三連休
↓
よっしゃ!投稿するぞ!
↓
友人から「鬼滅の刃」を勧められる
↓
何これ!?面白い!
↓
三連休、「鬼滅の刃」三昧のち三連休終了
↓
ああ、面白かった!
明日からまた頑張ろう!
↓
月曜日:・・あれ?何か忘れてるような?
↓
火曜日:あ・・投稿忘れた・・
↓
水曜日:今に至る
※すいませんでしたああああああああああああ!!
ほむらside
相変わらずうるさい場所ねここは。
ガヤガヤと深夜であるにも関わらず耳が遠くなりそうな電子音が奏でる音と相変わらず目に優しくない光。
何度ここを歩いたか分からない程来ているのに未だに慣れない。
私がここに来た理由はただ一つ、佐倉杏子に会うため。
今日二回目となるゲームセンター、一度目にここに来た時は彼女は不在で空振りになってしまった。
理由は簡単、佐倉杏子はここにいなかったからだ。
空振りだけならまだ許せたかもしれない。
でも私がゲームセンターで探している間、杏子は優依の家に堂々と不法侵入した挙句、拉致未遂まで起こしている。
腹立たしい・・!
一歩間違えれば優依は連れ去られていた。
彼女の身勝手な行動と自分の不甲斐いなさへの怒りでどうにかなってしまいそう・・。
慌てて優依の元へ向かったから何とか阻止出来てそこは幸いだった。
もしそのまま連れ去られていたら私は絶望して魔女と化していたかもしれない。
ぞっとするわ・・。けどもう大丈夫。
絶対安全とは言えないけど優依を巴マミの所へ預けてきたからそう簡単には手出しできない・・はず。
佐倉杏子が優依の拉致に失敗してしまった以上、ここにいる可能性が高い。
流石にもう優依の家には現れないだろうし、経験上あの娘はイライラした時にそれを発散するようにゲームにのめり込む事が多いから。
もしまたここにいないのなら魔女に八つ当たりしているだろうから、気配を追うだけ。
でもここで間違いなさそう。魔力の反応がするもの。
それも魔法少女のもの。高確率で彼女のものだ。
佐倉杏子といえばやはりダンスゲーム。
彼女と接触を図ろうとすれば大概そこにいる。
「・・!」
目的の場所付近に来ると聞きなれた音楽が聞こえてくる。
佐倉杏子がダンスゲームでよく踊っている曲だ。
すぐさま姿を確認して話しかけたいけど、さっきの戦いの杏子の様子じゃいきなり攻撃してくる可能性も否めない。
警戒も込めて様子を見るために近くにあったゲーム機の物陰に隠れてダンスゲームがある場所を覗き込んだ。
「・・やっぱり」
・・いた。佐倉杏子だ。
ここからだと背中しか見えないが軽快な動きでポニーテールを揺らしながらステップを踏んでいる。
こっちに気付いていないのか振り向く様子はない。
「・・・・ふう」
彼女の姿を確認した後、一度頭を引っ込めて大きく息を吸う。
どうやら無意識に緊張してしまっていたらしい。無理もない。
これから話しかける相手は未知の相手だから。
私の知ってる佐倉杏子は多少乱暴な面はあったが利害が一致すれば協力関係を結べるほど話が通じる常識面と理性があった。口下手で事情を話せない私の説明でも彼女は目を瞑ってくれていてとても気が楽だった。
だから他の魔法少女よりも彼女と組むことが多かったとも言える。
真っ先に勧誘するのは決まって杏子だったと言えるほど。
しかしこの時間軸の佐倉杏子は明らかに今までとは違う。
これまで遡行してきたどの時間軸の彼女よりも攻撃的で凶暴な性格。
全く話が通じない上に、背筋が凍るような狂気すら感じる。
杏子が変貌してしまった原因は優依だと私は確信している。
シロべえから聞いていたけどこの時間軸の佐倉杏子はあの娘に異常な程執着しているらしい。
何となくそうだろうなと思っていたけど実際に目にするとその異常性が浮き彫りでこっちがぞっとする程だった。
よく優依はあの杏子と一緒にいれたわね。
あの娘なら怯えていそうなものなのに。
いえ、それを上回る鈍さのせいで全く気付いてないのかもしれない。
でもそれは今日まで。
誘拐未遂なんてやらかしたもの。
優依は杏子に怯えている。良い気味だわ。
でも佐倉杏子の方は本気になってるはず。
あの娘を手に入れるために次は手段を選ばないでしょうね。
危険だわ。優依を杏子から守らないと。
あの娘を守れるのは私だけ。
優依の全てを知ってる私があの娘を危険に晒す全てから守ってあげなきゃ。
・・それも大事だけど『ワルプルギスの夜』を倒す事も重要な事。
不本意だけど杏子も戦いに加わってもらわなければ勝ち目はない。
ここは我慢しなきゃ。
「・・・よし」
深く息を吸って呼吸を整えた後、口をきゅっと結んで気を引き締める。
失敗は許されない。
一歩でも間違えばこの計画は破綻してしまう。
そうなれば『ワルプルギスの夜』を倒す貴重な戦力が減ってしまうのは明白。
今この瞬間、私の行動全てにかかっている。
頑張らなきゃ・・!
まどかを守るため、そして優依を守るために!
意を決して身体をゆっくりとゲーム機から離れて、赤い髪が揺れる背中の前に立つ。
相変わらず佐倉杏子は私に背中を向けながらステップを踏んでいた。
気づいているでしょうけど声をかけなきゃ。
「よお、また会ったな」
「! ぅ!?」
私が口を開くより先に背後から声がして慌てて後ろを振り返ると首に衝撃が走る。
「が・・ぐぅ・・!」
苦しい!息が出来ない!
何かで首を絞められてる?
すぐさまその場から離れようと試みるも足が地面に着いていないのかバタバタ宙をかくだけで苦しさが軽減する様子はない。
「こそこそ隠れて様子を伺うなんて趣味悪りぃな」
すぐ近くから杏子の声が聞こえる。
薄っすら目を開けて確認すると冷えた赤い瞳と目が合った。
一体何がどうなってるの・・?
窒息しそうなほどの息苦しさ
突如高くなる視界
好戦的な笑みで私を見下ろす佐倉杏子
状況を理解しようと五感を研ぎ澄ませて、ここでようやく私は佐倉杏子に首を絞められている事に気付く。
でも、どうして?
彼女は私の背中を向けて今もゲームを・・?
今も聞こえる音楽の方に目を向けると赤い髪を揺らしてステップをする杏子の背中が見える。
「・・?」
「・・ああ、あれか。まんまと引っかかってくれたな」
私が咄嗟に見ていたものを首を絞めている杏子は横目で確認し、ニヤリと笑っていた。
「!」
目を見開く。
ダンスゲームをしている杏子の姿がぼんやりと透けている。
彼女の姿がが徐々に薄れてきて、やがて何もなかったかのように消えてしまった。
さっきまで杏子がゲームをしていた痕跡である電子音の音楽はただ虚しく曲を奏でている。
「幻・・?」
「そうだよ。疑問は解決したかい?」
悪戯が成功した子供のような態度で私を見上げている。
また騙された・・。
何度も時間を繰り返しているから佐倉杏子は幻術を操る事は知っていたけど実際見たことがなく今回が初めて。
そのせいで耐性がないからか一度だけじゃなく二度も簡単に騙されてしまったらしい。
しかも彼女は私に触れている。
これじゃ時間を止めても杏子には効かない。
ギリッと歯を噛んで悔しさを押し殺して表情に出さないようにするのが精一杯。
「さぁて質問だ。ここに何しに来た?」
「・・・・」
「アンタはゲームするようなタイプに見えないんだど。まあ、察しはつくぜ?大方マミ辺りにアタシを見張れって言われてきたんだろ?」
「!」
グッと首を絞める力が強まって意識が飛びそうになる。
まずい!首の力が徐々に強まっていってる。
このままじゃ私は殺される!
「待っ・・私、は・・貴女に用事が・・」
首を絞められて思うように声が出ない。
それでも何とか言葉を紡いで佐倉杏子の意識をこちらに向ける事に成功したらしい。
彼女は冷めた目で私を見上げていた。
「あ?用事って何だよ?」
≪この街を貴女に任せたい≫
声が思うように出ない以上テレパシーを使うしかない。
いつまで意識を保っていられるか分からない。
そうなったら私の身は佐倉杏子の意思一つでどうにでも出来る。
それまでに一刻も早く本題に入らないと・・!
≪魔法少女は貴女のような娘が相応しい。この街は貴女のものにして構わないわ≫
「はあ?さっきはアタシの邪魔しやがったくせに今度は街をくれてやるだぁ?信用すると思ってんのかい?」
≪・・・・・≫
「本当の事言わない気か?ならこうするしかねえな」
≪っ!≫
ぼーっとしてきた意識が突如目の前に現れたもので覚醒する。
至近距離に見えるのは赤い槍。
血のように赤く鋭いそれを杏子は私の首元に向けている。
金属の冷たい感触が肌に伝わり、チクリとした痛みを感じる。
「アンタが正直になれるようにどこを抉ってやったらいいかな?その済ました目?生意気な事をほざく舌?それとも可愛い優依に触れようとするその汚ねえ手足をズタズタにしてやって動けなくするとかもいいな。飽きたら使い魔の餌にしてやるのも悪くないかもね」
楽しそうな声なのに私を見るその目は全く笑っていない。
元々目つきが悪い彼女だけど今は比べ物にならない程の鋭い目。
憎悪
赤い瞳はその感情に塗り潰されているかのように黒く淀んで見える。
殺される・・!
≪待って!話を聞いて!≫
気づけば私はそう叫んでた。
何でもいい。すぐにでも杏子の気を逸らさなければ!
彼女は本気だ。本気で私を殺そうとしている!
時間停止が使えない今、私に出来る事はあまりにも少ない。
やるだけはの事をしないと殺されてしまう。
≪二週間後にワルプルギスの夜が来る!≫
「・・・」
表情は変わらなかったがほんの少しだけ私の首を絞める力が弱まっている。
この機を逃すわけにはいかない!
≪そうなったら街を任せるも何もないの!協力して欲しい!それを倒せば私はこの街を出ていくから!≫
「・・何故分かる?」
≪・・それは秘密よ。でも『ワルプルギスの夜』は確実に来る。この街を守るために貴女に協力して欲しいの≫
いくら見滝原が魔女狩りに最適でも壊滅してしまえば意味がない。
リスクとメリットを考えても興味はあるはず。
実際他の時間軸の彼女はそれで首を縦に振ってくれていたのだから。
「ふーん、別にどうでもいいや」
≪・・え?どうでもいいって貴女・・≫
言われた言葉の理解が追いつかなくて混乱してくる。
そんな私を杏子は興味なさそうに見上げていた。
「だってアタシはこの街に生まれた訳じゃないし関係ないね。優依を連れてさっさとこの街を出ていくだけさ。優依以外の誰が死のうがどうでもいい」
「・・っ」
息苦しいのも忘れて絶句する。
やっぱり目の前にいる佐倉杏子は今まで出会った彼女とはあまりにも違い過ぎる。
殺し合った仲とはいえ巴マミをこうも簡単に切り捨てるなんて・・。
限りなくそっくりなだけで同一人物ではない。
そんな事は頭では分かっていたけど改めてその大きな違いを痛感する。
「もうお喋りは終わりかい?だったら次はアタシに付き合ってくれよ。今ムシャクシャしてるんだよねー。・・徹底的に痛めつけてやるよ。二度と人前に姿を見せられないほどに。お前の次はマミだ」
グッと突きつけられた槍が肌に少しだけ突き刺さってるみたいで痛みを感じる。
「貴女・・それ・・」
「あ?」
苦しむ中、うっすら視界に入ったものを見て目を見開く。
私が見ている方向に佐倉杏子も目を向けている。
「ああ、ソウルジェムの事か」
佐倉杏子のソウルジェムが濁っている。
それも元の赤色だと分からない程のドス黒さ。
これ以上濁ればすぐにでもグリーフシードになってしてしまいそうな程黒い・・!
「何してるの!?早く浄化しないと!」
真っ黒なソウルジェムを見ても何の反応も示さない杏子に焦りを覚えつつ、すぐさま持っていたグリーフシードを差し出した。
だけど彼女はそれを視線をよこすだけで受け取ろうとしない。
「早く受け取って!」
「いらねえよ」
「何を言ってるの?貴女そのままだと取り返しのつかない事になるのよ!」
「使っても意味ねえよ。さっきからずっとグリーフシード使ってんのにすぐに濁っちまうんだから。たく、どうなってんだか」
「!」
つまり浄化してもすぐに濁ってしまうほど佐倉杏子の心は絶望と怒りでいっぱいだというの?
それほどまでにさっきの戦いは彼女に深い傷を負わせた?
それとも今まで積もり積もっていた優依への想いが溢れ出している?
まさかと思いたかったが先程の狂気を見ているから妙に納得してしまう自分がいる。
「しばらくこのまま真っ黒だろうな。前もイライラしてて真っ黒だったから別に気にする必要もねえし。・・ただお前が消えてくれれば少しはこのイライラも消えると思うんだよなぁ」
「っ」
背筋が凍る。
冗談っぽく軽い口調で告げているけど私を見上げる目は本心だと告げている。
まずいまずいまずいまずい!
何とか杏子から距離を取らなきゃ!
「アンタが消えるだけでも優依にちょっかい出す奴が減るだろ?・・たく、アタシがいながら他の女に手ぇ出しまくりやがって。こっちの身にもなれっての」
・・・・そう。
さっきまで感じていた焦りが消え、スッと心が冷たくなっていく。
息苦しさで顔が強張っていたはずなのに今は自分で分かるくらい表情が抜け落ちて静かに見下ろした。
この佐倉杏子は現実を分かっていないようね。
ひょっとして自分が優依の本命だとでも思ってるのかしら?
可哀想ね。叶わない夢を見てるこの娘がとっても可哀想。
優依の本命は私。
だってそうでしょう?
あの娘の秘密を知ってるのは私ただ一人。
つまり優依にとって私は特別な存在よ。
この佐倉杏子とは比べものにならない程深い関係なんだから勘違いも甚だしい!
全く、あの娘の浮気癖はもう空気を吸うのと同じくらい当たり前の事だったから多少見逃してあげてたけど、佐倉杏子のように勘違いする娘も出て来るし、規制も兼ねてそろそろちゃんと見張ろうかしら?
いくら私が一番だと言えど限度ってものがあるわ。
そうね、そうしましょう。
その分、私が優依を甘やかしてあげれば良いのよ。
「・・何笑ってやがる?」
怪訝そうに私を見上げる杏子を見て気づかぬ間に口角が上がっていたみたい。
不機嫌そうに眉間に皺を寄せていてますますおかしくて笑ってしまう。
ここまでくればもう哀れや怒りよりもおかしくてしょうがないもの。
「別に。ただ浅はかな考えだと思っただけよ」
「ああ? な!?」
笑ったまま隠して持っていた銃を杏子の眉間に突き付ける。
もちろん脅すために使う訳じゃない。
少しでも妙な動きをすればその眉間に実弾をお見舞いする気つもりだから。
「殺したければ殺せばいいわ。ただし優依はもう一生貴女と口を聞いてくれないでしょうけどね」
「・・はあ?」
痛覚を消したから何も感じない。
さっきまでの息苦しさが嘘のようにスラスラ言葉を紡ぐ事が出来る。
不思議ね。
さっきまであんなに杏子に怯えていたのに今は何とも思わない。
優依の本命だという事が私に自信をくれてるみたい。
「実は貴女に会いに行くことを優依に伝えてあるの。もし私が戻らなかったら貴女に殺されたと思ってと言ってあるわ」
絶句した杏子の顔がとても面白い。
そうよね。初めから優依の名前を出せば良かった。
そしたら嫌でもこの娘は話を聞くでしょうから。
「そうなったら貴女は終わりね。臆病なあの娘が人殺しと会う気なんてあるはずないもの」
「テメエ・・!」
意地の悪い笑顔で杏子を見下ろす。
激怒しているのか顔を歪めて私を睨んできてるけど動揺してるのか明らかに首の圧迫がさっきよりもかなり緩んでる。
この様子だとかなり葛藤してるみたいだから今のうちに追い打ちをかけておいた方が良さそうね。
「優依の意思は固いわ。もうすぐ『ワルプルギスの夜』が来ると分かってもこの街に残ると言っている。例え私たちが負けて街が滅んでも」
「は!?死ぬ気かよアイツ!?」
「ええ、そうよ。あの娘は大切な物のためにここに残る事を選んだわ」
「あのバカ・・それでアタシの誘いを断ったのか」
眉間に皺を寄せているが納得したのか杏子は何やら考え込んでいる。
全部私の口から出た出まかせだけどきっと優依ならそうしてくれる。
私が死んだら悲しんでくれるでしょうし、例え世界が滅んでもきっと私と一緒にいてくれる。
他でもない貴女が私を一番愛してくれてるんだもの!
「優依は今の貴女に相当な不信感を抱いてしまってるの。私が仲を取り持ってあげれる名誉挽回のチャンスだと思って協力してもらえないかしら?」
これでもう決まったもの。流石の杏子も今の現状を分かっているはずだから。
その証拠に杏子はしばらく迷った様子で口を噤んでいたが、やがて小さく「分かった・・」と呟いた。
「・・アンタに協力すればいいんだろ?」
「ええ、お互いの利益は一致しているわ。私は『ワルプルギスの夜』を倒す協力者が欲しい。貴女は優依が欲しい。そうでしょ?」
確認すると杏子は無言で頷いた。
優依が杏子のものになる日なんて絶対ない。
私が二人の仲を取り持つはずないでしょう?断固阻止するわ。
あの娘にとって杏子は恐怖の対象となってしまったからもう遅い。
いくら優依のためと言っても強引な事して嫌われてしまったら本末転倒よ?
貴女にチャンスなんてないわ、残念ね?
でも油断は禁物。
佐倉杏子の事よ。黙ってるだけとは思えない。
必ず何か裏で仕掛けてくるはず。
しっかり見張らなければいけない。
「マミとあの美樹さやかって奴はどうすんだよ?絶対邪魔してくるぞアイツ等?」
内心で考えてる事を知らない杏子はのほほんとした様子で聞いてくるので表情を変えずに口を開いた。
「美樹さやかについては私が対処する。貴女は手を出さないで」
「ふーん、向こうから来たら別にいいよな?ぶっ潰しても」
「ええ、構わないわ」
「分かった」
「あと・・」
「お前さ」
「・・・何かしら?」
他の釘を刺しておく事はないかと考えていたら杏子が唐突に低い声を出す。
「これから優依に近づくな。これが絶対条件だ」
再び突き付けられた赤い槍。
凄んでいるその表情よりも私を見るその淀んだ目が何より底知れない恐怖を感じ、私は黙って頷くしかなかった。
やはりこの佐倉杏子は危険ね・・・。
上手くやっていく自信が全くないのに困ったわ。
ともかくこれで佐倉杏子が加わってくれた。
あとは上手い具合に彼女を誘導していければ大丈夫ね。
その後すっかり忘れていた大事なソウルジェムの浄化を思い出し慌てて杏子にグリーフシードを渡すと、彼女は面倒臭そうに受け取りすぐに浄化を始めたのでソウルジェムは綺麗な赤色に戻った。
だけど浄化してから時間を絶たずしてじわじわと濁り始めているのが視認出来る。
濁るのがかなり早い。
かなり精神が不安定になっているみたいね。
この状態の佐倉杏子を放っておいたら魔女になってしまう可能性が高い。
これからの事を考えるとそれは絶対避けなければ。
・・どうやら今日は優依の元へ帰るのは無理そうね。
護衛もいるし魔女の脅威に晒される事はないだろうけどその護衛の巴マミが野獣と化して優依を襲っていないかとても心配だわ。
「という訳でこれからはしばらく別行動になるわ」
「すみません。公衆の面前でいきなり背後から抱きしめられた上に時間止めるってどこの薄い本の内容みたいな事してんですか?というか昨日の夜、杏子と何があったんですか?なんかヤクザの同盟にしか聞こえないんだけど」
杏子の乱の翌日、色々あったが避難先のマミちゃんの家からいつも通りの登校時にいきなり不審者に抱き着かれたと思ったらまさかの犯人はほむらだった。(ちなみにマミちゃんは日直らしく先に登校してる)
急展開に頭が追いつけず、口をパクパクさせている間にほむらは時間を止め、昨夜の出来事の顛末を聞かされたのだ。
淡々とした口調で内容もかなり端折っているがあの杏子の事だ。
絶対一悶着あったに違いないと睨んでいるが実際のところは分からない。
「言った通りよ。思った以上に佐倉杏子が不安定だったから見張っていたの。貴女こそ昨夜は黄色い野獣に襲われなかったか心配よ」
「黄色い野獣?それってもしかしなくてもマミちゃんの事か?何もなかったよ。一緒に寝たくらいか」
ただしその前にマミちゃんが“新しく買ったブラどうかしら?”とか言って、見せに来た時は鼻血出そうになったがそれ以外はいつも通りで特に珍しさはないはず。
まあ、これをほむらが聞いたらブチキレそう。
人は誰しも地雷を抱えているものだ。
ほむらの場合は胸という事。絶対禁句。
「・・本当に何もなかったのよね?」
「・・うん、本当に何もなかったです・・よ?」
「そう、だったら大丈夫ね」
「へ?」
「私はしばらく杏子と行動を共にするわ」
「え?」
「貴女は安全のためにもしばらく巴マミの傍にいなさい」
「・・ま、まあ、言ってる事は何となく理解出来たけど・・わざわざ時間止めてまで言う必要あったのか?」
「あるわよ。杏子から貴女と接触するなと言われているの。話をしたくてもどこかで優依を見張っているだろうから警戒しておかないと」
「え!?どこ!?」
慌てて周囲を見渡すも杏子の姿は見えない。
キョロキョロしてる俺の耳に呆れたようなため息が聞こえてきた。
「見つかる訳ないでしょう?相手は魔法少女なのよ。ただの一般人の貴女が見つけられるとは思えないわ」
「そっすね・・」
言われて納得。
確か原作の杏子も望遠鏡魔改造してさやかを観察してたんだっけ?
その気になったら俺を監視する事くらい造作もないわな。
魔法少女に見張られるって俺ヤバいフラグ立ってないか?
「貴方と連絡が取れないのは困るからこうしてわざわざ時間を止めて来たのよ」
「早速会いに来てるあたり守る気ないなお前。まあ、連絡取れないのは不便だからいいけど」
一応納得したけどあんまり腑に落ちない。
連絡取る手段って他にもあったんじゃないの?
テレパシーなり、シロべえあたりに伝言頼んだり、古典的にこっそりメモを残すとかさ。
何でわざわざ手間のかかる方をチョイスしてんの?
「巴マミにはシロべえを通して連絡してあるわ。特に反応はなかったけど内心では私という邪魔者がいなくなって喜んでるでしょうね」
「そんな事はないと、思うよ・・」
一応フォローのつもりで呟いてみたが思ったよりも説得力がないな。
この二人は協力関係だけど、殺伐とした仲だ。
昨日なんて殺し合いしてたからなー。
ホントにこんなんで大丈夫なのかこれ?
「もうそろそろ切れる頃ね。名残惜しいけどまた後で会いましょう優依」
「あ、はい、さいなら」
意外とあっさり解放されたので思わずあっさり挨拶をしてしまった。
ほむらが去って行ったと同時に時間が動き出しいつもの喧騒に戻る。
当分ほむらと会話出来ないのか。
禁止されると破りたくなるな。
なんて思ってた登校時間
ほむらはその後も暇があれば時間を止めて俺に会いに来てた。
その頻度は一時間に二、三回という高頻度だ。
特に用事がある訳じゃないのに何で来るの?
魔法の無駄遣いだからやめてもらえませんか?
お前絶対杏子の言った事守る気ないだろ。
杏子ちゃんの事ヤバい人認定してるけどね。
ほむほむよ、君も大概ですよw