「おー・・これがホントの拘束プレイ」
≪撃つわよ≫
「じょ、冗談だよ!」
頭の中に響く恐ろしい言葉に手を挙げて降参ポーズをしておく。
結界内に突入した俺たちは運よく使い魔に遭遇する事なく無事ほむらがいるところまで辿りつく事が出来た。
見つけた時のほむらは予想通り、いや予想以上に見事な拘束されっぷりだったので思わず感想がもれてしまい、鋭い視線で睨まれてしまった。
だって美少女が全身リボンでグルグル巻きにされ身動きとれない格好なんてどこの十八禁な光景なんだもん。
しかもほむらちゃんは思春期な中学生。一歩間違えれば危ない世界まっしぐらだ。
「それよりほむら!マミちゃんたちは!?」
話を逸らす目的半分、ここに来た目的を今思い出した焦り半分の気持ちで最も重要な事を聞いておく。
《巴マミはまどかを連れて美樹さやかがいる結界の最深部に向かってしまったわ》
「まじかよ・・原作通りじゃん」
すっごく現実逃避したい。実はほむらが嘘をついてるって。
拘束も自作自演だったとかだったら良かったのに。
しかし残念ながらほむらが嘘をつく理由はない。
逃げ出したくなる事実が俺に容赦なく突き刺さる。
これまじで強制力とか働いてないよね?
主に邪神のせいとかでさぁ・・。
《それよりいつまで私をこのままにしておくつもりなの?早く降ろしてちょうだい!》
「あ、そうだった!シロべえこれ解除出来そうか?」
「うん大丈夫。マミの魔法の構成は把握してるから問題なく解除できるよ」
さっきまで存在が空気と化していたシロべえがリボンに触れた途端、そこから広がっていくようにバラバラと砕け散ってほむらは十八禁な拘束から解放された。
優雅に地面に足をつけて髪をファサァと払っている。
カッコつけてるみたいだけどさっきのあの拘束プレイ見てるからその動作は逆に悲哀を感じてしまうのは俺だけだろうか?
まあ、途中でほむらを解放出来たからこれで原作と違う展開になったはず。後は・・ん?
ほむらはしおらしい雰囲気を纏いながら何故かこっちに向かってきている。何あれ怖い。
「どんなもんだい!僕の技術は少しは見直したかい?」
自慢気に喋るシロべえを一切見ずほむらは俺の方を向いている。
「・・・ごめんなさい」
「え?」
何故かほむらは俺に向かって頭を下げて謝っているがぶっちゃけ訳が分からない。
「別の魔女と交戦しててここに辿り着くの遅れてしまって、しかも巴マミを説得出来ずに挙句の果てに拘束されてしまったわ。全て私の失態よ。優依の期待を裏切ってしまった。ごめんなさい」
「え!?いや、えっと気にしないで!俺だって魔女に襲われてて遅くなったんだよ!ほむらは悪くない!」
「ちょっとほむら!感謝とかないの!?君を助けたのは僕だよ!?」
「魔女に襲われたですって!?怪我はないの!?」
血相を変えて俺の肩を掴んできてめっさ痛い。
怪我の心配してくれるのはありがたいが正直ほむらのせいでたった今怪我しそうなんだけど。
「だ、大丈夫だよ!何とかなったし・・」
「何とかって何よ?」
「あー・・何ていうか、ねえ?」
「随分と煮え切らない態度ね?」
訝しげに睨んでくるが正直に話すのかは迷う。
シロべえと急遽話し合った結果、先ほどの杏子(?)の件はマミる事件が終わるまで伏せておくことになった。
理由はあの杏子(?)が本物かどうかも怪しいし余計な混乱を招きたくないからと今はそれどころではないという状況だからだ。
「とにかくほむら!今からマミちゃんを追って先に魔女を倒してきてよ!君なら出来るって俺信じてるから!」
取り敢えず誤魔化す&激励を込めてほむらの手を握っておく
「! 分かったわ優依。今度こそ貴女の期待に応えてみせる!」
そうしたら何故かやる気に満ち溢れたほむらは魔法少女に変身した。時間停止を発動するようだ。
「え?ちょっと待って?いきなり?・・いない」
気づけばほむらの姿はそこになかった。
「あれ?シロべえ、ほむらは?」
「え?あーどうやら時間停止を使って先に行ったみたいだよ?」
「え!?じゃあ何で俺らはそれに気づかないんだ?確かほむらの時間停止を無効化にする装置があったはずじゃ?」
「あれかい?今メンテナンス中なんだ」
「メンテナンス中!?」
まさかの単語に驚きを隠せない。
こんな重要な時に何やってんだコイツ?
何でメンテナンス終わってないの?
「優依たちと別れてからマミの家にいる間ぶっちゃけ暇でね。彼女ひらすら君のぬいぐるみを抱いて泣くか狂ったように笑いながら何かをノートに熱心に書いてるかのどちらかだったんだ」
「で?」
「仕方ないから暇つぶしに今ある発明品を改良しようと思いついたんだ!これが意外と面白くてね!ついつい夢中になってしまったよ!特に時間停止中の汎用性を更に広げられる可能性に気付いてね!昨夜からずっと弄っていたけど全く飽きないんだ!」
「なるほど。つまりお前がそんな事に現を抜かしてる間にインキュベーターに出し抜かれたってわけね」
夢中になってる間に連れ出されたんだろうなぁ・・。
うわぁ目に浮かぶ。
「そうともいうね。慌てて気づいて追ってきたから弄ってた最中だから発動しないんだ」
「じゃあ、今の俺らって無防備なんじゃ?」
「そうだね」
「何他人事みたいに言ってんだ!?俺ら今結界の中なんだぞ!?狙ってくださいって言ってるようなもんじゃん!」
まじかよ!?
結界に入ったのだって、ほむらに守ってもらう算段だったからだよ!?
じゃなきゃ入る訳ないじゃん!こんなおっかない場所!
「ほむらあああああああああああああああああああ!!
カムバアアアアアアアアアアッッッッッック!!」
俺の魂の叫びは空しく結界内に響くだけだった。
え?マジで置き去りですかこれ?
「大丈夫だよ優依!ほむらの拘束姿はしっかり写真に撮ったから!」
「そういう問題じゃねえよ!!」
マミside
許さない
絶対に許さない!!
今更なんだって言うの?私から優依ちゃんを奪っておいて信じるわけないでしょう!
さっきの出来事を思い出し、余計にムカムカしながら歩を進める。
今、私は魔女の結界の中にいて鹿目さんと二人、最深部にいる美樹さんを助けに向かっている。
その途中で憎たらしい暁美さんを拘束したから、今彼女は身動きが取れないはず。
本当ならあのまま殺してしまいたかったけど鹿目さんがいる手前、そんな事出来ない。
今回は我慢するしかないみたい。もしくは気づかれない内に始末するのもアリね。
彼女には悪いけど私はもう正義の味方はやめたんだもの。
それに暁美さんは私にとって一番大切な優依ちゃんを奪った憎い恋敵だもの。
今思い出しても怒りが湧いてくる!
あの日、優依ちゃんを暁美さんの魔の手から救おうとした日の事。
結局目論見は失敗に終わっちゃって途中でやってきた暁美さんと戦う羽目になった。
結果横やりが入ってお互いに血が噴き出すくらい負傷してしまったけど諦めきれなかった私は無防備な暁美さんを拘束してトドメをさそうとした。でもそれも失敗に終わった。
優依ちゃんが暁美さんを庇うから!
暁美さんの拘束が解除された後、負傷して動けない私に彼女にこっそりテレパシーで言われた事は今思い出しても腹立たしい!
暁美さんは血まみれでボロボロな私の前を見下すように立って言ったんだもの。
≪いい加減、現実を見なさい。さっきの優依の行動を見ればあの娘にとって誰が一番大事なのか分ったでしょう?≫
その言葉に私は何の反論も出来なかった。
≪優依にとって大事なのは私なの。愛されてるのも私。貴女じゃないわ巴マミ≫
気づけば涙が溢れ出し、悔しくて唇を噛んでいた。
優依ちゃんは私から暁美さんを守るように現れた。
それだけでなく優依ちゃんは暁美さんの事が大事だとはっきり言った。彼女に手を出すと許さないと。
勝ち誇ったように笑う暁美さんの顔が脳裏にこびり付いてる。
あの時の恨みは絶対に忘れない!
「あの・・マミさん」
だから暁美さんは必ず私の手で殺して優依ちゃんを奪い返す!
あの娘が私の元に帰ってくるためならどんな事でもやる。正義の味方だってやめてしまっても構わない!
そう心に決めたんだもの!
それなのにさっきの暁美さんは一体何なの?
随分と必死な様子だったけど、どうせグリーフシードが欲しくてあんなでまかせ言ったんでしょうね。不愉快だわ。
むこうだって前は本気で私を殺そうとしていたのに今回はまるで私を助けようとしているみたいだった。
おかしな事もあるものね。彼女に一体何があったのかしら?不可思議だわ。
・・そういえばもう一つ不可思議な事があったような気がする。
それは優依ちゃんが暁美さんを私から庇っていた時、
----取られるくらいならいっその事・・・!----
暁美さんに優依ちゃんを取られて絶望した私は彼女を巻き込んで心中しようと銃を向けた。
だけど突然突風が吹いて気づけばまた腕を深く抉られていた。
魔法少女である私が視認できないほどの素早い攻撃をされた事よりも、その際に耳元で聞こえた声の方に驚いた。
”いい加減にしろマミ”
そう言われた気がする。懐かしい声だった。
あの声はまるで・・・・
「マミさん!!」
「!」
大声で名前を呼ばれてハッと我に返る。
どうやら深く考え事をしていたせいか呼ばれていたことに気づかなかったらしい。
「どうしたんですか?さっきから呼んでも返事がなくて心配してたんですよ?」
「ごめんなさい。ちょっと考え事してて・・」
急いで謝罪して何とか取り繕う。
不審に思われたかしら?でももう今更そんな事どうでもいいわね。
「わたしこそごめんなさい。急に大声出しちゃって」
鹿目さんが申しわけなさそうに目を伏せている。
考え事をしていて無視してしまった私が悪いのだからそんな顔しなくていいのに。
「構わないわ。それでどうかしたの?」
「えっと・・マミさんはほむらちゃんの事、悪い魔法少女だって思ってるんですか?」
「えぇ、思ってるわ。暁美さんは自分の事しか考えてない。鹿目さんも見たでしょう?」
わざわざ魔女の結界内で私の名前を大声で呼んでまで聞いてきたのが暁美さんの事。
さっきの事もあるからどうしても眉間に皺が寄ってしまう。
暁美さんが悪い魔法少女だと思ってるかですって?
そんなのYES以外ない。だって優依ちゃんを奪った泥棒猫だもの!
「・・そうですか」
「鹿目さんは違うって思ってるの?」
どうやら鹿目さんは暁美さんに対して悪い印象は持っていないらしい。
何故?一緒に行動した限りじゃ暁美さんの事を怖がっていたのに。
「最初はほむらちゃんの事、何だか怖い感じの人なのかなって思ってたんですけど優依ちゃんがほむらちゃんの事『ツンデレで超絶シャイ』だって聞いてそれで実際ちゃんと話してみるとほむらちゃんの厳しい言葉や冷たい態度は実は照れ隠しなんだって分かったんです!」
「そう。・・優依ちゃんと話したの」
「はい!本当は謝るために会ったんですけど、いつの間にかそういう話になってて・・」
無邪気に笑う鹿目さんを見るのが辛い。私は鹿目さんにまで嫉妬しているのだから。
だって優依ちゃんとまともに話せなかったのに鹿目さんはあの娘と楽しそうに話してるんだもの。
どうして優依ちゃんが会話したのが私じゃないの!?
鹿目さんの笑顔と自分の醜い嫉妬から目を背けるように、そしてこんな浅ましい事を考えてる私を悟られないように背中を向けて早足で歩く。
鹿目さんはきっと嫉妬とは無縁なんでしょうね。
優依ちゃんから特別に目をかけられてるみたいだもの。羨ましい限りだわ。
「・・・ごめんなさい」
「え?」
気づけば私は謝罪の言葉を口に出していた。
突然謝罪された鹿目さんはキョトンとしてのが背中越しでも分かる。
「私ね、もう正義の魔法少女はやめたの」
ポツリと呟くように話し始める。何故か身体が震えだしてきた。
「どういう事ですか・・?」
「ここにいるのはね、暁美さんと同じ身勝手な魔法少女なの」
自嘲気味な笑顔が漏れる。これじゃまるで鹿目さんに懺悔してるみたい。
私の懺悔に口をはさまず鹿目さんはただ静かに耳を傾けている。
「キュゥべえから鹿目さんと美樹さんが危ないって知らせが来た時、正直私は行くつもりはなかったの」
「え?でもマミさんはここにいるじゃないですか?」
「それはね、ここに暁美さんが来るって分かったから来ただけなの。嫌がらせをするためにね。どうやら彼女はここにいる魔女を倒す事を重要だと考えてるみたいなの。だから先回りして倒しちゃおうって思って来ただけ」
「そうだったんですか・・」
「そして近くにいると予想がついてた鹿目さんを利用して暁美さんを挑発しようと思いついたの。どうやら彼女は貴女に執着してるみたいだったから。本来なら結界の外で待機させなくちゃいけないのに連れてきたのはそのためよ」
一度白状すると次から次へと言葉に乗って外に出ていく。全て出し切るまで止まらない。
「さっき貴女を暁美さんから引き剥がしたのはね、彼女への嫌がらせのためなのよ」
「・・・・・・・・・・・」
鹿目さんは何も答えずただ黙って私の醜い罪状を聞いている。
今、彼女はどんな表情をしているのか気になるけど怖くて見れない。
「私、最低よね?嫉妬のまま意地悪して、人としてやってはいけない事までやってるんだもの。こんな私じゃもう、正義の魔法少女だなんて言えないわ。頼れる先輩なんてとてもじゃないけどなれない」
瞳に涙が溜まっている。それを悟らせないように顔を俯かせた。
「それでもわたしはマミさんの事、立派な先輩だって思ってますよ」
「え?」
まさかの言葉につい振り返ってしまった。鹿目さんはしっかり私を見て笑ってる。
どうして?何で笑っていられるの?私は貴女を利用したのに。
「だってマミさんはちゃんと話して謝ってくれたじゃないですか」
「でも、それは悪いことをしたからで」
「ママが言ってましたけど、本当に立派な人は間違った事をしたら、ちゃんと反省して謝る事が出来るんだって。だからマミさんはとっても立派な人です」
「・・・・・・・・・・・」
「わたしなんかの言葉じゃマミさんの心に届かないかもしれないけど、それでも言い切れると思うんです」
「鹿目さん」
「それに理由はどうあれ、実際にこうしてさやかちゃんを助けに来てくれてますし、今もわたしを守ってくれてるじゃないですか!」
「!」
「だからマミさんは最低なんかじゃないですし、わたしにとっては今も正義の魔法少女です!それじゃだめですか?」
「ありがとう・・鹿目さん」
ギュッと私の手を握ってくれている。鹿目さんの手は少し小さいけれどとっても暖かい。
まるで優依ちゃんが握ってくれているみたいで安心する。
手を握ってくれてるのが優依ちゃんだったらよかったのにと考えてる私はやっぱり最低だと思うけど鹿目さんのおかげで少し気分が晴れた。
今なら優依ちゃんが鹿目さんを目にかける理由が少し分かった気がする。
こんな私に優しい言葉をかけてくれるもの。
それでも私は・・・。
「優依ちゃん、マミさんの事すごく心配してましたよ?だからすぐに仲直り出来ますよ!」
「本当に・・?」
鹿目さんの言った事を最初は理解出来なかった。
優依ちゃんが私を心配してる?嘘?
いいえ嘘でもいい!
一瞬でも優依ちゃんが私の事を考えてくれたのならそれだけでとっても幸せだもの!
「はい!本当ですよ!だからその・・出来ればで良いんですけど・・」
「どうしたの?」
「ほむらちゃんとも仲良くしてほしいなぁって・・」
遠慮がちな声で大胆な事をお願いしてくる鹿目さんに流石の私も頬が引き攣るのを止める事が出来そうにない。
「それは・・いくらなんでも難しいわ鹿目さん」
「はい!分かってます!けど、マミさんもほむらちゃんもわたしにとっては大事な人ですから仲良くしてもらいたいんです!」
「気持ちは分かるけど私は・・」
「きっとお互い誤解してるところがあると思うんです!話し合ったら仲良く出来るかもしれないし、私も協力しますから、一度ほむらちゃんと話してみませんか!?」
かなり強く主張してくるから少しだけ考えてみる。
試しに私と暁美さんが仲良くお茶してる姿を想像してみた。
「・・・ごめんなさい。やっぱりそれは・・」
考えてみたけど、どうしても暁美さんを許せそうにない。そもそも同じ空間にいたくない。
顔を合わせたら殺し合いに発展しそう。
「そうですか・・」
「ごめんなさいね?」
シュンと落ち込んでしまった鹿目さんに罪悪感が湧くがこればかりは無理。
暁美さんと和解するなんて夢のまた夢だわ。
「賛成してくれたら可愛い衣装でコスプレした優依ちゃんの写真をいくつかあげようかと思ってたんですけど・・」
「! それは本当なの・・?」
聞き捨てならないことをボソッと鹿目さんは呟いた。
すっとどこからか取り出した携帯を顔の近くに持ってきて私に見せびらかしている。
単純な事に私はまんまと引っかかって携帯を凝視してしまう。
優依ちゃんのコスプレ写真。喉から手が出るほど欲しい!
だって優依ちゃん着ぐるみとかはノリでやってくれるんだけどお姫様ドレスみたいなコスプレは全くやってくれないんだもの!
「この前、優依ちゃんに頼んでコスプレしてもらったものを携帯で撮影したんです。とっても可愛かったですよ!良かったら後で送りましょうか?だからほむらちゃんの事、お願いしたいなー、なんて・・」
「分かったわ鹿目さん!気は進まないけど暁美さんと話してみるわ!」
「やったー!ありがとうございますマミさん!」
誘惑に屈してしまい二つ返事で了承してしまった。
すぐに後悔に襲われるも優依ちゃんのコスプレ写真というお宝と飛び上がるくらい喜んでいる鹿目さんの姿を見ては断れない。
きっとこれで良かったと自分に言い聞かせるしかなさそう・・。
≪マミ!≫
≪どうしたのキュゥべえ!≫
≪グリーフシードが孵化しかかってる!急いで!≫
≪分かったわ!急いで行くから動かないで!≫
慌てるようなキュゥべえのテレパシーが終わり鹿目さんと向き直る。
「もうコソコソする必要もないみたい。一気に二人の所に向かうわよ!」
「はい!」
「それと鹿目さん!さっきの話は本当よね!?」
「もちろんです!魔女を倒した後に送りますね!」
「約束よ?絶対送ってね!?」
「はいマミさん!」
鹿目さんの返事を合図に変身する。
私の魔力に反応した使い魔達が襲い掛かってくるけど今の絶好調な私にとっては相手にすらならない。
生成したマスケット銃を連射し、どんどん奥に進んでいく。
「あ!マミさん、まどかおそーい!」
「良かった!間に合った!」
ようやく最深部にたどり着いて美樹さんとキュゥべえの二人と合流出来た。
二人に怪我がないみたいで良かった。
「気をつけて!出てくるよ!」
キュゥべえの鋭い声の後すぐに魔女が出てくる。
とっても可愛らしいぬいぐるみみたいな魔女。でも油断は禁物。
気を緩めていなくても不意を突かれる事だってあるんだから。
前に腕を裂かれたみたいにね。
! そうだわ!油断しないようにあの魔女を暁美さんだと思って戦った方がいいわね!
そしたら容赦なく殺せるし油断なんてしないだろうから。
ここにいるのは暁美さん!魔女じゃないわ!
そう自分に暗示をかけて魔女の前に立つ。
そこからは怒涛の銃弾の嵐だった。
動かない人形のような魔女に向けてマスケット銃の雨を大量に浴びせ続ける。
避ける隙も反撃する隙も一切与えない!
「うわー・・マミさんえげつない・・」
遠くでそんな呟きが聞こえた気がするが気にしていられない。
これは暁美さんを殺すデモンストレーション。気を抜くわけにはいかない。
「!?」
「! マミさん!?」
魔女の口から黒い大きな芋虫みたいなものが私の真正面まで一気に距離を詰める。
鋭い牙が生えそろった口を開いて私に噛みついた。
「マミさん!? あれ?」
「それは偽物よ」
魔女が食べているのはリボンで作った偽物の私。念のために用意しておいて良かった。
想定外の攻撃の囮に使うつもりだったけど上手くいったみたい。
“!?”
食いちぎられた偽物の私から大量のリボンが飛び出して魔女の大きな黒い身体に巻き付いていく。
驚いてる間に拘束は完了し、魔女はもがいているが身動きが取れない。だけど私は油断しない。
拘束してるリボンがミシミシいってるから抜け出されるのは時間の問題。早めにトドメをさす必要がある。
「これで終わりよ!」
すぐさまティロ・フィナーレを作り出し魔女に標準を合わせた。
これで決める!
「ティロ・フィナー、・・・え?」
必殺技を叫んだけど途中で途切れてしまった。今自分が目にしているものが信じられない。
「優依ちゃん・・・?」
優依ちゃんが私に背を向けて魔女の方に歩いている?どうしてここに?
それよりもあそこにいては危ない!すぐに引き離さなくちゃ!
「だめよ優依ちゃん!そっちは危ないわ!」
大声で叫んでみたけど聞こえていないのかそのまま歩みは止まらず、どんどん魔女の方に向かっている。
「離れて!」
リボンを使って魔女から引き離そうとするも何故か優依ちゃんに触れる前にリボンが消えてしまう。
“!”
まずい!魔女が優依ちゃんに気付いた!
もうなりふりなんて構っていられない!一刻も早く優依ちゃんを助けなくちゃ!
思うよりも先に身体が動いていた。
ありったけの魔力を身体に込めて駆け出し一気に距離を詰めた。そのまま優依ちゃんの肩に手を伸ばす。
「え・・?」
優依ちゃんに触れたはずなのに感触がない。
目の前からあの娘は煙のように消え去っていて代わりに私の手の中には人形が握られている。
これは一体何?優依ちゃんはどこに行ったの?
「マミさん危ない!!」
「!」
いつの間にか拘束を抜け出していた魔女の大きな口が目の前に迫ってる。
どうしよう!?今からじゃ避けられない!
全てがスローモーションに動いてるように見える。
ゆっくりな動作でとっても大きくて鋭い牙が私に・・・!
マミさんまさかのピンチ!
ついでに優依ちゃんも何気にピンチ!
そしてまどかちゃん頼もしいw