魔法少女オレガ☆ヤンノ!?   作:かずwax

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まさかのほむほむからの魔女退治同行!
果たして優依ちゃんはどうする!?


40話 魔女狩りwith俺

「ここね」

 

強い光を放つソウルジェムを見ながらほむらは告げた。

 

現在とある建設現場内。

剥き出しの鋼鉄の柱が高く組み立てられているだけなので殺風景な印象だ。時間帯は夜だから暗さもあってより寒々しい。心許ない街灯だけが今の俺の心の安定剤だ。

 

 

「魔法少女ならともかくただの一般人の俺が何で二日連続で魔女に会わなきゃいけないんだ?」

 

「まあまあ落ち込まないで優依。ほむらの頼みなんだからしょうがないよ。これが終わったら協力してくれるって話なんだからここは腹を括ってやるしかないさ」

 

 

げっそり顔の俺をシロべえが慰めてくれるが正直気分が重い。

 

 

 

突然ほむらに魔女退治の同行をお願いされた時は反射的に断った。しかし、奴はそれにめげず俺に頼み込み一緒に来てくれるなら協力するとまで言い出した。

 

それを聞いたシロべえは傍観の立場から速攻で俺を裏切ってほむらの擁護に回り押される形で現在に至る。

 

はっきり言って嫌だ!

 

魔女の結界に入るだけでも嫌なのにましてや一緒に行くのがほむら!これがマミちゃんや杏子なら会話に困らないがコミュ力が破損してるほむらと何を話せばいいか分からない。かなり気まずい空気になる予感がする。

 

ましてやついさっきまで俺を殺そうとした奴だ。謝罪を受けたとはいえ油断は出来ない。下手すりゃ不意討ちで暗殺しに来たり結界内で俺をわざと置き去りにして使い魔に襲わせたりする可能性もある。結界内で死ねば死体は残らないし証拠隠滅にはもってこいだ。

 

 

うん。今すぐ帰りたい。

 

 

「準備はいいかしら?」

 

 

魔法少女に変身したほむらがこちらを振り向いてる。

 

準備出来てると思ってんのか?

こっちは今すぐにでも逃げ出したいのに!

 

 

「いつでも大丈夫だよ」

 

 

内心イラついてる俺の代わりにシロべえが応えた。

 

本音は断って欲しかったが仕方ない。

シロべえがいるんだしこの小さな相棒は優秀だから何とかなるだろう。何より傍にいてくれるだけで心強い。

 

 

「俺も大丈夫だ。早く終らせて帰ろう」

 

 

シロべえを見て安心感を得た後、ほむらに視線を向け結界内に突入するように促す。こういう嫌な事はさっさと終らせてしまうに限るからな。

 

 

「ええ。今から突入しましょう。大丈夫。この魔女はそれほど強くないから怖がる必要なんてないわ」

 

 

そういうのをフラグって言うんですよ?分かって言ってんですか?

 

不吉な事を言うほむらに不安を感じながらも彼女の後に続く。

 

 

 

「シロべえ行くぞ」

 

俺は相棒に声を掛けた。

 

 

 

「あ、僕はここで待機しとくよ」

 

「・・・は?」

 

 

ふざけた発言が背後から聞こえたので振り向くとシロべえがリラックスした体勢で俺を見てたので即Uターンして奴がいるところまで駆け寄り無表情で見下ろす。コイツは地面に根をおろしたように寝そべっておりどうやらそこから一歩も動く気がないようだ。

 

 

「え?俺の聞き間違い?待機するって聞こえたんだけど?」

 

「聞き間違いじゃないよ。僕はここで待ってるから」

 

「何で!?」

 

「だって僕見た目マスコットでしょ?マスコットは基本戦わないし安全な場所で待機するのがセオリーじゃないか。僕もそれに則ってここで待機しようという訳さ」

 

「ふざけんな!今時のマスコットは戦うのが主流なんだよ!電気鼠しかり!トナカイの船医しかり!猫の妖怪しかり!わたあめみたいなただの白い犬だって劇場版では戦ってるぞ!そもそもお前マスコットじゃねえよ!黒幕だろうが!!」

 

 

あんまりな展開に涙が出そうになる。

 

シロべえも一緒に行くと思ってたから魔女退治同行を承諾したのに待機なんて・・・。

しかも待機理由最悪だし!何だ!?マスコットだからって!

 

俺一人でほむらと魔女の結界に入るなんてハードル高過ぎる!

 

 

「まあ、落ち着いて」

 

「これが落ち着けるか!!」

 

 

思わず噛み付いた言い方になってしまったが元々はシロべえが悪い。

仕方ない、引き摺ってでも連れて行くしかないようだ!俺の安全のために!

 

 

「ほむらは君に同行を頼んだんだよ?僕じゃない」

 

「・・・・」

 

 

シロべえの言葉に思わず奴に伸ばしかけた手が止まる。

 

 

「ええ、そうよ。私は優依に同行を頼んだの。貴方じゃないわインキュベーター」

 

「!?」

 

 

いきなり肩を捕まれたので驚いて振り向くとほむらがいた。がっしりと俺の肩を掴んでいて振りほどけそうにない。え?こいつらグル?俺に味方いないの?

 

 

「そういう事。どうやらほむらは優依に話があるようだからね。僕がいてもお邪魔虫になってしまうからここで待機って訳さ。分かったかい?」

 

 

理屈は分かったがシロべえの声がかなり上擦っているように思う。大方物騒なほむらと物騒な魔女の所に行くのを回避出来て喜んでいるんだろうな。コイツの保身は手に取るように分かるから腹立たしい。

 

 

《優依!これは紫を完全攻略出来るチャンスだよ!魔女がいる危険地帯だけど二人きりになれる!君の自重しない言動と溢れでる魅力でほむらの心を捕らえるんだ!大丈夫!君なら出来るさ!》

 

《何頭沸いた事言ってんだ!テメエは良いよね!そこで寝そべってるだけで良いもんね!俺は最悪死ぬのに!》

 

《僕が作った道具持ってるでしょ?最悪それで身を守れるから大丈夫、大丈夫》

 

 

テレパシーで狂ったことを言っていたがシロべえは本気らしい。声がガチトーンだったから。そしてどことなく他人事な感じがムカつく。

 

 

 

「いつまでもたついているの?早く行くわよ」

 

 

動かない俺に痺れを切らしたのかほむらはそのまま腕を掴んで結界の入り口まで連行していく。

 

 

「暁美さん!俺に出来ることなんて何もないよ!役立たずが一緒に行っても足手まといになるだけだから俺もここで待機するよ!」

 

「応援は出来るんでしょう?」

 

「・・・・・・」

 

 

俺の一時的なノリ発言をしっかり覚えていたらしい。出来れば忘れていて欲しかった。

 

 

「さあ、行くわよ」

 

「行ってらっしゃい♪」

 

「やだああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

こうして俺はほむらと二人きりで魔女の結界に突入するはめになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「暗い・・怖い・・暁美さんどこ?」

 

 

「ここよ。貴女の傍にいるわ」

 

「わ!銃をこっちに向けないでえええええ!!」

 

「仕方ないじゃない。これしか明かりがないんだもの」

 

 

仕方なくてもいきなり銃を向けられた俺の心情をくみ取って欲しい。早速暗殺実行されるかと思ったわ!

 

 

結界内はかなり暗くほむらの持ってるマシンガンの明かりだけが頼りな状態だ。

その明かりで見える範囲で周りを見渡してみると申し訳程度に光る街灯と床や周囲にジャングルジムらしきものが確認出来た。

 

 

 

さながら夜の公園といった感じだ。(ホラー的な)

 

 

 

「はぐれては駄目よ。きちんと私の後ろをついてきて。貴女はそれだけでいいわ」

 

「だったら俺いる意味ないじゃん。マミちゃんみたいに魔法少女体験コースするつもりなの?」

 

「そんな訳ないじゃない。歩かないなら置いていくわよ」

 

「うわ!待って!置いていかないでください!!」

 

 

さっさと俺に背中を向けて歩くほむらを慌てて追いかけて彼女の数歩後ろを歩く。

 

 

 

「「・・・・・・・・」」

 

 

暗い結界の中、銃の明かりを頼りに二人だけの空間。今の所、使い魔の気配は感じられないが周りを常に警戒しながら慎重にほむらの背中を見ながら歩いている。会話はなし。

 

 

き、気まずい・・・!!

 

ただでさえ暗い空間の中、恐怖でおかしくなりそうなのにここは魔女の結界。精神が崩壊しそうだ。

 

恐怖を紛らわせるために何か会話をしたいが今ここにいるのは会話力皆無なほむら。少し前に話し掛けてみたが「ええ」とか「そう」しか返ってこなった。

 

話しかけ過ぎるとうるさいとか言って銃向けられそうだしあまり声を掛けられない。今、聞こえるのはお互いの靴音だけ。

 

 

辛い!!こうなったら何でもいい!

 

 

使い魔よ!頼むから出てきてくれ!!

この気まずい空気を一蹴するために戦闘に持ち込んでくれ!!

こんな重苦しい空気耐えられない!

頭がおかしくなりそうだ!!

 

 

 

 

「・・・ここへ貴女を連れて来たのは二人で話したかったからよ」

 

「え?」

 

「そうじゃないとあのインキュベーターが割り込んでくるでしょう?」

 

 

俺の願いは叶ったのかまさかのほむらの方から話し掛けてくれた。背中を向けられてるから表情が見えないけどこれはラッキー!

 

そうかほむらは俺と話したくてここに連れてきたんだな。・・・ん?ちょっと待って?

 

 

「いや、あのそれシロべえに頼めば席外してくれたと思うよ?わざわざ危険を犯してまで魔女の結界内で話さなきゃいけない理由ってあんの?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

この様子だと特に理由もなく連れ込んだな!?勘弁してくれよ!

ちょっと軽い密談するためだけにこんな危険な魔女の結界に一般人連れてくるなんて思考ぶっ飛び過ぎだろうが!!

 

 

心の中で罵倒していると突然ほむらが立ち止まる。

 

 

「暁美さん?」

 

 

不思議に思ってほむらを観察してみると小刻みに身体が震えている。風邪か?

 

 

「大丈夫?寒い?」

 

「・・ホントはまだ気持ちの整理がついていないの」

 

「?」

 

 

ぽつりと絞り出すような声で呟いたほむらは震えを抑えるように自分を抱きしめている。その拍子に銃を落としてしまいガシャンという音が辺りに響いた。

 

 

「優依が言った事もあのインキュベーターが言ったことも全て事実よね?頭では理解してるのにどうしても信じられない、信じたくないの。ごめんなさい。貴女には随分慰めてもらったのに・・」

 

「い。いいよ!気にしなくていいよ!無理しないで!」

 

 

慌ててほむらに近寄りしどろもどろになりながらも慰める。

危険地帯の魔女の領域で泣かれでもしたらまずい!ただでさえ大きな音出しちゃったからいつその音を聞き付けて襲ってくるかもしれないんだからしっかりしてくれよ!

 

 

「そもそもついさっき事実を聞かされた訳だし、シロべえの言い方も辛辣だったからね。そう簡単に受け入れられなくて当然だよ!暁美さんは悪くないから!!」

 

「そう言ってくれるだけでありがたいわ。・・少し私の話を聞いてくれる?」

 

「え?う、うん?」

 

縋るような目を俺に向けたので思わず了承してしまった。

 

 

「ありがとう。少し長いけどちゃんと聞いてちょうだい」

 

 

唐突なほむらのお願いに戸惑いながらも聞き耳を立てる。心なしか顔色の悪い彼女は目を瞑りながらゆっくり口を開く。

 

 

「・・私ね昔は自信がなくていつも人に迷惑ばかりかけてたの」

 

「そうなんだ」

 

 

今も大して変わってねえじゃんというツッコミが出そうになるがすぐに口を塞ぐ。

そもそも武器を盗んでくるあたり更に酷くなってると個人的に思うが。

まあ、今のほむらの口調がメガほむちゃんみたいな感じになっているからおそらく本心から喋っているのは予想がつく。

 

 

「そんなどうしようもない私を救ってくれたのがまどか。本来の時間軸にいた最初の『まどか』だったの。たった一人の友達だった。でもあの娘はワルプルギスの夜から街を守るために命がけで戦って死んでしまった。死んじゃうって分かってたのにね。私は息を引き取ったまどかの前で泣きながら後悔した。もう一度出会いをやり直したい、まどかを守れる私になりたいって思ったの。そしてそれをキュゥべえに願って契約した。それから私は何度も時間を繰り返している。・・・貴女が知っているようにね?」

 

「うん」

 

 

ほむらがこっちを見たので肯定のために首を縦に振った。大方アニメで観た通りの内容だ。

 

 

「・・・」

 

 

その様子を見たほむらは何とも言えない表情だったが再び顔を俯かせて口を開いた。

 

 

「時間を繰り返す内に魔法少女の真相とインキュベーターの目的が判明したの。みんなに伝えなきゃと事実を話したけど信じてもらえなかった。ようやく皆が事実だと悟ると今度はその事に絶望して魔女化したり自棄を起こして自殺しようする人が出てきたの」

 

「あー・・」

 

名前出してないけど誰か分かる!大方黄色とか青あたりだよね!?

 

 

「いつしか私はまどかを守れればそれでいいと考えるようになったの。始めは今まで一緒に戦ってきた皆を救いたいと思ってたけど上手くいかないのならまどかだけを守れればいいと。・・・でもそれはただ逃げただけ。私には力がなかった。まどかさえ満足に守れないから彼女たちを切り捨てるしかなかったの」

 

「・・・・・・・」

 

「今まで多くの人を踏みにじってきた。彼女たちはもちろん、魔女の正体を知りつつも多くの魔女を殺してきた。罪悪感で死にそうになった。まどかを救うのを何度も諦めそうになった。でも私は止まるわけにはいかない。あの娘を救うその日まで」

 

「えっと何でそこまで・・?」

 

本当は知ってるんだけど一応話を振っておく。だってほむらが凄く話したそうにこっちを見てるんだもの!流石に空気読めるわ!

 

 

「ある時間軸のまどかと約束したの。『必ず貴女を救う』って。今の私を支えてるのはその約束があるからよ。でも本当は心のどこかで分かってた・・。何度時間を繰り返したってそこにいるまどかは友達だった『まどか』や救うと約束した『まどか』じゃない。別人だって・・!インキュベーターの言う通りよ。失敗してもまた次があるからと自分に言い聞かせて何度もあの娘を見殺しにしてしまった!まどかだけじゃない!巴マミも美樹さやかも佐倉杏子も見殺しにした!ずっと見ない振りしてた。今日その事を指摘されるまでずっと・・!私は・・」

 

「暁美さん!」

 

「! どうして貴女はそこまで・・?私は酷い事いっぱいしてきたのに?私のせいでまどかは苦しむ事になってしまったのに!?私なんていない方が良かったのに・・!?」

 

 

膝から崩れ落ちるほむらを包み込むように抱きしめると彼女は信じられないものを見る目で俺を見ていた。

 

 

「暁美さんが心配だったからだよ。そこまで自分を追い詰めないで」

 

 

ほむらが今にも壊れてしまいそうだったから安心させるために抱きしめたのは間違いない。

このままいけばずっと自分を責め続けるだろうしそうなったら魔女化してしまうかもしれないからそれを阻止するために敢えて抱きついて意識を俺に向けさせた。

 

 

 

 

でも大部分の理由はさっきから俺の耳に届いている

 

 

 

 

カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ

 

 

 

 

という音が超怖いのでこれ幸いと恐怖を紛らわせるためにほむらに抱きついたのが本音です。

 

 

 

 

うおおおおおおおおおおおおお!!怖えええええええええええええ!!

 

 

周りに何かいるのは間違いない!

音はGっぽいのが這いずり回る感じだがここは魔女の結界なので魔女か使い魔なのは間違いなし!

 

ほむらお願い!後で土下座するから今は抱きつかせて!じゃないとこの暗い空間の中でも恐怖なのにモンスターが潜んでると思うと人肌感じて安心しない限り発狂しそうなんです!

 

 

ていうかさっさと魔女倒せほむら!

泣いてる場合じゃねえんだよおおおおおおおおおおおおおおお!

今すぐ復活してくれ!

 

 

「うう・・ぐす・・」

 

おいいいいいいいいいいいいい!

本格的に泣き出しそう!?周りは本格的に戦闘態勢に入りだしてんのに!?

さっきよりカサカサ音デカくなってるんだよ!?

 

 

 

くそ・・こうなったら意地でも戦ってもらうために【慰めオンパレード】を決行するしかない!

 

 

第一弾投入!

 

 

「俺思ったんだけど『まどか』が過去の自分を助けて欲しいって言ったのは暁美さんを助けるためについた嘘なんじゃないかな?」

 

「え・・?」

 

 

ほむらが泣くのを止めてこっちを見ている。

いや、俺じゃなくて周りを見て欲しいんだけど!既に囲まれてませんかこれ?

しかし相変わらずほむらのまどか反応は凄い!名前出しただけですぐ反応したぞ!

よし!まどか押しで攻めるか!まどかとの約束には俺も思う所もあるし。

 

 

「だっていくら並行世界といえどあのまどかだよ?暁美さんひょっとしてその時死ぬつもりだったんじゃないの?それを阻止するためにその時間軸のまどかはわざと自分を助けてほしいって言ったんじゃない?そう言えば君は生きようとしてくれるかもしれないからさ」

 

「・・貴女はそう考えてるの?」

 

 

 

いや多分アニメ観てた大多数の視聴者は考えてると思うよ?まどかの性格からして素で自分を助けて欲しいとか言わなさそうだし。まあ、ここは俺の考えという事にしておくか。

 

 

 

「うん、実際まどかの思惑通り暁美さんはここにいるでしょ?辛くてもその約束があるから自殺せずに頑張って生きてるんでしょ?」

 

「・・・・・・・」

 

「まどかと出会って一年足らずの俺でさえまどかは優しすぎる性格だと理解してるんだ。並行世界とはいえ何人ものまどかを見てきた暁美さんならまどかの性格分かるでしょ?」

 

 

見滝原中学校に転校してホントまどかの天使みたいな性格に癒やされたわ。時々S発言や黒発言するけどそれはご愛嬌だ。・・リーサルウェポンの性能さえなければな・・・。

 

 

「・・そうね。あの娘は誰よりも優しい。そんなあの娘だからこそ私は救われた」

 

 

口元を押さえてポロポロ涙を流し始めてしまったほむら。まさかの号泣駄目押しだった!?

情緒不安定にも程があるわ!

このままではまずい!第二弾投入!ほむらを軸に攻める!

 

 

「・・・優依?」

 

 

内心焦りながら地面に座り込んでるほむらを立たせグッと顔を寄せたからか涙でぬれた紫の瞳が間近に見える。

 

 

「暁美さん実は今でもあまり自信ないんでしょ?俺から言わせれば暁美さんはもっと自信を持つべきだと思うんだけどなぁ」

 

「え?」

 

「俺を見てみ?基本他人に迷惑かけまくりだけどどこからやって来るのか基本自信満々だよ!」

 

「見てれば分かるわ。可哀そうになってくるくらい」

 

「・・・・・・・」

 

ほむらがしれっと突き刺さる言葉を浴びせてきて心抉れそうになるが何とか踏みとどまる事に成功した。

 

ここで負けては駄目だ俺!

ほむらを立ち直らせるんだ!じゃないと死ぬ!

 

ほむらを安心させるように優しく微笑みながら口を開く。

 

 

「暁美さんは可愛くてカッコいいだけじゃない。たった一人の友達のために突き進む姿に感動してるんだ!そんな暁美さんだからこそ俺、自分の秘密を打ち明けたんだ。シロべえ以外に話すの初めてで緊張したよ」

 

「・・・・え?秘密を話したのは私だけなの?貴女が仲の良い巴マミや佐倉杏子も知らないの?あのインキュベーターを除いて私だけ?」

 

「え?うん・・」

 

 

何故か俺の秘密を知っているのがシロべえとほむらだけという事に食いついてきた。俺の肩に食い込むくらい手に力込めてるし何があった?

 

 

「・・・そう、魔法少女では私だけ・・・ふふ」

 

「・・暁美さん?」

 

ほむらが嬉しさをかみ殺すようなしぐさで笑うから内心ドン引き中。マジで精神壊れてんじゃないの?

 

 

ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ

 

 

! 音がかなり近い。もう悠長に時間を使ってる暇はないだろう。ここらでほむらにやる気を出してもらわねば!

 

 

 

 

俺は再びほむらの両手を握る。

 

 

「残念だけどこの時間軸には暁美さんが助けたい『まどか』はいない」

 

「・・・・・・・・」

 

 

真剣な表情で俺を見ているほむら。どうやらさっきまでの落ち込みからは立ち直ったようだ。よし!一気に畳み掛けよう!

 

 

「この時間軸の『まどか』だって本当に優しいんだ!だって転校して不安な俺に声掛けてくれたんだ。そして友達になってくれて凄く嬉しかった!俺、友達を助けたい!」

 

「!」

 

「失ってしまったものはもう二度と戻らないけどやり直す事は出来るんだ!だからここから始めないか?まどかと友達になるのも、暁美さんの人生も、もう一度始めよう!大丈夫!何とかなるさ!だって俺もう暁美さんと友達だから!友達第二号ってね!」

 

「・・友達?」

 

 

 

我ながら上手い事言えたと思ったのにほむらが何故か眉をひそめ不機嫌そうにしている。怖っ!?

 

そんな怖い顔しないでもいいのに。友達はまどかで十分だってか?俺失敗した?

 

だが安心してください!ワルプルギスの夜を倒したら多分縁は薄れると思うのでそうなったらまどかを愛でるなり好きにすればいいよ!俺は遠目から眺めてるから!

 

 

「それを実行するにはまずこの結界の主である魔女を倒して無事に元の世界に帰らなくちゃいけない!暁美さん!一緒にここから帰ろう!」

 

 

ほむらの目をしっかり見ながら「はよ魔女退治しろ」と促す。早く退治してくれ!マジで周り騒がしいから!

 

 

「・・・それもそうね。ここでのんびりしている暇はなさそうだわ。まどかを救う。その願いは変わらない。必ずあの娘を救うわ!!」

 

 

顔に生気が戻ったほむらは床に落としていた銃を拾って構えなおしている。それを見て内心ガッツポーズ。

 

うおっしゃああああああああああああああああああ!!

ほむら復活なったぞおおおおおおおおおおおおおお!!

 

 

 

 

 

 

 

「・・一つ約束してちょうだい」

 

「何?」

 

 

 

心の中で飛び上がっているとほむらが銃を構えながら俺を真剣な表情で見ていたので一気に冷静に戻った。

 

 

 

 

「この先貴女の秘密を魔法少女、いいえ他の誰にも話しちゃだめよ?約束できる?」

 

 

ほむらはそう言って人差し指を口に当てて妖艶に微笑んでいる。何でそんな事を約束するのか不思議だがこれくらい構わない。断ってこんな所で不機嫌になられる方がまずいからな。俺の命かかってるし。

 

 

「いいよ。元々誰にも言うもりなかったんだ。言ったって信じてくれないし信じたとしても面倒事になるだろうからね。暁美さんに協力してもらうには話す必要があったから打ち明けただけだ。暁美さんとシロべえ以外誰にも話さないよ」

 

 

特に考えるまでもなく首を縦に振る。別に話さなくても困る事じゃないしね。

 

 

「それがいいわ。話したって信じてもらえると思えないもの。優依の秘密は私だけが知っていればいいわ」

 

「いやシロべえもだけど・・」

 

嬉しそうに笑っているほむらにツッコミを入れてみるも華麗にスルーされてしまった。

 

 

 

ガシャン!!

 

 

「!?」

 

大きな音が響きわたり思わず身構える。ほむらも笑顔から真剣な表情になり周囲を警戒し周りを見ていた。

 

 

 

「どうやら魔女も出てきたようだしこれ以上進む必要もないみたいね」

 

「え!?マジで?どこ?」

 

「あそこよ」

 

「・・・・あれ?」

 

「あれよ」

 

 

あれ?あれなの?

 

 

ほむらが指差す先に結界のジャングルジムにへばりついている物体がいた。金平糖に手足くっつけただけの凄い手抜き感のある見た目だ。俺ですらもっとマシなイラストを描けそうなくらい適当だな。

 

命名「園児の落書き」にしよう!

 

それにしてもめっちゃ弱そうに見える魔女だな。確かにほむらがそこまで強くないと言い切っただけはありそうな見た目だ。だが俺達の周囲は囲まれている。おそらくあの魔女の使い魔だ。特定の形状がないのか身体のあちこちをくねらせたりハンマーや刃物に変形させてじりじりと近寄ってくる。

 

 

「暁美さんどうする?」

 

「簡単よ。魔女は狩るだけ」

 

「えっと具体的にどうす・・あの聞いてますか?」

 

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!

 

 

 

「ぎゃああああああああああああああああ!!」

 

 

マシンガンを構えたと思ったらいきなり周囲に向かって乱射し始めた。突然の事に俺は悲鳴をあげつつも銃弾に当たらないように頭を地面に伏せる。

 

 

せめて何か言ってくれ!さがってなさいとか邪魔よとかでもいいからさ!

いきなり戦闘開始はやめて!俺一般人よ!?対応できないから!

 

 

実はほむらご乱心!?

 

やっぱりほむら怖い!少しは仲良くなれたと思ったけど気のせいだった!!

 

シロべえ助けてくれえええええええええええええええええ!!

この暴走紫を止めてくれえええええええええええええええ!!

 

 

結界の外で怠けてるであろう相棒に思いを馳せ俺は躊躇なく周囲に銃をぶっ放すほむらを怯えながら見つめるしかなかった。




優依ちゃんの受難は続くwほむほむに振り回され可愛そうにw
ほぼ自業自得ですけどね!

この魔女戦まだ続きます!
次回こそほむほむ視点入れます!
文字数多くて結局入れられなかったのでw

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