よし準備バッチリ!
ほむらとマミもいるし、これなら勝てる!
杏子ちゃん会った後シロべえ:
無理無理無理無理!
赤怖い!超怖い!
僕が甘かった!危うく殺されるとこだった!
二度と会いたくない!
「皆お疲れ様。今日は災難だったね」
「そうだね。一番の災難はどっかの白い奴が途中でトンズラしやがった事かな」
「トンズラとは失礼な。戦略的撤退と言って欲しいね。あ、君の家の戸締りはきちんとしておいたし、壊滅状態だった公園は元通りにしておいたよ」
「物は言いようだなおい。取りあえず助かるけどそれでトンズラした事チャラになると思うなよ」
ちょこんと座ってさも当然のように開き直るシロべえを冷たい目で見下ろす俺。
何でここにいるんだコイツ?
何でここまで開き直れんのコイツ?
杏子騒動の後、俺が自宅に帰るのは危険とマミちゃんとほむらに判断され、マミちゃんの家でお泊りとなった。(何故かほむらがマミちゃん宅に泊まるように促して俺ビックリ)
まあ、我が家に不法侵入されたので、家に帰ったらまた赤がスタンバってる可能性があるから安全を考慮すると仕方ないかもしれない。
文句はないが、ここ最近ずっとお泊りばっかで自分のベッドの感触を思い出せなくなってきているのが悲しい今日のこの頃。
いつになったら自分のベッドで寝られる日が来るのだろうか・・?
そんなこんなで黄色と紫に連れられる形でマミちゃんホームの扉を開けたら裏切り者の白に出迎えられたという訳だ。そして上記の会話となっている。
開き直るシロべえはいつだって腹立たしい限りだ。
静かなる喧嘩は継続したかったが、早く中に入りましょうというマミちゃんのもっともな提案によってリビングに移動した三人+一匹。
そしてまたまたマミちゃんの提案によって急遽お茶会を開催する事になり黄色と紫が準備に勤しんでいる間も俺はひたすら不機嫌だった。
何寛いでんだシロべえこのヤロウ。
「はい優依ちゃん。これを飲めば少しは気分が落ち着くわよ」
「お、ありがとうマミちゃん」
マミちゃんから手渡された紅茶は香りが良く、一口飲むと疲れとともに荒んでいた心が解れていく。
さっきのイザコザが嘘みたいな穏やかな空間が流れている。
俺よく生きてたなぁ・・。
「優依ちゃんどうして泣いてるの!?」
「へ・・?あれ・・?」
マミちゃんが慌てて俺の目元にハンカチを当てるとそれを合図にしたかのようにとめどなく涙が溢れてくる。
ようやく落ち着く事が出来て我慢してきたものが涙となって出てきてしまったようだ。
でもこれは仕方がない事だ。
今までが理不尽過ぎたのだ。
ホントによく生きてたよ俺!
理不尽に理不尽が重なって何度死ぬ思いした事か・・!
それなのに俺の頑張りはほぼ報われなくて心が折れそうに何度もなったんだ。
自分で自分を褒めてあげたいよ!
頑張ったな俺!辛かったな俺!
「よしよし優依ちゃん。怖かったわね。気が済むまで泣いていいのよ」
「マミちゃん・・!」
マミちゃんの優しい言葉に感激した俺は勢いのままその豊満なボディに飛び込もうとするも首元が苦しくなり、「ぐえ!」と蛙が潰れたような声が出た。
何だ?と思いつつ後ろを見ると冷たい目をしたほむらが俺の襟首を掴んでいた。
「さっさと泣き止みなさい。作戦会議を始めるわよ」
それだけ告げて俺の顔にハンカチを叩きつけてきた。
おいいいいいいいいいいいいいいいい!!
ほむらには俺の涙は見えてないの!?
コイツに血も涙もねえのかよ!
ちょっとくらい感傷に浸っても良くない!?
俺メンタルガタガタよ?作戦会議どころじゃねえよ!?
目をハンカチでを押さえて涙を耐える俺にこの紫はブラック企業も真っ青のスパルタでロクでもない事を言ってくる。そのせいで消えたと思っていた疲労がドッと出てきて顔がげっそりとやつれていきそうだ。
てか、このハンカチってほむらのじゃね?
やべ・・汚しちゃった。
「ちょっと暁美さん。優依ちゃんは今日一日佐倉さんのせいで大変な思いをしたのよ。少しくらい休ませてあげないと身体壊しちゃうわ」
マミちゃんが俺を庇うように抱きしめてほむらに抗議してくれる。
それはありがたいが、俺が大変な思いした原因の二割はマミちゃん、君だからね?
そこは理解して欲しいところだ。
「マミ、優依をあまり甘やかしちゃだめだよ。結局あの大乱闘の全ての原因は優依にあるんだから自業自得だよ。それにこのヘタレのペースに合わせてたらいつまでも進まないからさっさと話を進めてしまうに限るよ」
「この・・!」
「シロべえの言う通りよ。私達に残された時間はあまりない。問題が山積みなんだから対策を練られる内にしておかないと」
「悪魔共めぇ・・!」
普段は仲悪くても俺を苛める事に関しては息の合ったコンビネーションをしてくる白と紫の悪魔コンビに怒りを込めて睨む。
しかし効果は全くない。
ほむらは目を閉じて紅茶を飲み、シロべえは何事もなかったかのようにクッキーを齧っている。
滅茶苦茶ムカつくが一番ムカつくのはクッキーを齧る音だ。
サクサクすんな!
言葉では駄目だ。
ほむらに向かってテレパシーで「今日は疲れたから休もうよ」と訴えてみる。
「話を戻すわよ。結論から先に述べるとあの佐倉杏子を引き入れるのはかなり難しそうね」
俺の願いは届かなかった。
何もなかったかのように話を進めて来るほむらに涙が出そうだ。
しかも話そうとしてる内容は今の頭痛の悩みになりそうな杏子の話。
心が折れそうだ。
「・・難しいというよりほぼ不可能なんじゃね?」
さっさと終わらせた方が楽そうだ。
なので仕方なく俺も話し合いに参戦する。
といっても至極平凡は意見だが。
さっきの杏子を見てどうして仲間に引き入れる事が出来ると思えるのだろうか?
未だに諦めていないのが凄い。さすがの忍耐強さ。
俺なんてほとんど諦めてるのにすごいなぁ。
「ねえ暁美さん、どうしても佐倉さんを味方に引き入れないとダメなの?私達だけでワルプルギスの夜を倒す事は不可能なの?」
俺と同意見がもう一人いるらしい。
マミちゃんが言い難そうに顔を歪ませてほむらに聞いている。
どうやらマミちゃんも杏子を仲間にするのは無理だと判断したようだ。
無理はないと思う。
あの杏子を見て仲間になってくれると思う方が無理があるわ。
ほむらは何で未だに諦めてないのか逆に気になるが、どうする気だろうか?
俺とマミちゃんの視線がほむらに注がれる。
何気にプレッシャーが凄いと思うが一切表情を変わらない。
「はっきり言って私達だけで『ワルプルギスの夜』を倒すのは不可能よ。一度まどかと美樹さやかを含め五人の魔法少女で挑んだ事があったけどそれでもあいつを倒せなかった。それを考えると私達だけじゃ心許ないの。どうしても佐倉杏子の力がいる」
「え?ちょっと待って?五人そろっても勝てなかったんなら倒すの無理じゃね?」
「同じ轍は踏まないわ。何度も戦っているからある程度の攻撃パターンは分析しているし、この時間軸にはイレギュラーもいるから倒せる可能性はある」
ほむらは俺と近くにいた(寛いでいた)シロべえを交互に見つめてくる。
イレギュラーとは俺たちの事を指しているらしい。
確かに俺たちは他の時間軸には存在しない。
今までの時間軸にいなかった俺たちがいるからひょっとしたら・・とほむらは可能性を見出しているのも頷ける。
頷けるがこいつは俺に何を期待してるんだ?
シロべえは活躍してくれると思うが、ぶっちゃけ俺は役立たず確定なんだけどマジで何の期待してんの?
まさかとは思うけど魔法少女になって『ワルプギスの夜』を倒してくれとかじゃないよね?
だとしたらトンズラするぞ俺。
「暁美さんの言う通り、ここには優依ちゃんとついでにシロべえがいる。確かにそれは心強いかもしれないけど、私にはどうしてもあの佐倉さんが協力してくれるとは思えないわ」
マミちゃんが杏子の加入に難色の示して食い下がってくる。
そんなに杏子を味方に引き入れたくないのだろうか?
今回の杏子の異常性を見て今までの未練に見切りをつけてしまったのかもしれない。
寂しい事だが仕方がない事だ。
俺だって無理。
杏子と二人っきりになったら気絶するかもしれない。
というかこれから先、平常心を保ったまま杏子と会える自信がないぞ。
それだけ今回の出来事は俺の中でトラウマとして形成されてしまったらしい。
「佐倉杏子を味方に引き入れる方法は一つだけあるわ」
諦めモードな現状を打破するようにほむらは静かに告げる。
「え?あるの?」
「ええ、かなり成功率が高いと自負しているわ」
普段何気にネガティブワードが多いほむらが珍しく自信に溢れていて目を見開く。
驚いたが今のこの予想外な事が続く先行き不安定な時にありがたい。
こちらとしては藁をも縋る思いだ。
「それで!?その方法って何!?」
希望を持ってテンション高めにほむらの方に身体を向けて目を輝かせる。
「簡単な事よ」
もったいぶった様子で少し間を置いたほむらはようやく口を開いた。
「優依を簀巻きにして佐倉杏子に差し出すのよ」
「・・・ん?」
「そしたら間違いなく協力してくれるでしょう。全て丸く収める最良の手段よ」
「収まるかああああああああああああああああああああ!!」
部屋全体が震えるような俺の全力絶叫が木霊する。
まさかの俺犠牲作戦!絶対丸く収まらない!
それどころか余計怒りを煽るだけだ!
状況が悪化する上に俺の生存率絶望的じゃねえか!
スケープゴート確定してんじゃん!
「俺の身の安全は!?なに真顔で恐ろしい事言っちゃってんの!?」
「僕もほむらに同意見だよ優依!」
「え!?」
思いもよらぬシロべえの賛同にギョッとする。
さっきまでソファで寛いでたくせにちゃっかりほむらの隣に移動してる。
まさかの裏切りだ!まさかの!
「佐倉杏子は(例外を除いて)君を傷つけたりしない。僕が保障しよう。まあ、心は死んでしまうかもしれないけどね」
「何それ!?心が死ぬってどういう事!?俺、杏子に何されんの!?」
「さあ?ナニされるんだろうね?」
「何だその含んだ言い方は!?絶対嫌だぞ!おい近寄んな!まさか本気で実行する気じゃないよなお前ら!?」
ジリジリと俺に近づいてくる紫と白。
その不穏なオーラに気圧されて無意識の内に後ずさりしてしまう。
この外道コンビホントに息ぴったり過ぎて腹立つな!
「少しの間だけよ優依。『ワルプルギスの夜』を倒すにはどうしても佐倉杏子の力が必要なの。大丈夫。必ず貴女を迎えに行くわ。佐倉杏子に汚された身体は私が癒してあげるから」
「いるか!そもそも差し出そうとすんな!俺を差し出すより絶対もっと良い方法あるだろうが!俺単独であのバーサーカーの所に行くとか死ぬから!」
「ちょっとだけでいいから我慢してちょうだい」
「嫌だって言ってんだろ!何だその嫌がる子供を無理やり歯医者に連れて行こうする言い方は!? っ!」
ドン、背中に固いものが当たる。
とうとう壁まで追い詰められてしまったらしい。
その間にも外道共が俺を捕まえようと迫ってくるので本気で泣きそうだ。
「~~~~~~っ !」
ほむらの小さい手が俺に触れる瞬間、横からとても柔らかいものに包まれる。
その正体はマミちゃんで俺を抱きしめつつギッと一人と一匹を射殺すような目で睨んでいる。
「ダメよ!絶対ダメ!優依ちゃんを佐倉さんに渡すだなんて絶対許さないわ!」
メンタル脆いとはいえ普段温厚なマミちゃんが声を荒げるなんて珍しい。
それほど怒ってくれているという事か。
ありがとう!この中でまともなのは君だけだよ!
君こそまさに俺の救世主様だ!
「優依ちゃんを何だと思ってるの!?見損なったわ!」
「落ち着いてマミ。優依を渡すのは一時の事で後は・・」
「一時でもダメ!その間に優依ちゃんが佐倉さんに傷物にされてしまったらどう責任を取る訳!?」
シロべえが何とかマミちゃんを宥めようと試みるもスパッと一刀両断される。
それと同時に俺の身体に包む密着度が増していく。
非常に抱かれ心地が良いがかなり苦しい。
というか傷物って何?
そこまで杏子にボロボロにされる訳?怖っ!
「どうしても私から優依ちゃんを引き離す気なら・・」
「! げ!」
「貴女達の息の根を止めてでも優依ちゃんを守ってみせるわ!」
ほむら達に向けられる無数の銃。
それらは今にも発砲してしまいそうだ。
マミちゃんの表情は刺し違えてでも目的を果たそうとする悲痛めいたもので覚悟の程を伺える。
違った!俺の認識が甘かった!
全然まともじゃないわこの娘!
むしろ外道共より内心思い詰めてんじゃないの!?
魔法少女にまともな奴なんていなかった!
破滅を呼び寄せてばっかだよ!
庇ってくれるのはありがたいけど、こんな部屋の中で銃撃なんてたまったもんじゃないし、俺も危ない。
一刻も早く止めた方がいいだろう。
「ちょ、マミちゃん落ち着いて!止めるって行動じゃなくて息の根の方なの!?早まらないで!!」
マミちゃんの腰に抱き付いて意識をこちらに向けさせる。
それのおかげかマミちゃんはハッと我に返って俺の方に顔を向けている。
「優依ちゃん・・」
「そうよ。落ち着いて巴さん。少しからかい過ぎたみたいね」
嘘つけてめえ!
殊勝な事言ってるけど実は本気だったよな!?
ガチで簀巻きにするつもりだっただろうが!
俺を追いつめていた時のマジな目が全てを語っていたもの!
ほむらの堂々とした嘘にドン引きだ。
しかしこれで騙されるのがマミちゃん。
「本当・・?」と半信半疑な顔をしている。
というか既にほとんど騙されている状態だと言っていいだろう。
「ええ、本当よ。あの佐倉杏子に正直に優依を渡す気は更々ないわ」
「・・その言葉を聞いて安心したわ。ごめんなさい。早とちりしてしまって」
ほむらのほぼ棒読みな謝罪を真に受けたらしくほっとした表情で銃をあっさりしまっている。
ある意味これがチョロインの宿命かもしれない。
将来悪い奴に騙される未来が確定しそうで俺泣きそうだよ。
あれ?そういえばシロべえは・・?
あ、気絶してる・・。
妙に静かだなと不思議がってシロべえを見たらビビり宇宙人は床でゴロンと寝そべっていた。
どうやらモノホンの殺気を直接ぶつけられて恐怖のキャパオーバーを起こしたらしい。
そっと触れてみたけど目を覚ます気配はない。
そんな白を全く気に掛ける様子もない魔法少女たちは話は続けていく。
「仮に優依ちゃんを差し出したところで佐倉さんは約束を守らないと思うわ。『ワルプルギスの夜』は彼女には関係ない事だし優依ちゃんを連れて見滝原を去るはずよ。そうなったら彼女を探し出すのは困難だわ」
「その点についてはちゃんと考えているわ。確かこのビビりインキュベーターは本人と寸分違わずなそっくり人形を作りだせるらしいじゃない。それを応用して優依ソックリ人形を杏子に渡せばいいのよ。その間、本物の優依を私の部屋へ隠せば問題ないわ」
「色々問題あるわ!魔法少女としてじゃなく人として問題ありまくりだ!これもし杏子に偽物だってバレたら大惨事だぞ」
「その時は開き直ればいいのよ。『優依に会いたければ協力しなさい』ってね。何か異議があるのかしら?」
異議しかないわ!
作戦のそれがインキュベーターの外道な部分と大差ないんですけど!
俺のソックリ人形って多分身代わり君の事言ってるんだろうけどボロボロになってる末路しか思い浮かばないぞ。
俺自身は無事だけどそんな光景見たら心は絶対無事じゃない。
しかも杏子を軽く脅すっぽいし。
(脅しになってるかどうかはともかくだが)
ほむら何でこんな非道な事思いついたんだ?
度重なるループで吹っ切れたのか?
もしくはシロべえの悪影響でも受けたか?
どっちにしろロクでもねえ!
「異議ありだわ!どうして私の部屋じゃなくて暁美さんの部屋なの?匿うなら私の部屋でも良いじゃない!」
「そっち!?」
何堂々と手を上げてどうでも良い所に異議立ててたんだこのクルクル!
他にもっと異議申し立てする所あったでしょうが!
「だめよ。貴女の部屋は佐倉杏子にバレてるもの。ここに優依を匿ってもいずれ見つけられるわ。だったら私の所しかないじゃない」
「そうだけど・・」
「いや、そもそも偽物だろうが俺を差し出すのやめて欲しいんですけど」
こいつ等話を脱線し過ぎだろうが。
一体何の話してんのか分かんなくなってきたぞ。
「・・話を戻すわ。佐倉杏子の協力を得るためにはちゃんとした作戦が必要よ。優依人形を差し出す作戦を実行するにしてもまずは彼女と接触する必要がある」
「まあ、俺(身代わり君)を差し出す作戦はともかく接触する必要はあるわな・・」
「ええ、そこで提案なんだけど」
「?」
「ここからは個別行動をとりましょう」
「え!?・・それってどういう・・?」
「佐倉杏子と接触してみるわ。そうね、表向きは彼女と協力関係を結んで近くで見張るのが最善かもしれない」
まさかの危険なスパイ活動を志願するほむら。
死ぬ気だろうか?
原作や他の時間軸ならまだしもあの杏子は果たして生きて帰ってこれるか?
「貴女一人じゃ危険だわ。私も・・」
「いいえ、私一人で行くわ」
マミちゃんもほむらが危険なのは分かっているのだろう。
同行を提案したがほむらはすっと手を出して拒否している。
「親切を無下にしてごめんなさい。ただでさえ気が立ってる佐倉杏子を刺激したくないの。それに巴さんが行けば必ず警戒されてしまうし最悪また戦闘になるだけよ。かと言って優依が行けば、二度と帰ってこれないでしょうから却下。消去法で私が行くしかない」
マミちゃんの同行を拒否する理由は分かる。
実際、赤の前に黄色が現れればどんな結末になるか俺でも予想が着くし。
ほむらの考えに俺も賛成だ。
話は関係ないけど個人的に気になる事があるんですが。
俺が杏子の所に行けば二度と帰ってこれないってどういう事ですか?
何?俺殺されんの?どういう事?
聞いてみたい気もするが藪蛇感が凄そうなので聞くのはやめておいた方が良いだろう。俺の安全のために。
一人身震いする俺をほむらはニコッと笑っている。
その笑顔に俺はさっきよりも背筋が凍りそうだ。
「そこまで心配する事ではないわ優依。私はこの時間軸の佐倉杏子とはほとんど面識がないし、比較的敵対していない。それにいざとなれば逃げる事も可能だわ」
「いやお前、杏子に思いっきり発砲してたよね?思いっきり杏子に殺されそうになってたよね?時間停止妨害されてたじゃん」
思い返されるのは先程までの公園でも乱闘騒ぎ。
躊躇なく杏子に発砲して、お互い殺し合ってたと記憶しているが・・。
しかも最終的に杏子に追い詰められてあわやトドメさされそうになってた気がするんだけど。
「問題ない。あの時のようなヘマはしないわ。それに元々彼女と接触するつもりだったから」
自信があるのかほむらはきっぱり言い切った。
どこから湧いてくるんだろうかこの自信は?
問題ないとか言ってるけど本当に言ってる事の意味が分かっているのだろうか?
単身あのバーサーカーの所へ殴り込むって言ってんだぞ。ラスボスに特攻しにいくようなもんだ。
ここまでの危険を冒す理由はまどかを救いたいという思いなのは間違いないがもう軽くドン引きレベルです。
最終回のまどかよ、よく引かなかったな。
流石神様になっただけはあるわ。俺には絶対無理。
ほむらのこの態度、さながら「ホムの樹」と呼んだ方が良いかもしれない堂々さだ。
あ、だめだ。この名前で呼んだらオムライス食べたくなってくるから却下。
「うーん・・」
色々考えてみたが他に作戦がない以上やるしかなさそうだ。
不安要素だらけでぶっちゃけ不安しかないがどうしようもない。
多少、いやかなり引っかかるがここはほむらを信じてやるしかないだろう。
「ほむらがそう言うなら任せた方が良いのかも。マミちゃんは?」
俺はともかく杏子が絡んでいるため、念のため元師匠でもあるマミちゃんにも確認を取っておいた方が良いだろう。
そう思って彼女の方を振り向くと内面の複雑な心境を表すかのように眉間に皺を寄せて難しそうな顔をしていた。
「・・・私は優依ちゃんの意見に従うわ。・・でもあまり期待は出来そうにないわね。いつでも変身出来るようにソウルジェムを手に持っておかないと」
「ええ、もしもの時は力づくでも言う事を聞かせるつもりよ。この時間軸の佐倉杏子は幻術を使えるみたいだし、慎重にしないと」
「さっきも言ってたけど幻術が使えるってどういう事?ひょっとして佐倉さんは使えなかったの?」
「ええ、彼女は家族の悲劇のせいで無意識に自分の願いを否定、魔法を封印してしまったの」
「・・・そうなの」
マミちゃんが何やら思いつめたように考えている。
もしかしたら杏子の事を考えているのかもしれない。
そういえばマミちゃんは杏子が魔法使えなくなったの知らなかったんだっけ?
殺し合いしてたとはいえ、やっぱり最初の後輩だから気になるのみたいだ。
今も表情は悲痛なままだし、考え事してるみたいでこっちを見ようともしない。
「?」
「行ってくるわ優依。私が無事に戻ってくる事を祈っておいて」
ほむらがギュっと俺を抱きしめてくる。
それも俺が潰れない程度だがかなり強い力で苦しい。
「必ず帰ってくるわ」
「あ、うん。いってらっしゃい・・」
決意めいた表情で背中を向けるほむらを見送った。
もはやほむらにとって杏子は危険人物認定なんですね・・
まあ、ほむらの事だ。
何とかしてくれるだろう。
今は信じて待つしかないだろう。
ほむらを見送った後、俺は床に目を向ける。
「・・・・・」
おいシロべえ、いつになったら起きるんだ?
はよ起きんかい!
お前への折檻はまだ終わってねえぞ!
次回予告
ほむほむスパイ作戦!
マギレコアニメで杏子ちゃんキター!
リアルタイムで見てテンションMAX!
興奮して眠れませんでした!