ついに・・ついにやって来てしまった!教室がプライバシー無視の全面ガラス張りな刑務所学校「見滝原中学校」!!
俺は校舎の前に立っている。今の気分は魔王城に向かう勇者!!
それぐらいの心持ちでいかないと、この先やってられない!!
「すう、はあ。」
深呼吸で調子を整え、俺は意を決して中へ入った。
「目玉焼きはソース派ですか?醤油派ですか?はい!中沢君!」
このどうでもいいやり取り毎日やってんのか?という事は毎日何かしら男関連でイザコザあるのか・・お疲れ様!中沢君!
このセリフで察すると思うが、俺の担任、あの「早乙女先生」。職員室で紹介された時は気絶しそうになった。
で、少し待っててくれっていうから、待機してたらこのやり取り。
忘れられてんのか、お約束なのか知らないけど・・・帰っていいかな?
「そうそう。今日は転校生を紹介します。神原(かんばら)さん!入ってきて!」
「!!」
唐突だな!あのくだらないやり取りで忘れてたけど俺転校生だった!き、緊張してきた・・。
よし俺!なんでもない振りをするんだ!緊張してないみたいに振る舞え!
さも緊張していない風に醸し出し教室に入る。
「神原優依です。隣の県から引っ越してきました。仲良くしてくれると嬉しいです。」
よ、良かった・・噛まずに言えた。よろしくお願いしますと頭を下げると拍手喝采が起こった。主に男子から。
うん、わかる。自分で言うのもなんだが、俺美少女だもんね。ゆるふわの茶髪ロングヘアーに瞳パッチリの顔整ってるしね。スタイルもまあ良い方だし。男子が喜ぶ訳です。正直だな。まあ、俺もこいつ等の立場なら喜んでただろうな。しかし・・・・どうせなら美少年が良かったな・・うん。
ちなみに今世の俺の名前「神原優依」。名づけられた時は自分の名前と思えないし、違和感ありまくりだったが、人間の順応力ハンパない。すぐに慣れましたよ・・はは・・。遠い目をしてはしゃぐ男子たちを見てふとぼんやり思った。
だが、油断してた俺に早乙女先生が信じられない爆弾ぶっこんできた。
「じゃあ、席は・・鹿目さんの後ろね。」
「!!??」
早乙女先生が指差すその先に空席がある。その前に座っているのは現実じゃありえないピンク髪をツインテールにした、選択肢次第で神にも魔王にもなる歩く災害こと「魔法少女まどか☆マギカ」の主人公「鹿目まどか」さんじゃないですか!?それだけじゃない!
俺の席(暫定)の後ろの席に座っている女子生徒は空前絶後の間の悪さで破滅し、悪堕ちする薄幸青髪少女「美樹さやか」さんじゃないですか!?
まさに前門の虎!後門の狼!
更に悪いことに俺のお隣さん。爆発しろリア充が!!と殴りたいあの「上条恭介」君じゃないですか!?
なんだこの包囲網!?完全に俺追いつめるために用意されたとしか思えねえよおおおお!
担任が早乙女先生だった時点でもしやと思ってたけど、予想より更に悪いわ!
「じゃあ神原さん。席について。」
・・・正気ですか先生?俺にあの完全包囲網の中に行けと?
・・・ただのモブ女子生徒Aに選択肢なんてないし、どうする事も出来ない。しぶしぶ席に向かう。
「よろしくね。」
「よろしくー転校生。」
「ア、ハイ。ヨロシクオネガイシマス・・・。」
席に着くと早速関わりたくない二人に声をかけられる。俺はぎこちない笑顔で返すしかなかった。
正直俺はよろしくしたくないです・・・。
逃げられない主人公!完全に包囲されてます!
この主人公の名前は「神原優依」ちゃんです!以後お見知りおきを!