!

 

「助けてくれてありがとう!」

 

「・・はあ、気にしていたアタシが馬鹿みたいだ。ったく、こっちはヒヤヒヤしてたんだぞ?」

 

「そうなの?って何してんの?」

 

安堵の表情を見せた杏子は何故か俺の太ももに頭を乗せて寝そべっている。何事?

 

「しばらく寝る。起こすんじゃねえぞ?」

 

杏子はそう告げて目を閉じた。

 

「杏子」

 

「ん?」

 

俺は目を閉じたままの杏子に声をかける。

 

 

「お疲れ様」

 

「・・・ん」

 

しばらくして杏子から寝息が聞こえた。俺は労りを込めて杏子の髪を撫でてやった。くすぐったそうに身をよじってたけどな。

 

いやーマジでお疲れ様杏子!




オリジナル魔女です!
この魔女が何なのか話が進めば分かるでしょう!
戦闘描写難しい・・・

七夕には戦闘描写上手くなりますようにしないと!
いや、タイピング速く打てるようになりたいも捨てがたい!
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