魔法少女オレガ☆ヤンノ!?   作:かずwax

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土日返上して番外編を執筆してたのに終わる気がしない!
なので先に本編を投稿します!

番外編は完成しだい投稿しますので全ては自分のタイピング次第!


38話 突撃☆ほむホーム

「・・・それで?貴女は一体私に何の話があって来たの?」

 

「・・・あ」

 

いけね!忘れてた!

 

 

ほむらの部屋に入ったはいいがふと目に入った大量のカップ麺を見て、コイツの食生活を悟った俺はぶち切れ、勝手に台所借りて冷蔵庫にあった食材でオムライス作ったんだった!

そのまま問答無用でほむらとかなり早い昼食をとって言われるまで今の今まで本来の目的を忘れてた!

 

 

ちなみに今あの謎が多いSFみたいな部屋でほむらと向かい合ってマミちゃん直伝の紅茶を淹れてティータイム中。

 

 

 

「いやー、個人的にはまずこの部屋の構造が一体どうなってるのか凄く気になるので教えてくれると嬉しいんですが・・」

 

改めて辺りを見るがホントにどうなってんのこの部屋?アニメで観た時から疑問だったんだけど。実物見ると余計に疑問が湧いてくる。案外この部屋の構造が一番の謎だったりしない?

 

 

「・・・そんな事はどうでもいいわ。話があるというから入れたのよ。話す気がないなら帰りなさい」

 

「冗談です!今から話しますんで追い出さないでええええええええええええ!!」

 

 

ほむらが俺の首根っこ掴んでガチで追い出そうとしていたので慌てて訂正した。冗談が通じない奴は怖いわ。

 

それにしても気まずい。

決心してもいざ本番だと言われれば尻込みしてしまう。

だってへタレだもの。

 

 

「なら、さっさと話しなさい」

 

 

俺の首から手を放したほむらは再び俺と対峙する形で座る。その目は今度ふざけたら叩き出すと書いてあったので冷や汗が出てきた。空気がピリピリしておりシリアス展開確実なようだ。

 

 

 

 

ついにこの時が来た!勇気を振り絞れ俺!

ここで失敗したらもう後がないぞ!

 

一呼吸置いてからほむらを見た。

 

 

 

「実は俺元は男で今は女な転生者です!!」

 

「・・・・・・・」

 

 

何かを言うにも先は結論から述べた方が良いと聞いたことがあるので思い切って俺の正体から打ち明けてみた。

 

 

それに対してほむらは無反応。表情すら崩さずただひたすら俺を白けた目で見ていた。そんな態度に内心焦りながらも説明を続けるしかない。

 

「俺には前世の記憶があるんだ!前世は邪・・ちょっとした事故のせいで死んじゃって何故か今世は女の子として生まれ変わったんだ」

 

さすがに邪神のついうっかりで殺されたなんて言いたくない。ただでさえ突拍子もない話をしているのにそこに神まで出てきたら胡散臭さMAXだ。ていうか俺も未だに信じられないし。

 

相変わらずほむらは無反応だが、ちゃんと聞いてくれてきたようで俺の全身をくまなく目で追って情報を引き出そうと躍起になっている。

 

それはともかく次が肝心だ。蛇が出るか、鬼が出るか。

どのみち地雷になるのは変わりない。

 

 

再び深呼吸を繰り返し乾いてきた唇を舐めて口を開く。

 

 

 

「・・それで、ここからが本題なんだけど・・その前世でね、あるアニメを観た事があるんだ。タイトルは『魔法少女まどか☆マギカ』っていうんだ」

 

「!?」

 

 

流石にまどかの名前が出てきたから反応するか、驚いているのは表情で分かるが内心どう思っているのかは全然分からない。頭おかしいと思われる前に先手を打つか。

 

 

「登場人物は鹿目まどか、美樹さやか、巴マミ、佐倉杏子、そして暁美ほむら。みんな魔法少女なんだよ」

 

「・・貴女の妄想なんじゃないの?ここが貴女が前世で見たアニメの世界だとでも言いたいの?」

 

「そうだよ。君からしたらおかしな話だけど俺からしたらこれが真実なんだ」

 

 

ようやく口を開いてくれたと思ったら随分と辛辣なお言葉だこと。雰囲気もおかしな奴を相手にしてるような警戒した感じだ。こうなったら証拠を見せるか。

 

「暁美ほむら、鹿目まどかを救うため並行世界を行き来する時間遡行者」

 

「・・・っ」

 

ほむらが絶句している。ここに来て初めてポーカーフェイスの仮面が崩れてきてる。そりゃ誰にも打ち明けていない秘密を知ってたら誰だって驚くだろう。

 

反応は上々だ。このままいけ俺!

 

「アニメの内容はこうだ。主人公である中学二年生のまどかのクラスに転校生である暁美ほむらがやってくる。そこから不思議な生物キュゥべえに出会い、魔法少女になってほしいと頼まれる。ここまでなら君は何度も見てるから知ってるよね?」

 

「・・・・ええ」

 

「ただしこのアニメとんでもない鬱展開でさ。一緒にコンビ組むはずだった巴マミは目の前で魔女に頭部を食いちぎられて死亡し、その後釜に魔法少女になった親友の美樹さやかは魔女化して佐倉杏子はそのさやかの魔女と共に爆死。ワルプルギスの夜は君ひとりで戦う事になる」

 

「・・それで最後はどうなったの・・?まどかは・・?」

 

何かを恐れるように身体を抱きしめながら続きを俺に促している。残酷だけど放っておいたら確実に来るであろう未来を阻止するためにも事実を告げた方がいい。ひるむ心に鞭を打ち俺はほむらに未来を伝えるため口を開く。

 

「君はワルプルギスの夜に勝てず結局まどかが契約して魔法少女になるんだ。願い事は『全ての魔女を消し去りたい』だ。その代償は永遠に魔女を消し去る概念になる事。世界はまどかによって改変され魔女はいなくなるけど鹿目まどかという人間の存在もいなくなった。彼女の事は誰も覚えていない。・・暁美さんを除いてね。ここまではOK?」

 

「・・・・・・・」

 

言った。言い切った。

淡々と説明した風に思われてるかもしれないが正直心臓がうるさいし、膝が震えてる。手にはかつてない量の汗が噴き出している。話してる間は怖くてほむらの方を見れなかったけど、言い終わった今なら大丈夫だろう。

 

ちらっと様子を伺うも肝心の紫さんは拳をきつく握って俯いている。今しがたの衝撃な事実に打ちのめされているようだ。無理はない。このままじゃ詰みは確定してると理解出来たはずだ。今なら協力を得られるかもしれない。

 

 

 

「暁美さ「嘘よ」・・へ?」

 

協力を申し出ようと声をかけるも途中で遮られた。

 

 

 

 

「嘘・・こんなの嘘よ・・!」

 

 

 

ひたすら嘘、嘘とうわ言を呟きながら身体をふるふる震わせている。急いで宥めないと感情が爆発してしまいそうな予感がする。

 

 

 

「あ、暁美さん!受け入れがたいけどこれはいずれ訪れる未来の話なんだ!阻止するためにも協力し合わないか!?」

 

 

 

俺はほむらが何か言う前に本題を口早に伝えた。

 

 

 

「黙りなさい!これ以上聞きたくないわ!!」

 

「!?」

 

いきなりほむらが立ち上がって怒鳴り散らしてきたので思わず恐縮してしまう。

前にもほむらを怒らせたことがあるがこれはどう見てもマジ怒りですありがとうございます!

全身から溢れ出る殺気が俺にグサグサ刺さっていて居たたまれない。

 

どうしよう?色々飛躍した話だけど時間遡行してるコイツなら信じてくれると思ってたのに!

やっぱりほむらも中学生ってことか?少しぐらい考えてくれてもいいのに頭ごなしに否定されたよ!

つうかお前が話せって言うから腹くくって話したのに少しは信じてくれても良くない!?

 

それにしてもほむら怖いいいいいいいいいいいいいいいい!!

ホントにコイツ中学生か!?

 

 

「・・これ以上貴女のデタラメな妄想に付き合ってる暇はないわ!」

 

「落ち着いて・・暁美さん」

 

 

ほむらは無表情でゆっくりと近づいてくる。本能的に恐怖を感じた俺は無意識に後ろに下がる。下手に刺激するのはまずいと感じるくらい今のほむらの雰囲気は危険だ。

 

 

「もうそんな馬鹿な妄想は話せないようにしてあげる」

 

「!」

 

ほむらの手にしたものを見て身を固くする。

紫色のソウルジェムが握られていて今にも変身して俺に襲いかかってくる未来が簡単に予想できてしまい全身ガクブルだ。

急いで脱出を考えるも出口はほむらの後ろにあるからコイツを振り切る必要がある。

魔法少女と一般人のスペックの差を考えれば無理ゲーなのに更に悪い事にほむらは時間停止が出来る。

逃げられる可能性なんてゼロじゃねえか。

 

万事休すだ!

 

俺終わった!!

 

ついに壁際まで追い詰められ本当に逃げ場がなくなってしまい涙目になる。

 

「神原優依。随分とふざけ過ぎたわね。貴女がまどかと一緒にいたら危害を加えるかもしれないわ。それにあの娘以上の素質があるようだからもし契約して魔女になったら危険よ。この世界は間違いなく滅ぶ。そうならないように今ここで息の根を止めてあげるわ。ごめんなさい。全てはまどかの為なのよ」

 

ホントにまどか優先だなおい!

まじかよ!コイツどこまで暴走紫なんだよ!ここまでヤバい奴なんてショックだ!

そもそも俺は魔法少女にならないってお前に言っただろうが!!

 

撤回したかったが恐怖で唇が震え上手い事声が出なかった。

 

 

そしてついにほむらのソウルジェムが光りだす。俺は覚悟を決めてギュッと自分の身体を抱きしめて自分の死ぬ時を待つ。

 

 

 

 

 

「・・?」

 

「どういう事よ・・?」

 

 

 

いつまで経っても何も起こらないのを不審に思い顔を上げてほむらを見るも肝心のコイツは俺を見ずに自分のソウルジェムを戸惑いながら見ていた。

 

 

 

 

 

 

「どうして・・?何故変身出来ないの・・!?」

 

「・・ふう、間に合ったね」

 

「!?」

 

「待ってましたああああああああああああああ!シロべえさああああああああああああああん!!」

 

「うるさいよ優依。僕が一生懸命作業してる時によくものんきにご飯食べてたね?最初は様子を見てたけど君のポンコツな説明じゃ駄目だね。ここは僕がやるよ。君はそのまま指をくわえて僕の活躍を見ていればいいさ」

 

 

声のする方に視線を向けるとインキュベーター盗聴防止に尽力してくれていたシロべえがイスにちょこんと座っていた。

 

自分だけ作業させてたのを怒ってるみたいだけど絶体絶命だったピンチに助けに来てくれるなんて君はマジヒーロー!!

大丈夫!後で好きなもの作ってやるから!!ほむらを何とかして!!

 

 

「インキュベーター・・お前の仕業ね!?一体何をしたの!?」

 

 

ほむらが憤怒の表情でシロべえを睨み付けている。ただでさえ訳が分からなくて混乱しているのにその上、怨敵のインキュベーターが出てきたとあっちゃほむらの怒りも爆発するのは当然だ。しかし肝心のシロべえはそんな怒りのほむらに対してどこ吹く風なすまし顔、それどころか余裕を見せるかのように毛づくろいしだした。

 

キャラ違くね?以前はほむらにあんなに怯えていたのに何でだ?

 

 

「さっさと答えなさいインキュベーター!どうして変身できないのよ!?」

 

 

痺れを切らしたのかほむらが普段のポーカーフェイスを脱ぎ捨てて怒りのままに叫んでいる。気持ちは分かる。今のシロべえどことなくムカつくもん。

 

 

「・・やれやれ、こんな事ですぐ怒るなんて随分と短気だね。それに視野も狭い。優依が君に危害を加えられるかもしれないのにわざわざ一人で来たなんて本当に思ってたのかい?」

 

 

めんどくさそうな声でイスから降り、こちらに近づいてくる。その様子にゾクッとした。シロべえの雰囲気がいつものノリの良い毒舌と違って、今はインキュベーターのおっかない感じとよく似ていたからだ。

 

「他のインキュベーターが盗み聞きしないように盗聴防止を施すと同時にこの部屋でソウルジェムを使えなくしたんだよ。真相を知った君が自棄を起こして優依を傷つける可能性があったからね。今の君はただの女の子の身体能力しかない。念には念を入れておいたけどまさか本当に実行するとは呆れたね」

 

「・・・チッ」

 

「あ、ここから逃げようだなんて思わない事だね。ここには結界がはってあるから僕が解除しない限り君はここから出られないよ。君の命は僕が握ってるんだ。これぐらいは分かるよね?」

 

「・・・・っ。分かったわ」

 

ほむらが悔しそうに唇を噛みしめている。俺もシロべえがここまで強気な態度に出られた理由がよく分かった。俺の相棒は本当に頼りになる。

 

 

「話が逸れちゃったね。本題に戻るよ。暁美ほむら、優依が言った事は嘘じゃない。全て本当の事だよ」

 

「何を根拠に!?お前がでっちあげる事だって出来るでしょう!?」

 

「残念ながら僕は何も関与していないよ。優依は初めから知っていた。まだ説明もしていなかったのに彼女は僕たちインキュベーターの存在と魔法少女のシステムについて口にしていたからね。彼女の素質についてはおそらく前世の事と繋がりがあるからだろう。全くのデタラメとは言い切れないよ」

 

「・・・本当なの?」

 

「はい!本当です!」

 

 

ほむらがこっちを向いて真相を確認している。目が怖かった事と事実なので高速で首を縦に振っておいた。

大方シロべえの言う通りだ。素質に関していえば、ほぼ邪神のせいだと思うが。

 

「・・そう、一応納得出来たわ」

 

 

ほむらは半信半疑だがある程度納得したようで身構えるのを止めてくれた。

結構危なかった。シロべえがいなかったら今頃俺は死んでただろう。

 

「・・ふう」

 

ほむらに気付かれないように息を吐いた。

 

一先ずこれで安心だろう。シロべえに任せればほむらと協力出来そうだ。

俺はこのまま見守っていた方が良いな。

 

静観の姿勢で二人の事の成り行きを見守る。

 

 

 

「それとね、ここからが君にとって大事な話になるんだ」

 

「?」

 

 

≪シロべえ何してんの?≫

 

 

何故かシロべえはいきなり絶対零度を感じさせる声でほむらに語りかけている。その様子に嫌な予感を覚えたのでテレパシーで語りかけても無視された。

 

 

「優依は君に気を使って話さなかったけど、友達を傷つけようとした人に容赦しない。敢えて僕からはっきり言わせてもらうよ。・・暁美ほむら」

 

「・・何よ?」

 

「ねえ、君が時間を繰り返すたびに鹿目まどかは強力な魔法少女になっていったんじゃないかい?」

 

「・・!!」

 

 

 

≪シロべえ!それはやめとけよ!!≫

 

≪まあまあ、任せてよ≫

 

 

 

ほむらにとっては禁断の秘密を明かそうとするシロべえに苦言を呈するも何か策があるのか俺に待機するように指示してくる。物凄く頭の良いアイツの事だ。何か策があるのかと信じたいが・・どうだろうか?

 

 

 

 

 

「結論を言えばね暁美ほむら、原因は君にあるんだ」

 

「!? どういう事よ・・?」

 

 

ほむらの顔が強張って小刻みに震えている。

 

 

「君が時間を巻き戻す理由は『まどかを救う』ことだったね。同じ理由と同じ目的で何度も時間を遡る内に彼女の存在を中心軸に幾つもの並行世界を螺旋状に束ねてしまったんだ。その結果、絡まるはずのない並行世界の因果線が全て今の時間軸のまどかに繋がってしまったとすれば・・彼女の途方もない魔力係数にも納得がいく」

 

「そんな・・!」

 

「君が繰り返してきた時間その中で循環した因果の全てが巡り巡って今の鹿目まどかに繋がってしまったのさ」

 

「嘘よ!そんなデタラメ・・私を騙そうとしているのでしょう!?」

 

「嘘じゃないよ。現に君が来る前に鹿目まどかの魔力を測定したけど平均的なものだったよ。・・君がこの時間軸にやって来た時さ。彼女の素質が爆発的に上がったのは」

 

「いや、やめて・・」

 

「君が鹿目まどかを最強の魔法少女に育ててしまったんだよ」

 

「・・・・・・っ」

 

ほむらは耐えるように自分の腕をぎゅっと掴んでいる。ずるずると力なくその場にへたり込んでしまい、その表情は苦悶に満ちていた。

 

あの盛り上がってるとこ悪いんですが、すみません正直俺は帰りたいです!

こんなシリアスな雰囲気耐えられない!

一刻も早くここから逃げ出してえええええええええ!!

 

シリアスな雰囲気をぶち壊さないように真面目な顔で二人を見るも内心はひたすら帰りたいと念じまくっている俺である。

 

 

 

「それとね」

 

 

 

まだ続けるのかよ!?

 

 

 

シロべえに抗議の視線を投げてよこすも無視され、打ちひしがれるほむらに近づいて悪魔の囁きをする。

 

 

 

「正確には君は時間を巻き戻してはいない。ただ並行世界を渡っていただけさ」

 

「・・・?」

 

「シロべえ!!」

 

 

 

俺はシロべえを抱えこれ以上口を開かせないように塞ぐも、そもそも普段口を開いて喋らないコイツには効果なし。そのまま訳の分かっていないほむらに向かって残酷な真実を打ち明けた。

 

 

「君が今まで渡って来た世界はね、君が元々いた世界の過去じゃないんだよ。限りなくそっくりだけど全く別の世界。君が救おうとしていたまどか達も君が初めて友達になったまどかに限りなくそっくりな別人さ」

 

 

「何を・・言っているの・・?」

 

 

呆然とするほむらはシロべえが何を言っているのか理解出来てないようだ。いや理解したくないのかも。その表情は理解するのを拒んでいるようだ。

 

 

「本当は君も理解しているはずだよ。でも君は理解するのを拒んだ。仕方ないことだけどね。並行世界のまどか達を全て同一の君の友達だった『まどか』と認識していないと終わりの見えない時間のループに耐えられないもんね。失敗してもまた次があると思えば何とか気力はもつわけだし」

 

「あ・・ああ・・私は・・!」

 

「・・暁美さん?」

 

 

頭を抱え尋常じゃないくらい震えだしてる。ヒューヒューと呼吸音がおかしい。

 

ひょっとしたら過呼吸の可能性がある。そんな見るも哀れな女の子に一切の慈悲も与えず悪魔と呼ぶにふさわしい元インキュベーターはトドメをさすべくほむらに語りかける。

 

 

「はっきり言ってあげないと駄目みたいだね。つまりね暁美ほむら、君が今までやってきた事は全て無駄だったって事。それだけじゃない。君のせいで鹿目まどかはこれからもインキュベーターに狙われ続け、より悲惨な最期を迎えるはめになるんだよ」

 

「うぅ・・」

 

「全部君の身勝手な願いが引き起こしたことさ」

 

「うぅ・・あぁ・・うあああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

部屋全体にほむらの悲鳴が木霊する。そのまま頭を横にふり何度も何度も叫び続けて終わりが見えない。

 

 

 

「・・・・・・」

 

そんな光景を目の前にして俺はシロべえを抱いて立っている。

 

 

エグイいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!

 

俺の腕の中にいる白い奴超怖ええええええええええええ!!

いくら感情がある精神疾患でもやっぱりコイツもインキュベーター!白い悪魔の名に恥じぬ外道っぷりだ!

 

どうすんだこの状況!? 

下手すりゃほむら魔女化一直線じゃん!!

 

絶望の叫びがBGMになってるよ!!

 

 

≪どうやら僕の言葉は相当効いたようだね≫

 

≪何が効いただ!あれどう見ても精神崩壊起こしてない!?ヤバいよ何とかしなくちゃ!≫

 

 

寝ぼけた事をテレパシーで言ってきたので、すかさず文句で返した。俺達の前には現在進行形で泣き叫ぶほむらがいる。それを見ながら緊急会議が開かれた。

 

≪言い過ぎだぞシロべえ!いくら本当の事でもほむらはまだ中学生なんだぞ!?何であんな事言ったんだよ!?≫

 

≪はっきり言って全て暁美ほむらの自業自得だよ。中学生と言えど殺人を企てたんだ。同情の余地はないね。むしろまだ優しい言い方だよ?本当はまだまだ言い足りないくらいさ≫

 

 

え?あれでまだ加減してたの?

怖っ!絶対シロべえを敵に回さないようにしよう!

 

腕に抱いてる白い悪魔に戦慄しながら心の中でこっそり誓った。そんな事よりほむらを何とかしないと!

 

 

 

≪じゃあ優依、後は頼んだよ≫

 

≪はあ!?≫

 

 

シロべえが突然俺に全部丸投げする発言をかましやがったので素っ頓狂な声を上げる。

 

 

≪だってむしろここからが君の本領発揮でしょ?さっさと泣き止ませてきてよ、あの紫を≫

 

≪いや、無理だから!だってあれ世の中に絶望しきってる雰囲気だよ!?≫

 

 

シロべえから顔を上げてほむらを見るも今にも自殺しそうな救いのないオーラ出まくってんですけど!?ほむらの周りだけ空気が黒いのは気のせいじゃない!

 

 

 

「ん?  ひい!?」

 

どうしようかとほむらをじろじろ見ていると床に転がっているほむらのソウルジェムに気付く。

それが急速に黒くなっており魔女化まで待ったなし!

今すぐ止めないと俺らが危ない!

何とかこっちに注意を引かないと!!

 

抱いていたシロべえを降ろし、ほむらの元に駆け寄った。

 

「ああああああああああああああああ!!」

 

「暁美さん!!」

 

「っ!?」

 

そしてテンパっていた俺は何故かほむらを抱きしめていた。幸いほむらは驚いてくれたので一先ず泣き叫ぶのは止まった。そのままほむらを抱きしめ背中をポンポンと優しく叩く。

 

 

人肌作戦開始!

確か人肌に触れていると人は安心するとどっかのテレビでやっていたので実行するしかない!

 

 

「離して・・離してよぉ・・!」

 

弱々しい力で俺から離れようとするもソウルジェムが使えないとほむらはまさかの俺より身体能力が劣るらしく引き剥がせない。

 

俺以下の運動音痴がこの世に存在する事にちょっとした幸福感が湧いたがそんなのんきな事考えてる場合じゃないので俺は表面上真面目な顔つきでほむらを見る。

 

 

「離さない!絶対離さないから!」

 

「・・・・・・!」

 

力強く俺に言い切り、抱きしめる腕に力を込めた。

 

意地でも離さないからな俺の生存キーパーソン!

俺の生存は君にかかっているんだから逃がすわけないだろうが!!

 

絶対逃がさない意思表示を込めてギューッとほむらを抱きしめる。

 

 

「・・して?」

 

「?」

 

「どうして・・?私なんて生きてる意味無いのに・・どうしてこんなに優しくするの?」

 

 

かなり弱っているのか元来の性格のメガほむちゃんみたいなおどおどした口調に戻っている。そういや普段はあんなおっかないが素は弱気で臆病で自信がないんだったわこの娘。

 

 

「どうしてって俺には暁美さんが必要だからだよ」

 

「必要・・?私が?」

 

「うん」

 

ほむらはキョトンとした顔で俺を見ている。

 

嘘はついてないよ!

 

だって俺の死亡フラグ回避には絶対ほむらの協力必要ですから!

 

あと他に例を挙げると

 

・マミる防止

・さやか魔女化阻止(もとい魔法少女阻止)

・杏子の見滝原でのお世話(俺やりたくないし)

・打倒ワルプルギスの夜  etc

 

うん、ほかにもまどかの契約阻止やインキュベーター撲滅もあったわ。改めて考えるとマジでここでほむらにリタイアしてもらっては困る。大至急立ち直っていただく必要がある!

 

よし!「褒め殺し」だ!!

 

どんな人間でも褒められることには滅法弱い!

褒めて伸びる事は科学的にも証明されている。

孤軍奮闘だったほむらは誰にも褒められず孤独な日々だったんだ!

通常の人より効果はてきめんなはず!

褒めて褒めて褒めまくってほむらを立ち直らせるのだ!

 

 

「暁美さんって今までずっとまどかのために頑張って来たんだよね?それって本当に凄いことだよ!」

 

「!」

 

おっ、反応した!これは良いスタートを切れたようだ!

 

 

「シロべえは無駄って言ったけどたった一人の友達のためにここまで尽くせるってそうそう出来る事じゃない。暁美さんはとっても優しくて友達思いなんだね!その思いは絶対無駄なんかじゃないよ!!」

 

「そ、そんな事は・・」

 

ほむらがアワアワしていて可愛い!

まさかクーほむでメガほむみたいなキャラを見れるとは!

 

まあ、思いが強すぎて正直ドン引きするレベルだけどな。最初のまどかと出会うまで絶対友達いなかったと断言できる。その分余計まどかに執着したんだろうなぁ。

 

「暁美さんって優しいだけじゃない。頭は良くて運動神経(元は違うけど)良くてしかも可愛い!」

 

「・・・・・////」

 

顔を赤らめて俯いている。あと一息のようだ。

 

「俺、暁美さんに出会えて良かった。まどかが羨ましいよ。こんな(見た目だけ)素敵で可愛い(そして性格がぶっ飛んだ)友達がいるなんてさ」

 

第三者の友人関係に限る。

俺がまどかだったら正直ほむらと友達になるの御免被るわ。今は褒め殺しなので口を塞ぐ。

 

 

「・・うぅ・・」

 

「今は泣こう。辛い事も悲しい事も全部涙に流そうよ」

 

 

瞳にいっぱい涙を貯めて今にもダムが崩壊しそうになっている。俺はそんな彼女の肩を優しく手を置いた。

そろそろ限界のようだ。

 

 

「・・ぐすん」

 

「今までホントによく頑張ったね暁美さん」

 

「うわあああああああああああああああああああん!!」

 

「え!?何で!?」

 

 

本来の予定では泣き崩れるほむらを俺が背中を撫でて慰めるつもりだったのに、ほむらは何を思ったのか俺に抱きついて来て胸に顔を埋めて泣きじゃくっている。

 

 

うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?

冷たい!苦しい!どういう状況これ!?

服が濡れるから離れてくれ!!

 

引き剥がそうにもほむらがガッチリ腰をホールドしているのでビクともしない。

 

 

≪お見事、やっぱり優依は才能の持ち主だよ。これでほむらは大丈夫だろうね。後は泣き止むのを待つだけだ≫

 

≪てめええええええええ!何のんきにくつろいでんだあああああああああああ!?≫

 

 

そういえばシロべえはどこだとほむらと格闘しながら辺りを見渡しているとテレパシーが聞こえた。なんかのんきな内容だなとなんとなく首を後ろに向けるとシロべえはイスに寝そべりながら俺が持ってきたお菓子を頬張りながらくつろいでた。その姿にどことなく殺意が湧いてくる。

 

 

「わあああああああああああああああん!!」

 

「・・・・そろそろ泣き止んでくれ」

 

 

俺に泣きつくほむらとお菓子食べながらこっちを傍観しているシロべえ。

 

 

なんだこのカオスな空間は?

 

全く離してくれないほむらをあやしながら俺は途方にくれて天井を仰いだ。




シロべえの(エグイ)ファインプレーが光りました!
とりあえずGJです!

ほむほむ、これ・・やられましたねw
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