魔法少女オレガ☆ヤンノ!?   作:かずwax

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アンケート結果発表!

沢山の回答ありがとうございます!
自分が予想していた数よりも集まったので驚きと同時に感謝感激です!


集計結果から
マギレコverの番外編トップバッターは


「環いろは」ちゃんに決定しました!



投票数ダントツでしたw流石主人公!


後は「深月フェリシア」ちゃんが二位という結果!これは意外!
やちよさんかと思ってましたw

いろはちゃん、巷ではえろはちゃんと呼ばれてたりしますが優依ちゃんとはどういう絡みになるのか今から考えるのが楽しみです!(だいたいストーリーは出来上がってますけど)

完成次第、投稿するのでお楽しみに!


49話 命がけというのは嫌なもの

「どうして!?」

 

「ひい!」

 

 

今にも涙が零れ落ちてきそうな瞳を俺に向けてマミちゃんは叫んでいる。

 

どうしてだって?

逆に俺がここにいる全員に「どうして」と聞きたいんですけど!?

 

 

「んーんー!」

 

 

後ろの奴は見ない。どうせ縛られて何も出来ないだろうし。随分騒いでくれたから、うるさいって口塞がれてるもん。

 

 

トラブルメーカーしかいない最悪な現状と終息が見えない混沌でそのまま発狂して叫びだしたいよまったく。

 

 

「どうして暁美さんを庇うの!?彼女は優依ちゃんを誑かす悪い魔法少女なのよ!?」

 

 

俺が登場した事と降り立った所が誤解を生み出しかねない場所であった事もあってマミちゃんの癇癪はヒートアップ。言ってる内容は敵を庇う味方への詰問なのに雰囲気が浮気を問い詰める彼女の感じがする。

 

ひとまずここは誤解を解いた方が良いだろう。

 

 

「マミちゃんそれは誤解だよ!ほむらとはただの友達でそんな事実は一切ないから安心し・・ っ!」

 

 

おかしいな?ほむらの事を「ただの友達」って言った直後に背後から鋭い殺気を感じたぞ?

誤解を解こうと弁解しただけなのに更に悪い展開になってそうな気配がする。

今は後ろを振り向かない方が良いだろう。俺の精神安定のために。

 

 

「と、とにかくほむらを離してやってくれ。いつまでもあのままだったら可哀そうだよ」

 

「嫌よ!彼女はここで仕留めなくちゃだめ!もう奪われるのはごめんよ!!」

 

 

何とか取り繕いながらもほむらを開放してもらえないかダメ元で頼んでみるも予想通り即却下されてしまった。精神的には未熟な部分はあってもある程度は冷静だと思ってたのにこれは意外。今なんて幼児退行してるみたいにひたすら嫌々と首を横に振っている。駄々っ子か。

 

 

「いいからそこをどいて優依ちゃん!そんな所にいたら貴女も巻き込んでしまうわ」

 

「はあ」

 

 

そもそもどこにどけろというんだ?

俺とほむらを囲むように360度銃で囲まれているというのに!

 

改めて周辺を見渡すと空中で静止している無数のマスケット銃が隙間なくこちらに銃口を向けているからマジびびる。狙いは全てほむらだが巻き込まれるのは確実だ。

 

俺がいるからか発砲する気配はないが、今離れたら間違いなくほむらは殺される。

そうなったら遠くない未来、俺は死ぬかもしれない。だったら尚更ここをどく訳にはいかない。

 

ほむらを殺すのは駄目だ!絶対だめ!

俺の生命線は絶対生きてもらわなければ!!

 

 

決意を胸に改めてマミちゃんを見ると血まみれな状態で座り込んでいる。興奮状態で呼吸が荒く肩が大きく上下しているからまずは落ち着けることが先決だ。

 

ひとまず彼女の話を聞いた方が良いかもしれない。ちょっと聞いてみるか。

 

 

「マミちゃん、どうしてそんなに怒ってるの?理由を聞かせて欲しいな。ひょっとして俺が悪いの?」

 

 

人間しおらしくされると弱いものだ。

マミちゃんが罪悪感で苛まれるように少し俯きがちで声をワントーンくらい下げて上目遣いで彼女を見上げる。

 

罪悪感を感じさせればこっちのものだ。少なくとも大人しくしてくるだろう。

 

我ながら打算に満ちた最低な考えだと思うが俺とほむらの命がかかっているので背に腹は変えられない。

 

 

「え!?そ、そんな事ないわ!優依ちゃんは何も悪くないの!嫌がる優依ちゃんを無理やり魔女がいる結界に連れて行ってしまった私が悪いの。怒って当然よ。ごめんなさい!」

 

 

案の定、罪悪感が出て来たらしいマミちゃんはオロオロし出して俺を慰めようとしている。

 

俺はそのまま表面上では眉を下げて申し訳なさそうな顔をしながら頭を下げておいた。

内心その事によっしゃ上手くいった!とほくそ笑んだが顔には出さないようにしないと。

 

 

「俺こそごめんね。心の整理をつけたかったから連絡を絶ってたんだ」

 

 

当たらずも遠からず。

 

心の整理という名の現実逃避も、もちろん嘘ではないが本当は病み溢れる貴女が怖くて避けてましたというのは絶対禁句だ。まあ結局、休日の時間は杏子とほむらに振り回されて心の整理どころか更に荒んでしまう結果になってしまったがな。

 

 

「そうだったの・・?本当にごめんなさい」

 

 

遠い目をしていた俺を不憫に思ったのか随分としおらしい態度だ。

 

 

「謝罪はもういいよ。マミちゃんに分かってもらえて嬉しいよ」

 

 

 

お?ひょっとしてこれは思ったよりも上手く説得出来るんじゃないの?

俺至上一番上手く成功しそうなんじゃないか!?

 

 

「そう言ってくれてありがとう。これで全て分かったわ」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

何が分かったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

「悪いのは全て優依ちゃんを誑かす暁美さんと佐倉さんだって事よ」

 

 

 

 

・・・・What?

 

 

 

 

 

ごめん、何て言った?話の展開が読めないよ?

何で二人が悪い事になってんの?ほむらはともかく杏子は全くの無関係なのに。

 

 

さっきまで上手くいきそうだったのに急降下で雲行きが怪しくなったぞ!?

 

 

「私に冷たくなったのは全て二人のせいでしょう?だから優依ちゃんを誑かす悪い魔法少女は私がやっつけなくちゃね」

 

 

混乱する俺にマミちゃんは慈愛に満ちた穏やかな笑顔を向けている。

 

 

 

ええええええええええええええええええ!?

 

 

何その超絶理論!?ほむら並みのぶっ飛んだ思考だぞ!?

 

うわ、全然話通じない!通じない以前の問題じゃないのこれ?

一体どうすればマミちゃんは止まってくれるんだ?

 

 

考えても分からない!俺はどうする事も出来ない!

 

 

 

助けてシロえもおおおおおおおおおおおおおん!

 

 

 

 

縋る目でシロべえが隠れている瓦礫に視線を向けると奴は何かを掲げていた。

 

それは『ガンバ!!』とふざけた事が書かれていたあのスケッチボードだった。

よく見るとさっきの内容より文字数が多かったので新たに書いたものだと分かる。そのため目を凝らして文字を追う。

 

 

 

え?何々?

 

『次の言葉を大声で叫ぶんだ!』だって?

 

 

 

どうやらアドバイスをくれるらしい。これはまたとない助け!

賢いシロべえの事だ。きっともうこの解決方法を編み出しているに違いない!

 

期待を込めてゆっくりめくられるページに目をこらした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺のために争わないで!』

 

 

 

 

 

 

 

 

そこにはたった一言その文字が書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叫ぶかぼけええええええええええええええええええええ!!

 

 

 

 

俺はどこの頭の悪いヒロインだ!!

こんな緊迫した状況下で遊んでんじゃねえよ!他人事だと思いやがって!

そういやシロべえたまにポンコツになるの忘れてた!期待して損した!

 

 

「優依ちゃん早くどいてちょうだい。ずっとそこに立ってたら怪我しちゃうわよ?」

 

 

ひたすらシロべえに恨みがましい目を向ける俺をマミちゃんは待ってくれないみたいだ。

 

くそ!シロべえは役に立たない!

やっぱり俺一人でなんとかするしかないみたいだ!

 

 

考えろ!考えるんだ!

 

 

今の切羽つまった様子じゃいつもマミちゃんを窘める時みたいに穏やかに諭しても駄目みたいだ。

これは俺にも責任がある。甘えてくるマミちゃんが可愛くてつい甘やかしてたツケがこんな所で払わせることになるなんて。叱らない教育のデメリットがこんな所に!

 

それにさっきの罪悪感を煽るのも駄目だ!

また予想斜めな反応されそうだ。

 

どうすれば?  あ!

 

 

そこで俺はピンと閃きが舞い降りる。

 

 

そうだ!ここは少し厳しめに諭してみよう!

そしたら少しはマミちゃんも落ち着いてくれるかもしれない!

 

やる価値はある!何もしないよりはマシだ!

 

 

なるべくマミちゃんを見る表情を険しくして声を出来るだけ低くする事に意識を向けてみるか。

どうなるか分からないがいつもと違う俺の態度に何かしらの反応はあるはずだ。

 

 

 

手始めにめんどくさそうに「はあ」とため息をついてみる。

 

 

「・・・っ」

 

 

俺のその突然な態度にマミちゃんはビクッとしているのを確認出来る。

 

 

おお!これは思ったよりも効果がある!なら話すなら今だ!

 

そう思った俺は重く見せかけた口を開く。

 

 

「全方位銃に囲まれてたら怪我で済まないよこれ。マミちゃんこそ銃を降ろして。ほむらは俺の(生命線として)大事な人だからいくらマミちゃんでもそれは許さない。もし傷つけようとするなら(俺の命かかってるし)怒るよ?」

 

「!」

 

 

何故か正面にいる黄色じゃなくて後ろにいる紫が反応した。

 

背中に突き刺さる視線がうっとうしいし、どうやらせわしなく動いているみたいでゴソゴソと煩い。何やってんだほむらは?

 

チラッと見てすぐに正面に向き直る。無視したほうが良いなあれ。なんかめっちゃ頬染めてソワソワしてるし。まさか緊縛プレイに目覚めたとかやめて?。

 

 

「嘘よ・・暁美さんが優依ちゃんの・・?」

 

「マミちゃん?」

 

 

一方マミちゃんの方も反応はあったが想像していたものと違って目から涙が溢れガタガタと身体を震わせており尋常ではない様子だ。どうやら少なからずショックを受けてるみたいだ。

 

 

・・・あれ?俺もしかしなくても失敗した?

 

 

 

「じゃあ私は用済みって事?優依ちゃんにとって大事なのは暁美さんだけって事なの?」

 

「え!?違うよ!俺はマミちゃんの事も大事に思ってるよ!」

 

 

震える声で見上げるマミちゃんに作戦が失敗した事を悟った俺は慌てて弁解するも耳を塞がれて聞いてくれない。涙は止まる事を知らず、ただひたすら荒廃した屋上にポタポタ水滴が落ちる。

 

 

「嘘よ!だったらどうして私に酷い事言うの!?暁美さんにはあんなに優しいのに!」

 

「いや、それは誤解が・・」

 

 

ぶっちゃけ成り行きと死亡フラグの回避が重なっただけでほむらに優しくした覚えはほぼない。むしろ甘やかすという意味ではマミちゃんがぶっちぎりだったと思う。だって甘えてくるの可愛いし、その点、無愛想なほむらや図々しい杏子は甘やかしたの皆無に近い。

 

いいだろ別に。紫と赤はピンクと青に甘やかしてもらえば。

黄色はそこでもボッチだからフォローが必要なのよ。じゃないとあっという間に死ぬからな。

相手候補のチーズガールはこの時間軸に生存どころか存在してるかも怪しいし。

 

 

・・・早めにフォローしとこう。

 

 

「優依ちゃんがふらふらどこかへ行ってしまっても、私以外の誰かと仲良くしていても、最後は私の所に帰ってきてくれるって信じてたから我慢してたのよ!なのにこんなのあんまりよ!!」

 

「マミちゃn !?」

 

 

フォローするため近づこうとしたがそれは出来なかった。何かが俺の身体をきつく縛りあげて痛みのあまり最後まで名前も言えなかった。

下を向くと黄色のリボンがギチギチと音を立てそうなくらい強い力で俺の身体を拘束している。

どう見てもマミちゃんの仕業なのは明白。

 

 

「ぐす・・ひっぐ・・」

 

 

どういう事か説明してもらおうと顔を上げるもマミちゃんはふらふらとおぼつかない血まみれの足で立ち上がりながら泣いている。嗚咽が治まるどころか更に悪化しているらしく徐々に声が大きくなっている。

 

 

マミちゃんの手が黄色の光を放ち、そこから出てきたのはいつものリボン銃だった。

 

 

 

「え・・?」

 

 

 

 

それを俺に向けて構えている。

 

 

 

まさかの展開に一気に緊張感が俺の身体を駆け巡り強張る。

 

 

「マミちゃん?何してんの・・?」

 

 

「決まってるでしょ?これで優依ちゃんを撃つのよ」

 

 

「何で!?」

 

 

訳が分からない!どうして俺が殺さなきゃいけないんだ!?

 

 

 

暗い虚ろな表情とほの暗い声はまるで嵐の前の静けさだ。今にも爆発してしまいそうな緊張感がある。

 

 

 

 

 

「優依ちゃんが暁美さんを選ぶって言うなら、私から離れていくなら・・もう、一緒に死ぬしかないじゃない・・!」

 

 

 

 

 

 

 

我慢できず叫んだためか大粒の涙がポロポロと頬をつたっている。

 

表情は悲壮感一色で銃を向けられているのに今ある感情は恐怖よりも哀れが勝るほどだ。ガタガタ震える手であってもしっかり俺に標準を合わせている。

 

 

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!?

 

マミちゃん貴女は一体どこの時間軸を再現してんですか!?

よりにもよってそこを再現しちゃいます!?

 

やめて!俺まだ死にたくない!

 

何とか逃げ出そうと力を込めてみるもビクともしない。それどころか更にキツく締め付けられ身体に流れる血が止まってしまいそうだ。銃殺よりも先に絞殺かなんかで死にそうなんですけど・・。

 

 

「大丈夫よ優依ちゃん。痛いのは一瞬だし、すぐに私も後を追うから待っててちょうだい」

 

 

そういう問題じゃねえよ!俺は死にたくないんだってば!

痛々しい表情で微笑むな!見てて哀れだから!

 

 

無理心中ほど迷惑極まりないものはない!考え直してくれ!

 

 

 

「二人きりの世界へ行きましょう?」

 

 

 

うっとりするような笑顔を向けて引き金をゆっくり引く。

 

 

 

 

「ま、待って! !?」

 

 

しかし引き金を引くよりも先に突風が吹いた。

 

 

 

 

「!? きゃぁぁ!」

 

 

気付けば赤い粒のようなものが無数に宙を舞っていてそれがマミちゃんの血だと理解するのに数十秒かかった。よく見るとさっきよりも深い切り傷がマミちゃんの両腕に出来ている。あともう少し深ければ腕が千切れてしまいそうなほどの深手だ。持っていたマスケット銃はバラバラに解体されている。

あまりにショッキングな光景が目の前に広がっているのでそのまま力が抜けて地面に座り込んだ。

 

ん?俺座り込んでる?リボンは?

 

 

「あれ?」

 

 

身体に巻きついていたリボンがいつの間にかなくなってる?

どういう事だ?さっきの突風と何か関係があるのか?

 

 

「・・こんな傷くらい・・ !」

 

 

「マミちゃんいい加減に・・! え?」

 

 

ダラダラと血を流しながらも銃を取ろうとするマミちゃんの腕がピタリと止まる。

 

 

 

「動かないで巴マミ。貴女の負けよ」

 

 

 

ほむらがマミちゃんの眉間に銃を突き付けているからだ。

 

どうやらさっきの謎の突風はほむらの拘束も解いたらしい。

傷もようやく治り拘束から解放された今のほむらを縛るものは何もない。

 

 

「よくも縛ってくれたわね?跡が残りそうじゃない、どうしてくれるの?」

 

「・・どうやって抜け出したの?特別に細工したリボンまで切れてるじゃない」

 

「気付いた時にはもうなくなってたの。それよりもさっさと観念してちょうだい」

 

「く・・」

 

 

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

 

マミちゃんとほむらがお互い睨みあい、重い沈黙がこの空間を支配している。

 

 

 

 

「そんな・・・!」

 

 

 

しばらくにらみ合いの硬直状態が続いたがやがてマミちゃんが衝撃を受けたような声を漏らし自分を抱きしめながら静かに泣き出してしまった。ずっと血が流れ続けているせいでマミちゃんの上品な魔法少女衣装は血で真っ赤に染まった狂気あふれるホラー衣装と化してしまっているから迫力倍増だ。

 

 

 

「い、いやよ、こんな、こんな・・!」

 

 

 

何かを拒絶するようにひたすら頭を振ってヘナヘナと座り込んでしまった。一体どうしたのだろうか?

 

 

「ほむら、マミちゃんどうしたの?」

 

 

流石にこの状態のマミちゃんに話しかけづらいので比較的まだまともな状態のほむらに聞いてみる。

 

 

「知らないわ。大方自分の敗北を思い知ったんでしょう?」

 

 

ファサッ髪をなびかせてマミちゃんを淡々と見下ろしている。

 

その姿に勝利をものにした悪魔のような邪悪さがあるのは俺の幻覚だろうか?

実は睨んでたんじゃなくて俺にばれない様にテレパシーで何か話してた?

 

 

 

 

「ん?げ・・!」

 

 

これからどうしたものかと何気なくマミちゃんの様子を見ていると頭に装飾している黄色の宝石がドンドン黒く濁っている。

 

 

ぎゃああああああああああああああああ!?

 

 

現在進行形で絶望中!魔女化まで一直線!

このままだとマミる以前の問題が大量発生する!どうにかせねば!

 

 

「マミちゃん!」

 

「あ、優依!」

 

 

ほむらの制止を無視してマミちゃんの所へ駆け寄る。今、何とかしないと手遅れになりそうだ!

 

 

 

「優依ちゃん・・?」

 

 

戸惑うマミちゃんの腕を急いで止血する。

魔法少女だから出血死で死ぬことはないだろうけどグロ耐性ない俺は血を見てかなりグロッキーな状態だ。至急視界に入らないようにする必要がある。速効で腕を包帯でぐるぐる巻きにした。よし!これでOK!

 

何で包帯があるのかだって?さっきの俺の近くに

『シロべえ謹製”救急セット”』と書かれた小さな医療バッグが落ちてたからだ。

いつの間にと思うがホント知らない間に落ちてた。

効能は問題ないだろう。だってアイツの発明品だし。

 

 

 

「どうして私の治療をするの?暁美さんの方が大事なんでしょ?」

 

「確かに、ほむらは(命綱として)大事だよ?でも、それと同じくらいマミちゃんも(戦力面で)大事なんだ」

 

「!」

 

 

俺が無事にこれから先エンジョイライフを送れるか二人にかかっているからな!

もちろん、二人の事を大切な友達だと思ってるからというの多少ある。

 

 

「ほら、そんなに泣いちゃせっかくの可愛い顔が台無しだよ?」

 

「あ」

 

 

少しキザッぽいセリフを吐いてマミちゃんの髪に触れる。

 

 

「//////」

 

 

そしてそのまま頭に触るふりしてソウルジェムに隠し持っていたグリーフシードを近づけて穢れを吸い取った。

ほむらから「念のために持っておきなさい」と渡されたものだ。GJ!

 

 

 

よし!元の綺麗な黄色に戻った!これで大丈夫だ!

 

マミちゃんの顔がとっても赤いけど問題なし!

事の全てが見えている位置に立っているほむらが背後で鼻で笑ってるけど問題なしだ!

 

 

 

 

「・・やっぱり優依ちゃんは優しいのね」

 

「いや、まあそれほどでも・・」

 

 

俺の手に頭を預けながらマミちゃんは頬を色づけている。

 

正直これは自己保身以外の何物でもないから俺としては正直居たたまれないんですが。とはいえこれでもうマミちゃんとほむらが戦う事はもうないだろう。一先ず安心だ。

 

さっきの無理心中はおそらく急展開が重なったことの錯乱とソウルジェムの濁りからくる精神の消耗が原因だろう。

 

それがなくなった今、度重なるアクシデントによってすっかり忘れていた本題の「お友達作戦」の方を開始した方が・・

 

 

「そうよね・・。優依ちゃんだもの」

 

「ん?」

 

 

不穏なものを感じて思わずマミちゃんを見る。

 

 

 

 

 

「今ので確信したわ!やっぱり優依ちゃんは脅されてるんだって!」

 

 

 

「・・・は?」

 

 

何故か急に元気になったマミちゃんはガッと俺の手を握る。いきなりどうしたこの娘?

どうてもいいけど血まみれのまま触らないでくれ。制服に血がついたらどうする気だ!

 

 

「優依ちゃんはとっても優しいけど気が弱い所もあるでしょ?それに普通の女の子だから魔法少女に脅されたら従うしかないものね?」

 

「え?え??」

 

「大丈夫よ!必ず貴女を暁美さんや佐倉さんの呪縛から救ってみせるわ」

 

「すみません。全然話が見えません」

 

 

マシンガントークに付いて行けず素で戸惑ってしまう。どう解釈したら俺を救うって結論になるんだ?

何が何でも紫と赤を始末しないと気が済まないのか!?

 

ヤバい!この娘度重なる戦闘の疲れでおかしくなってる!?

 

 

「今回は準備不足が祟ってしまったみたいで失敗してしまったけど次は必ず助けるわ!だから少しの間我慢してね?救い出した後は優依ちゃんが受けた心の傷が治るようにしっかりお世話するわ」

 

 

「すみませーん、もしもーし。聞こえてますかー?」

 

 

「次は覚悟してもらうわよ暁美さん。いつまでもそんな横暴が続くと思わないことね。優依ちゃんを脅した罪は重いわよ。佐倉さん共々成敗させてもらうわ」

 

 

俺の話を全く聞かない黄色宇宙人は親の仇を見るような目でほむらに宣戦布告している。それに対してほむらは眉一つ動かさず流し目でマミちゃんを見ていた。

 

 

「好きなように解釈すればいいわ。次も返り討ちにするから」

 

 

何故か勝ち誇った笑顔を見せるほむらは余裕綽々だ。

お前この勝負どう見ても負けてただろうが。次なんてあったら今度こそやられるぞ?

 

 

「またね優依ちゃん!」

 

 

「え!?マミちゃんちょっと待って!」

 

 

 

慌てて追い掛けようとするも屋上から飛び降りてすぐに見えなくなる。

そういえばここは異空間の中じゃ?

 

 

 

 

 

≪優依≫

 

≪シロべえどうした?≫

 

 

突然頭の中にシロべえの声が響く。シロべえが隠れている場所を見るも姿がない。

 

 

≪僕はマミの後を追って気休め程度だけどフォローしておくよ。君はほむらの方をお願い≫

 

≪え?でも・・≫

 

≪僕の事は大丈夫!マミの事も心配いらないさ!≫

 

≪シロべえ・・ありがとう!≫

 

 

やっぱり俺の相棒は本当に頼りになる。

ここ最近の活躍ぶりは目を見張るものだ。多少粗相があっても目はつぶらないといけないな。

 

 

 

≪どういたしまして。お礼なら君の隠してあった超有名パティシエ監修『生キャラメルチョコ』で手を打ってあげるから≫

 

≪へ・・?≫

 

≪もう代金はもらってるよ。マミと二人で食べながら話でもしてみるよ≫

 

≪ちょ!待って!≫

 

≪じゃあね!あ、それともうすぐこの空間が解除されて元の屋上に戻るからよろしくー≫

 

 

そう一方的に告げられて連絡を切られてしまった。何度呼びかけても返事はない。

 

めっちゃ楽しみにしてたチョコを取られた!

俺が朝早くから並んでようやく買えたのに!

そのパティシエさん引退するらしいからもう食べられないんだぞ!

なのに!その苦労と苦しみを知らずあの白い奴・・・!!

 

許せん!食い物の恨みは恐ろしい事を思い知らせてやる!!

 

 

 

いや、その前に、まずは暴動の張本人から折檻しないと!

 

 

「ほむら ぐ!?」

 

 

後ろを振り返り戦闘の元凶を睨み付けようとするもほむらがいきなり俺を押し倒す勢いで飛びかかってきて実現しなかった。

 

 

「嬉しいわ優依!私をそんなに大切に思ってくれてるなんて!」

 

「ぐふ・・!苦しいほむら!」

 

「巴マミが貴女を襲っていた時は彼女を蜂の巣にしてしまおうかと思ってたの!貴女も貴女で巴マミにむかって『愛してる』って叫んでるのが聞こえたし、ついカッとなってしまって・・」

 

「だからって、いきなり銃を突き付けたり発砲するなんてやり過ぎ・・!」

 

「ええ、私が馬鹿だったわ。巴マミには悪い事したわね。でもそのおかげで嬉しい事も分かった。貴女が私をそこまで特別で大事に思ってくれてる事にね。そもそも私は争う必要すらなかったのね。ふふ」

 

「え?えーと、じゃあこれからはマミちゃんといがみ合わないって約束してくれる?」

 

「ええ、約束するわ!」

 

 

ギュウギュウと俺の首を絞めつけながら上機嫌に語るほむらはとても珍しい。

コイツを何をそこまで上機嫌にさせるのか分からないがともかくこれで言質は取った。

 

割とすんなりだな?もっとゴネるかと思ってたがまあ良い。

終わりよければ全て良しだ。

あんまり良くない結果だけどな・・。

もうマミるまであまり時間がないっていうのに和解出来ずに対立してるし。

 

 

 

「優依、これからはなるべく穏便にするから怒らないで私の傍にいてちょうだい」

 

 

懇願するようにほむらが俺のじっと見つめている。

正直今は答える気力もなくて無視したいところだが拗らせると厄介なので答えておいたほうが良いだろう。

 

 

「今、傍にいるじゃん。大丈夫だって(俺の死亡フラグが無くなるまで)ずっと傍にいるから」

 

「! ええ、約束よ」

 

 

 

嬉しそうに俺に身を預けるほむらにため息が出そうだ。

 

ほむら超めんどくさい。まどかには悪いが全部終わったら押し付けよう。うん、そうしよう。

 

 

気付けば元の屋上に戻っていた。

昼休みが終わるチャイムが鳴り響く中、ほむらが俺に未だに抱きついて離さないから動けない。

 

それよりもほむらの血が制服にべっとりついてしまった事にショックを受ける。時間が経っているからか赤ではなくて少し黒ずんだ色だ。

 

 

血は洗えば落ちるのか?これじゃ教室に入れない・・。

 

 

 

そもそもマミちゃんの件どうしよう?

 

 

 

すっごく泣きたい気分だ。




という訳でマミさんが暴走してしまったので失敗!
どうして彼女がここまでおかしくなってしまったのかは次回のマミさん視点で分かるかもしれません!

徐々に狂っていくんでしょうねきっとw

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