魔法少女オレガ☆ヤンノ!?   作:かずwax

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三連休無計画で過ごしたらあっという間に時間が過ぎて投稿出来ないんだなと思い知りました!


51話 ピンクの奴はだいたい天使

「いやぁ!まさかまどかの方から話しかけてくれるなんて思わなかったよ!」

 

「えっと・・時間とらせてごめんね?それにいきなり謝ってごめんなさい。冷静に考えたら人目がつく場所で頭下げたら目立っちゃうよね?そこまで気が回らなくてごめんなさい」

 

「いや、まどかさん。開口一番でどんだけ謝ってんですか?」

 

 

ピンクの後頭部をうんざりした気分で見つめる。

ほむらと二人下校中だった時、まどかが現れていきなり頭を下げて謝ってくるものだから驚いた。

 

流石に多くの学生が行きかう場所で頭を下げられては悪目立ちしまくりなので慌ててまどかを連行し今に至る。

ちなみに今いる場所はショッピングモールのフードコートだ。俺とほむらは隣同士に座り、まどかが俺と向かい合う形で座っている。

 

 

「あの、ほむらちゃんもごめんね・・?」

 

「・・・」

 

「おいほむら、何か言うことないの?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

まどかが気まずそうにしていたからフォローのつもりで小声で話しかけてみるも返事はなし。

会話に加わる気がないのか静かにコーヒーを飲んでいる。ただコーヒーカップを持っている手が震えているので緊張しているのは丸分かりだがまどかは気づかないだろう。

 

何だかほむらのことを怖がってるみたいで幸先が悪いぞ。

 

 

ていうかせっかく目の前に本命がいるのにずっとこのままなのかほむらよ。

一日中無口キャラ貫く気か?冗談抜きでやめてほしい。

喧嘩売る様な発言されるのは嫌だけど置物になられるのも気まずく嫌なんだけど!?

 

 

「二人とも、今日はさやかちゃんがごめんね?」

 

「え?今日の事はまどか関係ないよね?」

 

 

ほむらと会話することを諦めたのか再び俺の方を向いて申し訳なさそうに謝ってくる。

まどかが頭を下げて謝る理由が分からない。ぶっちゃけ何もしてないじゃん。

 

 

「まどかは悪くないよ。むしろ暴走してるさやかを止めてくれたし感謝の念しかないよ?」

 

「ううん、感謝される事なんて何もしてないよ。全部わたしが悪いんだから」

 

「へ?」

 

 

深刻な暗い表情だったから少しでも空気が軽くなればと思って発言したんだけど効果はなかったみたいだ。少しの沈黙の後、重々しい空気の中まどかはようやく口を開く。

 

 

「元々嫌がる優依ちゃんを無理やり魔法少女体験コースに連れて行ったのはわたしだもん。一歩間違えれば死んでたかもしれないのに。それをどこか他人事みたいに思ってて何とか無事で済んだのにまだ続けようって話を勝手に進めちゃった。怖い思いした優依ちゃんの事を考えないで・・わたし・・最低だよ・・」

 

「いやいやいや!そこまで自分を責めんでも!何をどうなったらそこまで自分を追い詰める思考になるの!?」

 

「だって・・!優依ちゃんその後の電話なんだか元気なかったし、次の日の学校もお休みしちゃうんだもん!マミさんはとっても寂しそうにしてたし、さやかちゃんも落ち込んじゃって・・どう考えてもわたしが優依ちゃんを無理やり魔女の結界に押し込めたせいだよ!」

 

「あーあーストップ!その辺にしておこう!これじゃいつまでも不毛なやり取りが続きそうだから!」

 

 

大罪でも犯したかのような懺悔を口から出まくっている。

止めないとひたすら自分責めが終わらなそうだったので遮る形で割り込んだが、もしこのまま放っといたら最悪自殺でもされそうで怖い。それだけ今のまどかは弱っているように見える。

 

 

「まどかは悪くないよ。気遣ってくれてありがとう。もう怒ってないから」

 

 

言った通りホントにまどかは何も悪くない。

やった事なんてラグビー選手顔負けのタックルかまされて魔女の結界に放り込まれたくらいだ。

むしろ俺を巻き込んだのは、逃げようとする俺を捕獲したさやかとペットみたいに首にリボン括り付けて処刑台に連行しようとしたマミちゃんの方だ。この二人に比べるとまどかのした事なんて可愛く見える。

 

 

しかもマミちゃんに至ってはあわや俺を絞殺しそうになったからな。罪は重い。

 

 

どう考えてもまどかは無実なのにどうして全部自分が悪いみたいな事言ってひたすら謝るんだろうか?

 

 

「もうその事は忘れてさ、前みたいに仲良くしよう?」

 

「でも・・」

 

「むしろずっとそれを気にして疎遠になる方が俺にとってはそっちの方が許せないんだけど?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

俯きがちでおどおどしているまどかには申し訳ないがいつまでも罪悪感を持ち続けるのは都合が悪い。

いつあの白い悪魔が隙をついて狙ってくるか分かんないのにそれは困る!

目を離したすきに”契約しちゃった♪”とか笑えねえ!

 

 

「ほら、仲直りの握手。これでまた友達だから」

 

 

早く仲直りして!俺にとっては過去の死にそうな体験より未来の死亡フラグの方がよっぽど怖いから!

 

 

 

「うん・・・!わたしも優依ちゃんと仲直りしたかったから・・」

 

 

俺の念が通じたのかまどかが泣きそうな表情で俺の差し出した片手を両手でキツく握り返してくる。正直めちゃくちゃ痛いがこれでもう大丈夫だろう。

 

 

「よしこれで仲直り出来た!もうその事で謝っちゃだめだからな?」

 

「・・うん!」

 

 

はじけるような笑顔で頷いてくれた。可愛い。

 

良かった。あのウジウジモードが思いのほか面倒くさくて厄介だったから安心だ。

仲直り出来たし、まどかの機嫌も戻ったから今の内に聞きたい事でも聞いておくか。

 

 

「ところでまどか、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

「いいけど・・何かな?」

 

 

 

「これまでの事を振り返って今も魔法少女になりたいって思う?」

 

 

 

「! えっと・・」

 

 

じっとまどかを見て聞きたかったことを思い切って聞く。

 

まどかに会えたから聞いておきたいなあって思っていたけどこれは思わぬチャンスだ。

傍にほむらもいることだし今のうちにまどかの心境を知っておくのも悪くない。

今後の対応の参考になるかもしれないから。何より俺とほむらのモチベーションに密に関わってくる。

 

ただしそれ相応のリスクがある。

「魔法少女になりたい」なんて言った瞬間ほむらの顔が般若になってしまうリスクだ。

そうなった場合、鬼を止めるのは不可能なのでまどかには悪いが八つ当たりが来る前に逃げる。説教されるなり、罵倒されるなりして犠牲になってください。自業自得だから。

 

あと俺のやる気もごっそり持って行かれそうだ。そうなったらもう立ち上がれる気がしない。

 

地雷になるであろうほむらは興味がないふりをしているが横目でまどかを見てしっかり聞き耳を立てている。どうやらさっきから話を聞いていたらしい。コーヒーの量が全く減っていないことから飲んだふりしていたみたいだ。

 

そんな演技下手な紫を横目で観察しつつドキドキしながら運命の瞬間をひたすら待った。

 

 

 

 

「・・今は考えてないかな」

 

 

 

 

長い沈黙の後、まどかは絞りだすようなひっそりした声で運命の答えを口にする。

それは俺にとって願っていたものだった。

 

ジャッジはなされた!俺の死亡フラグが著しく低下する!

ありがとうまどか様!貴女様のその英断によって世界が生存の道を歩み始めたぞひゃっほおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

 

 

「・・今は?」

 

 

心の中で生存を祝うフャンファーレが鳴り響く俺に代わってほむらが気になる点を指摘している。ちなみに今のが何気に初めての発言だ。無表情だから何を考えているのか分からない。

 

 

ほむらが口を開いた事に驚くまどかだったがおずおずとコックリ首を縦に振っている。という事はやっぱり前はなろうとしてらしい。

 

 

「うん、前はね。でも今はあんまり魔法少女になりたいって思わないんだ。現実はアニメと違って本当に死ぬかもしれないでしょ?優依ちゃんが危ない目に遭ったのを見たから怖くなっちゃったの。・・こんなわたしってやっぱり臆病で卑怯者だよね・・」

 

「そんなことないよ!ちゃんと理解してくれて良かった!それなら安心だ!戦いをちゃんと理解していないままなのが一番危ないからね!いやぁよかったよかった!」

 

すぐさま卑屈モードに爆走するまどかに慌てて否定を入れる。

 

人間誰でも恐怖に怖気づくこともある(俺なんて特に)。何よりまどかは普通に生きてきた中学生。

ただコイツは世界滅ぼすリーサルウェポン的なピンクの悪魔だ。

そう考えると臆病である事にスタンディングオベーションな拍手を是非とも送らなくては。

 

 

「え?優依ちゃん?」

 

 

さすがにそれは出来ないが喜びのあまりつい彼女の手を握って上下に振り回す。

 

最大の死亡フラグが発生する懸念は限りなくなくなったのだ!

これを喜ばないで何を喜ぶっていうんだ!?今の俺は喜びを何かの形で表現しなければ気がすまない!

 

 

「優依ちゃん・・人が見てるよ?」

 

「構うもんか!俺は今、全身で喜びを表現しなくちゃいけないんだ!それの何が悪い!」

 

「うぅぅ・・恥ずかしいよ///」

 

 

その割には満更でもなさそうに手を握っているのはどこのどいつですかね?

照れ笑いしているまどかテラ可愛い!

 

 

「~♪」

 

 

「・・まどか少しは学んだようね」

 

 

 

「ほむら?」

 

「ほむらちゃん・・?」

 

 

浮かれた気分に水を差すようにほむらが口を開く。

 

紫の瞳がまどかの姿を捕えている。

俺は多少の付き合いがあるからほむらの事を理解できてるのでそれがただ見つめているだけだと分かっているがまどかの方は付き合いが短いので睨まれてると思ったのか縮こまってしまっている。

 

せっかくのお祝いムードが一気に緊張感がある空間に変化してしまった。ほむら恐るべし。

 

 

「魔法少女にならないのは賢明だわ。出来ればずっとその考えを貫いてほしいものだけど」

 

「う、うん。なるべくそうするよ・・」

 

「なるべくじゃなくて絶対そうしてちょうだい。コロコロ考えを変えられたらめんどうよ」

 

「・・・うぅ」

 

 

ほむらの非常にキッツイ物言いのせいでまどかが完全に縮こまってしまっている。

 

何でそんな言い方してたんだこの馬鹿は?

紫の蛇がピンクの蛙を睨んでいるとしか思えない!

どうしよう?このまま放っておいたらまどかが更にほむらを事を怖がりかねないぞ?

 

 

 

「魔法少女になる気がないなら巴マミとは縁を切りなさい。彼女といてもロクな事にはならないわよ」

 

 

 

何言ってんだてめえええええええええええええええ!!?

せっかく上手くいきそうだったのに何自分からぶっ壊してくれてんだこのアホ!?

マジで何考えてんだこの暴走紫!?

まさかとは思うけどマミちゃんに関しては今日の戦いの私怨混じってないよね?

 

 

 

 

「そ、そんな言い方あんまりだよ・・!」

 

 

まどかがムッとした表情で怯えながらもほむらに言い返している。

グッと上体を前のめりになっていることからも分かるがかなり怒っているらしい。

 

ほむらの言った事はまどかを思っての発言なのだがいかんせん著しく説明が欠如してるので「見捨てろ」ともとれる冷酷なもので命令口調。

 

誰だってそんなもの聞くはずないし反発するのにどうしてほむらはそれが分からないんだ?

お前逆にそれやられたら間違いなく銃つきつけるだろうが!

だいたい心身全てが優しさで構成されたまどかがそんな事聞くはずないだろうが!!

 

 

「忠告はしたわ。それでもまだ魔法少女と関わるようなら私は容赦しない」

 

「ッ! ・・・・・・・」

 

「ほむら!」

 

 

脅迫めいた発言の上に殺気まで放たれたらまどかは敵わない。

小刻みに震えだして怯えたような表情でほむらを見つめている。これ以上はやり過ぎなので口を塞いででもほむらを止めるはめになりそうだ。

 

 

「・・空気を悪くしてしまったわね。そんなつもりじゃなかったんだけどごめんなさい。私はこれで失礼するわ」

 

 

まどかの怯えた様子に自業自得のくせに傷ついたのか眉を少しだけ下げながらほむらは席を立つ。机にお金を置き、そのまま俺達に背中を向けて去ってしまった。

 

 

その際、俺にテレパシーで、

 

 

≪魔女の反応があったからこのままグリーフシード集めに行ってくるわ。まどかをお願いね。遅くならない内に帰ってくるのよ?≫

 

 

と保護者みたいな伝言を残していった。

 

 

ぶれないな紫。いつからお前は俺の母さんになったんだ?

 

今まで渡り歩いてきた時間軸でもあんな風に突き放してたなこれは。

それはさぞ誤解と衝突のオンパレードだったんだろうなー。

ほむらがまどか救済成功しなかった原因の半分はほむら本人のせいだろうなー。

 

 

結局あいつ何しに来たの?

 

 

 

 

「・・ほむらちゃんはわたしなんかと話したくないのかな?」

 

 

「? まどか・・!?」

 

 

呆れた視線でほむらが去っていったほうを見ていたら震える声が耳に入った。

 

顔を戻し視界に入ったものにギョッとする。

まどかが瞳をうるうるさせて今にも泣いてしまいそうになっているからだ

 

どうやらほむらの態度に酷く傷ついたようだ。

 

何も知らない人から見ればほむらの態度は拒絶にしか見えない。

本人も人を寄せ付けない雰囲気(またはぼっちオーラとも言う)を纏っているし。

 

 

だが俺は知っている。あの紫はただ緊張してテンパっていただけだと。

 

だって俺がまどかと会話してる間ずっとソワソワして落ち着かないし、持っていたカップが手の震えに合わせてコーヒーが揺れまくってたからな。人の制服に零さないか心配だったわ。

 

 

しかし今はそんな事どうでもいい。問題なのは今どうするかだ。

状況ははっきり言って最悪と言って良いに違いない。

 

 

あああああああああああああああああ!

どうしよう?どうしよう!?どうしよう!!?

あの暴走紫あるだけの手榴弾放り投げて戦場を放置したまま逃げやがったぞ!

 

なんて傍迷惑なやつなんだ!

 

 

「・・・・・・・」

 

 

まどかは俯いたまま一言も喋らない。

さっき言われた事がよほど心に突き刺さったらしい。

まどかのほむらに対する好感度が下がっていく一方だ。本人のせいだから更に腹立つ。

 

 

このままだと好感度は氷点下になってしまいそうだ。それはまずい!

肝心の本命に避けられてしまっては俺が困る!

 

 

く!こうなったら強引にでもまどかの中のほむらの印象を変えるしかない!

 

 

幸いまどかとほむらはお互いにほとんど接点がないから印象操作は容易なはずだ!

迷っている暇なんて俺にはない!

 

 

 

「まどか!」

 

 

「? 優依ちゃん?」

 

 

泣きに入りそうなまどかの肩を掴んで無理やり意識をこちらに向けさせる。突然の出来事にまどかはポカンとして俺を見ている。

 

よし意識をこっちに向けるのは上手くいった。問題はこの後だ。

 

 

 

正直相手がまどかだから気が引けるんだけど迷ってたらだめだ!

 

 

やれ!やるんだ俺!このままだと死亡フラグ一直線だぞ!

失敗続きで失うものがない俺には怖いものなど存在しない!

 

 

 

「実はほむらは”ツンデレ”なんだ!」

 

 

 

「・・ツンデレ?」

 

 

ポカンとして首を傾げているまどかとこれから被害を受けてるであろうほむら(こっちは自業自得だから構わないけど)には悪いが背に腹はかえられない。

 

いっその事このままほむらを「ツンデレ」キャラに仕立ててしまおう!

 

 

「そう!奴は典型的なツンデレ魔法少女だ!あんな風にクールに澄ましているが、その実態は超不器用で気弱なシャイガールなのだ!」

 

「本当に?それ優依ちゃんのイメージじゃないの?」

 

 

疑っているようだが自棄になっている俺にはそんなもの通用しない。勢いで推し進めるのみ!

 

 

「その認識は甘いぞ!ほむらのツンを侮っちゃいけない!言ってる事と考えてる事が真逆になる呪われた性質なんだ!」

 

「・・そうなの?」

 

「そうなんだ!実はほむらは前の学校でもツンを発揮してしまい周囲に理解されず助けを求める事が出来なくて”もう誰にも頼らない”って心に決めてしまったみたいなんだ。転校したのもそれが原因なんだ!」

 

「ほむらちゃん・・辛い目に遭ってたんだね」

 

 

ほむらに同情したのかまどかは違う意味で泣きそうになっている。

事実を多少使っているがほぼ嘘なのでまどかの涙が心に突き刺さる。

 

 

「そう、辛い目にあったんだ。それをまた繰り返そうとしている!このままではほむらは孤立したままでますます心を閉ざしたままだ!むしろ孤独が強まって心が病んでしまうかもしれない。それはいかん!俺的にはほむらはそろそろツン期卒業してデレ期に進学してほしいんだよね!」

 

痛む胸を抑えつつ何とか最後まで言い切った俺に労いの言葉をかけたい!

 

あとデレる時は病みなしのデレでお願いします!さもないと俺の心が死んじゃうから!

 

 

 

 

「だからまどか!ほむらを怖がらないであげて欲しいんだけど出来そう?」

 

 

同情させつつまどかを誘導。人間辛い過去があったと知った時、嫌いな人でも同情してしまうものだからな。特にまどかはそれが顕著だ。利用する形で悪いがこっちもこれが精一杯だ。

 

 

「・・でもわたしに出来るかな?ほむらちゃんと会うだけでもビクビクしちゃうんだよ?」

 

 

 

自信なさげなまどかはいつもの事で想定通りだが今回はそれであっては困る!

 

だから俺はこんな時のために用意しておいた作戦を実行する事にする。

 

今こそお披露目だ!俺考案自信回復マニュアル

「優依ブートキャンプ」始動!

 

 

まどかの自信のなさは登場人物の中でも屈指だ。

魔法少女になりたい理由も自信のなさが原因になっているし積極的に動けない理由もそれが起因していると思われる。それが更なる悲劇(特にさやか絡み)を生み出しているから洒落にならん。

 

まどかが動いてくれれば確実に良い方に進む展開が絶対ある!

積極的に動いてもらうには自信を持ってもらうしかない!

 

そこで出番なのが俺が発案した心を鍛えて自信を取り戻す

「優依ブートキャンプ」なのだ!

 

 

ちなみに内容は俺が普段やってるような褒めまくりがメインです!

作戦なんてありません!名前あった方が俺のモチベーションがあがるからつけただけです!

 

 

さっそく始めていこう「優依ブートキャンプ」!

 

 

「まどかの良い所、俺沢山知ってるぞ!むしろ長所しか言えないと言っても過言ではない!」

 

「それはないよ!わたしって何やっても平均並みだし自慢できるような特技なんてないもの!良いところなんて思い浮かばないや・・」

 

 

勢いよく手を振って否定するな。謙遜じゃなくて本気で思っているっぽいから手強い。

 

だがこんな所で諦める俺ではない!

これ以降チャンスがあるのか分からない。背水の陣で挑む覚悟だからこれくらいで終わってたまるか!

 

 

「それは視野が狭すぎるぞ?まあ、それもしょうがないか。人間意外と自分の長所なんて分からないものだしな」

 

「そういうものなの・・?」

 

「そういうものなの。じゃあこれから俺がまどかの言いところを挙げていくから心して聞くように」

 

「うん・・・」

 

 

 

 

「まず、まどかはとっても気が利いて心優しい女の子です!」

 

 

 

 

 

「え!?そんな事ないよ!」

 

 

否定から入って来るな!まどか意外と頑固だな!?

 

 

「いいや、そんな事ある!だってまどか俺が転校したばっかりで心細かった時に声掛けてくれて街を案内してくれたじゃん。その後もずっと仲良くしてくれた」

 

「それは普通じゃないの?」

 

「ところがどっこい、普通じゃないんだなー。大抵の人は内心では誰かに優しくしたくてもそれを実行するのは難しいもんだ。特に俺みたいに転校してきて何かと目立つ相手じゃ尻込みしちゃう」

 

「そうなの?」

 

「そうなの。俺あの時(君がまどかじゃなければ)嬉しかったよ。心細かったし不安だったから」

 

 

実際不安だったので嬉しかったのは事実だ。一番の死亡フラグだから素直に喜べないけど。

 

本当に目の前にいるまどかが何の変哲もない普通の女の子だったらなーと何度思ったことか!

これでこの主人公じゃなかったら言う事なかったのに・・。

そしたら俺がひたすら愛でまくれたものを!

 

 

「そんな・・大した事じゃないよ?わたしも優依ちゃんとお話したかったから」

 

「それでも本当に嬉しかったんだ。今もこうして俺と真剣に向き合ってくれる。忘れないで?それは本当に優しい人じゃないと出来ないんだよ!分かった?」

 

「えーと・・まだ何となくだけど、分かったよ」

 

 

いまいち納得していないっぽいがこれは仕方ない。すぐに自信がつくなんて思ってないし。

 

ならこれはどうは?

 

 

 

「まどかは可愛いです!」

 

「ふぁ!?」

 

 

ボンッと音が出ていそうなくらい一瞬で顔を赤らめたのでわかりやすいなあ。

おっ!これは良い反応かも。

 

 

「ふわふわした天使のような可愛さと小動物的な可愛さを併せ持った究極のハイブリッドだ。この可愛さはもはや殺人級と言っても過言ではない!」

 

「それは勘違いだよ!だって優依ちゃんの方がはるかに可愛いよ!わたしなんて・・・」

 

「何を言う!可愛いは多種多様あらゆる分野を網羅しているのだ!それを比べるなんておこがましい!」

 

「ふぇ・・」

 

 

思いのほか気分が乗ってきて語る俺にまどかは待ったをかけるもそんな事では止まらない!

俺の可愛い女の子理論を否定する奴は誰であろうと許さん!

たとえそれが将来神様になるかもしれない女の子でも例外じゃない!

 

 

 

「君が何と言おうと可愛い女の子である事は間違いない!それは俺が保証する!」

 

 

「や、やめてよぉぉ・・。そんな真顔で言われたらどうすれば良いか分からなくなっちゃう・・」

 

 

両手で顔を覆ってしまい表情が見えないがこれで良い。

今までにもまどかを可愛いと褒める奴(例:さやか)はいたが大概おふざけついでだ。

だから軽く流していたし冗談だとおもっていただろうから真面目に言われた時の耐性なんてないはず。

 

 

俺の目論見通りだ。効果は抜群!

 

これで少しは自信をもってくれたらいいんだけどそれは高望みし過ぎか。

 

 

「結論:鹿目まどかは優しくて可愛い俺の自慢の友達です!!」

 

「うぅ・・照れくさいけど・・ありがとう・・。そう言ってくれて」

 

 

力強く断言するとまどかは恐る恐る顔を覆っていた手を退けて真っ赤な顔で俺を見ている。

瞳に涙を浮かべながら小さくお礼を言っている。その涙はさっきまでの悲しみのものではなく感動の涙らしくキラキラしていてとっても綺麗だ。

 

 

思ったよりも効果があったみたいだ!よし今がチャンス!

 

 

「そこでまどかにお願いがあるんだ!」

 

「え!?えっとわたしに出来る事でなら大丈夫だけど・・・」

 

 

グッと顔の距離をつめた俺にまどかは驚いているがここからが本題なのだからそんな細かい事を気にする余裕がない。構わず先を続けることにする。

 

 

「何をそんなに弱気になってんの!?むしろこれはまどかにしか頼めない事なんだよ!?」

 

「わ、わたしにしか出来ない事・・?」

 

 

思ったよりも反応が良い?これなら引き受けてくれそうだ!

 

 

 

 

「うん!・・ほむらと仲良くしてやってくんない?」

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

「このままだとほむらツン期留年確定して色々拗らせちゃうんだよね。下手すればそのまま病み期に突入しちゃうくらい」

 

 

俺の脳内では色々拗らせまくった末、まどかのためなら世界改変までやっちゃうヤンデレが高笑いしてる姿が再生されている。これは絶対阻止。

 

あれって暴論だけどお互い(特にほむら)のコミュニケーション不足から来る思い込みから生じてしまうからね。

 

 

「お願い!まどかだけが頼りなんだ!」

 

 

グッとまどかの手を握って切羽詰まった表情で見つめる。正直死活問題なので表情を取り繕えませんでした。

 

 

「わたしだけが頼り・・・?・・・・・。うん、分かった。わたしもほむらちゃんとお友達になりたいし、思い切って話しかけてみるね」

 

 

にっこり笑って心強く宣言するまどかがとても眩しく見える。

普段する控えめな笑顔じゃないからこれは期待大だ。

 

 

まどかはやれば出来る娘だもの!必ずやり遂げてくれる!

 

 

うおっしゃあああああああああああああああああああ!!

『お友達大作戦』成功じゃああああああああああああああああああ!!

 

終わりよければ全てよし!これで今までの苦労が報われる!

 

ありがとうまどかさん!これからあの暴走紫をよろしくね!

 

 

そして悪いなほむら!今日からまどかの中の君の評価は多分、

”人類史上類を見ない超絶不器用&シャイなツンデレガール”に変更されてしまったかもしれないよ!

この先、苦労するかもしれないけどコミュニケーションサボった代価だと思って耐えたまえ!

 

 

取りあえず良かったねほむら!

この先まどかをどれだけ冷たく突き放しても食いついてくるだろうから孤立無援じゃなくなるよ!

 

仲を取り持ってあげたんだから「まどかに何て事吹き込んだのよ!」とか言って俺を攻撃しないでね?

必要な犠牲だったのさ!

 

さて、俺の出番はここまでだ。後は若い二人に丸投げさせてもらおう!とばっちり食らいたくないし。

 

頑張って二人とも!俺は傍観させてもらうよ!

 

 

 

 

 

「それにしても」

 

 

 

「何?」

 

 

脳内で勝利の歓声に酔いしれる俺をまどかはにこにこ微笑みながら見つめている。

ここに来た時のオドオドした様子が嘘みたいな楽しそうな雰囲気だ。

 

 

 

「優依ちゃんってとっても男の子っぽい話し方するんだね!」

 

「!?」

 

 

まどかの発言に身体の動きが止まる。

 

 

しまった!焦るあまりつい素の口調になってた!?

ヤバい!まどかの前ではずっと女の子の話し方してたもん!

 

 

「これがギャップ萌えって言うのかな?今まで一緒にいたけど全然知らなかったよ!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

 

「素はそっちなんだね!」

 

 

俺の目の前に天使のように笑うピンクの悪魔が出現した。




まどかちゃんのターンに切り替わります!

良かったねほむほむ!
まどかちゃんに勘違いされたみたいだけど仲良くしてくれそうだよ!

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