生まれてきた時から謎の感覚があった。記憶ではあるが、前世とかではないただの戦闘光景の記憶。僕は、俺はそれを駆っていた。純白のフレーム。両手にある二挺の銃。背中の男心あふれるブースターユニットと思われるそれからは後退的な拡散式のミサイルをばらまき基地を制圧する。
やがて見える大きくそびえる大きな本当に大きな戦艦。後ろにあったものを切り離して、一人で戦艦に乗り込む。しかし、操縦ミスかそれとも相手が一枚上手だったのか。コックピット付近に撃ち込まれる一発の弾丸。吹き飛ばされる白き巨兵。
戦艦から離れてしまったその巨兵は戦艦の砲撃に目標を絞られる。
白き巨兵から謎の粒子が飛び出る。それは機体を包み込むかのように広がる。色は緑とも青ともいえる美しい色。巨兵が堪忍したかのように目を閉じる。瞬間、周りに波動が広がる。
そこでいつも夢は終わる。それだけだったらとてもかっこいい夢。だが、青年にはその光景は悪魔への一歩を踏み出すかのように感じた。
いつも目が覚めるときは不思議な感覚を襲う。今の平和な時代を偽りの平和として感じさせるその感覚。俺はもう慣れていた。かれこれ15年間も慣れ親しんだ今や親である。
この感覚は何時も如何なる時も俺の指標となってくれた。人が平和に生きている時代に戦争時の兵士の感覚。一歩間違えれば発狂ものではあるが、とあるきっかけで向き合えるようになった。
人には淡白であるといわれた。だが、それでいいのだ。俺は人の正義などわからない。俺の信じる正義を信じる。故にいつも一人。この一人の時間が俺は好きだ。幼子が母親にあやされるように、老兵が段ボールを被ると安心するように、俺もまた一人が好きなのだ。
俺はまた一人になるのだ。なってしまうのだ。なら一人でいい。愛を知らなくてもいい。
しかし、今の時代は愛が必要だ。なんとも皮肉が聞いている。だから表面上は読書が好きなクラスメイトCを装っている。
俺には両親も親戚もいない。だけど、だけれども名前だけはわかる。知っている。覚えている。
チャック・アナトリア
俺の名前。生まれたときに親に捨てられた俺を拾ってくれた孤児院のシスターがつけてくれた名前。名前がないあの夢よりも希望が持てるそれをシスターは与えてくれた。
俺にとっての親はシスターだ。いつも感謝をしている。理性と価値観が壊れた俺を抱きしめたシスターは俺の恩人だ。とあるきっかけがそれである。
今の俺には夢がある。俺が狂気へ落ちなかった理由。愛。シスターからもらった愛。どんな人にもその愛はどこかに存在すると理解した。
俺は理不尽をつぶす。愛を知らぬ者たちの愛をつぶすような奴らを俺は許さない。夢で見たあの巨兵、“ホワイトグリント”が笑ったような泣いたような感覚が心を覆った。
―――――パイロットデータ認証開始 認証終了 貴方の帰還を歓迎します