白の魔法少女Oさんや
黒の魔法少女Kさんが登場する番外編を作ろうかな・・?
でも杏子ちゃんの番外編まだ投稿してないし、他に作った番外編も先に投稿したいし・・
どうすっかな・・?
ドドドドドドドドドドドドドドド
こちら現場の魔女の結界内です!実況は俺、神原優依がお送りさせてもらいます!
ただ今現場では激しい戦闘が行われています!
片方は暴走に定評がある黒髪魔法少女「暁美ほむら」!
もう片方は雑すぎるイラストが具現化された魔女「園児の落書き」!
激しい攻防です!
暁美ほむらは周囲の使い魔に向かってマシンガンをぶっ放しておりその姿はまるで自棄を起こした少女が銃乱射してるようにしか見えません!しかし彼女は眉一つ動かさず無表情。しかも結界内は薄暗くマシンガンの火花で浮かび上がる暁美ほむらの無表情はホラー顔負けの迫力です!
この世で一番怖いのは何を考えてるか分からない奴だとおっしゃられた方がいますがまさしくその通り!現在俺は暁美ほむらの顔を見て恐怖で震えています!
巻き込まれないように戦場からかなり離れた街灯の後ろに隠れてますがいつこっちを標的にしないかビクビクです!
対して魔女「園児の落書き」は微動だにせず、使い魔がほむらと応戦しています!
この使い魔たち、色はモノクロですがあらゆる物に変身できるようで動物に変身したりほむらを捕えるためか鎖や檻に変身したり多種多様!俺なら一瞬で終わります!しかし暁美ほむらにとっては想定内だったらしく華麗に避けたと同時に手榴弾をお見舞するなど手慣れた様子!両者一向に譲らない展開です!
・・・とまあ、ふざけるのはこのくらいにしてそろそろ真面目にほむらの戦いを見た方が良いだろう。
あまりに暇過ぎて頭の中で実況やりだしたけど疲れるだけだった。スポーツで実況してる人を素直に尊敬したくなるな。試合見ながら口動かすとか俺には出来ないし。
ドカンという爆発音が聞こえたので思考の海から浮上してほむらを見る。
随分と慣れた様子で戦っているから時間遡行で何回もあの魔女と戦った事があるんだろうな。
倒し方を知ってるから俺を連れてきても問題ないと?
だからって連れてこないで欲しかったわ!
魔女の結界自体入りたくないし!
ポケーっとほむらの戦闘を見ながら不満をタラタラ流すも少し引っかかる事がある。
これさっきから使い魔に攻撃してるけどダメージ通ってるか?
銃弾も手榴弾も当たってるのに平気そうな様子だけどほむら大丈夫か?
それと・・・・
チラッと「園児の落書き」を盗み見る。奴は相変わらず動く素振りを見せずジャングルジムにへばり付いていた。
俺はこの魔女に見覚えがある。
見たのはおそらく前世。でもアイツはアニメに出てこなかったと思う。
じゃあどこで?どこかで見たはず・・!
確か名前と見た目の差が激しかった気がするが思い出せない・・・!
くそ・・ここまで出かかってんのに・・!
俺はもやもやを解消すべく魔女の正体を必死に思い出そうと眉間に皺を寄せて考え込んだ。
ほむらside
襲いかかってくる使い魔を別の時間軸で戦った経験から推測して最小限の動きで軽くあしらう。
それにしても攻撃のパターンは同じなのにここまで強かったかしら?もっと簡単に倒せた気がする。
少し不思議に思って首を傾げていると視界に優依が入った。
ほとんど明かりがついていない街灯の後ろに隠れている。周りにいた使い魔は攻撃対象を私に決めたようだからあの娘の周囲は誰もいない。今は傍に行かない方が良さそうね。
「・・・・・」
よく見ると優依は何やら考え込んでいるみたいで眉間に皺を寄せている。その可愛らしい姿に戦闘中だというのに笑みがこぼれそうになる。
本当にあの娘に出会えて良かった。心からそう思う。
朝、いきなり神原優依が私の家にやって来た時は驚いた。
真剣な表情だったから何の用か悟った私は彼女を中へ招き入れ話を聞こうと決めた。
何故かこの娘はオムライスを作ったり紅茶を淹れだしたりして(美味しかった)時間がかかったけど神原優依の秘密を聞き出すことに成功した。
でもそれは私にとって歓迎出来ないものだった。
神原優依は前世の記憶(男)を持った転生者という事
この世界は前世の優依が見たアニメの世界だという事
そして、まどかの最後は死ぬよりも酷い結末が待っているという事だった。
目の前が真っ暗になるというのは本当にあるんだとその時初めて思い知る事になる。
「嘘よ」
気付けば勝手に私の口が動いてた。
信じられない
でも神原優依は私が時間遡行者だと言い当てたからこれも本当じゃ・・?
「嘘・・こんなの嘘よ・・!」
そうよ!絶対嘘よ!
彼女はインキュベーターと一緒にいたんだからアイツらから私の正体の憶測を聞いたに過ぎない!
私を絶望させるために仕組まれた嘘。
だってそうじゃない!
まどかは全ての魔法少女のために概念になってしまって永遠に独りぼっちで苦しむ事になるなんて!
皆がまどかを忘れてしまうなんてそんなのあんまりじゃない!
・・神原優依は危険ね。
インキュベーターの協力者な上に彼女自身まどか以上の素質を秘めている。
生かしておいては危険だわ。今ここで始末しないと・・・!
事実を受け入れられなかった私はゆらりと立ち上がり怯える神原優依の目の前でソウルジェムを掲げた。
でも殺す事は出来なかった。今ではそれで良かったと思う。
神原優依が連れていたインキュベーターが私のソウルジェムを使えなくさせてしまったから。
姿を現したソイツはいつもの憎たらしい無表情でそう説明し、おまけに結界を張って逃げられない事をわざわざ付け足した。
私の命は目の前で寛いでいるこのインキュベーターが握っており脅しているのが嫌でも分かった。逃げ場がないため大人しく従うしかない。
渋々話を聞く羽目になった私にインキュベータ-は神原優依が言った事は本当の事だと説明した。嘘だけはつかないこいつ等が言うのだから納得するしかない。
なら、まどかは・・・。
やはり何としてもまどかを魔法少女にしてはいけないようね。
最悪何度繰り返してもこれだけは阻止しなければ。
「それとね、ここからが君にとって大事な話になるんだ」
今後の方針を考えていた私に突如インキュベーターが氷のように冷たい声で話掛けてきた。
無機質に見えるその目はまるで私を睨んでいるみたい。感情の無いコイツが怒っているの?
いえ、確か前に神原優依は精神疾患になったインキュベーターだと言っていた。
まさか本当に怒ってる?
「ねえ、君は時間を繰り返すたびに鹿目まどかは強力な魔法少女になっていったんじゃないかい?」
「・・!!」
何を言うかと待ってみればまさかのまどかの事で身を固くする。まどかの素質の事で何か知ってるの?
「結論を言えばね暁美ほむら、原因は君にあるんだ」
「!? どういう事よ・・?」
じっと私を見ているインキュベーターに動揺を悟られないように振る舞ったつもりだけど上手くいかず勝手に身体が震えてくる。
でも聞かなければ!今まで謎だったまどかの素質の真相なのだから!
震える私を気にも留めずインキュベーターは淡々と説明する。
私が繰り返してきた時間の因果全てが今のまどかに繋がってしまっていると。
現に私が来る前のまどかの素質は平均並みで私が来た後に爆発的に跳ね上がったと・・・・・。
それはつまり
「君が鹿目まどかを最強の魔法少女に育ててしまったんだよ」
まどかの素質は私のせいだった。その事実が私の心臓を貫く。
神原優依が心配そうに私を見ているが同情してほしくない。おそらく彼女もこの事を知っていた。
知っていて私に遠慮して隠していた。今はそんな優しささえも私の心を抉る。
「それとね」
知りたくなかった真相に震えている私などお構いなしでインキュベーターは容赦がなかった。
「正確には君は時間を巻き戻してはいない。ただ並行世界を渡っていただけさ」
え・・?何を言っているの・・?
「シロべえ!!」
呆然とする私を尻目に神原優依は慌ててインキュベーターに駆け寄って口を塞ぐも本来口を動かして話さないこいつ等には意味がない。彼女に抱かれる格好で無機質な目は私をじっと見ていた。
「君が今まで渡って来た世界はね、君が元々いた世界の過去じゃないんだよ。限りなくそっくりだけど全く別の世界。君が救おうとしていたまどか達も君が初めて友達になったまどかに限りなくそっくりな別人さ」
「何を・・言っているの・・?」
理解出来ない。理解したくない。
今まで私が渡った世界は過去じゃない?
友達だった「まどか」じゃない?ただのそっくりさん?
そんなはずない!だって私は・・・!
「本当は君も理解しているはずだよ」
違う!そんな事ない!
今までの世界は全部過去で今まで出会ったまどかは同一人物で・・!
どんなに理屈を述べていても頭のどこかで「ああ、やっぱり」と納得している私がいる。
何度振り払ってももう一人の私の声がインキュベーターの言ってる事は本当だと告げている。
「君が今までやってきた事は全て無駄だってって事」
インキュベーターの言った事が呪詛のように頭の中に響く。
呼吸がおかしい。どうやって息を吸うのか分からない。ひたすら酸素を求めて浅い呼吸を繰り返す。
「全部君の身勝手な願いが引き起こした事さ」
全部私のせいなの・・・?
私のせいでまどかは・・?
パキっと何かが割れる音が聞こえた気がする。
その直後の記憶は覚えていない。何をしていたのか何を言ったのかさえ思い出せない。
「暁美さん!!」
「っ!?」
意識がはっきりしたのは温かい何かに包まれた後。見ると神原優依が私を抱きしめて背中を優しくさすってくれていた。この時初めて自分の目に涙が溢れていた事に気付いて泣いていた事が分かった。喉が痛い。大声を出して泣いていた?
あったかい・・。
ずっとこのまま抱きしめて欲しい。
でも私にはそんな事をしてもらう権利はない
無理やり離れようとするも魔力の使えない私の身体能力はひ弱そのもの。
神原優依の腕から逃れる事は出来なかった。
「離さない!絶対離さないから!」
神原優依ははっきりそう言って更に私を強く抱きしめた。
どうして?
どうして私に優しくするの?
訳が分からなかった。今まで私は神原優依に対して怖い思いばかりさせてきた。さっきなんて殺そうとしていたのに。
それを涙ながらに目の前の彼女に伝えると少しキョトンとした後
「俺には暁美さんが必要だからだよ」
そう言って綺麗な笑顔で微笑んでいた。その笑顔に思わず見惚れてしまう。
さっき言った言葉が頭の中で響いている。
-俺には暁美さんが必要だからだよ-
私を必要としてくれるの?こんな私を?
取り返しのつかない事をしてしまったのに貴女は私を必要としてくれるの?本当に?
「暁美さんって今までずっとまどかのために頑張って来たんだよね?それって本当に凄いことだよ!」
!
「シロべえは無駄って言ったけどたった一人の友達のためにここまで尽くせるってそうそう出来る事じゃない。暁美さんはとっても優しくて友達思いなんだね!その思いは絶対無駄なんかじゃないよ!!」
躊躇っていた私に神原優依、いいえ優依は優しい言葉をかけてくれた。
その一つ一つの言葉が私の胸に染み込んで涙が出てくる。
けど今度はさっきまでの絶望の涙じゃない。今まで流すのを我慢してきた分の涙だ。
「今は泣こう。辛い事も悲しい事も全部涙に流そうよ」
許しの言葉を聞いてそろそろ限界が近い。引っ込めようとしても次々に涙が出てくる。
「今までホントによく頑張ったね暁美さん」
労りの言葉を聞いて今までため込んでいたもの全部吐き出すように大声で泣いて優依にしがみついた。泣く私に戸惑いながらも優依は優しく抱きしめてくれた。
ようやく泣き止んだのはそれから数時間後の事だった。
今ある温もりから離れたくなくて優依にしがみついてたけど彼女に促され私は顔を洗う事にした。その顔は泣き腫らして酷いものだった。
その後に部屋へ戻って優依の温もりを感じたくて隣に座りながらインキュベーターの話を聞いた。大方私の目的と同じ。そして目の前にいるインキュベーターは本当に感情を持っている事も分かった。少なくとも優依に対する思いは本物だと感じる。それ程この生命体の声に迫力があったから。
気は合わなさそうだけれど向こうもそれは一緒みたい。お互いひたすら牽制のしあいをしていたから。
その後色々話していると優依が突然私の手を取って綺麗な顔をずいっと寄せてきた。
その整った顔が間近にあって恥ずかしい。これで前世が男だなんて信じられない!
-暁美さんの事応援してるよ!-
-もう一人じゃないよ!-
-君は友達思いの最高の魔法少女だよ!俺が保証する。他の奴らがなんと言おうと胸を張って言い切れる!だからまどかを救うために一緒に協力しあわない?-
-俺、暁美さんに興味がある。君の事もっと色々知りたいし、支えたい。駄目かな?-
優依は私が欲しかった言葉を綺麗な声で次々と言ってくれた。
どうして今、私を口説いてるの?
凄くドキドキするからやめて欲しい・・!
でも、もっと言ってほしいとも思う・・
。
優依から褒めてくれるのは凄く嬉しいの。舞い上がりそうになるくらい。
もっと私を褒めて
もっと私を見て
もっと私に興味を持って
もっと私を知って
もっと私を好きになって?
「一つお願いがあるの」
気付けば私はそう口にしてた。
「・・・ここへ貴女を連れてきたのは二人で話がしたかったからよ」
「え?」
「そうじゃないとあのインキュベーターが割り込んでくるでしょう?」
魔女の結界の中、どうにか渋る優依を説得し一緒に来てもらっている。
あのインキュベーターは私の考えている事を見越していたのが癪だけど都合がいい。二人っきりになりたかったのは本当だもの。
でもそれだけじゃない。
「・・ホントはまだ気持ちの整理がついてないの」
全ての真実を知った今、この暗い気持ちのまま一人で魔女を狩る事が出来るのか分からない。
何かに縋りたかった。
そしてもう一度自分を振り返りたくなってしまった。
だから私は包み隠さず全て優依に打ち明ける事に決めた。
「・・私ね昔は自信がなくていつも人に迷惑ばかりかけてたの」
昔の自分を語るのはとても辛い。思い出したくもないほど。
おそらく優依は知っているだろうけどどうしても自分の口から彼女に伝えたい。
今までの事を、全て。
まどかのように優しい優依に懺悔するように。
でも口に出せば出すほど自分の身勝手さが嫌でも分かる。自己嫌悪で吐き出しそう。
結局私は自分の我儘で多くの人の人生を踏みにじってしまったんだ。
こんな私醜い!
優依の綺麗な瞳には醜い私が映っているに違いない・・!
「暁美さん!」
! どうして・・?貴女は・・私を?
「暁美さんが心配だったからだよ。そこまで自分を追い詰めないで」
優依は再び私を抱きしめてくれた。この娘に抱きしめれられると安心してしまって枯れたと思っていた涙がまた出そうになる。
どうして貴女はこんなに優しいの?これ以上優しくされてしまったら私もう戻れない!
「俺思ったんだけど『まどか』が過去の自分を助けて欲しいって言ったのは暁美さんを助けるためについた嘘なんじゃないかな?」
?
最初何を言われたのか分からなかった。
優依は私に分かるように説明してくれた。まどかの優しい性格の事。この時間軸のまどかの優しさの事も。
『キュゥべえに騙される前の馬鹿な私を助けてあげてくれないかな・・?』
まどかにこうお願いされて私は必ず助けると約束した。
『良かった・・・』
だからあの時のまどかのどこか安心したような表情は過去を変えれば自分が助かるからだと思ってたのに実は私が生きる事を選択した事に安心したから?
・・確かにまどかならありえる。
そんな優しいあの娘だからこそ私は救うと決めたの・・!
友達になってくれた「まどか」はもういないけど、まどかを救う。
私にその事を気づかせてくれた優依の為にもね。
そしたら優依は私を抱きしめて褒めてくれるかもしれないから・・ね。
新たに決意を固めた私の手を取って優依は語りかけてくれる。
また恥ずかしくなるくらい私を褒めていたけど最後に言った言葉は耳を疑った。
「暁美さんだからこそ俺、自分の秘密を打ち明けたんだ。シロべえ以外に話すの初めてで緊張したよ」
!?
それを聞いた瞬間、私は瞬時に優依の肩を掴む。
この秘密は私しか知らないの?そう優依に聞けば彼女は戸惑いながらも首を縦に振った。
「・・・そう、魔法少女では私だけ・・ふふ」
思わず笑みがこぼれてしまう。
だってそうでしょう?
インキュベーターの話は佐倉杏子と巴マミは優依に対してかなり重い愛情を向けているように聞こえたもの。
あの佐倉杏子が誰かに自分の手作りの贈り物を渡すなんて聞いたことが無い。
余程優依を自分のものだと主張したいみたいね。
さっきまでは埋められない過ごした時間の差にやきもきしていたけど心配する必要はないみたい。
一緒にいた時間よりどれだけ仲を深められたかにかかっている。
そういう意味では私は彼女達よりリードしている。
私に彼女達でも知らない秘密を打ち明けてくれた事が何よりの証拠でしょう?
優依がまた私に優しい言葉をかけている間もずっと一人優越感に浸っていた。
友達呼ばわりした時は眉をひそめたけど許してあげる。
今は時間があまりないから出来ないけど「ワルプルギスの夜」を倒した後はじっくり堕としてあげるわ。
私だけを見るようにね?
しばらく話し込んでいると周りが騒がしくなってきたから優依との甘い時間はこれでお終い。
魔女狩りを始めないといけない。
億劫になりながらも銃を構える。
・・そうだわ。今の内に口止めしておかなくちゃ。
「・・一つ約束してちょうだい」
そう言うと優依は不思議そうに私を見ている。そのあどけない姿は本当に可愛らしい。
『君も気を付けないとあっという間に飲み込まれるから注意した方がいい。・・既に手遅れみたいだけどね』
ええ、手遅れよ。私は優依が欲しい。
佐倉杏子にも巴マミにも渡しはしない。
秘密を知ってる私こそが優依の特別なのだから。
「この先貴女の秘密を魔法少女、いいえ他の誰にも話しちゃだめよ?約束出来る?」
優依の秘密は私だけのもの
私とあの娘を結ぶ大切なものだもの
私が優依の一番の理解者
他の魔法少女に教えてやるわけにはいかないわ
一指し指を口に当てて微笑んだ。絶対に守ってちょうだいね?
『一緒にここから帰ろう!』
そうね、一緒に帰りましょう。ようやく私は迷子から抜け出せたんだもの。
私の帰る場所は優依の傍。いつまでも貴女の傍にいるわ。
気付かれないように優依を見ながらうっとりと微笑んで銃を使い魔に向けて撃った。
あれから時間はかなり経った。
「・・・おかしい」
戦闘中だというのに思わず口に出してしまう。それだけ今の状況は異常だ。使い魔にあれだけ銃弾を浴びせたのに全くダメージが通った気がしない。
この魔女他の時間軸ではあまり強くなかったはずなのに一体なぜ?
「!? しまっ」
想定外の事態に焦った隙に使い魔が変化させた鎖で私を雁字搦めにして捕える。
「くっ」
身動きが取れない・・!何て力なの!?
抜け出そうとするも鎖はビクともせずそればかりか更に私をきつく縛り上げた。
それまで静観していた魔女がゆっくりと私の前まで降りてくる。勝ったと確信したのだろう。
油断した訳じゃないのにどうして?
何故この魔女はこんなに強くなっているの?
これもこの時間軸のせい?私は無意識に前と同じ世界だと誤認していた?
何馬鹿な事を!!
ここで死んでしまったらまどかを助けるどころか優依まで死んでしまう!
何とか抜け出さなければ!
もがいている間に魔女の傍に控えていた使い魔が剣に変身して狙いを私に定めて放ち全てがスローモーションに見える。もうすぐあの剣は私の心臓に突き刺さるでしょう。覚悟を決めて瞼を閉じる。
ごめんなさい優依。私ここまでみたいね。
どうか今の内に逃げて。
外にはあのインキュベーターがいるからなんとかなるでしょう。
巻き込んでしまってごめんなさい。
もっと貴女と一緒にいたかった。
救えなくてごめんなさい・・まどか
ドスッと何かが突き刺さる音がした。
「?」
なのに何の痛みもない。どういう状況なのか知るために再び瞼を開けて視界に入った光景に目を大きく見開く。
「そん・・な・・どう、して・・?」
今見ている光景が信じられない。信じたくない・・!
「いや・・いやよ・・・」
私の前に優依が背中を向けて立っていた。
「優依・・いやあああああああああああああああああああああ!!」
私を貫くはずだった使い魔の剣は優依の背中から見えるくらい彼女を深々と突き刺していた。
優依ちゃん死す!?
あのへタレが何を思ってこんな事をしたのかは次回の話で分かります!
でもこれほむほむトラウマになりそうですねw
過保護になりそうw