「アンタ悪運強いのかもね。よく生きてたもんさ。」
感心した風に俺を見ている佐倉杏子。うん、やっぱり美少女。実物は違うね。へそだしスタイルにパーカー、そしてミニズボン。活発な彼女によく似合っている。というか俺より背高いんかい。はっ!いかんいかん!また現実逃避してた。とりあえず何か話さないと!何か聞け俺!
「あの・・・。」
「あん?」
「さっきのなんですか?あれ?」
関わっちゃいけないのに、なんで自分から深堀りしようとしてんのおれええええええ!!テンパってアホなチョイスした!
「あー世の中知らねえ方がいいもんもあるぞ。さっきのはまさにそう。まあ、今回のは滅多に出来ない貴重な経験って事にしとけ。せっかく無事だったんだからさ。」
俺のポンコツな質問に対して一般人を巻き込まない、そしてさりげないフォロー付きというパーフェクトな回答をしてくれた杏子さん。
マジかっこいい!
杏子side
魔女を倒したついでに助けた奴。世間では美少女って言われそうなくらいかわいい女の子だった。瞳に涙を浮かべ、なんていうか守ってあげたくなる雰囲気がある。そいつは見た目通りのかわいい声でさっきのこと聞いてきたが、適当にはぐらかした。
そしたら急に泣き出すからビビった。おそらくさっきの恐怖がよみがえってきたんだろう。無理もない。顔を伏せて涙を見せないようにしている。
その姿に妹の面影と重なってアタシは思わず抱きしめた。ついでに頭を撫でた。
「泣くんじゃねえ。アンタは生きてんだから喜べよ。」
自分の家族のことを思うと本当にそうだ。アタシはしばらくコイツを抱きしめてた。
なんでだろう?初めて会ったのにコイツには泣いて欲しくないって思っちゃうのは・・。
えーと・・これはどういう事ですか?
目にゴミが入って、痛みのあまり思わず涙が出てきてしまい、慌てて顔伏せてたら、なぜか佐倉杏子に抱きしめられてた。
訳が分からず、良い香りだなーとか胸意外とあるなーとか邪な考えをしてると
「泣くんじゃねえ。アンタは生きてんだから喜べよ。」
と頭撫でられながら言われた。
どうやら俺が恐怖で泣いていると勘違いして慰めてくれてたようだ。全然違うけど。
・・思わぬラッキーだが、申し訳ないことしたな。
「すみません!もう大丈夫です!ありがとうございます!」
杏子から離れ、頭を下げ、色々な意味を含めた(勘違い等)謝罪をする。腰の角度は九十度がミソ。
「気にすんな。生きてりゃ儲けもんだよ。」
杏子がさも気にしてない風に言ってるんだが、壮絶な過去を持つ貴女が言うと重みが違うのは気のせいではないだろう。
「ん?」
よく見りゃ杏子さん手を怪我してるじゃないですか!これはいかんと持っていたバッグからハンカチを取り出して手に巻きつけつる。
「お、おい!何すんだよ!?いいって!すぐ治るから!」
知ってます。そんなこと。君が嫌がって外そうとするが許しません。すぐ治るとはいえ、女の子が怪我をするのは実にいただけない!問答無用!
「はい!手当終わりましたよ!ハンカチは返さなくて大丈夫です!(会いたくないから)それで聞きたいことがあるんですけどいいですか!?」
有無を言わせない勢いで手当を終え、一気に捲し立てる。今一番大事な事を聞かなければならない!
「な、なんだよ?」
「ここどこですか!?」
「はあ?」
杏子は何言ってんだコイツ?みたいな顔してるが、そんなの気にしない!聞いてる相手が関わりたくないキャラでも気にしない!
迷子にそんな事を気にしてる余裕はありません!
へタレだけど図々しいそれがこの主人公!
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