魔法少女オレガ☆ヤンノ!?   作:かずwax

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タイピング速く打てるようになりたい・・・


7話 恐喝。ダメ、絶対。

「やはり世間は女性らしさを求めてると思うんです。いくら自分の素が女性像と離れていようとも、男女平等と言われていても、いつだって女性というのは型にはめられてしまうんです。特に日本は大和撫子なんていうふざけた女性像がある訳でして。実は現代までの女性の在り方というのは明治時代に入ってから出来たものでして、江戸時代の時は・・・。」

 

「あーハイハイ。要するに素はゲームやってる時ので普段は猫かぶってるわけだろ。」

 

俺の現代の女性理論をバッサリ切り捨て、さっさと要点だけ綺麗にまとめられた。だって仕方ないじゃん!俺焦ってんだよ!?普段は悪ぶってる杏子の事だ。この弱味を武器に恐喝してこないか物凄く心配だ。

 

怯える目付きで杏子を恐る恐る見ているとさっきから思案顔だったのに、突然にやりと笑いだし

 

「ふーん。じゃあこの事アタシしか知らないんだ?」

凄く嬉しそうな(意地悪そうな)顔で言い出した。

 

「杏子だけじゃないぞ?母さんと今日来なかったドタキャン野郎も俺の素を知ってるぞ?」

 

ここだけは訂正しておく。ばれた以上開き直って本来の口調でしゃべる事にした。

 

「うるさい!それより優依!この事ばらされたくないんだろ?だったら・・・。」

 

「だ、だったら?」

わざとらしく間を空けてくる赤い悪魔。君ホントに教会の娘なのかい?ごくりと俺は唾を呑み込み、要求を待つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これから先アタシに会いに来ること!」

 

 

 

「おわっ!」

 

俺はずっこけた。てっきり金寄越せとか食いもん寄越せとか言ってくると思ってたから拍子抜けだ。

 

「なんだよ?アタシが金寄越せとか食いもん寄越せとか言うと思ったのか?」

 

「うん。思ってました。」

 

人間時に正直に言うのはまずいんですね。現に今、青筋浮かべたおっかない赤鬼が、

 

「テメエ・・・。」

 

こっち睨んでます。そのため俺は最終兵器を投入する事にする。

 

「それより杏子。このケーキ美味しいぞ?食べるよね?」

目の前に俺絶賛チョコレートケーキを差し出す。杏子はしばらくケーキと俺を交互に見ていたが、

 

「・・・食う。」

 

ケーキをもぎ取り食べ始める。実にチョロいものである。俺も全制覇を目指すため、食べかけのケーキを食べる事に集中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふー食った食った!当分ケーキはいらないぜ!」

お腹をポンポンと叩きながら満足そうな笑顔。実に男らしい。気づけばもう夕暮れ。そろそろ良い子は帰る時間だ。

 

「もうこんな時間か。俺そろそろ帰るわ!じゃあな杏子!付き合ってくれてありがとう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい。ちょっと待て。」

 

「ぐええ!」

無防備な俺の首に衝撃が!どうやら杏子が俺の襟首を掴んでいるようだ。

 

「逃げるんじゃねえ。」

 

「ナンノコトデスカ?」

咄嗟に目をそらす。くそ!このまま流れで上手くはぐらかせると思ったのに!

 

「決まってんだろ。アタシとの約束忘れてないよな?」

 

「・・・・・。」

 

正直何か寄越せの方が良かった。誤解がないように言っとくけど、何も杏子と仲良くするのが嫌なわけじゃない。杏子と仲良しな死亡フラグと関わりたくないだけです!彼女と仲良くなるという事は必然的に死亡フラグと仲良くなるという事なので・・そんなの命がいくつあっても足りません!

 

「・・・嫌か?」

 

「え?」

 

どう断ろうか考えていたが、その俺の態度が拒絶に写ったようで、杏子が悲しそうな顔をして聞いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

杏子side

今アタシの目の前で優依が困ったような顔をしている。そりゃそうだ人の弱み握って、脅してるようなもんなんだから。ゲーセンでコイツを見つけてまさか一緒にケーキを食べに行くことになるなんて思わなかった。凄く嬉しかった。ただ優依が本来一緒に行くはずだったのが男だと知った時は焦った。幼馴染と知って安心したけど、そういえばアタシは名前すら知らない仲だと自覚させられて思わず自己紹介して名前も聞き出した。

 

「神原優依」ってコイツにお似合いのかわいい名前だった。しかし、なんで優依はあんなにビビってたんだ?アタシ何かしたか?まあアタシを苗字で呼ぼうとしたときはいらっときたけど。名前で呼んでくれた時は嬉しかった。

 

調子に乗ってゲームをしてた時の優依の口調をつついてやったら、思いの外コイツの弱みだった。焦る優依をみてこれはアタシしか知らないんだと思ったのに、まさかの幼馴染も知ってるらしい。どうやら相当仲が良いみたいだ。それにムカついて弱みに漬け込んでアタシに会いに来るように仕向けたけど、優依は困った顔をしてる。そんなにアタシに会いたくないのか?

 

「・・・嫌か?」

 

思ったよりも弱々しい声がでた。

 

「危険な目にあわせたりしない。毎週来いだなんて言わない・・・たまにでいい。アタシに会いに来てくれないか?」

 

自分でも情けない提案してる自覚はある。でも、今逃したら次また会える保証なんてどこにもない。また会いたい。アタシはすがるような目で優依をみた。

 

「・・・・。」

 

しばらく考えこんでいたが、やがて決心したようでアタシの方をみて、手を差し出してきた。

 

「うん。俺も杏子と仲良くしたいと思ってたんだ。だから友達になろう!」

 

はっきりそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

杏子さんが捨てられた子犬みたいな顔で見てくる件について。そんなに寂しかったんだ・・。そうだよねー君、マミさんより、ぶっちぎりで真性のぼっちだもんね!俺みたいな不審者と交流を持とうとするくらいだもん。よっぽどですね。さて、どうしたものか。

 

そこで俺はふとある考えが浮かぶ。そうだこういう魔法少女ものや戦隊ものは一般人は巻き込みまくるが友達はなるべく巻き込まないように配慮してくれるじゃないか!おお!そうだ!無関係より友達ポジの方が俺生存率上がるかも!?杏子も危険な目にあわせたりしないって言ってるし!我ながら打算まみれの最低な考えだが、最優先は命です!命、絶対、大事。

 

 

そうと決まれば、仲良くなりましょう杏子さん!

 

「うん。俺も杏子と(魔法少女無関係なら)仲良くしたいと思ってたんだ。だから(ただの)友達になろう!」

 

俺は杏子の方に手を差し出す。もちろん握手するため。

 

「・・・ハン。最初からそう言えばいいんだよ!ちゃんと会いに来いよ?じゃないとアタシがアンタの家に押し掛けるからな?」

 

最初は呆けていたが、すぐ、はっとなって憎まれ口を叩く杏子。そして差し出している俺の手にガムを握らせ不吉な言葉とともに去っていく。照れ隠しだと思うんだけど本気で実行されそうで笑えない。

 

その晩、俺は杏子からもらったガムを食べながら考える。友達ポジで安全確保するのはアリだな!俺がヒーローだったら友達巻き込みたくないもの。いけるぞこれは!今後は積極的に(死亡フラグが立たない程度に)交流を図ろう!じゃないと向こうから関わってきそうだしな。よし!俺の生存の未来は明るいぞ!浮かれた気分のなか俺はベッドに転がった。

 

 

余談だが、推しアイドルが引退した後、トモっちはしばらく廃人だったらしいが、俺に関係ないので放置する。

 




優依ちゃんは無関係から友達にチェンジすることで生存率をあげる作戦です!

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