剣のヒーローアカデミア   作:GROM

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2話 Level0

 朝食を食べ終えた剣は幼稚園へ行く準備始める。ちなみに花はすでに準備を終えていたようだ。

 

 まず剣は、自分の部屋に上がって服をパジャマから指定のスモッグへ着替える。それから幼稚園の黄色い鞄から名札を取り出してスモッグに付ける。最後に、黄色い帽子をかぶって準備完了である。

 

 それからしばらくして幼稚園のバスが来る時間になり剣と花は一緒に乗り込んだ。

 

 剣と花は隣同士で席に座る。剣が窓側で花が通路側に座る。行きと帰りでこの座り方はで変わる。朝の行きのバスではこの座り方で、帰りは逆だ。

 

 

 なぜこの座り方になったかというと、花が「朝のバスで、別の組の友達と話したい」と、言ったからだ。剣には別の組に特に友達がいないし、花からの頼みだ。無下にするわけにはいかない。

 

 

 そんな花に甘々な剣は窓の外の景色を眺めながら、バスに揺られ幼稚園に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 朝、幼稚園に行くと園児達は一人の男の子の下に集まっていた。

 

 気になって近づいてみると、薄い金色の髪の毛をした三白眼の少年が、掌から小さい爆発を起こしていた。どうやら彼の個性が発現したようだ。

 

「うわ~かっちゃん、すげーー!」

 

 周りにいたモフモフの緑髪の子からも称賛の声が上がっている。保育士の人たちからもヒーロー向きの個性だと言われていた。

 

 それを見て剣は微妙な顔になってしまう。

 

 剣は今日で個性の有無がわかる。だが、4歳直前まで個性が発現していないのはかなり絶望的であり、それはヒーローという憧れへの道に暗い影を落とすだろう。だから、剣はうらやましい気持ちと不安な気持ちが入り混じって何とも言えない顔になってしまった。

 

 それに気づいた花は剣の手を優しく握った。その感触に剣は頬が緩む。

 

 暖かい手だ。触れるものすべてに慈愛を注ぎ込む手だ。でも、その中に少し冷たいモノが在って、、、

 

 

 

 また、これがテレシアに付きまとうことに憤りを感じて―――

 

 

 

 また、とは何だ?

 

 いつそれが付きまっとていた?

 

 いつ?

 どこ?

 なにが?

 なんで?

 

 なんで?いつ?なにが?どこ?いつ?でもなんで?なにが?いつ?どこ?なにが?あれが?どうして?なんだ?いったい?なに?なに?なんで?なんで?いつ?いったい?でも?どこで?あそこで?でも?それが?あいつが?なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで―――――――――――――――

 

 呼吸が荒くなる。錆びれた知識が頭から湧き出ようとしている。記憶の奔流が止めどなく溢れて、記憶の中で彼女と彼女が重なり合って、彼と自身が重なり合って、塗り潰されていく。

 

 赤黒い血のような炎の液体が金色の杯か流れ落ちて、彼と自分が、彼女と彼女が溶接される。記憶も、脳も、臓器も、五体も、感情も、共有されていく。

 

 恐怖は不思議となく、ただ溶かされくっついていく。まるで鋼の鍛錬のように、地鋼に外鋼が足されて打たれていく。

 

 打つ金槌は優しさに満ちている。確実に打たれているのに痛くも、痒くもない。ただ何も感じない時間だけが過ぎていく。

 

 ――――そしていつか自分は消えゆくだろうと感じながら少年は身をゆだねた。

 

 なに、怖がることはないのだ。ただ自分と自分が出会っただけ。剣が鬼の腰に下がるだけ。そして、ただ、自分は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し眠るだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ようやっとか。エミヤが喜ぶね。さて、彼の依頼、どう果たそうかな?」

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると白い天井が見える。窓からは暖かい日の光が差し込んできており、気分良く起きれる状況のテンプレである。

 

 この状況で起きれば、きっと人はすっと体を起こして「あー良く寝た」や、目をこすりながら「ふぁ?」なんて、これまたよく見る景気の良い言葉や仕草をするものだろう。

 

 しかし彼から溢れ出ている雰囲気はとても沈んだものがあった。

 

 なぜなら彼はいま他人の体に乗っ取っているような状態だ。別の世界で死した彼は今別の世界の少年の体に割り込み、体をそして記憶をも保有している。かつて騎士団にいた彼には耐えがたいものを感じた。

 

 だがこの体に馴染みが一切ないかと聞かれるとそうではない。体は確実に自分の物だという直感があった。戦友と共にした戦場も、始めて剣を見て抱いた感情も、彼女との愛と別れも、あの男に敗したこともすべて思い出せる。

 

 彼がなぜ乗っ取っていあると感じたかというと、それは彼になる前―――すなわち久留木 剣であった頃の記憶の存在だ。

 

 まず他人の4年分の記憶がある時点で、自身の体の時間が巻き戻ってこちらの世界に来たとは考えにくい。それにもうずいぶんも昔の記憶の中にある4歳の時の彼の姿と比べてあまり似ていない。

 

 そのことを寝覚めてからすぐに感じ取ったのだ。いったい、いつ確認したかは自分でも分からないが。

 

 そして彼は恐らく剣が通っている幼稚園の保健室から出るために立ち上がる。日はすでに茜色に染まっておりすでに幼児たちは帰っているだろう。

 

 彼は扉まで歩いていき横開きの病院にあるような扉の取っ手に手を、、、

 

 カラカラカラ、、、

 

 突然開けられた扉に彼は目を見開く。もう園児たちは帰っているはずで誰もいないだろうと思っていた矢先にこれだ。いくら彼でも驚くだろう。

 

 しかし、それ以上に彼は目の前にいる存在にこそ驚いたのだ。

 

 そこには、きれいな空色の目を見開き、可愛らしい顔を驚きの表情にしている存在――――久留木 剣の記憶からすれば、聖蓮 花という少女がいた。

 

 だが恐らくもう、彼女は花ではない。久留木 剣と彼が融合する中、彼女もまた別物と融合したのだ。そしてその別の者が聖蓮 花なのだと感じた。

 

 彼は声をかけようと―――して止まった。花が彼女なのだという確信は彼の中にしかなく、そこに第三者に認められた確証はないのだ。

 

 双方どちらも口を開かない、気まずい時間が流れる。その状況に先に耐えられなくなったのは彼女の方だった。

 

 彼女は意を決して口を開く。

 

「あなた、ヴィルヘルムなの?」

 

「―――あぁ、そうだ。テレシア。」

 

 ヴィルヘルムがそう答えると、テレシアは嬉しそうに笑った。

 

 

 

―――――――――この世界で初めて、ヴィルヘルム・ヴァン・アストレアとテレシア・ヴァン・アストレアが、出会った瞬間であった。

 

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