魔法少女オレガ☆ヤンノ!?   作:かずwax

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ネット回線が不調になって早〇週間・・。


ついに解放された・・!


88話 思いつめた先は

杏子side

 

 

「さあ優依、返事を聞かせてくれよ」

 

 

壁に押さえつけられた優依が怯えた表情でアタシを見上げる。

 

涙目な上に小動物のように震えててすっごく可愛い。

このまま襲ってしまいそうになるくらいだ。でもここは我慢しないと。

 

今は言質を取る方が優先だ。

可愛がるのはその後でも遅くないし、むしろ邪魔が入らない分そっちの方が良いかもしれない。

 

ほむらには悪いがアタシは『ワルプルギスの夜』と戦う気なんざ更々ない。

何のメリットもないし最悪死ぬ可能性すらあるんだ。

悪いけどそんな無謀な戦いするような正義感はアタシにはないね。

騙してしまった事に少なからず罪悪感を感じるけどもう手段なんて選んでる暇なんてあるものか。

 

 

可愛い優依をみすみす死なせるなんてアタシには出来ない。絶対にそんな事させない。

死なせるくらいなら、守れるように閉じ込めておいた方がよっぽど良い。

例えそのせいで魔法少女全員が敵になろうとも構やしない。

 

 

優依はアタシのだ!

 

 

「きょ、杏子・・取り敢えず話し合おうよ・・ね?」

 

 

ようやく優依が口を開いたと思えばまた『話し合い』の提案で辟易しそうだ。

 

アタシが賛成すると思ってんのか?おめでたいな。

当然そんなものお断りに決まってんだろ。

 

 

「・・話す事なんて何もねえよ。それに今アンタが口開けて喋って良いのはアタシが提案した選択肢をする事だけだ」

 

 

若干苛立ちながらそう吐き捨てる。

 

いい加減聞き飽きたし、アタシもそうだけどマミの方もお互いに話す気なんて更々ない。

次会ったらきっとまた優依を巡って殺し合いになるだろう。

そうなればどちらかが死ぬまで戦いは続く。そんな魔力の無駄使いなんてごめんだ。

 

 

それに今は何より、ようやく優依が手に入りそうな瞬間なんだ。

他の事なんて正直どうでもいい。

 

 

思わず笑みが零れてしまう。

 

 

アタシが提案した選択肢は二つ

 

自分の身柄と引き換えにアタシに使い魔を殺させるか

保身のために使い魔に食われる人間を見殺しにするか

 

仮にどちらかを選んでも優依はアタシのものになる。

アタシと一緒に来ると言えばそのままアタシのものになる訳だし、かといって、アイツが拒めば目の前で徐々にこちらに近づいてくる人間を使い魔に食われるところを傍観すればいい。

 

そんな凄惨な光景を心の弱い優依が耐えられる訳ない。

きっと心を壊してしまうだろう。

そうなれば必然的に優依はアタシのものになる。壊れたコイツをただドロドロに甘やかしてやるだけさ。

 

どっちの選択肢を拒んだってここは使い魔の結界の中。

優依に逃げ場なんてない。ここに向かって一般人が近づいている以上時間稼ぎも使えないはず。

もはや打つ手はないはずだ。どちらかを選ぶしか道は残っていない。

 

欲を言えば壊れてくれた方が嬉しい。

心が壊れた状態なら頼れるのはアタシしかいないって教えやすいから。

 

 

何もこれは最初から考えてた事じゃない。

 

 

優依をどうやって手に入れるか、それはこの想いを自覚してからずっと考えてた。

理想を言えば優依の意思でアタシの所に来てくれる事だったけど、きっとそれは無理だ。

昨日の事でそれは嫌と言う程理解した。

強硬姿勢で無理やり連れて行こうとしても邪魔が入るしイライラが募るばかり。

 

頭が痛くなる事ばかりでどうしようか悩みに悩んでた上に、昨日ほむらからこの街に『ワルプルギスの夜』が来るって聞いちまっていよいよ時間がなくなりつつある事を嫌でも突き付けられた。

 

 

最早一刻の猶予もない。

 

このままじゃ優依は死んでしまう!

嫌だ!死なせたくない!

どうすればいいの?どうすれば優依を連れ出せる?

 

 

そこでふっと思いついたんだ。

 

 

アタシの元に来るように誘導しちまえばいいんだって。

 

やり方なんて簡単だ。

優依は一般人。魔法少女のアタシと違って戦う力はない。

なら使い魔か魔女の結界に連れ込んで脅せば嫌でもいう事を聞かせられる。

 

だから強引な形で使い魔の結界に誘導した。

そしたら本当に良いタイミングで現れるもんだから思わず笑っちゃった。

随分遠くまで来たから頼みのマミはすぐには来れないはず。

優依に逃げ場なんてないんだ。

 

 

だって仕方ないよね?

最後のチャンスでもう一度言ってあげたのに。

”一緒に逃げよう”って。でもアンタはそれを断った。

ならもう容赦する必要なんてないじゃん。

 

 

・・こんなのきっと父さんが見たら「お前は魔女だ」ってあの時みたいに言われそうだ。

確かにこんな最低な事思いついた上に実行してる奴なんて誰から見たらとても教会の娘になんて思えなくてきっと魔女そのものだって思うかもしれない。詰られたっておかしくない。

 

でも・・それがどうした?もうかつての教会の娘なんてどこにもいないんだ。

ここにいるのは欲しいものを手に入れるためなら容赦しない自己中な魔法少女がいるだけ。

それが今のアタシ。

 

 

例えこのまま魔女に成り果ててしまっても構わない。

優依が手に入るならアタシは魔女にだってなってやる・・!

 

 

 

「うう・・うう」

 

 

どれだけ時間が経ったのか分からないが、とうとう堪え切れなくなったのか優依はしゃくり上げて本格的に泣きだしたからアタシはポロポロと頬を伝う涙をそっと拭ってやる。

 

 

「おいおい泣くなよ。別にアタシはアンタを怖がらせたかった訳じゃないんだから」

 

 

嘘だ。優依が見せる表情の中でアタシが一番好きなのは泣き顔だ。

もちろん笑顔も可愛いけど優依は泣いてる顔が一番可愛い。

だってコイツは泣けばいつもアタシに縋りついてきて可愛いんだもん。

 

 

「ほら早く言いなよ。アタシの傍にいるって。そうすれば一生守ってやるから」

 

 

涙を流しながらもギュっと悔しそうに唇を噛む優依の頬に優しく手を添える。

 

こんなやり方で連れ去ろうとして良心が痛まないというのは嘘だ。

本当なら優依の望み通りマミ達と協力して『ワルプルギスの夜』を倒すのが正解だってのはアタシにも分かる。

 

そんな事は分かってる。

 

でも、その後は?

 

 

優依がずっとアタシの傍にいてくれるなら文句はないけど、それを邪魔する奴らがいる。優依の傍にいるのを邪魔する奴が多すぎる。それだけでも殺したいくらいイライラするのに最悪優依を盗られるかもしれない。

 

 

もしそうなってしまったらアタシは・・!

 

 

優依が他の誰かに盗られちゃうなんてアタシ耐えられない!

 

 

 

 

 

「! 優依!?」

 

 

突然肩を強く押され、驚いて優依から少し離れてしまった。

どうやら優依の奴、アタシの肩を手で押し返したらしい。

 

ここにきて抵抗されるとは思ってなかったから油断してたとはいえ一般人に出し抜かれるなんて情けねえな。

 

 

「優依!」

 

 

驚いてる内に優依は駆け出してどんどんアタシとの距離が離れていく。

でも焦ったりはしない。

すぐに追いつけるし、何よりここは結界の中。

優依に逃げ場なんてない。

 

 

「諦めの悪い奴だな。どうせ出口まで辿りつけやしないのに。てか、出口と反対方向だし。馬鹿だな。 !? 馬鹿!戻れ!そっちは使い魔がいる方だぞ!」

 

 

ハッとして慌てて声をかける。

 

優依が走っていく先に使い魔がいる。

それなのにアイツは気づいていないのかそのまま使い魔の方に向かって走っていく。

顔が自分でも分かるくらいサーっと血の気が引いていく。

 

 

このままだと優依はあの使い魔に・・・!

 

 

「早く戻れ!死んじまうぞ!」

 

 

どれだけ叫んでも優依は止まる気配がなかった。

そうこうしてる内に使い魔の方も走ってくる優依に気づいたのか、近づいていく。

 

 

まずいまずいまずいまずい!

何で優依はあんな自分から死にに行くような馬鹿な真似やってんだ!?

 

 

「! まさか・・!」

 

 

・・アタシと一緒にいたくなかったから?だから死のうとしてる・・?

追い詰められたアイツは使い魔に食われる事でアタシから逃れようとしてあんな馬鹿な事を・・?

そんな・・・い、いや・・・!

 

 

ガラガラと足元が崩れるような感覚に立っていられなくてなってそのまま地面に座り込んだ。

身体がガタガタと音を立てるように震えている。

一度考えた悪い考えは振りほどこうとしてもしがみつくようにして頭に張り付いて振りほどけない。

 

 

アタシ・・もしかして優依に嫌われてた?

一緒にいるくらいなら死んだ方がマシだって思うくらい嫌ってたの・・?

そんな・・・!

 

 

身体の震えが止まらない。

視界がぼやけて呼吸が上手く出来なくなっていく。

 

 

このままだと優依が死んじゃう・・!

アタシのせいで・・死のうとしてる!

それはだめだ!絶対イヤ!

 

 

「優依悪かった!アタシが悪かったから!だからお願い!止まって!!」

 

 

ほとんど悲鳴に近い形で叫んでも聞いてくれなくて視界がぼやけたまま。

何かが頬に流れるのを感じ、手に触れてみるとそれは涙だった。

 

 

 

「っ!」

 

「◎☆&%!」

 

 

そしてとうとう優依に向かって使い魔が襲いかかって・・。

 

 

 

「はあああああああああああああ!!」

 

 

そこからは無意識だった。

気づけばアタシは変身してて槍で使い魔を地面に突き刺していた。

 

突き刺された使い魔は地面にめり込んでいるようになっていて姿がほとんど見えない状態だった。

 

 

 

「ハア・・ハア・・」

 

 

焦りと渾身の力を使ったからかかなり息が荒く、肩が大きく上下している。

余程深く突き刺したのか槍が動かない。このまま手放した方が良いだろう。

 

 

くそ、使い魔相手にこんなに力を使ってしまう事になるなんて・・。

 

 

イライラしながら呼吸を整えていると傍目で優依の姿がうつる。

何故かアタシの方を見て笑っていた。

 

 

「・・・・」

 

 

・・何だよその顔?

こっちは余計な魔力使って魔女寸前の使い魔殺しちまったっていうのに、何でそんな顔でアタシを見るんだよ?

 

 

無性にイライラしてじっと優依を睨んでいると空間が揺らいで元の場所に戻っていた。

さっきの使い魔の様子から何となくそうだろうなと思っていたがやはりトドメを刺してしまったらしい。

 

くそ!適当に追い払えば良かったのについ頭に血が上って殺しちまった!

何やってんだよアタシは!?

いや元を辿れば優依のせいだ!勝手な事しやがって!

黙ってアタシの言う事聞いてりゃこんな事に!

 

もういい!こうなったら直接槍で脅してやる!

どれだけ泣き叫ぼうが死にたかろうが力ずくで連れていけば・・!

 

 

「杏子!」

 

「!?」

 

 

優依の方に向き直って槍を取り出そうとした瞬間、衝撃が走って口から声にならない悲鳴が出る。

 

優依がアタシに抱き付いてる!

しかも離れないように力を込めているのか密着度が凄い。

 

 

近い近い近い近い近い近い!

 

 

「~~~~っ///!」

 

「ありがとう!やっぱり杏子は頼りになるな!」

 

「???」

 

「信じてたよ!」

 

「!」

 

 

頭が混乱して顔が異様に熱い中、泣き笑いのような優依の声が耳元に聞こえた。

 

信じてた?どういう事だ?

 

最初は理解出来なかったが何度もアタシに感謝の言葉を吐く優依に次第にある事を確信してしまった。

 

コイツひょっとしてわざとあんな事やったのか?

だとしたらしてやられた。

どうやら優依はわざと使い魔の囮になったらしい。

 

アタシが優依を見殺しにしないと踏んであんな危険を真似に及んだのか?

だとしたらとんでもない確信犯だ。

 

 

「チッ・・」

 

 

利用されたようでムカつく!

 

 

ああ、そうだよ!

優依を死なせるつもりはない!

使い魔や魔女になんか殺させてたまるか!

 

 

 

「えへへ~杏子~」

 

「はあ・・」

 

 

アタシの苛立った気持ちなんて全く分かっていないのか優依は甘えるように抱き付いてきて毒気を抜かれそうだ。

 

そういえば優依に抱きしめられるのって久しぶりだ。

まあ、実際は数日振りだけど長い事なかったような感覚な気がする。

 

持っていた槍が手から離れてカランと乾いた音が出して、手持無沙汰になった手はそのまま優依の背中に回して抱き寄せる。

 

 

「・・次こんなバカな真似したらタダじゃおかねえからな」

 

「うん!」

 

 

ホントに分かってんのか分からないような陽気な返事が来て苦笑いしそうになる。

何か流された気がするけどまあいい。

利用されたような感じがしてムカつくが今回は流してやるか。

 

そっと目を閉じて触れている体温を感じる。

 

あったかいな。ちゃんと生きてる。

優依が生きてる。良かった。本当に良かった。

 

 

・・でもどんなに大事に守っても親父たちのように優依もあっさりアタシを置いていくのかな・・?

 

 

 

「アタシを置いていかないで・・!」

 

 

もう二度と離さないつもりで優依の小さな身体を強く抱きしめる。

 

 

イヤだ!もうあの時みたいに置いていかれるなんて絶対にイヤ!

もしそうなったら・・アタシは・・!

 

 

「優依・・」

 

 

 

死ヌ時ハ一緒ダヨ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ優依、返事を聞かせてくれよ」

 

 

やべえよ。マジやべえよ。

目の前にいる赤がとんでもない事やらかしてくれてるよ。

 

どっかの時間軸で起こる「みんな死ぬしかないじゃない!」の黄色レベルのヤバさだよこれ。

俺の中で赤がヤバい奴のイメージカラーに成り下がっちまった。

 

 

いや、ホント勘弁してください。

 

確実に頭に血が上ってるであろう杏子さんのためにクールダウンも兼ねて話し合いを提案したけど即却下。

全く人の話聞いてくれなくて俺マジで泣きそうです。

 

今の現状を改めて振り返ってみるとほぼ強引に連れてこられた使い魔の結界の中で女の子に壁ドン&股ドンされるという未知の経験中。それだけで発狂しそうだわ。

 

それなのに極めつけは杏子からとんでもない選択肢を突き付けられた事だ。

なんでも使い魔を倒してやる代わりに一生杏子のサンドバックになるか、もしくはそれを拒否して目の前で人が食われるという生涯のトラウマ見させられるかという俺オワタな選択肢だったりする。

 

顔は笑っているがどうやら杏子さんは激おこプンプン丸を超えた怒り(神)の域に達したキレっぷりのようだ。

実際ドスのきいた声で突き付けられた選択肢以外で喋るなって言われたわけだし。

 

 

杏子さん貴女、昨日の事よっぽど腹に据えかねていたのね。

魔法少女の二人ならいざ知らず一般人の俺にこんな陰湿な事するなんてかなり末期だ。

あ、やべ。あんまりにも杏子が不憫に見えて涙出てきた。

 

 

「おいおい泣くなよ。別にアタシはアンタを怖がらせたかった訳じゃないんだから」

 

 

ごめんね杏子。全然違うから。

涙を拭ってくれてるとこ悪いけどこれそういう涙じゃないから。

怖がってるんじゃなくて君が哀れで泣いてるだけだから。

 

ていうかこれは結構ヤバいな・・。

何がヤバいって、現在マッハで俺のトラウマ中枢が刺激され中だ。

 

 

昨日の出来事のせいで俺は杏子に対してかなりのトラウマ(=恐怖)を感じている。

その上での今回のこれだ。油断すればすぐにでも発狂するレベルだ。

 

現に今も小さくではあるが身体が震えている。

叫ばないのはなけなしの理性が働いているからであと一歩踏み込まれてしまえばピンチだ。

 

頑張れ、頑張れ俺。

今すぐこの状況を打開する策を考えなければ人生最大の黒歴史を作る事に・・!

 

 

 

 

「ほら早く言いなよ。アタシの傍にいるって。そうすれば一生守ってやるから」

 

 

 

ガシャン

 

 

 

目の前に映る杏子の目の据わった笑顔に俺の中で何かが壊れる音がした。

 

 

こわああああああああああああああああああああああああい!!

 

怖い!マジ怖い!

杏子怖い!本格的に怖すぎる!

 

もう無理!絶対無理!

赤に対する恐怖が加速していくううううううううう!!

 

いやあああああああああああああああ!!

 

 

この後の事はほとんど覚えてない。

気づけば俺は杏子を振り切って走っていた。

 

これはどういった状況か確かめたかったが、赤の恐怖でなりふりなんて構っていられずそのまま足を動かすしかないので必死に走る。

 

 

なんか後ろで杏子が必死に叫んでるけど無視だ。

怖くて振り向けません!聞きたくない!

今はその声だけで恐怖だから!

ていうか振り向いたらすぐ後ろにいるなんてホラー展開ありそうでマジ怖い。

 

 

「◎☆&%!」

 

「! げ!」

 

 

声がしたからぱっと顔を上げると目の前には落書き使い魔さんがいらっしゃった。

 

 

何で!?俺もしかしなくても使い魔めがけて走ってた!?

じゃあ杏子が後ろから何か言ってたのってこれの事!?なるほどね!杏子が必死に叫ぶ訳だ!

 

ヤバいヤバいヤバいヤバい!

どうしよう!?何とか止まれたけど、仮に今から方向転換しても間に合わない!

 

現に逃げようとする俺の背中を使い魔が触れようとしてる!

 

 

ぎゃあああああああああああああ!!

俺死んだああああああああああああ!!

 

 

 

「はあああああああああああああ!!」

 

 

「!」

 

 

俺に触れる瞬間、使い魔が姿を消した。

代わりに赤い何かが背後に現れる。

 

 

「ハア・・ハア・・」

 

 

杏子だ。魔法少女に変身した杏子が俺のすぐ目の前にいる。

握っている槍の先端には使い魔ぶっすり刺されて地面にめり込んでいた。

 

 

超おっかねえ・・。

 

 

余程強くぶっ刺さってるのか地盤沈下した使い魔の姿が見えない。

あと一歩遅かったら俺もあそこに仲間入りしてたかもしれないので他人事じゃないのが恐ろしい所だ。

 

気づかれる前にこっそりトンズラしようとしたがふと足が止まる。

 

 

ひょっとして俺を助けてくれた?

いやひょっとしてじゃない!間違いなく俺を助けてくれた!

だってあの魔力の無駄使いが嫌いな杏子が俺を助けるためにわざわざ魔法少女に変身までしてくれたんだ!

 

なんて良い奴なんだ!

 

散々俺を脅しまくってたけどそこは常識人枠。何だかんだで助けてくれるんだな!

ありがとう!正直ここ最近見損なってたけどやっぱり君は頼りになるし優しい!

ああ、感動のあまり笑みが零れてしまいそうだ!

 

 

「杏子!」

 

「!?」

 

 

感極まった俺は勢いのままに杏子に抱き付いた。

杏子は突然の俺の行動に戸惑っている様子だが振り払う素振りはない。

 

 

「ありがとう!やっぱり杏子は頼りになるな!」

 

「???」

 

「(君はやっぱり良い人だと)信じてたよ!」

 

 

出来る限りの感謝の言葉を杏子に伝える。

その際、目から液体が零れたけど気にしないでおこう。

 

 

杏子が俺をここに連れてきた理由、それはきっと「危機感の促進」だ。

魔法少女でもない俺がなけなしの義務感で魔法少女に関わっているのは杏子には危うく見えていたのだろう。

だからお灸を添えるためにわざわざ自分が悪者になるような事をしたのかもれしない。

 

俺がある程度怖がらせるのが目的だったのかもしれない。

結局俺が恐怖で暴走してしまってなあなあになってしまったのでそれは申し訳ないが。

 

しかし強欲なあの杏子が使い魔を殺してまで俺を助けてくれたのだ!

つまり何だかんだであの究極の二択も嘘だろう!

その優しさに偽りはないはず!そうだ!そういう事にしておこう!

何事もポジティブシンキングだ!

 

 

強引にそう解釈した俺は結構な力で抱きしめてくる杏子に甘んじた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの杏子さん・・そろそろ離してもらえると嬉しいんですが」

 

 

「・・・・」

 

 

あれからどれくらい経ったのだろう?

少なくとも杏子に抱き付いてから結構な時間が経ったと思う。

だというのに俺は未だに杏子に抱きしめられたままだ。

いい加減そろそろ解放して欲しいので控えめに解放を促してみたが、コイツそれを良い事に無視しやがって!

 

 

「おい!マジで離してくれ!」

 

「嫌だ」

 

「ぐふ!」

 

 

更に力を込めて抱きしめてくる。

それはまるでもう二度と離さないという頑なな意思表示のように。

 

美少女に抱きしめてもらえるのは非常に喜ばしい。喜ばしいが死ぬ!

ただでさえ杏子は力が強いのに今は変身してるから余計握力半端ない!

 

 

「あの・・せめて力緩めて・・」

 

「・・・・」

 

 

俺の心からの願いは何とか聞き入れてもらえ、若干、本当に若干と言わざるえない力の緩みにかなりの不満を覚えるも一応圧迫死から解放されたので文句は言えない。言ったら最後はトドメさされそうだ。

 

 

「優依・・」

 

 

杏子がじっと俺を見つめている。

熱を込められたような視線に気まずさを覚えるもガッチリ顔を固定されているので逸らせない。

 

 

 

「このままずっと一緒に・・」

 

 

 

「それは駄目よ佐倉さん」

 

 

 

「「!」」

 

 

聞き覚えのある第三者の声に俺と杏子は声がした方に振り向いた。

沈みかけというのに強烈な夕暮れの光をバックに誰かがっている。ここからじゃシルエットしか分からない。

 

分からないが・・クルクルした髪の誰か・・てか、あの人じゃね?

 

 

「やっと見つけたわ!優依ちゃんを離してもらうわよ!」

 

「・・マミ」

 

 

やっぱりマミちゃんか。

シルエットしか分からないけど向こうは魔法少女の衣装だ。

そして心なしか殺気めいた殺伐とした雰囲気を感じる。

 

・・まさか杏子が言っていたこっちに向かって来てる人ってもしかしなくてもマミちゃん?

 

だとしたらある意味ミラクルだ!

正直あのまま時間稼ぎすれば良かったかも!

 

ていうかマミちゃんタイミング悪すぎぃ!

来るならもっと早く来いよ!

雰囲気からしてどう見ても第二ラウンド開幕しそうじゃん!

 

どうしよう!?今止めてくれそうな奴誰もいないよ。

俺を含めた三人しかいない!ヤバい!




また修・羅・場(笑)
一難去ってまた一難w

優依ちゃんに心休まる日なんてある訳ありませんので!
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